補助金とは、国などから返済不要なまとまった事業資金を受け取れる制度です。
補助金を上手に活用することで思い切った事業への投資が可能となり、事業の成長スピードを格段に早めることにつながるでしょう。
とはいえ、補助金は要件を満たして期限内に申請したからといって、必ずしも受け取れるものではありません。
補助金を受け取るには、申請に必要な最低限の要件を満たしたうえで、他の多数の申請の中から選ばれる(採択される)ことが必要です。
そのため、特に大型の補助金で採択を勝ち取るためには補助金申請のコツを熟知した専門家のサポートを受けるのが近道といえるでしょう。
では、補助金に採択されるための申請のコツには、どのようなものがあるのでしょうか。
また、補助金を申請する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
今回は、2024年12月初旬に公表された補正予算案を加味した主要補助金の最新情報をそれぞれ紹介するとともに、補助金に採択されるための申請のコツや注意点などをまとめて解説します。
補助金と助成金の違い
補助金と似たものに、「助成金」があります。
厳密には補助金と助成金を明確に区分することはできないものの、厚生労働省管轄の助成金に限れば、補助金との違いを整理することが可能です。
初めに、補助金と助成金の共通点や主な違いについて解説します。
補助金と助成金の共通点
補助金と助成金はいずれも、国などから返済不要な資金を得られる制度です。
ただし、いずれも不正受給などが発覚した場合は、例外的に返還が求められます。
補助金は事業計画の策定が必要である
補助金を申請するには、原則として事業計画の策定が必要となります。
これは、多くの補助金が事業の成長、ひいては税収の増加や日本経済の底上げなどを目的として設けられているものであるためです。
一方、助成金は申請の要件を満たすことを示す申請書の作成のみで申請することが可能であり、事業計画の策定までは求められないことがほとんどです。
補助金は採択されないと受け取れない
補助金は、要件を満たして申請したからといって必ずしも受け取れるものではありません。
補助金を受け取るためには、要件を満たして期限内に申請したうえで、多数の申請の中から採択されることが必要です。
一方で、助成金には「採択」という概念がなく、所定の要件を満たして申請することで受け取れるものがほとんどです。
補助金は原則として後払いである
補助金は、採択されたからといってすぐに振り込まれるものではありません。
補助金は原則として後払いであり、採択後にはまず自社で補助対象とした事業の実施(費用の支出など)をして、実際にかかった経費の精算として交付されます。
一方、助成金は申請要件に合致してさえいれば事務局によって手続きがなされ、一定期間後に支給されることが一般的です。
補助金を申請するメリット
企業が補助金を申請することには、どのようなメリットが考えられるでしょうか?ここでは、主なメリットを3つ解説します。
- 返済不要の資金を調達できる
- 自社の事業の見直しができる
- 対外的に信用が高まる
返済不要の資金を調達できる
1つ目にして最大のメリットは、返済不要なまとまった資金を得られることです。
補助金は不正受給などをしない限り、原則として返還する必要がありません。また、ファンドからの出資受け入れなどとは異なり、株式を差し出す必要もありません。
企業にとって返済不要なまとまった資金を得られる機会は稀であり、貴重な投資資金となるでしょう。返済不要なまとまった資金を得ることで思い切った投資が可能となり、事業の成長スピードを早めることへとつながります。
自社の事業の見直しができる
2つ目は、自社の事業を見直すきっかけとなることです。
多くの補助金で、申請にあたって事業計画書の提出が求められています。この事業計画書の練り込みが、採択されるかどうかを左右するといっても過言ではありません。
そのため、補助金を申請するにあたっては自ずと自社の事業計画と真剣に向き合う必要が生じ、事業計画を見直すきっかけとなります。
対外的に信用が高まる
3つ目は、補助金の採択を受けることで、対外的な信用が向上しやすいことです。
事業再構築補助金やものづくり補助金など大型の補助金では、採択された事業者名や事業の概要などが補助金の公式ホームページで公表されます。これら大型の補助金で採択を勝ち取ることは容易ではなく、さまざまな角度から事業計画を検討し、実現性の高い計画を策定しなければなりません。
このような過程を経て採択を勝ち取ったという事実は、事業計画がある程度信頼できるものであるとの印象となり、金融機関など外部からの信用が向上する効果が期待できます。
補助金を申請するデメリット
補助金を申請することには、何らかのデメリットはあるのでしょうか?
ここでは、主なデメリットを4つ解説します。
- 申請手続きに手間がかかる
- 必ずしも採択されるとは限らない
- 不要な投資に繋がるリスクがある
- 採択後の手続きに手間がかかる
申請手続きに手間がかかる
補助金は、申請手続きに手間がかかります。
特に大型の補助金を自社のみで申請しようとすれば、本業に割くべきリソースを圧迫してしまう事態となりかねません。
そのため、専門家による申請サポートを受けることをおすすめします。
必ずしも採択されるとは限らない
先ほども解説したとおり、補助金は要件を満たして申請したからといって、必ずしも受け取れるものではありません。
時間や労力を投じて申請しても不採択となってしまえば、補助金は支給されないということです。
不要な投資につながるリスクがある
補助金を申請する際は、補助金を使って行う投資が「たとえ補助金がなくても行いたい投資なのか」を十分に検討することをおすすめします。
なぜなら、補助金がもらえるということで財布の紐がゆるんでしまい、不要な投資や過剰な投資をしてしまうおそれがあるためです。
補助金を活用した結果、資金繰りに窮することとなれば本末転倒です。
なお、補助金でかかった経費の全額が補填されることは稀であり、多くは経費の「2分の1」や「3分の1」など一定割合が補助率とされています。
採択後の手続きに手間がかかる
補助金は、採択後の手続きにも相当の手間がかかります。
多くの補助金で、採択後にはまず「交付申請」が必要です。
その後、事業を実施した後は、これについて「実績報告」もしなければなりません。
特に大型の補助金ではこれらの手続きにかかる手間も大きく、なかには手続きの負担からせっかく採択された補助金の受給を諦めるケースもあるほどです。
このような事態を避けるため、補助金の申請サポートを専門家へ依頼する際は、採択後の手続きについてもサポートしてくれる専門家を選ぶことをおすすめします。
交付申請
実績報告
補助金を申請する前の注意点
補助金を申請する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
主な注意点を、3つ解説します。
- 取り組みが制度の趣旨に合致しているか
- 応募期限や採択率に無理がないか
- 投資資金は準備できるか
取り組みが制度の趣旨に合致しているか
補助金にはそれぞれ、補助金制度を設けている趣旨や目的があります。
この趣旨や目的からズレていると、いくら社会的意義のある事業であっても採択を受けることは困難です。
そのため、補助金を申請する際はその補助金の趣旨を読み込み、補助金を使って行おうとする取り組みがこの趣旨に沿っているかあらかじめご確認ください。
応募期限に無理がないか
補助金はいつでも申請できるものではなく、公募期限が設けられています。
補助金を申請する際は公募期限が間近に迫ってから準備に取り掛かるのではなく、期限に余裕を持って準備を進めるようにしてください。
なぜなら、期限ギリギリになってから申請準備を始めると申請書類が急ごしらえとなりやすく、見直しに必要な時間も確保しづらくなるためです。
このような申請では、採択が遠のいてしまうでしょう。
また、期限間近となると専門家のスケジュールが埋まってしまい、希望する専門家にサポートを依頼できない可能性も高くなります。
投資資金は準備できるか
補助金は事業資金を100%補填してくれるものではなく、経費の2分の1や3分の1など一定割合を補助してくれるものです。
また、補助金は事業実施後の後払いであるため、事業を実施するタイミングでは補助金はまだ手元にありません。
そのため、補助対象とする事業を実施するには、経費の全額をいったん自社で用意することが必要です。
この資金が用意できなければ補助対象事業が実施できず、たとえ補助金に採択されても絵に描いた餅となりかねません。
このような事態を避けるため、補助金を活用する際は資金を用意する方法についても併せて検討しておいてください。
大型の補助金では、融資を併用することが一般的です。
補助金を申請する際のコツ
補助金の採択を受けるための申請のコツは、どのような点にあるのでしょうか?ここでは、補助金を申請するコツを5つ解説します。
- 補助金の情報を幅広く収集する
- 制度の趣旨に沿った内容を記載する
- 申請書はわかりやすく作成する
- 添付資料の不足・漏れに注意する
- 採択されるまでが申請だと考える
補助金の情報を幅広く収集する
補助金は、非常に多く存在します。国などが公募するもののほか、都道府県や市区町村が設けているものも少なくないためです。そのため、自社に合った補助金を見つけるためには、幅広い情報収集がポイントとなります。
たとえば、次のウェブサイトでは補助金の情報が広く掲載されており、参考となります。
とはいえ、膨大な補助金情報がヒットすることもあり、その中から自社に合った補助金を見つけることは容易ではありません。そのため、無理に自社で探すのではなく、当社トライズコンサルティングなど補助金の専門家に相談してみることも一つの手です。
制度の趣旨に沿った内容を記載する
補助金にはそれぞれ、その補助金制度を設けている政策的な目的があります。補助金の申請書類を作成する際は、その補助金の目的をよく理解したうえで作成してください。
その補助金の趣旨目的を理解したうえで、その内容に沿っていることを申請書類の中で説明することで、採択を勝ち取りやすくなります。
申請書はわかりやすく作成する
補助金の審査をする審査員は、自社が属する業界のプロではありません。そのため、その業界にいない人であってもわかるよう、わかりやすく作成することが採択を得るためのコツとなります。
たとえば、専門用語を記載する際は、用語の意味を記載するとよいでしょう。また、「その業界では常識であるものの、社会一般の常識とはいえない内容」がある場合は業界の常識などの前提条件をしっかりと記載することで、より伝わりやすい申請書類となります。
添付資料の不足・漏れに注意する
補助金にはそれぞれ、申請時に添付すべき書類が定められています。また、申請する枠によって、必要書類が別途指定されていることも少なくありません。
補助金を申請する際は、添付書類に不足や漏れがないよう十分確認したうえで申請してください。なぜなら、必要な書類に不足があるからといって補助金事務局から種類の追完を求めてくれることはほとんどなく、多くはそのまま不採択となってしまうためです。
採択されるまでが申請だと考える
補助金に一度不採択となったからといって、諦める必要はありません。事業計画をブラッシュアップしたうえで再度申請にチャレンジすることで、次回は採択される可能性があるためです。
補助金は不採択となった場合はその時点で諦めるのではなく、不採択がわかったら、その時点から次回の公募へ向けて申請書類を見直すことをおすすめします。また、自社で申請して不採択となった場合は、次回の申請にあたって専門家によるサポートを受けることも一つの手です。
申請書類を作成する際の注意点・書き方のポイント
せっかく補助金を申請するのであれば、やはり採択を勝ち取りたいことでしょう。では、補助金の採択を受けるため、申請書類の作成に際してどのような注意をすれば良いのでしょうか?主な注意点と書き方のコツは、次のとおりです。
- 書き始める前に申請内容をよく練り込む
- 審査項目を踏まえて作成する
- 第三者から見てわかりすい内容を心がける
- 全体の整合性を確認する
書き始める前に申請内容をよく練り込む
補助金の申請書類をいきなり書き始めることはおすすめできません。書き始める前に、まずは申請内容をじっくりと練り込むことが必要です。
特に、ものづくり補助金や事業再構築補助金など大型の補助金では補助上限額が大きく、多くの事業者が採択へ向けてしのぎを削っています。そのような中で、検討の甘い申請書類を出したとしても採択を受けるのは困難でしょう。
そのため、まずは申請内容をしっかりと練り込むことが必要です。しかし、この作業を自社のみで行うことは、容易ではありません。
そこで、コンサルタントへ補助金の申請サポートを依頼して申請内容のコンサルティングを受けると良いでしょう。
審査項目を踏まえて作成する
申請内容を十分に練り込んだら、これを申請書類に落とし込みます。この際には、その補助金の審査項目を踏まえて記載しましょう。
補助金にはそれぞれ審査で重視される項目があり、ものづくり補助金や事業再構築補助金ではこの審査項目が公募要領で公開されています。そのため、まずはこの審査項目をしっかりと読み込んで理解をしたうえで、この審査項目をアピールするのに効果的な内容で記載してください。
なお、専門家に申請サポートを依頼した場合には、専門家側でこの審査項目に沿った申請書類を作成してくれることが一般的です。
第三者から見てわかりすい内容を心がける
補助金の審査員は、その業界に熟知しているわけではありません。そのため、申請書類を作成する際には、業界に精通していない第三者にとっても理解しやすい内容で作成することが必要です。
まず、業界内では知られていても一般の人にとって馴染みの薄い用語には、解説をつけると良いでしょう。
また、たとえ業界内では画期的な取り組みであったとしても、外部から見ればその素晴らしさが十分に理解できないかもしれません。そのため、業界の事情や背景などについても、申請書類の中で丁寧に説明することをおすすめします。
全体の整合性を確認する
補助金の申請書類を一通り作成した後は、申請書類を数回見返し、全体の整合性を確認することをおすすめします。なぜなら、細部を修正していくうちに、他の項目と矛盾が生じている可能性があるためです。
大きな矛盾があれば、審査員から補助事業の実現性に疑問を持たれ、採択が遠のいてしまうかもしれません。自分で矛盾点に気付くことが難しい場合には、外部の専門家などに申請書類のチェックを依頼することも一つの手でしょう。
補助金が採択されるために押さえたいポイント
せっかく手間や時間をかけて補助金に申請する以上、採択を得たいことかと思います。は、補助金に採択されるためにはどのようなポイントを踏まえればよいのでしょうか?
ここでは、補助金の採択を勝ち取るためのコツを4つ解説します。
- 加点項目を押さえる
- 事業計画を見直す
- 他の補助金に申請する
- 専門家にサポートを依頼する
加点項目を押さえる
補助金のなかには、審査において加点となる項目が設けられており、これが公表されていることがあります。しかし、せっかく加点されるための要件を満たしていても、所定の事項を申請書類に記載したり所定の書類を添付したりしない限り加点の措置が受けられないことが少なくありません。
そのため、補助金を申請する際は加点項目をあらかじめ確認し、要件を満たせそうなポイントについては漏れなく適用を受けるように注意しましょう。
事業計画を見直す
ものづくり補助金や事業再構築補助金など大型の補助金では、事業計画が採否を左右するといっても過言ではありません。そのため、さまざまな角度から事業計画を見直し、隙のない計画を策定することが重要です。
事業計画はあくまでも「計画」であり、必ずしもその計画どおりに事業が進行するとは限りません。しかし、だからといって何の根拠もなく適当に作成してしまうと、実現性が低いと判断され、採択が遠のいてしまう可能性があります。
他の補助金に申請する
補助金は採択されるまで、何度も同じ補助金に申請することが可能です。しかし、ある補助金に申請しても一向に採択がされない場合は、その補助金の趣旨目的と自社の申請内容とがズレているのかもしれません。
そのため、申請する補助金を変えてみることも1つです。申請する補助金がわからない場合は、専門家へご相談ください。
専門家にサポートを依頼する
特に大型の補助金では、自社のみで申請して採択を勝ち取ることは容易ではありません。そのため、専門家に申請サポートを依頼することが補助金獲得を成功させるポイントとなります。
専門家にサポートを依頼することで、事業計画を練り込むコンサルティングを受けることができ、事業計画の精度を高めることが可能となるためです。また、その補助金の趣旨目的や審査ポイント、加点項目などを踏まえて申請書類のサポートを受けられることからも、採択の可能性を高めることへとつながります。
2024年12月時点のおすすめの補助金
補助金制度は、非常に多く存在します。また、年度によって制度自体が新設・廃止されたり、同じ名称であっても公募内容が改訂されたりすることも珍しくありません。
そのため、現在どの補助金が存在するのか、また自社はどの補助金に申請できるのかわからないことも多いでしょう。
ここでは、2024年度に活用できるおすすめの補助金について、概要を解説します。申請のコツを踏まえた補助金申請サポートをご希望の際や自社で活用できる補助金が知りたい際には、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 省力化投資補助金
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた
新製品・新サービスの開発に必要な設備投資などを支援する補助金です。
「ものづくり補助金」と略されることが多いものの、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。略称が浸透していることから、製造業や建設業などいわゆる「ものづくり企業」でしか活用できない補助金であるとの誤解が少なくありません。
しかし、実際は製造業などのほか、飲食業や小売業、サービス業などさまざまな業種で活用できます。
2024年12月初旬に公表された「令和6年度補正予算案」により、ものづくり補助金は今後も継続されることが決まりました。その後12月中旬に公表された概要資料によれば、今後の申請枠と補助上限額はそれぞれ次のとおりです。
追加要件 | 補助上限額 | 補助率 | |
---|---|---|---|
製品・サービス高付加価値化枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化 | 750万円~2,500万円 | ・中小企業:1/2 ・小規模・再生:2/3 |
グローバル枠 | 海外事業の実施による国内の生産性向上 | 3,000万円 | ・中小企業:1/2 ・小規模:2/3 |
申請枠が変更されており、「省力化(オーダーメイド)枠」などは廃止されています。
なお、大幅な賃上げに取り組む事業者は、補助上限額が100万円から1,000万円上乗せされます。また、最低賃金の引き上げに取り組む事業者は、補助率が2/3へと引き上げられます。
この「最低賃金の引き上げに取り組む事業者」とは、一定期間において、3か月以上にわたって「地域別最低賃金+50円以内」で雇用している従業員が全従業員数の30%以上である事業者を指します。
申請をご希望の事業者様は今後の情報に注意しつつ、専門家へお早めにご相談ください。早めに情報をキャッチアップすることも、補助金申請を成功させるコツといえます。
また、ものづくり補助金の申請の流れ・手順はこちらを参照してください。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、思い切った事業の再構築をする際に活用できる補助金です。
当初は新型コロナ禍で売り上げが一定以上落ち込んだ事業者の復活が目的とされていたものの、新型コロナの収束とともに制度趣旨も少しずつ変化してきました。
2024年度では、ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
事業再構築補助金の補助対象となる「事業再構築」とは、次の取り組みなどです。
- 新市場進出(新分野展開、業態転換)
- 事業・業種転換
- 事業再編
- 国内回帰・地域サプライチェーン維持・強靱化またはこれらの取組を通じた規模の拡大等
新たな分野への進出など思い切った事業の再構築をご検討の際は、事業再構築補助金が活用できないか確認するとよいでしょう。 2024年度における事業再構築補助金の申請枠と補助上限額は、それぞれ次のとおりです。
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 | ||
成長分野進出枠 | 通常類型 | 中小企業者等 | ・従業員数20人以下:100万円~1,500万円(2,000万円) ・従業員数21~50人:100万円~3,000万円(4,000万円) ・従業員数51~100人:100万円~4,000万円(5,000万円) ・従業員数101人以上:100万円~6,000万円(7,000万円) | 1/2(2/3) |
中堅企業等 | 1/3(1/2) | |||
GX進出類型 | 中小企業者等 | ・従業員数20人以下:100万円~3,000万円(4,000万円) ・従業員数21~50人:100万円~5,000万円(6,000万円) ・従業員数51~100人:100万円~7,000万円(8,000万円) ・従業員数101人以上:100万円~8,000万円(1億円) | 1/2(2/3) | |
中堅企業等 | 100万円~1億円(1.5億円) | 1/3(1/2) | ||
コロナ回復加速化枠 | 通常類型 | 中小企業者等 | ・従業員5人以下:100万円~1,000万円 ・従業員6~20人:100万円~1,500万円 ・従業員21~50人:100万円~2,000万円 ・従業員51人以上:100万円~3,000万円 | 2/3 (一定金額までは3/4) |
中堅企業等 | 1/2 (一定金額までは2/3) | |||
最低賃金類型 | 中小企業者等 | ・従業員数5人以下:100万円~500万円 ・従業員数6~20人:100万円~1,000万円 ・従業員数21人以上:100万円~1,500万円 | 3/4 (コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない者は2/3) | |
中堅企業等 | 2/3 (コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない者は1/2) | |||
卒業促進上乗せ措置 | 中小企業者等 | 各事業類型の補助金額上限に準じる | 1/2 | |
中堅企業等 | 1/3 | |||
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置 | 中小企業者等 | 100万円~3,000万円 | 1/2 | |
中堅企業等 | 1/3 |
事業再構築補助金はものづくり補助金以上に採択の難易度が高いため、専門家の申請サポートを受けることが採択を勝ち取るコツといえます。
ただし、後ほど改めて解説するとおり、2024年12月時点では事業再構築補助金にすぐに申請することはできません。
また、制度自体が廃止され、他の制度へと変わる可能性が高くなっています。申請をご希望の際は、今後の情報にご注意ください。
また、事業再構築補助金の申請の流れ・手順はこちらを参照してください。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。ITツールを導入する場合は、IT導入補助金の活用を検討するとよいでしょう。
IT導入補助金では補助金の受給を希望する事業者が自由に投資対象とするツールを選ぶのではなく、あらかじめ設けられたカタログの中から投資するITツールを選定することとされています。
IT導入補助金のホームページの「ITツール・IT導入支援事業者検索」から対象のITツールを検索してみると、イメージが湧きやすくなるでしょう。「ITツール」の幅は非常に広く、会計ソフトなどの業務用ソフトからPOSレジやタブレットなどまで、さまざまなツールが対象となることがわかります。
「令和6年度補正予算案」を受けて2024年12月中旬に公表された概要によると、IT導入補助金の今後の申請枠や補助上限額は、次のとおりとなります。
枠 | 通常枠 | インボイス枠 | 複数社連携IT導入枠 | セキュリティ対策推進枠 | ||||
類型 | 1プロセス以上 | 4プロセス以上 | 電子取引類型 | インボイス対応類型 | ||||
補助額 | 5万円~150万円 | 150万円~450万円 | 350万円 | ITツール | PC・タブレット等 | レジ・券売機等 | (1)インボイス対応型対象経費:左記同様 (2)消費動向等分析経費:50万円×グループ構成員数 (3)事務費・専門家費:200万円 ※(1)+(2)の上限は3,000万円 | 5万円~150万円 |
・1機能:~50万円 ・2機能以上:~350万円 | ~10万円 | ~20万円 | ||||||
補助率 | 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3) | ・大企業:2/3 ・中小企業:1/2 | ・~50万円:3/4(小規模事業者は4/5) ・~350万円:2/3 | 1/2 | ・(1):インボイス対応型と同様 ・(2)(3):2/3以内 | ・中小企業:1/2 ・小規模事業者:2/3 |
なお、「最低賃金近傍の事業者」とは、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が、全従業員数の30%以上である事業者を指します。
申請をご希望の際や自社に適した申請枠がわからない場合などには、専門家へご相談ください。適切な申請枠を選択することが、IT導入補助金に申請するコツといえます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、商工会・商工会議所等と一体となって経営計画を作成し、計画に基づいて行う販路開拓などの取り組みを支援する補助金です。
チラシの印刷費や広告出稿費、ウェブサイト構築費、展示会出展費などが広く補助対象とされており、非常に使い勝手のよい補助金であるといえます。小規模事業者が新たなマーケティング活動に取り組もうとする際には、小規模事業者持続化補助金の活用を検討するとよいでしょう。
2024年12月下旬に公表された概要資料によると、今後の小規模事業者持続化補助金の申請枠や補助上限額は、次のとおりとなります。
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 | |
一般型 | 通常枠 | 50万円 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4) |
(インボイス特例) | 通常枠に50万円上乗せ | ||
(賃金引上げ特例) | 通常枠に150万円上乗せ | ||
災害支援枠 | ・直接被害:200万円 ・間接被害:100万円 | 定額、2/3 | |
創業型 | 200万円(インボイス特例の適用あり) | 2/3 | |
共同・協業型 | 5,000万円 | ・地域振興等機関:定額 ・参画事業者:2/3 | |
ビジネスコミュニティ型 | 50万円(2以上の補助対象者が共同で行う場合は100万円) | 定額 |
一般型通常枠や創業型では、インボイス特例の要件を満たすことで、補助上限額がさらに50万円上乗せされます。また、一般型通常枠では、一定の賃上げ要件を満たした場合に補助上限額が150万円引き上げられます。
申請枠が変更されているため、申請をご希望の事業者様は、専門家へお早めにご相談ください。早期から専門家にコンタクトをとっておくことで、公募開始の情報を見逃しづらくなります。
省力化投資補助金
省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)は、2024年度に新たに誕生した補助金です。これは、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援する補助金です。中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的としています。
省力化投資補助金は事業者が投資対象を自由に選ぶのではなく、所定の「カタログ」にあらかじめ掲載された製品から投資対象を選ぶタイプの補助金です。カタログには、IoTやロボットなど、人手不足解消に効果がある汎用製品が掲載されています。公式ホームページに掲載されている「製品カタログ」に目を通すことで、補助対象となる製品のイメージがつかみやすくなるでしょう。
省力化投資補助金とはつまり、所定のカタログに掲載された製品の導入費用の一部を国が補填してくれる(対象製品を非常に安価で導入できる)補助金であるということです。
省力化による人手不足解消などをご検討の際は、この補助金の獲得へのチャレンジをおすすめします。補助上限額は雇用する従業員数によって異なり、それぞれ次のとおりです。また、一定の賃上げ要件を達成した際は、補助上限額が上乗せされます。
枠・申請類型 | 従業員数 | 補助上限額 (原則) | 補助上限額 (賃上げ要件達成時) |
省力化投資補助枠(カタログ型) | 5名以下 | 200万円 | 300万円 |
6~20名 | 500万円 | 750万円 | |
21名以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
トライズコンサルティングでは補助金の受給を希望する事業者のほか、自社製品のカタログへの掲載を希望する事業者のサポートも行っています。受給をご希望の事業者様やカタログへ掲載をご希望の事業者様は、当社までお気軽にご相談ください。
なお、今後は新たにカタログ外の製品も投資対象とする「オーダーメイド枠」などの創設も予定されています。活用をご希望の事業者様は、今後の情報にご注意ください。
2024年(令和6年)12月時点の補助金最新情報
2024年12月初旬に、「令和6年度補正予算案」が公表されました。 ここでは、この補正予算案の内容を踏まえ、2024年12月現在における各補助金の最新情報を解説します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は2024年12月現在、すぐに申請することはできません。
2024年度はほとんど公募がされなかったこともあり、このまま廃止される事態が危惧されていました。しかし、「令和6年度補正予算案」や概要資料が公表されたことで、今後の継続が明確となっています。
先ほども申請枠を紹介したとおり、今後の公募では次の点が変更されます。
- 最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率の1/2から2/3への引上げ
- 「製品・サービス高付加価値化枠」について従業員区分を見直し、21人以上の中小企業を対象に補助上限を引上げ
- 賃上げ動向を踏まえ、賃上げ要件・運用などの見直し
より詳細な公募要領や公募スケジュールは、今後随時公表される予定です。申請をご希望の事業者様は今後の情報を待ちつつ、お早めに専門家へご相談ください。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は2024年12月現在、すぐに申請することができません。2024年4月23日には約半年ぶりに第12次公募が開始されたものの、この公募は7月26日に締め切られています。
また、「令和6年度補正予算案」に事業再構築補助金についての言及はありません。そのため、このまま制度が廃止される可能性もあるでしょう。
ただし、補正予算案に拠れば、新事業への進出にかかる支援の推進として新たに「新事業進出補助金」の創設が予定されています。
「中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置を創設」とされており、事業再構築補助金に代わる制度となる可能性が高いでしょう。申請をご希望の事業者様は、今後の情報にご注意ください。
IT導入補助金
IT導入補助金は、2024年12月現在において、すぐに申請することはできません。しかし、「令和6年度補正予算案」やその後公表された概要資料などにより、今後も公募が継続されることが決まっています。
申請枠などに大きな変更はないものの、次の見直しなどがなされることとなりました。
- 最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率の1/2から2/3への引上げ
- セキュリティ枠の補助上限を引上げ、要件の見直し
- 汎用ツール・導入後支援の補助対象化(保守サービスやマニュアル作成の費用に加え、IT活用の定着を促す導入後の活用支援も対象となる)
申請をご希望の事業者様は公募要領など詳細な情報の公表を待ちつつ、お早めに専門家へご相談ください。
小規模事業者持続化補助金
2024年12月現在、小規模事業者持続化補助金の一般型にすぐに申請することはできません。
ただし、「令和6年度補正予算案」やこれに基づく概要資料が公表されており、小規模事業者持続化補助金は2025年度も公募が継続されることが決まっています。先ほどの表でも紹介したとおり、前回からは次の点が変更されているため、申請する際は最新情報をご確認ください。
- 経営計画の策定への重点化
- 枠の整理など制度の簡素化(通常枠、創業枠などに再編)
具体的なスケジュールは、今後公開される予定です。申請をご希望の事業者様は、お早めに専門家へご相談ください。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、2024年12月現在、2024年7月31日に第10次の受付期間が終了しており、すぐに申請することはできません。ただし、事業承継・引継ぎ補助金は「事業承継・M&A補助金」と名称を変え、今後も継続される予定です。
そのうえで、次の点などが見直される予定です。
- PMIを後押しするためのPMI推進枠の創設
- 早期承継促進のための枠再編(事業承継促進枠への改変など)
- M&Aのトラブル防止に資するDD費用の支援拡充
- 100億企業創出加速化を図るための補助上限の引上げ
申請をご希望の事業者様は今後の情報に注意しつつ、お早めに専門家へご相談ください。
省力化投資補助金
省力化投資補助金は、2024年12月現在、申請が随時受け付けられています。つまり、当面の間は事業者様にとって都合のよいタイミングで、いつでも申請することが可能な状態にあるということです。
2024年6月25日に開始された第1回公募では、省力化投資補助金にも申請締切が設けられていました。
しかし、応募や交付申請の利便性向上を図り、早期の省力化を実現することを目的として、2024年8月9日から随時受付へと変更されています。
また、「令和6年度補正予算案」によると、省力化投資補助金は今後も継続される予定です。そのうえで、次の改訂がなされる見込みとされています。
- オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援新設
- カタログ形式の省力化投資支援の運用改
今後は、さらに使い勝手が向上することでしょう。なお、トライズコンサルティングでは補助金の受給を希望する事業者様のみならず、カタログへの掲載を希望する事業者様の支援も行っています。
申請をご希望の事業者様やカタログへの掲載を希望する事業者様は、当社トライズコンサルティングまでお早めにご相談ください。
補助金の申請に関するよくある質問
補助金に興味があっても、不明点が多く活用をためらうこともあるでしょう。ここでは、補助金に関するよくある質問とその回答を紹介します。
補助金が採択されたらすぐにお金が振り込まれる?
誤解している人も少なくありませんが、補助金が採択されたからといってすぐにお金が振り込まれるわけではありません。補助金が振り込まれるまでには、採択後にまず交付申請を行い、その後自己資金や借入金などで補助対象事業を実施し、その実績報告を行うなどのステップが必要です。
補助金を受け取るまでには長い道のりが必要であることから、専門家にサポートを依頼する際は、補助金が振り込まれる最後の段階までサポートしてくれる専門家を選ぶようにしてください。
補助金の申請はいつでもできる?
補助金の申請はいつでもできるわけではなく、補助金ごとに定められた公募期間中にのみ行うことができます。また、補助金制度は永続的なものではなく、今年度に存在する補助金が翌年度にはなくなってしまうケースや、要件や補助上限額などが変わることも珍しくありません。
そのため、自社に合った補助金を見つけたら「数年後に申請しよう」などと考えるのではなく、早期に申請に取り掛かるようにしてください。
補助金が不採択だった場合はどうすれば良い?
補助金が不採択となった場合は、次回の公募回に再度チャレンジすることが可能です。しかし、不採択となった申請書をそのまま使いまわしても、採択される可能性はほとんどありません。
そのため、不採択となった場合は再度事業計画を練り直し、申請書類を作り直すことが必要です。また、補助金によっては事務局へ問い合わせることで不採択となった理由を教えてもらうことができるため、この回答を踏まえて計画を練り直すとよいでしょう。 しかし、不採択理由の確認や事業計画の練り込みなどを自社のみで行うことは容易ではありません。そのため、不採択となった場合はその補助金に強い専門家へ相談し、専門家のサポートを受けつつ再申請に臨むようにしてください。
補助金の申請代行はトライズコンサルティングへ!
補助金の申請代行(サポート)は、トライズコンサルティングにお任せください。豊富な実績と経験のもと、貴社の抱える課題を解決し、求める成果にコミットします。
当社には各種業界に精通し、補助金申請のコツも押さえた優秀な専門家が在籍しているため、実現可能性の高い事業計画策定の支援が可能です。設備投資に必要な資金調達や補助金採択後の報告作業など包括的なサポート体制も構築しています。
補助金の申請代行(サポート)のご相談先をお探しの場合は、ぜひトライズコンサルティングまでお気軽にお問い合わせください。
まとめ
補助金申請で採択を勝ちとるためのコツやポイントを解説するとともに、「令和6年度補正予算案」を踏まえた2024年12月時点における主要補助金の最新情報を紹介しました。
2024年には補助金制度の多くが下火となっていたものの、補正予算案やその後公表された概要資料によれば、ものづくり補助金やIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など多くの補助金が今後も継続されることとなっています。
ただし、申請枠や補助上限額などが改訂されており、これまでと同じ内容で公募がされるわけではありません。改訂後の内容に対応するため、補助金申請を成功させるには、専門家によるサポートを受けるのが重要なコツとなるでしょう。
また、早めから専門家にコンタクトをとっておくことで、公募開始などの最新情報を得やすくなります。早期に情報を捉えて申請準備に取り掛かることも、補助金申請のコツと言えます。
当社トライズコンサルティングは補助金の申請サポートに力を入れており、各補助金で採択を勝ち取るためのコツや申請のポイントなども熟知しています。
コツを踏まえた補助金申請サポートをご希望の事業者様や自社が活用できる補助金に関するアドバイスをご希望の事業者様は、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。補助金の活用に関する初回のご相談は、無料でお受けしています。
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