地域経済牽引事業計画の承認を受けることで、企業はさまざまなメリットを享受できる可能性があります。
では、地域経済牽引事業計画とは、どのような制度なのでしょうか?また、地域経済牽引事業計画について専門家に申請サポートや計画策定のサポートを受けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、地域経済牽引事業計画の制度概要や承認を受けることで適用される優遇措置を紹介するとともに、専門家に申請サポートを依頼するメリットや注意点などをまとめて解説します。
地域経済牽引事業計画とは
地域経済牽引事業計画とは、市町村・都道府県が作成した「基本計画」に基づいて事業者が作成する計画です。要件を満たした計画を策定してこれを申請することで、都道府県知事から承認を受けることができます。
計画を受けた場合にはさまざまな優遇措置の対象となるため、この優遇措置の適用を目的として計画の承認を申請することが多いでしょう。
なお、地域経済牽引事業計画は「地域未来投資促進法」の規定による制度であり、地域未来投資促進法は「地域経済牽引事業」の促進を目的とした法律です。そして、この「地域経済牽引事業」とは、地域の特性を生かし、高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす事業を指します。
地域経済牽引事業計画の承認を受ける主なメリット
地域経済牽引事業計画の承認を受けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合に対象となる主な優遇措置について解説します。
- 税制優遇措置の対象となる
- 金融の優遇措置の対象となる
- 規制の特例措置の対象となる
- 一定の補助金で優遇される
参照元:事業者向けページ(経済産業省)
税制優遇措置の対象となる
地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合には、税制優遇措置の対象となります。具体的には、地域経済牽引事業計画に従って建物や機械などの設備投資を行う際に、法人税等の特別償却(最大50%)または税額控除(最大6%)を受けることが可能となります。
この特例措置の適用を受けたい場合には、都道府県知事から地域経済牽引事業計画の承認を受けたうえで、国(地方経済産業局)から課税特例の確認を受けなければなりません。また、地方税(固定資産税・不動産取得税)についても、課税免除などの適用が受けられる場合もあります。
金融の優遇措置の対象となる
地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合には、金融優遇措置の対象となります。これに該当する主な措置を3つ紹介します。
- 日本政策金融公庫による融資制度
- 信用保証協会による債務保証
- 日本政策金融公庫による海外展開支援
日本政策金融公庫による融資制度
地域経済牽引事業の実施に必要となる資金について、日本政策金融公庫から固定金利で貸付けを受けられる制度です。貸付限度額は7.2億円、利率はそれぞれ次のとおりです。
- 設備資金:基準利率から2.7億円を限度として、最大0.9%引下げ
- 長期運転資金:基準利率
ただし、設備資金の金利が0.9%引き下げられるのは、次のうちいずれかの要件を満たした場合に限られます。
- 新規開業して7年以内である
- 困難な経営状況にある
- 公庫と民間金融機関が連携支援を図るものである
信用保証協会による債務保証
地域経済牽引事業の実施に必要な資金を金融機関などから借り入れる際に、通常の保証限度額とは別枠で、信用保証協会による保証が受けられる制度です。
一般枠の保証限度額は、2.8億円です。地域経済牽引事業の承認を受けた場合、これに加えてさらに最大2.8億円の特別枠が保証対象となります。
日本政策金融公庫による海外展開支援
地域経済牽引事業に資する海外事業展開(海外子会社の資金調達)について、日本政策金融公庫から、次の支援を受けられる制度です。
- 現地金融機関からの借入に対して、日本政策金融公庫が信用状を発行する支援(スタンドバイ・クレジット)
- 日本政策金融公庫が、海外子会社に直接貸付けをする支援(クロスボーダーローン)
ただし、対象となる海外子会社については一定の要件が課されています。
規制の特例措置の対象となる
地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合、土地利用関係の規制について特例措置の対象となります。
具体的には、土地利用調整が整った施設について、優良農地を確保することを前提に、農用地区域からの除外や農地転用が可能となるよう措置されます。また、地域経済牽引事業計画によって都道府県知事が適当であると確認している施設について、開発許可において通常原則として許可して差し支えないものと位置づけられます。
土地の利用にはさまざまな制限が課されており、自社が所有する土地であるからといって自由に利用してよいわけではありません。中でも、農地については政策的に保護されており、強く規制がなされています。地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合、この取り扱いが一部緩和されるということです。
一定の補助金で優遇される
地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合、一定の補助金の採択において優遇措置(加点)の対象となります。
補助金は国や地方公共団体などから返済不要な事業資金を得られる制度であり、融資とは異なり原則として返済も必要ありません。ただし、要件を満たして申請したからといって必ず受け取れるものではなく、多数の申請の中から「その補助金の交付対象にふさわしい」として採択される必要があります。
審査基準や加点対象は補助金ごとに定められており、地域経済牽引事業計画の承認を受けていることが加点対象となる補助金も存在します。加点対象になるということは、つまり、その補助金の採択において有利になるということです。
補助金への申請をご希望の際には、当社トライズコンサルティングへお早めにご相談ください。
地域経済牽引事業計画の承認を受ける要件
地域経済牽引事業計画の承認を受けるには、都道府県・市町村が定める「基本計画」に基づいて、計画が一定の要件を満たすものである必要があります。ここでは、承認を受けるために求められる主な要件を3つ解説します。
- 地域の特性を生かすものであること
- 高い付加価値を創出するものであること
- 地域の事業者への経済的効果を有すること
参照元:事業者向けページ(経済産業省)
地域の特性を生かすものであること
1つ目の要件は、地域の特性を生かす計画であることです。「ものづくり」や「観光」など、その都道府県や市町村が「基本計画」で定める地域の特性と活用戦略に合致する事業であることが求められます。
高い付加価値を創出するものであること
2つ目の要件は、高い付加価値を創出する計画であることです。
都道府県・市町村は、「基本計画」で付加価値額の基準額を定めています。その基準額以上の付加価値額を創出する計画であることが求められます。
地域の事業者への経済的効果を有すること
3つ目の要件は、地域の事業者への経済的効果を有する計画であることです。
「売上」や「地域取引額」、「雇用者数」、「給与総額」などの項目が、都道府県・市町村の「基本計画」で定められています。このような項目について、基本計画で定められている基準を満たすことが求められます。
地域経済牽引事業計画で申請代行を活用する主なメリット
地域経済牽引事業計画の申請にあたって、専門家に申請サポートや計画策定支援を受けることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを3つ解説します。
- 手間や時間を削減できる
- 事業計画のブラッシュアップが可能となる
- 計画承認のメリットを享受するためのアドバイスを受けられる
手間や時間を削減できる
地域経済牽引事業計画の申請サポートを活用することで、自社でかける手間や時間を大きく削減することが可能となります。
地域経済牽引事業計画を策定し、申請しようにも、何から手を付ければよいかわからないことも少なくないでしょう。その場合にはまず、ガイドラインを読み込むことから始めなければなりません。
そのうえで、都道府県・市町村ごとの「基本計画」の内容を調べたり、適用を受けたい優遇措置についてより具体的に調べたりするステップも必要です。ここまでできたら、ようやく具体的な計画の策定や申請に取り掛かれるという流れです。
これらをすべて自社で行おうとすると、本業に割くべきリソースを圧迫してしまうかもしれません。専門家に申請サポートを依頼することで、自社で要する手間や時間を最小限に抑えることが可能となります。
事業計画のブラッシュアップが可能となる
専門家に申請サポートを依頼することで、地域経済牽引事業計画のブラッシュアップが可能となります。
地域経済牽引事業計画はただ作成するだけでは意味がなく、その後実際に事業を発展させるための拠りどころとして活用してはじめて意味を成すものです。また、企業が真剣に実行したいと考えている具体的な計画があるからこそ、税制優遇措置や金融面での優遇措置の適用などのメリットを存分に享受できるともいえます。
コンサルティング能力の高い専門家にサポートを受け計画をブラッシュアップすることで、計画の精度や実効性が高まり、自社をより飛躍させることにつながるでしょう。
計画承認のメリットを享受するためのアドバイスを受けられる
専門家のサポートを受けることで、その地域経済牽引事業計画を実行するにあたって適用を受けられそうな優遇措置について、具体的なアドバイスを受けることが可能となります。これにより、計画の承認を受けるメリットを最大限に享受しやすくなるでしょう。
地域経済牽引事業計画で申請代行を活用する際の注意点
専門家に地域経済牽引事業計画の申請サポートや計画策定支援を依頼しようとする際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、主な注意点を2つ解説します。
- 計画策定段階から「丸投げ」できるわけではない
- サポート内容や支援のレベルは専門家によって異なる
計画策定段階から「丸投げ」できるわけではない
勘違いしている人もいるものの、専門家に依頼したからといって計画の策定段階からすべてを「丸投げ」できるものではありません。つまり、「税制優遇措置を受けたいから、適当に計画を作り、承認を受けて欲しい」などの依頼はできないということです。
計画作成の主体となるのは、あくまでも事業者様自身であり、専門家ではありません。専門家は、その計画をブラッシュアップしたり、書面に落とし込んだりするサポートを担います。なぜなら、その計画を今後自らの責任のもとで実行していくのは、専門家ではなく事業者様自身であるためです。
一方で、「青写真はあるものの数字面が詰め切れない」「検討が漏れている箇所がないかコンサルタントの視点から確認して欲しい」「計画は頭の中にあるものの書面化できない」などの場合には全力でサポートいたします。
サポート内容や支援のレベルは専門家によって異なる
地域経済牽引事業計画の申請サポートを依頼した場合、その具体的なサポート内容は専門家によってまちまちです。
たとえば、当社トライズコンサルティングのように計画の策定やブラッシュアップの段階のサポートをメインとする専門家もいる一方で、事業者様にてすでに完成した事業計画を書面に落とし込む(清書する)だけの場合もあるようです。
そのため、専門家を選定する際は、自社が期待するサポートが受けられるのかあらかじめ確認しておくべきでしょう。
また、事業計画の策定段階からサポートを受けられる場合であっても、コンサルティング能力は専門家ごとに大きく異なるものです。そのため、依頼する専門家を選ぶにあたっては、経営計画策定支援に関する実績をあらかじめ確認することをおすすめします。
地域経済牽引事業計画の申請代行先を選定する主な視点
地域経済牽引事業計画の申請サポートやコンサルティングを依頼する専門家は、どのような視点で選定すればよいのでしょうか?ここでは、専門家を選ぶ主な視点について解説します。
- 保有資格
- サポート実績・専門性の高さ
- 料金
- 相談のしやすさ
保有資格
1つ目は、保有資格です。
ある資格を持っているからといって、必ずしも地域経済牽引事業計画の支援実績が豊富であるとは限りません。しかし、一定の国家資格を有している専門家の場合、保有資格ごとの一定の能力が担保されており、安心して依頼しやすいといえるでしょう。
地域経済牽引事業計画の申請サポートを行っている主な資格者は、次のとおりです。
- 中小企業診断士:中小企業コンサルティングや経営診断、経営計画書作成などを専門とする国家資格。事業計画の策定や練り込みなどの支援を得意とする
- 行政書士:官公署に提出する書類や権利義務関係の書類作成を専門とする国家資格。所定の要件どおりに書類を整えることを得意とする
- 税理士:税金を専門とする国家資格
なかでも、事業計画の策定は中小企業診断士の主力分野の一つであり、地域経済牽引事業計画の申請サポートの依頼先として適任といえるでしょう。
なお、行政書士は業務範囲が非常に広く、地域経済牽引事業計画の策定支援を得意とする事務所もある一方で、このような計画策定をまったく取り扱わない事務所も少なくありません。
また、税理士も地域経済牽引事業計画の申請サポートを行うか否かは事務所によって異なるうえ、申請サポートを受けている場合であっても、顧問先企業に限定していることが多いようです。
サポート実績・専門性の高さ
2つ目は、地域経済牽引事業計画のサポート実績や専門性の高さです。
ある国家資格を有しているからといって、必ずしも地域経済牽引事業計画の申請サポートを得意とするとは限りません。そのため、依頼先の専門家は保有資格だけで選ぶのではなく、保有資格を参考としつつもサポート実績などを踏まえて選定することをおすすめします。
なお、サポート実績は初回相談時などに専門家に直接尋ねて構いません。実績に自信のある専門家の場合、守秘義務に反しない範囲で実績を回答してくれるでしょう。
料金
3つ目は、サポート報酬です。現実的な問題として、サポート報酬も専門家を選ぶ重要な視点となるでしょう。
ただし、法外な高額報酬をする専門家は避けるべきである一方で、料金の安さだけで専門家を選ぶこともおすすめできません。なぜなら、料金が安い場合、サポート内容が薄かったり、専門家自身がサポートに自信を持っていなかったりする可能性があるためです。
地域経済牽引事業計画の申請サポートやコンサルティングの依頼を受けた場合、1件1件を真摯にサポートしようとすると、専門家も相当な時間と労力を要します。そのため、多くの依頼を受けている専門家が1件1件と真剣に向き合おうとすれば、安易に安売りすることはできないでしょう。
相談のしやすさ
4つ目は、専門家への相談のしやすさです。
現実的には、専門家への相談のしやすさも重要でしょう。いくら優秀な専門家であっても、事務所が非常に遠方であり、また対面の打ち合わせにしか対応してもらえないとなると、依頼先の候補とすることは現実的ではありません。
そのため、物理的に距離が近い専門家か、距離が遠くてもオンライン相談に対応している専門家が依頼先の候補となります。
地域経済牽引事業計画の申請代行はトライズコンサルティングにお任せください
地域経済牽引事業計画の申請サポートは、当社トライズコンサルティングにお任せください。最後に、トライズコンサルティングの主な特長を4つ紹介します。
- 代表は中小企業診断士であり認定支援機関である
- 計画策定に強みを有している
- 補助金や融資のサポートも可能である
- オンラインでの相談や打ち合わせが可能である
代表は中小企業診断士であり認定支援機関である
トライズコンサルティングの代表である野竿は中小企業診断士であるほか、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)としても登録されています。
認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。そのため、確かな知識のもとでのサポートが可能です。
計画策定に強みを有している
トライズコンサルティングは、経営計画の策定に強みを有しています。そのため、地域経済牽引事業計画の策定や練り込みの段階からの手厚いサポートが可能です。
補助金や融資のサポートも可能である
トライズコンサルティングは地域経済牽引事業計画の申請サポートのほか、補助金や融資の申し込みサポートも行っています。そのため、地域経済牽引事業計画の策定に留まらず、クライアント様のビジネスを飛躍させるための幅の広いサポートが可能です。
オンラインでの相談や打ち合わせが可能である
トライズコンサルティングはZoomなどを活用し、オンラインでの相談や打ち合わせを実現しています。そのため、近隣の事業者様はもちろん、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。
まとめ
地域経済牽引事業計画の概要や計画について承認を受けるメリット、地域経済牽引事業計画の申請サポートを専門家に依頼する際に知っておくべき注意点などを解説しました。
地域経済牽引事業計画とは、市町村や都道府県が作成した「基本計画」に基づいて事業者が作成する計画です。策定した計画について承認を受けることで、さまざまな優遇措置の適用対象となります。
地域経済牽引事業計画の策定にあたっては、中小企業診断士など専門家のサポートを受けるとよいでしょう。専門家にサポートを受けることで自社の手間と時間を大きく削減できるほか、自社のビジネスをより飛躍させるための計画の策定が可能となります。
当社トライズコンサルティングでは、地域経済牽引事業計画の策定支援や申請サポートなどのサポートを行っています。地域経済牽引事業計画を申請したい事業者様や、興味があるものの何から手を付けてよいかわからない事業者様などは、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料でお受けしています。