事業承継・引継ぎ補助金は「事業承継・M&A補助金」と名称を変えて、2025年度からも引き続き公募されることが決まりました。
では、事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)とは、どのような補助金なのでしょうか?また、事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請にあたって専門家による申請サポートを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の概要や2025年1月時点における最新情報を紹介するとともに、専門家による申請サポートを活用するメリットなどについてくわしく解説します。
事業承継・引継ぎ補助金とは
はじめに、事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の概要と採択率について解説します。
概要
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)は、その名のとおり事業承継やM&A、PMI(M&A後の経営統合)などに要する費用を支援する補助金です。中小企業の生産性向上や持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資やM&A・PMIの専門家活用費用などを支援しています。
冒頭で解説したように、2025年度からは「事業承継・M&A補助金」へと名称が改められることとなりました。
採択結果・採択率
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の第7次以降の採択結果は、次のとおりです。なお、2025年度からは申請枠も変更されるため、参考としてご参照ください。
公募回 | 申請枠 | 申請者数 | 採択数 | 採択率 (小数点第3位以下四捨五入) |
---|---|---|---|---|
7次 | 経営革新枠 | 313 | 190 | 60.70% |
専門家活用枠 | 498 | 299 | 60.04% | |
8次 | 経営革新枠 | 334 | 201 | 60.18% |
専門家活用枠 | 374 | 229 | 61.23% | |
9次 | 経営革新枠 | 388 | 233 | 60.05% |
専門家活用枠 | 440 | 275 | 62.50% | |
10次 | 専門家活用枠 | 518 | 318 | 61.39% |
いずれも60%前後であり、比較的高めの採択率であることがわかります。申請要件に合致する場合には、ぜひ獲得へ向けてチャレンジするとよいでしょう。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請と補助上限額
続いて、2025年度における事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請枠の概要と、それぞれの補助上限額を紹介します。
事業承継促進枠
事業承継促進枠とは、5年以内に事業承継を予定している場合の設備投資などに係る費用を補助する枠です。補助上限額は原則として800万円であるものの、一定の賃上げを実施する場合には補助上限が1,000万円に引き上げられます。
補助率は原則として1/2であり、中小企業者等のうち小規模事業者に該当する場合には例外的に2/3となります。この枠において補助対象となる経費は、次のものなどです。
- 設備費
- 産業財産権等関連経費
- 謝金
- 旅費
- 外注費
- 委託費
専門家活用枠
専門家活用枠とは、M&A時の専門家活用に係る費用を補助する枠です。たとえば、次の費用などが補助対象となります。
- フィナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介に係る費用
- 表明保証保険料
ただし、FAや仲介費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者による支援に係る費用のみが補助対象です。専門家活用枠には「買い手支援類型」と「売り手支援類型」が存在し、補助上限額と補助率はそれぞれ次のとおりです。
類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
買い手支援類型 | 600万円(DD費用も申請する場合は800万円、100億円企業要件を満たす場合は2,000万円) | 1/3(100億円企業要件を満たす場合、1,000万円以下部分は1/2、1,000万円超部分は1/3) |
売り手支援類型 | 600万円(DD費用も申請する場合は800万円) | 1/2(赤字・営業利益率の低下に該当する場合は2/3) |
なお、DDとはデューデリジェンスを指し、M&Aに先だって相手企業を調査したり分析したりするプロセスです。
この枠では、次の経費などが補助対象となります。
- 謝金
- 旅費
- 外注費
- 委託費
- システム利用料
- 保険料
PMI推進枠
PMI推進枠とは、PMI(Post Merger Integration:M&A後の経営統合)に係る専門家費用や設備投資費用などを補助する枠です。PMI統合枠には「PMI専門家活用類型」と「事業統合投資類型」が存在し、補助上限額と補助率はそれぞれ次のとおりです。
類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
PMI専門家活用類型 | 150万円 | 1/2 |
事業統合投資類型 | 800万円(一定の賃上げ要件を満たす場合は、1,000万円) | 1/2(小規模事業者は2/3) |
PMI推進枠で補助対象となる主な経費は次のとおりです。
- 設備費
- 外注費
- 委託費
廃業・再チャレンジ枠
廃業・再チャレンジ枠とは、事業承継・M&Aに伴う廃業等に係る費用(原状回復費・在庫処分費など)を補助する枠です。この枠は、次の枠と併用できます。
- 事業承継促進枠
- 専門家活用枠
- 事業統合投資類
廃業・再チャレンジ枠の補助上限額は、150万円です。補助率は原則1/2であるものの、他の枠と併用申請をする場合には併用する枠の補助率に従います。
この枠において補助対象となる主な経費は次のとおりです。
- 廃業支援費
- 在庫廃棄費
- 解体費
- 原状回復費
- リースの解約費
- 移転・移設費用(併用申請の場合のみ)
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)活用の流れ
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の活用は、どのような流れとなるのでしょうか?ここでは、申請から補助金の受給までの一般的な活用の流れを解説します。
- 申請代行先の専門家に相談する
- 事業計画を検討する
- 公募期間内に申請する
- 採択・不採択が決まる
- 交付申請をして交付決定を受ける
- 補助事業を実施する
- 実績報告をして確定検査を受ける
- 補助金が交付される
- 事業化状況報告をする
申請代行先の専門家に相談する
はじめに、事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請サポートを行っている専門家に相談します。
申請は自社で行うこともできるものの、申請には多大な労力と時間を要します。そのため、補助金申請にさほど労力をかけられない場合には、専門家による申請サポートを活用するとよいでしょう。
専門家からコンサルティングを受けて申請内容を練り込むことで、採択の可能性を高めることも可能となります。
事業計画を検討する
申請サポートを依頼した専門家とともに、補助金申請に必要な事業計画を検討します。なかでも「事業承継促進枠」では、事業計画の内容が採択・不採択を左右することとなるでしょう。
専門家からコンサルティングを受けて事業計画を練り込むことで、採択の可能性を高めることにつながります。事業計画のブラッシュアップが完了したら、これを申請書類に落とし込みます。
公募期間内に申請する
申請書類が作成できたら、公募期間内に申請します。公募期間を少しでも過ぎれば申請ができなくなるため、期限の管理にご注意ください。
採択・不採択が決まる
公募期間の満了後に、採択・不採択が決まります。採択結果は申請者へ通知されるため、通知を見落とさないよう注意しましょう。
交付申請をして交付決定を受ける
採択がされたからといって、すぐに補助金が受け取れるわけではありません。採択後はまず交付申請を行い、事務局から交付決定を受けます。交付決定を受ける前に着手した部分については原則として補助対象から除外されるため、先走らないよう注意が必要です。
補助事業を実施する
交付決定を受けたら、補助事業(補助対象経費の支出など)を実施します。
なお、この段階ではまだ補助金を受け取れていないため、補助事業を実施しようにも資金が足りない場合もあると思います。そのような場合には、金融機関から一時的な融資(「つなぎ融資」)を受けることを検討するとよいでしょう。
実績報告をして確定検査を受ける
補助事業を実施したら、事務局に実績報告を行います。実績報告には補助対象としたい経費の性質に応じてさまざまな書類が必要となるため、紛失したり受け取りを失念したりすることのないよう、必要書類をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
補助金が交付される
実績報告について確認がなされ、問題がないと判断されると、ようやく補助金の支給が確定し振り込まれます。つなぎ融資を受けていた場合には、金融機関との取り決めに従い早期に返済しておきましょう。
事業化状況報告をする
補助金の受給後も、その後3年から5年にわたる事業実施期間中は、定期的な事業化状況報告をしなければなりません。必要な報告をしないと、補助金の返還が求められる可能性もあるため、失念しないようご注意ください。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)で申請代行を活用するメリット
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請にあたって、専門家に申請サポートを依頼することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを4つ解説します。
- 手間や時間の削減につながる
- 採択の可能性を高めやすい
- 適切な申請枠を選定しやすくなる
- 公募期間内の申請に間に合わせやすくなる
手間や時間の削減につながる
メリットの1つ目は、手間や時間の削減につながることです。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)に自力で申請しようとすると、申請書類の作成のみならず、公募要領の読み込みや要件の確認、事業計画の練り込みなどをすべて自力で行う必要が生じます。これには多大な時間と労力を要し、本業に割くべきリソースを圧迫するおそれがあるでしょう。
専門家に申請サポートを依頼することで、自社でかける手間と時間を最小限に抑えられ、本業に注力しやすくなります。
採択の可能性を高めやすい
メリットの2つ目は、採択の可能性を高めやすくなることです。
専門家からコンサルティングを受けることで、事業計画のブラッシュアップが可能となります。また、不備のない申請書類の作成も可能となるでしょう。その結果、採択の可能性を高めることにつながります。
適切な申請枠を選定しやすくなる
メリットの3つ目は、適切な申請枠を選定しやすくなることです。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)には複数の申請枠が設けられており、自社がどの枠に申請すべきか判断に迷うこともあるでしょう。専門家のサポートを受けることで、自社に合った適切な申請枠を選定しやすくなります。
公募期間内の申請に間に合わせやすくなる
メリットの4つ目は、申請を公募期間に間に合わせやすくなることです。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)に自力で申請しようとした場合、本業などが多忙となった際に補助金に関する手続きを後回しにしてしまい、気付いたときには公募期間が過ぎていたなどの事態となりかねません。また、着手したものの手続きの煩雑さから頓挫し、申請を諦めてしまうこともあるでしょう。
専門家に申請サポートを依頼した場合には専門家が期限管理をしてくれるため、公募期間内の申請に間に合わせやすくなります。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請代行は誰に依頼すれば良い?
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請サポートは、誰に依頼すればよいのでしょうか?ここでは、依頼先の主な候補について解説します。
- 中小企業診断士
- 行政書士
- 税理士
- M&Aアドバイザー
- 民間のコンサルタント
中小企業診断士
1つ目は、中小企業診断士です。
中小企業診断士は、中小企業の経営診断や経営コンサルティングを専門とする国家資格です。事業計画の策定を得意としているため、事業計画の練り込みが必要となる補助金の依頼先として適任といえるでしょう。
行政書士
2つ目は、行政書士です。
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や権利関係の書類作成を専門とする国家資格です。要件に沿った正確な書類作成を得意としています。
ただし、コンサルティングや事業計画の策定は試験科目に入っておらず、これらの能力は事務所によってまちまちです。また、行政書士は業務の種類が多岐にわたるため、補助金業務をまったく行っていない事務所も少なくありません。
税理士
3つ目は、税理士です。
税理士は、言わずと知れた税金の専門家です。ただし、税金と事業計画は似て非なるものであり、補助金申請を行っていない税理士は少なくありません。また、補助金の申請サポートを行っている場合であっても、顧問先に限定してサポートするケースが多いでしょう。
M&Aアドバイザー
4つ目は、M&Aアドバイザーです。
M&Aを進める際は、アドバイザーからサポートを受けることも多いでしょう。M&Aアドバイザーが補助金申請まで行ってくれる場合もゼロではない一方で、「このような補助金がある」との紹介にとどまることも少なくありません。
民間のコンサルタント
5つ目は、民間のコンサルタント(国家資格を有していないコンサルタント)です。
民間コンサルタントの中には、非常に優秀な人もいます。その一方で、民間コンサルタントは玉石混淆となりやすく、悪質な業者が混じっている可能性も否定できません。
そのため、民間コンサルタントに補助金の申請サポートを依頼しようとする際は、信頼できる専門家であることを見極める目が必要となるでしょう。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の最新スケジュール
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)へは、2025年1月現在時点ですぐに申請することはできません。ただし、「令和6年度補正予算案」によって、2025年度も公募されることが決まっています。
申請をご希望の事業者様は今後の情報を待ちつつ、申請サポートを依頼したい専門家へお早めにご相談ください。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請代行はトライズコンサルティングにお任せください
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の申請サポートは、当社トライズコンサルティングにお任せください。最後に、トライズコンサルティングの主な特長を3つ紹介します。
- 補助金の申請サポートに力を入れている
- 代表は中小企業診断士である
- 全国対応である
補助金の申請サポートに力を入れている
トライズコンサルティングは補助金の申請サポートに力を入れており、サポートした案件について高い採択率を誇っています。これは、クライアント様が検討した内容を単に書類に落とし込むだけではなく、申請内容の検討や事業計画の練り込み段階からトップコンサルタントがサポートしてきた成果であると自負しています。最新情報にも常に目を配っているため、安心してお任せいただけます。
代表は中小企業診断士である
トライズコンサルティングの代表である野竿は、中小企業診断士です。また、野竿は中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関である「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」としても登録されています。そのため、確かな知識と実績に裏打ちされた的確なサポートが可能です。
全国対応である
トライズコンサルティングはZoomなどのオンラインツールを活用しているため、全国どこからでもご相談・ご依頼いただくことが可能です。また、打ち合わせのために場所を移動していただく必要がないほか、出張先などからも打ち合わせを進められるため、忙しい事業者様からもご好評をいただいています。
まとめ
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)の概要や申請枠ごとの補助上限額を紹介するとともに、申請の流れや申請にあたって申請サポートを活用するメリットなどを解説しました。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)とは、事業承継やM&A、PMI(M&A後の経営統合)などに要する費用について補助を受けられる制度です。これまで「事業承継・引継ぎ補助金」との名称で公募されてきたものの、2025年度からは「事業承継・M&A補助金」へと名称が変わることになりました。
事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)に自力で申請することは不可能ではないものの、無理に自社で行おうとすれば多大な時間と労力を要します。その結果、本業に割くべき貴重なリソースを圧迫する事態ともなりかねません。
そのため、申請にあたっては、専門家による申請サポートを活用するのがおすすめです。専門家にサポートを受けることで、自社で要する手間や時間を最小限に抑えられることが可能となります。また、専門家からコンサルティングを受けて申請内容をブラッシュアップすることで、採択の可能性を高めることにもつながるでしょう。
当社トライズコンサルティングは補助金のサポート実績が豊富であり、サポートした案件について高い採択率を誇っています。事業承継・引継ぎ補助金(事業承継・M&A補助金)への申請をご希望の事業者様や、自社がこの補助金を活用できるか知りたい事業者様は、トライズコンサルティングまでまずはお気軽にご相談ください。
補助金の活用に関するご相談は、初回無料です。また、Zoomなどのオンラインツールを活用するため、近隣の事業者様はもちろんのこと、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。