【2023】SNS運用に活用できる補助金は2種類!概要と注意点をわかりやすく解説

SNS運用の補助金

企業におけるWebマーケティングに今や欠かせないツールとなっているものがSNSです。SNSを起点に企業の取組みの認知度を高め、成果を出したという事例は数多くあり、そうした目的を持ってSNS運用を行っている中小企業様も多いでしょう。

今回はそんな方々に向けて、SNS運用に使える最適な補助金について解説します。この記事を読んでいただくことで、SNS運用を効果的に行うための補助金の活用について知ることができるでしょう。

中小企業のSNS運用

中小企業でも、1つや2つはSNSのアカウントを持っていて、自社商品や主催するイベントなどの情報を発信することが当たり前になっています。もしご自身が若手社員であるならば、担当者として運用業務を任されているかもしれません。

ここでは、中小企業とSNSの相性や運用に補助金を活用するメリット・デメリット、活用できる制度について解説します。

中小企業と相性の良いSNS

中小企業の宣伝広告の手法として、SNSは最適な媒体といえます。その理由としては、SNSの利用は基本的に無料である点が挙げられます。

もし、オウンドメディアのようなWebサイトを立ち上げれば、サイトの構築費などのイニシャルコストに加え、サーバーやドメインの使用料、サイトの改修費などのランニングコストも必要となります。また、大企業が展開するマス市場と異なり、中小企業では顧客一人ひとりとの密なコミュニケーションが大切であり、そうした意味でも双方向にやり取りできるSNSは最適です。

SNS運用に補助金を使うメリット

SNS運用を自社で行う場合、従業員が担当することが一般的ですが、多くは個人で利用する経験はあってもビジネスでの運用経験はないでしょう。そうした場合、プロの手を借りるのが一番ですが、費用が発生します。

補助金のような返済不要の資金を活用すれば、その負担を軽減し専門家によるサポートを受けることができます。

SNS運用に補助金を使うデメリット

補助金を利用するためには、取り組みについて経営計画を作成して申請する必要があります。また、取り組みが終了した後は、報告書を作成して提出しなければ補助金が支給されません。これら事務作業は慣れていなければ、大変手間がかかるものです。

また、補助金には申請期限、結果公表、事業期間などのスケジュールが定められています。そのため、取組む時期や期間については一定の制約を受けることになります。

SNS運用に使える主な補助金

中小企業がSNS運用に使える補助金として代表的なものは次の2つが考えられます。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金

これら以外でも、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」でも、メインで行う取り組みに付帯する宣伝広告等で活用できる可能性があります。

SNSに活用可能な補助金①:小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性の向上と持続的な発展を支援するため、経営計画に基づく地道な販路開拓の取り組みに要する経費の一部を補助する制度です。「販路開拓の取り組み」というのが、まさにSNS運用とマッチしており、活用することが可能です。

補助対象者

補助金の対象者は制度の名称のとおり、小規模事業者です。小規模事業者かどうかの判定は、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において、業種ごとに従業員数で判断されます。具体的には次のとおりです。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業 :常時使用する従業員の数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下

これらに該当する会社および会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人(弁護士・税理士等))や個人事業主のほか、一定の要件を満たした特定非営利活動法人も対象となります。

補助上限・補助率

2022年11月現在募集されている令和元年度補正予算・令和3年度補正予算分では、今後複数年にわたって小規模事業者が相次いで直面する働き方改革や賃上げ、インボイス制度の導入等の制度変更に対応するため、例年募集されている「通常枠」に5つの「特別枠」を含めた6類型が募集されています。それぞれの補助上限・補助率は次のとおりです。

補助上限補助率
通常枠50万円2/3
卒業枠200万円2/3
創業枠200万円2/3
賃金引上げ枠200万円2/3
後継者支援枠200万円2/3
インボイス枠100万円2/3

補助対象経費

補助金の対象経費となるものは次に掲げる11項目となり、これら以外の経費は対象外となります。補助金の金額は、対象経費の合計額に補助率を乗じた金額です。

  1. 機械装置等費:補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
  2. 広報費:パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費
  3. ウェブサイト関連費:販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修、開発、運用をするために要する経費
  4. 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む):新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費
  5. 旅費:補助事業計画に基づく販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
  6. 開発費:新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
  7. 資料購入費:補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費
  8. 雑役務費:補助事業計画に基づいた販路開拓を行うために必要な業務・事務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費
  9. 借料:補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
  10. 設備処分費:販路開拓の取り組みを行うための作業スペースを拡大する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費
  11. 委託・外注費:上記1から10に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限ります)

この中で、SNS運用に係る経費は「3. ウェブサイト関連費」に該当し、公募要領に「SNSに係る経費」と対象となる経費例が記載されています。

SNS運用への活用事例

小規模事業者持続化補助金では、SNSのタイムライン上に表示される広告の掲載が考えられます。その場合、広告掲載料に加え、表示する画像や動画の作成費用も対象経費となります。

SNSはそれぞれ利用するユーザー層の棲み分けがされており、少ない予算からでも年齢や性別、エリアなどを絞ったセグメント広告を出すことも可能であることから、SNSへの広告掲載はニッチ市場を狙う中小企業に最適な手法です。

申請には、なぜそのSNSを選定したのか、自社のターゲットが誰であるか、狙う層に対してどういったリアクションを期待しているのかなどを経営計画で明確に示す必要があります。

SNS運用に活用する際の注意点

小規模事業者持続化補助金活用は、小規模事業者であることが申請の要件ですが、「通常枠」以外の「特別枠」にはそれぞれ個別の要件が追加されています。

特に、「賃金引上げ枠」「卒業枠」「インボイス枠」においては、補助事業の終了時点で次の要件を満たすことが求められており、満たさない場合、補助金は交付されません。

  • 賃金引上げ枠:事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+30円以上であること
  • 卒業枠:常時使用する従業員の数が小規模事業者として定義する従業員数を超えていること
  • インボイス枠:2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であったまたは免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者であること

また、補助対象経費の「3. ウェブサイト関連費」は、補助金総額の1/4が上限とされています。交付される補助金額が50万円の場合、そのうちの12.5万円が「3. ウェブサイト関連費」として計上可能という点に注意ください。

SNSに活用可能な補助金②:IT導入補助金

小規模事業者持続化補助金ほど汎用的ではないものの、IT導入補助金もSNS運用に活用することができます。

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務の効率化や売上の向上のために行う自社の課題やニーズに即したITツールの導入を支援する制度です。2022年11月現在、単体で申請できるものとして令和元年度補正予算の「通常枠」と「セキュリティ対策推進枠」、令和3年度補正予算の「デジタル化基盤導入枠」が募集されています。

ここでは、SNS運用に活用可能な「通常枠」について説明します。

補助対象者

補助対象となる中小企業等の定義は次のとおりです。

業種分類定義
1製造業、建設業、運輸業資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人事業主
2卸売業資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人事業主
3サービス業 (ソフトウェア業または情報処理サービス業、旅館業を除く)資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人事業主
4小売業資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が50人以下の会社および個人事業主
5ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工場用ベルト製造業を除く)資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が900人以下の会社および個人事業主
6ソフトウェア業または情報処理サービス業資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人事業主
7旅館業資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が200人以下の会社および個人事業主
8その他の業種(上記以外)資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人事業主
9医療法人、社会福祉法人常時使用する従業員の数が300人以下の者
10学校法人常時使用する従業員の数が300人以下の者
11商工会・都道府県商工会連合会および商工会議所常時使用する従業員の数が100人以下の者
12中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体上記1〜8の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
13特別の法律によって設立された組合またはその連合会上記1〜8の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
14財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)上記1〜8の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者
15特定非営利活動法人上記1〜8の業種分類に基づき、その主たる業種に記載の従業員規模以下の者

なお、小規模事業者の定義については前述した小規模事業者持続化補助金と同様です。

補助額・補助率

「通常枠」は、さらに「A類型」「B類型」に分かれており、補助額と補助率はそれぞれ次のとおりです。

類型補助上限補助率
A類型30万〜150万円未満1/2以内
B類型150万〜450万円未満1/2以内

「A類型」と「B類型」では、導入するソフトウェアが保有する業務プロセスの数や賃上げ目標など申請の要件にいくつか違いがあります。

補助対象経費

IT導入補助金では、事務局に事前登録された「IT導入支援者」が提供するITツール導入に伴う次の経費が対象となります。

  • ソフトウェア費
  • クラウド利用料(1年分)
  • 導入関連費

導入するソフトウェアそのものの購入費用以外にも、関連するオプションや導入サポートや運用のコンサルティングなどの役務も対象になります。

SNS運用への活用事例

2022年11月現在、IT導入補助金2022のサイトに登録されているITツールのうち、SNS運用に活用できるものとして株式会社スマートシェアの提供する「OWNLY(オウンリー)」というサービスが挙げられます。各種SNSキャンペーンや口コミなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)を一元的に管理できるプラットフォームで、中小企業等の運営するSNSのフォロワーの獲得や販売促進を支援するツールです。

SNS運用に活用する際の注意点

IT導入補助金は、あくまでもITツールの導入とそれに伴う役務を対象としているため、SNS運用による広告宣伝は対象となりません。また、「通常枠」の申請には次の2点が要件となります。

  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」 または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと
  • 補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上およいこれらと同等以上の、数値目標を作成すること

これに加え、「B類型」では、賃上げ目標が必須となっている点に注意が必要です。

SNS運用に補助金を使う注意点

補助金にはいくつかの制約があり、それを知らずに取り組みを進めていくことは大変危険です。ここでは、補助金の活用で特に気をつけていただきたい点について解説します。

採否の審査がある

補助金には審査があり、申請したすべての企業がもらえるわけではありません。

直近では小規模事業者持続化補助金もIT導入補助金も概ね60%程度が採択されています。決して低い数値ではないですが、3社に1社は不採択となる計算です。

採否に最も影響するのは、補助金で行う取り組みを記載した事業計画です。自社をしっかりと分析し、解決すべき課題の設定、解決の手法、その効果と評価方法などをわかりやすく記載し、審査員が納得できる内容を作り込まなければ採択を受けることはできません。

全額支給ではない

「助成金」とは異なり、補助金にはそれぞれ補助率が設定され、全額支給されることはありません。多くの補助金では1/2〜3/4の間で補助率が決められ、残額は自己負担となっています。

全額支給としてしまうと、それほど考え込まれていない計画での申請も増えてしまい、折角の補助金を無駄にしてしまう可能性があるためです。補助金の財源は税金であるため、自己負担をしても本気で改善に取り組もうという企業に対して支給されます。

原則として後払いである

補助金が後払いということは、中小企業にとって頭の痛い問題です。事業計画に記載した取り組みやそれに関する経費の支払いを完了した後、実績報告を事務局に提出し、それが認められることで補助金は支給されます。

そのため、補助金が支給されるまでの間、自己資金で経費を立て替えておかなければなりません。運転資金に不足が出る場合には金融機関への融資も検討しなくてはならないため、事業計画とともにキャッシュフローも考えておく必要があります。

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まとめ

SNS運用を効果的に行うために使える補助金について解説しました。活用できればこれほどコストパフォーマンスの高いツールはなく、ぜひ貴社ビジネスの成長のために上手にSNS運用をしていただきたいと思います。

当社トライズコンサルティングでも、SNSの運用や補助金申請のサポートを行っております。お困りの際には、お気軽にご連絡ください。

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