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【2022】設備投資に使える補助金は?審査の加点項目や税制優遇制度を解説

設備投資の補助金

事業の生産性を向上させたり、新しい事業に取り組んだりする際には設備投資が必要な場合があります。しかし、スペックが高かったり、自社専用の設備を用意したりするとなるとかなりの高額になり、なかなか手が出しづらいことも事実です。

そんな企業の設備投資の助けとなるのが、国や自治体から支給される「補助金」です。

今回は、補助金を活用するメリット・デメリットや設備投資に使える補助金、補助金の採択率や設備投資の効果を高める手法について解説します。設備投資を検討されている企業様はぜひ参考にしていただき、補助金の申請にチャレンジしてみてください。

補助金を活用するメリット

まずは、設備投資に補助金を活用するメリットを説明します。補助金といえば「返済が不要」という点が目についてしまいがちですが、実はそれ以外にも実際に申請から受給まで実行してみないとわからないメリットがたくさんあります。

返済しなくて良い

補助金の最大のメリットは、返済が不要という点だといえます。特に、運転資金に不安のある企業においては非常に大きいメリットだと考えられます。

銀行などから借り入れを行う場合、数年をかけて捻出した利益の中から返済を行っていかなければならず、利息の支払いもあります。一方で、補助金は一部返済が必要な制度もあるものの、基本的には返済が不要です。

法人の場合は「営業外収入」として課税の対象にはなりますが、自己資金や借入と比較して、キャッシュフロー改善の効果が期待できます。

事業の拡大につながる

補助金は、要綱や事前に申請した計画の範囲での使用しか認められないものの、数百万円から、制度によっては数千万円になるような大きな資金を受給することができ、事業規模の大幅な拡大につながります。

また、補助金の採択を受けることで、銀行からの融資も受けやすくなる可能性もあります。資金繰りに余裕ができることで、人材を採用したりすることも考えられるようになるため、一足飛びでの事業レベルの向上が期待できます。

事業の信頼度が高まる

補助金を受給するためには、その補助金の実施主体に対して、設備投資を行って取り組む事業の計画書を申請し、審査を経て採択を受ける必要があります。

国などの自治体が実施している補助金の財源は税金等であり、申請すれば誰でも受給できるわけではありません。そのため、申請した計画書は、経営の専門家によりその実現性や収益性が厳しく審査され、ふるいにかけられることになります。

つまり、採択を受けたということは、そうした厳しい審査を潜り抜け、国等からお墨付きをもらった計画ということになり、企業や事業への対外的な信頼度の高まりにつながります。

補助金のデメリット

続いて、設備投資に補助金を活用するデメリットを解説します。返済不要で大きな金額を受給できる一方、補助金を受給する企業にはそれ相応の負担が課されます。デメリット面も理解し、補助金受給のメリットと天秤にかけ、申請するか検討しましょう。

申請に手間を要する

補助金を申請する際は、まずルールブックである要綱と、自社が取り組みを予定している事業のすり合わせを行います。そして、支出する経費が補助金の対象となるかを確認しなければなりません。

その後、申請期日までに事業計画書の作成や添付が義務付けられた書類等を準備し、必要に応じて認定支援機関や金融機関とも調整を行わなければなりません。特に、事業計画の作成については、慣れない事務作業で途中リタイヤしてしまう企業も珍しくなく、一定の手間や時間を要することは覚悟する必要があります。

必ず給付されるとは限らない

前述したように、補助金はその申請の後、国や自治体などの審査を経て、採否が決定されます。そのため、申請まで漕ぎ着けたにも関わらず、必ず一定数の企業様は不採択となり、補助金を受けることができません。

企業の目線で考えれば、補助金を受給できないばかりか、申請に充てた時間は無駄となり、事業展開のスピードは間違いなく減速してしまいます。

なお、あくまで補助金の審査に落ちたということであって、その事業計画自体がダメだったということではありません。事業計画を再度ブラッシュアップするか、自己資金・融資など別の方法でぜひ取り組んでみてください。

入金までのサイクルが長い

補助金は、原則として後払いです。概算で支給されるものも一部ありますが、一般的には計画に記載した事業に取り組み、その結果を検証後、補助金の実施主体に実績報告を行うことで、ようやく給付されます。

補助金に応じてマチマチなところはありますが、余裕を持って採択後1年を目安に資金繰りを考えておきましょう。

設備投資に使える主な補助金

続いては、設備投資に使える補助金を紹介します。補助金は主に経済産業省から募集されています。

その他にも、賃上げなど従業員の待遇改善につながる取り組みを行う場合などは厚生労働省、農業・林業に関する取り組みを行う場合などでは農林水産省、市区町村でも独自の制度などさまざまな機関で募集されていますので、ぜひ自社でも検索してみてください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は単に「ものづくり補助金」という略称で呼ばれることが多く、「革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援」される補助金です。

「ものづくり補助金」という略称から製造業だけを対象としたものと思われがちですが、小売業やサービス業など製造業以外の業種でも利用することは可能です。

申請する場合は、期間内において次の要件をクリアする事業計画を策定する必要があります。

  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金の+30円以上の水準にする

この他、補助金活用による設備投資の生産性向上効果や具体的なユーザー、マーケットなどを、エビデンスを持った数値で示す必要があり申請のハードルは高めです。その分、支給される補助金は高額になっており、取り組む価値のある補助金といえます。

令和3年度補正予算では、「通常枠」の他に「一般型」に「回復型賃上げ・雇用拡大枠」や「デジタル枠」「グリーン枠」が新たに設けられています。それぞれに対象となる取り組みや従業員数ごとに補助上限が異なっていますので、要綱等をよくご確認ください。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が取り組みやすい補助金です。

本来、販路開拓等に取組む経費の一部を給付する補助金ですが、 「販路開拓等の取り組みと併せて行う業務効率化(生産性向上)のための取り組み」も対象となり、設備投資も行うことが可能です。

名称のとおり、対象者は小規模事業者であり、従業員の数によって次のように規定されています。

  • 宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業においては5名以下
  • 製造業その他の業種で20名以下

申請に必要な事業計画の様式はA4用紙で5枚程度となっており、初めて挑戦するのにぴったりの補助金といえます。例年募集されている内容は補助率2/3、補助上限50万円となっていますが、過去には豪雨災害や新型コロナ感染拡大を受けて、補助率・補助上限金額が引き上げられた申請類型も募集されていました。

令和3年度補正予算でも、長引くコロナ禍や令和5年10月から導入が予定されている「インボイス制度」に対応する事業者への支援のため、補助率・補助上限金額が引き上げられた複数の申請類型の募集が予定されています。

なお、申請には認定支援機関の確認書が必要な場合もありますので、早めの相談をおすすめします。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業のITツールの導入による生産性の向上や管理事務の簡素化を支援する補助金です。事前に補助金の実施主体に認証を受けた「IT導入支援事業者」が登録したITツールの導入が対象となり、中小企業と「IT導入支援事業者」がパートナーとなって、ともに事業を進めていくことが要件となっています。

令和3年度補正予算では、過去にも募集されてきた「A類型」「B類型」の「通常枠」に加えて、「インボイス制度」等の企業間取引のデジタル化推進に向けて、新たに補助率を引き上げた「デジタル化基盤導入型」と「複数社連携IT導入類型」を含む「デジタル化基盤導入枠」が設けられます。

「デジタル化基盤導入枠」では、これまで対象外であったパソコン・タブレット、レジ・券売機などのハード機器の設備投資も補助対象とされる予定です。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援する」補助金です。

「新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換または事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援」を目的としており、申請要件は次のとおりです。

  • 売上が下がっている
  • 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む
  • 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

対象者は業種を問わず、中小企業から中堅企業までと幅広く、補助上限金額も1社最大1億円と今最も注目度の高い補助金です。また、機械装置やシステムなどの設備投資だけでなく、補助金では対象外となることの多い事務所や工場などの建物の建設も対象となっています。

令和3年度補正予算でも複数回の募集が予定されており、事業再生やグリーン分野での再構築を目指す企業を手厚く支援するなど時流に合わせた変更・追加が見込まれます。

補助金の加点項目

ここからは、補助金の採択率を上げるため、審査の加点項目となる取り組みについて解説していきます。戦略的に補助金を活用している企業では、これらにも計画的に取り組み、設備投資につなげています。

審査の加点に加え、低利融資や保証枠の拡大、税制特例などメリットもありますので、補助金と併せて取り組んでみてください。

経営革新計画の承認

「経営革新計画」は、中小事業者の「業績を上げたい」「現状の課題を解決したい」「新しい事業に挑戦したい」といった経営目標に対し、「道しるべ」となる計画です。次の5つの「新事業活動」に当てはまる取組みを行うことにより、「経営の相当程度の向上」を目指す計画を作成し、各都道府県の担当部局へ申請します。

  1. 新商品の開発又は生産
  2. 新役務の開発又は提供
  3. 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  4. 役務の新たな提供の方式の導入
  5. 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

なお、「新事業活動」とは個々の事業者にとって新たな事業活動であれば、既に他社で採用されている技術・方式でも、業種・地域における導入状況に鑑み、承認の対象になります。承認されれば、次の補助金の審査の加点になります。

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金

また、融資の際の信用保証の特例や日本政策金融公庫の特別利率の適用などの優遇措置、海外展開に伴う資金調達の支援措置などの支援を受けることもできます。

経営力向上計画の認定

「経営力向上計画」は、「人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画」で、 申請は事業分野ごとの主務大臣に対して行わなければならない点に注意しましょう。審査の加点となる補助金は次のとおりです。

  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金

認定を受けた企業には、補助金の加点に加え、税制・金融・法的の3つの支援措置が活用できるのも特徴です。申請様式はA4用紙3枚程度と手軽で、比較的取り組みやすい制度です。

なお、税制措置の対象となる「経営力向上設備等」は、原則として計画の認定後に設備投資する必要がありますが、例外的に設備投資後60日以内に計画が受理されれば対象とすることが可能です。

事業継続力強化計画の認定

「事業継続力強化計画」は、中小事業者が策定する防災・減災の事前対策に関する計画です。所謂BCP(Business Continuty Plan:事業継続計画)の簡易版であるといわれており、事業者にとって最も発生リスクの高い自然災害リスクを想定し、従業員や顧客の安全確保と事業復旧を目指す計画を作成し、経済産業大臣が認定します。

加点項目となる補助金は次のとおりです。

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

BCPが発生の可能性のあるあらゆる事象に備えるのに対して、発生する確率と発生した場合の自社への被害の大きさのバランスで最も影響のある自然災害リスクに備え、発生時の初動対応手順に重点を置き、スピード感を持って復旧を目指す計画である点が特徴です。

それゆえ、BCPと比較して内容はシンプルになり、計画書自体もA4用紙で4~5枚程度と簡易です。また、加点の他、日本政策金融公庫による低利融資や計画に記載された対象設備の特別償却適用などの支援を受けることができます。

設備投資の税制優遇

最後に、設備投資に係る税制優遇制度について解説します。

前述したように、補助金は「営業外収入」となり、課税の対象です。あくまでも納税を先送りとする制度ですが、上手に使うことで補助金をより効果的に活用することできます。補助金を利用して設備投資を行う際にはぜひ検討してみてください。

中小企業投資促進税制

「中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合」、次のいずれかの適用を認める制度です。

  • 取得価額の30%の特別償却
  • 7%の税額控除

対象は青色申告書を提出する一定規模以下の中小企業者等で、 税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限るとされています。なお、令和2年度末までの時限的適用でしたが、令和3年度の税制改正で令和4年度末(令和5年3月31日)まで2年間延長されています。

中小企業経営強化税制

「新品の機械及び装置などを取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合」、次のいずれかの適用を認める制度です。

  • 即時償却
  • 取得価額の10%の税額控除

対象は、青色申告書を提出する一定規模以下の中小企業者等で、前述した「経営力向上計画」の認定を受けていることが要件となります。

なお、対象となる「経営力向上設備等」の要件を満たすために、工業会等から証明書を発行してもらう必要があります。令和2年度末までの時限的適用でしたが、令和3年度の税制改正で令和4年度末(令和5年3月31日)まで2年間延長されています。

先端設備導入計画

「労働生産性を一定程度向上させるため、先端設備等を導入する計画を策定し、新たに導入する設備が所在する市区町村における『導入促進基本計画』等の同意を受けている場合」に次の支援措置を活用することができます。

  • 固定資産税が最大3年間ゼロ

すべての自治体においてゼロというわけでなく、ゼロ~1/2の間で各自治体の判断により条例で定められています。また、「経営力向上計画」と同様、「先端設備等」の要件を満たすために、工業会等の証明書の発行が必要です。

なお、令和2年度末までの時限的適用でしたが、令和3年度の税制改正で令和4年度末(令和5年3月31日)まで2年間延長されています。

まとめ

設備投資に補助金を活用する方法について解説しました。補助金の資金調達以外のメリットや申請前に検討しなくてはならないデメリットもご理解いただけたことでしょう。

また、国や自治体は企業が成長するために各種制度を整備しており、自社の発展のために活用しない手はありません。今回お伝えした内容を参考にして、ぜひ取り組んでみてください。

当社トライズコンサルティングでは、設備投資を検討しているクライアント様のご希望に沿った補助金の提案や事業計画の策定支援の他、補助金の採択率を高める「経営革新計画」や「経営力向上計画」の作成支援、設備投資の効果を高める税制優遇制度の活用などもサポートしています。

貴社の事業レベル底上げのため、ぜひ当社をご活用ください。お気軽にお問い合わせください。

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