【2023】広告に使える補助金は?補助金額・申請の流れをわかりやすく解説

広告に使える補助金

補助金とは、国や地方自治体から返済不要な資金を受け取れる制度です。しかし、受け取るためには申請のうえ採択される必要があるため、待っているだけでは受け取ることができません。

補助金は、その補助金ごとに、対象となる経費が異なっています。では、広告に使用できる補助金にはどのようなものがあるのでしょうか?

今回は、広告費に使用できる補助金制度についてくわしく解説します。ぜひ補助金を活用し、事業の成長スピードを速めましょう。

補助金とは

これまで補助金申請をしたことがない事業者様にとっては、補助金についてイメージが湧きづらいかもしれません。はじめに、補助金の基本について解説します。

補助金は国などからお金を受け取れる制度

補助金とは、国や地方公共団体などからまとまったお金を受け取ることができる制度です。融資ではありませんので、不正受給などでない限り、返還の必要はありません。

ただし、原則として申請者全員に給付されるわけではなく、多数の申請のなかから選ばれた事業者のみが受給の権利を得られます。この、多くの申請の中から選ばれることを「採択」と呼びます。

補助金は、その年度の政策によって設けられる制度です。そのため、非常に多くの種類が存在しますが制度の入れ替わりも激しく、昨年度には存在した補助金が今年度にはないというケースや、一度きりの公募であるケースなども珍しくありません。また、補助金の対象となる取り組みも、補助金ごとにさまざまです。

そのため、自社で行う取り組みに活用できそうな補助金を見つけたら、すぐに申請を検討することをおすすめします。「来年申請しよう」などと考えていると、来年にはその補助金自体がなくなっている可能性も低くないためです。

助成金との違い

補助金と似たものに、助成金が存在します。助成金も補助金と同じく、国などから返済不要な資金が受け取れる制度です。では、補助金と助成金とは、どのように異なるのでしょうか?

一般的には、次のように整理できるものが多いでしょう。

 補助金助成金
管轄経済産業省などさまざま厚生労働省など
募集時期一定期間のみ通年
補助対象さまざま雇用や人材育成など人事系のものが多い
要件を満たせば受け取れるか受け取れるとは限らない(採択が必要)受け取れる

ただし、実は「補助金」と「助成金」とに、厳密な区分があるわけではありません。そのため、この表でいえば「補助金」に該当しそうなものが「助成金」という名称になっているものなど、この分類に当てはまらないものも存在します。

そのため、この表はあくまでも参考として頂き、実際に活用を検討する際にはその制度の内容をよく確認したうえで申請すると良いでしょう。

【2022】広告に使える主な補助金

多くの事業者が、宣伝広告を行うことかと思います。宣伝広告とは、たとえばPRチラシの印刷や展示会への出展、新聞などへの広告出稿などです。

では、このような広告に使用できる補助金には、どのようなものがあるのでしょうか?主なものは次のとおりです。

小規模事業者持続化補助金

広告に使用できる補助金の代表格としては、小規模事業者持続化補助金が挙げられます。小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が取り組む販路開拓や生産性向上に要する経費の一部を補助してくれる補助金です。

さほど抜本的な改革などを求められないうえ対象経費の幅も広いため、非常に使い勝手の良い補助金であるといえるでしょう。小規模事業者持続化補助金については、後ほどくわしく解説します。

自治体独自の補助金

自治体によっては、広告活動に活用できる独自の補助金制度を設けている場合があります。

たとえば、愛知県が設けている「2022年度小規模事業者経営革新支援事業費補助金」では、愛知県内に本社や主たる事業所を有する一定の小規模事業者を対象に、最大100万円を補助する制度を設けています。

補助対象となる経費は、新たな商品の開発の他、新たな販売促進用PR(マスコミ媒体での広告やウェブサイトでの広告など)、商談会への出店などで、補助率は対象経費の3分の2です。

自治体(都道府県や市区町村)によってはこのような独自の補助金を設けている場合がありますので、事業を営む自治体の制度を確認しておくと良いでしょう。

広告に使える小規模事業者持続化補助金の公募枠と補助金額

宣伝広告に使用できる小規模事業者持続化補助金には、通常枠の他、5つの特別枠が設けられています。それぞれの枠の概要と補助上限額は、次のとおりです。

通常枠

小規模事業者持続化補助金のもっとも基本となる枠が、この通常枠です。要件を満たして申請し、採択されることで、最大50万円(補助率は3分の2)の補助金が交付されます。

賃金引上げ枠

賃金引上げ枠とは、補助事業実施期間に事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者に対して、補助上限額を200万円へ引き上げる特別枠です。

最低賃金の引き上げが行われた中、それに加えてさらなる賃上げを行い、従業員に成長の果実を分配する意欲的な小規模事業者に対し政策支援をするために設けられています。

補助率は原則として3分の2ですが、業績が赤字の事業者については補助率を4分の3へと引き上げるとともに、政策加点による優先採択が実施されます。

卒業枠

卒業枠とは、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超えて事業規模を拡大する事業者に対して、補助上限額を200万円(補助率は3分の2)へ引き上げる特別枠です。

さらなる事業規模拡大に意欲的な小規模事業者に対して、政策支援をする目的で設けられています。

後継者支援枠

後継者支援枠とは、「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者を対象に、補助上限額を200万円(補助率は3分の2)へ引き上げる特別枠です。

アトツギ甲子園とは、全国各地の中小企業や小規模事業者の後継者が新規事業アイデアを競うピッチイベントであり、中小企業庁が主催しています。

創業枠

創業枠とは、創業した事業者を重点的に政策支援するため、次の要件をいずれも満たす事業者に対して、補助上限額を200万円(補助率は3分の2)へ引き上げる特別枠です。

  1. 過去3か年の間に開業したこと
  2. 募締切時から起算して過去3か年の間に、認定連携創業支援等事業者が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けたこと

インボイス枠

インボイス枠とは、免税事業者が適格請求書発行事業者への転換に伴う事業環境変化に対応することに対して政策支援をするため、次の要件をいずれも満たす事業者に対して、補助上限額を100万円(補助率は3分の2)へ引き上げる特別枠です。

  1. 2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者または免税事業者であることが見込まれる事業者であること
  2. 適格請求書発行事業者に登録したこと

広告に使える小規模事業者持続化補助金の申請要件

小規模事業者持続化補助金の基本の申請要件は、次のとおりです。

小規模事業者であること

小規模事業者持続化補助金に申請するためには、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において小規模事業者に該当することが必要となります。

小規模事業者に該当するかどうかは常時使用する従業員の数により判定され、業種ごとにそれぞれ次のとおりです。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

また、個人事業者であっても法人(株式会社、合同会社など)であっても対象となりますが、次の者は対象となりません。

  • 医師、歯科医師、助産師
  • 系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)
  • 協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
  • 一般社団法人、公益社団法人
  • 一般財団法人、公益財団法人
  • 医療法人
  • 宗教法人
  • 学校法人
  • 農事組合法人
  • 社会福祉法人
  • 申請時点で開業していない創業予定者
  • 任意団体

資本金5億円以上である法人の100%子会社でないこと

その法人自体が小規模事業者に該当したとしても、100%親会社などが資本金5億円以上である場合には、補助対象とはなりません。

直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと

常時使用する従業員の数が少なかったとしても、直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えている場合には、補助対象となりません。

過去10ヶ月以内に一定の補助金を受けていないこと

受付締切日の前10ヶ月以内に次の補助金の採択を受けて補助対象事業を実施している場合には、補助対象となりません。

  • 令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金(一般型)
  • 令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)

なお、最近補助金の交付を受けていたとしても、その補助金がこれら以外のものであれば、申請要件を満たすということです。

広告費も対象!小規模事業者持続化補助金の補助対象経費

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる経費は、比較的広く設定されています。具体的には、次のとおりです。

機械装置等費

補助事業の遂行に必要な機械装置などの購入に要する経費です。

ただし、あくまでも補助事業に必要なもののみが対象となり、通常の事業活動のための設備投資の費用や、単なる取替え更新の機械装置の購入などは補助対象となりません。

また、税別単価50万円以上の機械装置等は「処分制限財産」に該当し、補助事業が終了して補助金の支払を受けた後であっても、一定の期間において処分や他の用途への転用などが制限されます。

その他、1件あたり税込100万円を超える機械装置等の購入をする場合には2社以上からの見積りが必須であるなどの要件が科されるため、あらかじめ対象となるかどうかをよく確認しておく必要があるでしょう。

広報費

パンフレットやポスター、チラシなどを作成したり広報媒体等を活用したりするために支払われる経費です。

ただし、補助事業計画にもとづく商品やサービスの広報を目的としたもののみが補助対象であり、単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象となりません。また、ウェブサイトに関連する経費は、次のウェブサイト広報費に計上します。

ウェブサイト関連費

販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用をするために要する経費です。たとえば、商品販売のためのウェブサイト作成費やSEO対策費、バナー広告の実施費用などがこれに該当します。

ただし、ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の4分の1が上限です。つまり、ウェブサイト関連費のみを対象として小規模事業者持続化補助金の申請をすることはできません。

展示会等出展費

新商品などを展示会に出展するための経費や、商談会に参加するために要する経費です。

オンラインによる展示会や商談会なども対象となります。

ただし、販売のみを目的とし、販路開拓につながらないものは補助対象とはなりません。

旅費

販路開拓などに必要となる旅費です。

ただし、補助事業計画に基づく販路開拓を行うための出張である旨を記載した出張報告の作成などにより、必要性が確認できるもののみが補助対象となります。

開発費

新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費です。

ただし、購入する原材料等の数量はサンプルとして使用する必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切ることが必要とされます。

資料購入費

補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費です。

ただし、取得単価が税込10万円未満のものに限られ、また購入する部数は1種類につき1部が限度とされます。

雑役務費

補助事業計画の実施に必要な業務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代や派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費です。

通常業務に従事させるための雇い入れは、補助対象となりません。

借料

補助事業の遂行に直接必要な機器などのリース料やレンタル料です。

ただし、事務所などに係る家賃は補助対象となりません。

設備処分費

販路開拓の取り組みを行うための作業スペースを拡大する等の目的で、事業者が所有する死蔵の設備機器等を廃棄したり、借りていた設備機器などを返却する際に原状回復をしたりするのに必要となる経費です。

ただし、設備処分費は補助対象経費総額の2分の1が上限とされ、これ以外の補助対象経費の合計額を超える額を計上することはできません。

委託・外注費

ここまでで挙げた他の経費に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託するための経費です。

ただし、デザイン会社がデザインを外注するなど自ら実行することができる業務は補助対象となりません。

広告費に使える小規模事業者持続化補助金申請の流れ

広告費に使える小規模事業者持続化補助金の申請から補助金受給までの流れは、次のとおりです。

特に、補助金が受け取れるタイミングについては誤解も少なくありませんので、申請前に正しく理解しておきましょう。

申請書類を作成する

はじめに、申請書類を作成します。小規模事業者持続化補助金の申請書類は、公募要領をよく確認し、公募要領の内容を踏まえて作成しましょう。

専門家に依頼して、申請書類の作成を代行してもらうことも可能です。

申請する

申請書類が作成できたら、申請受付期間内に申請をします。

小規模事業者持続化補助金を申請する方法は、電子申請もしくは郵送申請です。事務局窓口へ持ち込んでの申請はできないことには注意してください。

電子申請は、補助金申請システム(Jグランツ)を利用して行います。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要となりますので、あらかじめIDを取得しておくと良いでしょう。

GビズIDプライムアカウントとは、1つのIDとパスワードでさまざまな法人向け行政サービスにログインできるサービスです。また、郵送申請先は商工会議所地区と商工会地区とで異なっており、それぞれ次のとおりです。

  • 商工会議所地区:全国一律の「商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局」
  • 商工会地区:都道府県ごとの「県商工会連合会 地方事務局」

いずれも、必ず申請受付期間内に申請しましょう。

採択・不採択が決定される

公募期間の満了後、採択か不採択かが決定されます。いずれであっても事務局から通知がなされますので、通知を見落とさないよう注意しておきましょう。

補助対象事業を実施する

採択後、補助対象とした事業(補助対象とした経費の支出)を実施します。なお、この時点ではまだ補助金は交付されていませんので、金融機関からの一時的な借り入れか、自己資金などを使って事業を実施することが必要です。

実施状況を報告する

補助対象事業の実施後、補助事業実施期間中に実際に使用し、補助事業計画に記載した取り組みをしたという実施報告を行います。

なお、実施報告には、領収証などの証拠書類が必要です。採択がされたら実施報告に必要な書類や経費支出の要件を改めて確認し、実施報告に備えておきましょう。

補助金が交付される

実施報告に問題がないと判断されれば、ようやく補助金の交付が受けられます。一時的な融資を受けていた場合には、金融機関との取り決めに従い、すみやかに返済しておきましょう。

広告に使える小規模事業者持続化補助金の最新スケジュール

広告に使える小規模事業者持続化補助金は、2022年11月末現在、第10回申請の受付中です。また、年度内にあと1回の公募が予定されています。

公募スケジュールは、それぞれ次のとおりです。

  • 第10回公募:申請受付締切: 2022年12月9日(金)( 事業支援計画発行の受付締切:2022年12月2日(金))
  • 第11回公募:2023年2月下旬予定( 事業支援計画書発行の受付締切:2023年2月中旬予定)

ここから第10回公募に間に合わせることは困難ですので、第11回公募に向けて準備を進めておくと良いでしょう。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は補助金額こそさほど多額ではないものの、広告などに使用できる、非常に使い勝手の良い補助金です。補助金で広告費にかかる費用の補填を受け、さらなる事業成長を目指すことをおすすめします。

しかし、忙しい事業者様が補助金の交付申請をする時間を捻出することは、容易ではないでしょう。そのような際には、補助金の申請代行のご利用がおすすめです。

中小企業診断士の代表・野竿が経営するトライズコンサルティングでは、小規模事業者持続化補助金などの補助金について申請サポートを行っております。広告に使える補助金申請をご検討の際には、当社トライズコンサルティングまでお気軽にお問い合わせください。

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