2022年も、事業再構築補助金は引き続き公募がされています。では、2022年における事業再構築補助金のスケジュールは、どのようになっているのでしょうか?
今回は、事業再構築補助金の公募スケジュールを解説するとともに、2022年における事業再構築補助金の概要や申請までの流れや申請時の注意点などについて、詳しく解説します。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、新型コロナ禍で売上が減少した企業の事業再構築を支援することを目的とした補助金です。要件を満たした事業者が事業の再構築を行うにあたって、必要な経費の補助を受けることができます。
新型コロナ禍で新たに誕生した新しい大型の補助金ですので、要件を満たす場合には、ぜひ申請を検討すると良いでしょう。
事業再構築補助金の5種類の枠の概要と補助金額
事業再構築補助金には、1つの通常枠と4つの特別枠が存在します。それぞれの枠の概要と補助金額や補助率は、それぞれ次のとおりです。
通常枠
通常枠は、事業再構築補助金のもっとも基本となる枠です。すべての枠の中でもっとも応募件数が多く、単に「事業再構築補助金」をいった場合にはこの枠を指していることが多いでしょう。
通常枠の補助金額は従業員数によって異なっており、補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
20人以下 | 100~2,000万円 | ・中小企業 :2/3(6,000万円超は1/2) ・中堅企業: 1/2(4,000万円超は1/3) |
21人~50人 | 100~4,000万円 | |
51人~100人 | 100~6,000万円 | |
101人以上 | 100~8,000万円 |
大規模賃金引上枠
大規模賃金引上枠とは多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。
従業員数101名以上の企業のみが対象となっており、補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
101人以上 | 8,000万円超~1億円 | ・中小企業:2/3(6,000万円超は1/2) ・中堅企業:1/2(4,000万円超は1/3) |
回復・再生応援枠
回復・再生応援枠とは、新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。
回復・再生応援枠の補助金額は従業員数によって異なっており、補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | ・中小企業:3/4 ・中堅企業:2/3 |
6人~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
最低賃金枠
最低賃金枠とは、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。
最低賃金枠の補助金額は従業員数によって異なっており、補助金額と補助率は、それぞれ次のとおりです。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
5人以下 | 100万円~500万円 | ・中小企業:3/4 ・中堅企業:2/3 |
6人~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
グリーン成長枠
グリーン成長枠とは、研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野(※)の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援する特別枠です。
補助金額と補助率は企業規模によって異なっており、それぞれ次のとおりです。
分類 | 補助金額 | 補助率 |
中小企業 | 100万円~1億円 | 1/2 |
中堅企業 | 100万円~1.5億円 | 1/3 |
※2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(経済産業省)
事業再構築補助金の申請必須要件
事業再構築補助金を申請するには、申請必須要件を満たさなければなりません。
この要件を満たさないまま申請をしても採択されることはありません。門前払いを受けてしまうことのないよう、事前に要件をよく確認しておきましょう。
売上が減っていること
事業再構築補助金を申請するには、新型コロナ禍で売上が減少していなければなりません。具体的には、次のいずれかを満たすことで、この要件をクリアしていると判断されます。
- 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の4ヶ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヶ月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること
事業再構築に取り組むこと
事業再構築補助金を申請するには、事業再構築に取り組まなければなりません。そもそも事業再構築補助金は、事業再構築に必要な経費の一部を補填するものであるためです。
そのため、単にこれまで行ってきた事業を拡大するなどのみでは、事業再構築補助金の申請要件を満たすことができません。
事業再構築補助金における「事業再構築」には、次のものが該当します。
- 新分野展開:産業分類上の「主たる業種」も産業分類上の「主たる事業」も変更することなく、新たな製品を製造しまたは新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出すること。
- 業態転換:製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更すること。
- 事業転換:新たな製品を製造しまたは新たな商品若しくはサービスを提供することにより、産業分類上の「主たる業種」を変更することなく、産業分類上の「主たる事業」を変更すること。
- 業種転換:新たな製品を製造しまたは新たな商品若しくはサービスを提供することにより、産業分類上の「主たる業種」を変更すること。
- 事業再編:会社法上の組織再編行為を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行うこと。
行おうとしている取り組みがこれらに該当するのかどうかの判断は、難しい場合も少なくありません。判断に迷う場合には、補助金申請サポートを行っている専門家か、補助金事務局へ相談すると良いでしょう。
認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定すること
事業再構築補助金を申請するには、認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定しなければなりません。
経営革新等支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。税理士や税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などが、この認定を受けていることが多いでしょう。
なお、補助金額が3,000万円を超える案件では、必ず金融機関も参加をしたうえで事業計画を策定しなければならないとされています。
ただし、そもそも金融機関が認定経営革新等支援機関である場合には、その金融機関のみで構いません。策定する事業計画はどのようなものでも良いわけではなく、補助事業終了後3年から5年で、次のいずれかの達成を見込むものである必要があります。
- 付加価値額の年率平均3.0%以上増加
- 従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加
なお、ここでいう「付加価値額」とは、営業利益と人件費、減価償却費を合計したもののことを指します。
2022年の事業再構築補助金の公募スケジュール
2022年6月現在で公表されている事業再構築補助金の公募スケジュールは、次のとおりです。
- 公募開始:令和4年(2022年)3月28日(月)
- 申請受付:令和4年(2022年)5月下旬~6月上旬
- 応募締切:令和4年(2022年)6月30日(木)18:00
今後の予定までは公表されていませんが、この後も2022年度中に複数回の公募がされる可能性が高いでしょう。
公募スケジュールは事業再構築補助金の公式サイトで順次公表される他、情報が出たら当サイトで随時案内していきます。次回以降の申請を検討している場合には、ぜひ定期的に最新情報をチェックしておくことをおすすめします。
事業再構築補助金公募から補助金振込みまでのスケジュール・流れ
事業再構築補助金の申請書類作成から補助金が振り込まれるまでのスケジュールと流れは、おおむね次のとおりです。
事業再構築補助金の申請書類を作成する
はじめに、事業再構築補助金の申請に必要な書類を準備します。事業再構築補助金の申請書類は自分で作成することもできますが、専門家へ依頼して作成してもらうことも可能です。
専門家へサポートを依頼することで自社がかける手間や時間を削減することができる他、採択の可能性を上げることへとつながります。なぜなら、専門家は一般的に事業再構築補助金の趣旨や審査ポイントなどを熟知しているため、これらを踏まえて申請書類の作成をしてくれるためです。
GビズIDを取得する
事業再構築補助金は郵送や事務局への持ち込みでは申請ができず、電子申請をする必要があります。この電子申請をするに際しては、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。そのため、申請の前にGビズIDプライムアカウントを取得しておきましょう。
GビズIDとは、1つのIDとパスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスで、デジタル庁が所轄しています。
事業再構築補助金を申請する
申請書類とGビズIDプライムアカウントの準備ができたら、事業再構築補助金の申請をします。専門家へサポートを依頼した場合には、専門家が代わりに申請してくれることが多いでしょう。
採択か不採択かが決定される
事業再構築補助金の公募期間の満了後、採択か不採択かが決定されます。補助金事務局からの通知を見落とさないよう、注意しておきましょう。
補助事業を実施する
事業再構築補助金は、採択がされたからといってすぐに補助金が受け取れるわけではありません。先に、申請をした補助事業を実施する必要があります。
つまり、補助事業を実施する際には、まだ補助金は入金されていないということです。そのため、補助事業の実施にかかる費用は、自己資金でまかなう他、金融機関からのつなぎ融資など別の方法で準備しなければなりません。ここは誤解が多いため、注意してください。
実施した補助事業について報告をする
申請した補助事業を実施したら、所定の様式にて事業の実施報告を行います。実施報告には補助対象経費の領収証や請求書など証拠書類の添付が求められますので、紛失したりそもそも発行を省略したりすることのないよう注意しましょう。
補助金が振り込まれる
実施報告に問題がないと判断されて、ようやく補助金が振り込まれます。
事業再構築補助金を申請する際の注意点
事業再構築補助金を申請する際には、次の点に注意しましょう。
必ずしも採択されるとは限らない
事業再構築補助金の採択率はおおむね45%前後で推移しており、決して高いものではありません。そのため、申請をしても採択されない可能性があることをよく理解したうえで申請しましょう。
補助金ありきで事業計画を練ってしまうと、いざ不採択となった際に事業が立ち行かなくなってしまうリスクがあります。
補助金は事業実施後の後払い
先ほども解説したように、事業再構築補助金は、事業実施後の後払いです。そのため、事業を実施するために必要な資金は、自己資金やつなぎ融資など、一時的に別の方法で準備しなければなりません。
この点は誤解の多いところですので、注意してください。
事業の実施報告にも相応の手間がかかる
事業再構築補助金の申請までには、相当の手間がかかります。
しかし、採択がされたらそこがゴールというわけではありません。その後、事業を実施した後の報告にも、それなりに手間がかかります。
特に書類の作成や整理が苦手な人にとっては、この実施報告を自分で行うことが補助金受け取りのハードルとなる場合がありますので、ここまでを含めて専門家へ依頼することも検討しておくと良いでしょう。
申請はオンラインのみ
申請事業再構築補助金の申請方法は、オンラインのみとされています。公募期限直前になってから慌ててしまうことのないよう、申請方法についてもあらかじめ確認しておきましょう。
また、事業再構築補助金の申請をすると決めた時点で、できるだけ早くGビズIDプライムアカウントの取得は済ませておくことをおすすめします。
虚偽申請は絶対に行わないこと
補助金の虚偽申請は、犯罪です。2022年6月頃、持続化給付金の虚偽申請で多くの逮捕者が出たことを記憶している人も多いのではないでしょうか?
事業再構築補助金の申請には、売上減少などの要件が定められています。この要件を満たさないからといって、決算書などを偽造することは絶対に行わないでください。
また、偽造をそそのかすような悪質な代行業者には、近づかないようにしましょう。偽造が発覚すれば、補助金の返還のみでは足らず、逮捕されてしまう可能性があります。仮にそのような事態になったとしても、そそのかした業者が守ってくれるわけではありません。
まとめ
事業再構築補助金は、年に数回の公募がされることが通例です。次回の公募開始に備え、あらかじめ準備を進めておくと良いでしょう。
事業再構築補助金の最新スケジュールは事業再構築補助金の公式サイトで公表される他、情報が入り次第、当社サイトでも随時ご案内していきます。
事業再構築補助金の申請をご検討の際には、ぜひトライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。トライズコンサルティングでは中小企業診断士が代表を務めており、事業再構築補助金の申請代行を数多く手掛けております。