【2024】事業再構築補助金の2つの不採択理由と再申請ですべきことをわかりやすく解説

事業再構築補助金の不採択理由

事業再構築補助金に不採択になり、再申請を検討している方にお伺いします。不採択になった理由を理解しているでしょうか?

補助金の申請では一般的に不採択理由が公表されることはなく、申請書類をどのように修正すれば採択されるかは教えてもらえません。しかし、不採択理由を正確に把握していなければ改善の方法はわからず、不採択を繰り返してしまうことでしょう。

今回は、事業再構築補助金の不採択理由と再申請に向けた取り組みについて解説します。この記事を読むことで事業再構築補助金の不採択後にやるべきことが明確になり、採択に近づくことができるでしょう。

事業再構築補助金の採択率

まずは、事業再構築補助金の最新の採択状況を確認しましょう。2023年(令和5年)4月6日に公表された第8回公募の結果は次表のとおりです。

件数(単位:件数)通常枠大規模賃金引上枠回復・再生応援枠最低賃金枠グリーン成長枠緊急対策枠
①システムで受け付けた件数(応募件数)7,26181,5221654343,201
②採択件数3,56248791171731,721

システム上で受け付けられた応募件数12,591件のうち、6,456件が採択され、全体の採択率は51.2%となりました。申請類型別で見ると、一般的な「通常枠」が49.0%となっており、最も高い採択率が「最低賃金枠」の70.9%、最も低い採択率が「グリーン成長枠」の39.8%でした。

業種別の応募・採択割合

日本標準産業分類ごとの応募・採択割合は次表のとおりです。

日本標準産業分類応募割合採択割合
D建設業13.1%13.0%
E製造業19.6%25.5%
G情報通信業3.5%3.2%
H運輸業、郵便業1.4%1.6%
I卸売業、小売業15.9%15.3%
K不動産業、物品賃貸業4.3%3.4%
L学術研究、専門・技術サービス業6.3%5.8%
M宿泊業、飲食サービス業14.7%15.1%
N生活関連サービス業、娯楽業7.7%6.2%
O教育、学習支援業1.6%1.3%
P医療、福祉3.8%2.5%
Rサービス業(他に分類されないもの)6.0%5.4%
その他2.1%1.7%

特に「E製造業」、「I卸売、小売業」、「M宿泊業、飲食サービス業」の順で多くなっています。この傾向は第1回公募からとほぼ同様ですが、3業種合わせた割合は減少しており、その分「D建設業」の割合が高まっています。その他の業種について幅広い業種で応募・採択されているのは過去の採択結果と同じ傾向です。

都道府県別の応募・採択状況

各都道府県別に応募件数を見ると、単純な件数ベースでは「東京」が1,991件、「大阪」が1,448件、「愛知」が941件、「兵庫」が633件の順になっています。所謂、都市部や指定都市があるなど人口や事業者数が集中しやすい都道府県からの申請が多いことがわかります。

「平成28年経済センサス」に基づく都道府県毎の中小企業数に占める応募者数の比率は、「滋賀」「京都」「大阪」「奈良」などの関西周辺や「東京」「沖縄」が0.6〜0.5%前後と高くなっています。

一方、採択件数を見ると、「新潟」が64.9%、「鳥取」が64.5%、「茨城」が61.2%、「岐阜」が61.0%の順で採択率が高くなっています。

応募金額・採択金額の分布

応募金額・採択金額の分布を1,500万円単位で分析した結果は次表のとおりです。

補助金額応募金額採択金額
100〜1,500万円46.85%42.07
1,501〜3,000万円38.40%39.82
3,001〜4,500万円7.83%10.10
4,501〜6,000万円3.39%4.23
6001万円〜3.53%3.77

いずれも「100〜1,500万円」の割合が最も高く、45%前後を占めています。次いで、「1,501〜3,000万円」が40%弱となっています。また、応募金額の件数を2,000万円単位で分析した結果は次表のとおりです。

補助金額応募件数
〜2,000万円10,054
2,001〜4,000万円1,621
4,001〜6,000万円472
6,001〜8,000万円234
8,001万円〜1億円204
1億円〜6

「〜2,000万円」までの金額で応募された案件が全体の80%以上を占めており、それ以上の案件は金額が高くなるごとに件数が減少しながら、最も応募件数の多かった「通常枠」の補助上限4,000万円・6,000万円・8,000万円や「グリーン成長枠」の補助上限1億円で高くなっています。

認定支援機関別の応募・採択状況

認定支援機関別の応募・採択件数及び採択率は次表のとおりです。

認定支援機関応募件数採択件数採択率
金融機関4,0742,38458.5%
税理士・税理士法人2,17189641.2%
公認会計士33515746.8%
商工会・商工会議所1,33563747.7%
中小企業診断士1,16462954.0%
行政書士1556743.2%
民間コンサルティング会社2,7731,39950.4%
その他57328349.3%

認定支援機関別の応募状況を分析すると、「金融機関」が約4,000件と最も多く、「税理士・税理士法人」が約2,200件、「商工会・商工会議所」が約1,300件という順になっています。事業者が日頃から接している身近な相手から支援を受け、申請しているパターンが多いという印象です。

一方、採択状況では、「金融機関」が58.5%と最も高くなっているのは同様ですが、「中小企業診断士」が54.0%、「民間コンサルティング会社」が50.4%と続いています。

事業再構築補助金の不採択理由

事業再構築補助金の不採択理由は、基本的に2パターンに大別されます。ここでは、それぞれの理由について解説します。

  • 書類に不備がある
  • 事業計画が公募要領に沿っていない

書類に不備がある

不採択理由の一つ目は、書類の不足や誤りなどの不備です。特に、事業再構築補助金の公募回数が浅いうちは、書類不備等により多くの事業者が申請書類の中身を審査されることなく、不採択となっていました。

その件数のあまりの多さから、第3回公募までの採択結果公表時には、「システムで受け付けた件数(応募件数)」の「うち、書類不備等がなく、申請要件を満たした件数(申請件数)」も報告されていたほどです。

なお、応募件数のうち、第1回公募では13.4%、第2回公募では11.8%、第3回公募では8.8%が書類不備とされています。事務局から公表されている要件を満たさなかった申請の事例は次のとおりです。

  1. 売上減少要件に必要な月別売上高を証明する書類が添付されていない。売上減少として選択された年月とは異なる年月の書類が添付されている。
  2. 「認定経営革新等支援機関による確認書」に記載された法人名等が申請者と異なる。認定経営革新等支援機関ではなく、申請者名で確認書が作成されている。
  3. 経済産業省ミラサポplusからの「事業財務情報」が添付されていない。
  4. 添付された書類にパスワードがかかっている、ファイルが破損している。

なお、2023年6月現在では、事務局からの再三のアナウンスの甲斐もあり、書類不備による不採択は減少しているようです。このような事態にならないよう、公募要領や事務局の公表している注意喚起の資料を読み込み、貴社が申請する事業類型等に必要な書類をよく確認しておきましょう。

事業計画が公募要領に沿っていない

二つ目の不採択理由は、事業計画に問題がある、または内容が不十分である場合です。

事業再構築補助金の計画書には1ページ目こそ記載すべき内容が指定されていますが、定まったフォーマットはありません。公募要領で記載するよう指定された項目を、申請者が独自の工夫を凝らして作成するように指示されているのみです。

そのため、取り組む事業自体がそもそも不適切であったり、指示された項目の記載がないまたは不十分、各要件を満たしているものの計画書自体が読みにくく、審査員に有効性が伝わっていないなどの理由で不採択になっている場合があります。

事業再構築補助金が不採択だった場合はどうすれば良い?

せっかく苦心して書類を作成して申請した結果、不採択であった場合の事業者の落胆は計り知れません。ここでは、不採択通知の受け止め方、考え方について解説します。

  • 何回でも申請することができる
  • 事業内容が否定されたわけではない
  • よりブラッシュアップされた計画にすれば良い

何回でも申請することができる

一度不採択になったとしても、事業再構築補助金は何度も再チャレンジすることが可能です。そのため、不採択通知後に考えるべきは再申請への準備です。

特にビジネスは時間との勝負になるため、補助事業が本当に取り組みたいものであるのならば、何度でも挑戦する気概が大切です。

なお、これまでは一度採択された場合、再度申請することはできませんでしたが、第10回公募からは、「グリーン成長枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」の3事業類型で最大2回まで申請が可能になっています。

事業内容が否定されたわけではない

事業再構築補助金で不採択を受けたからといって、貴社が作成した事業計画の実効性が否定されたわけではありません。

補助金という形式上、審査員による審査があり、担当した審査員の経験や好み、業種・業界への理解度でも採否が変わってきます。また、文章を書くのが苦手な申請者であった場合、取り組みは素晴らしいもののうまく相手に伝わるように書けていないという可能性もあるでしょう。

あくまでも事業再構築補助金という制度の枠組みで審査に落ち、補助金が支給されないという判断をされただけであることを理解しましょう。

よりブラッシュアップされた計画にすれば良い

事業再構築補助金で不採択を受けたことは、逆に良いチャンスという考え方もあります。なぜなら、練り込みが足りなかった事業計画をさらにブラッシュアップする必要に迫られ、より自社や自社を取り巻く環境を理解する機会になるからです。

そうして改善された計画書は、事業再構築補助金の申請だけではなく、自社の経営戦略を方向付ける羅針盤や取引先・金融機関などのステークホルダーへ提供する資料として意味のあるものとなり、貴社の信用度の向上にも一役買うでしょう。

事業再構築補助金の不採択後にやるべきこと

続いて、事業再構築補助金が不採択だった場合にやるべきことについて解説します。次回の応募締切までの時間との勝負になるため、通知後すぐに取り掛かるようにしましょう。

  • 不採択理由を問い合わせる
  • 事業計画を修正する
  • 加点項目に申請する
  • 専門家へサポートを依頼する

不採択理由を問い合わせる

事業再構築補助金の不採択後に最優先でやるべきことは、事務局への不採択理由の確認です。

一般的に補助金の事務局が不採択理由を公表することはありませんが、事業再構築補助金では、口頭でのみではありますが不採択理由や評価されている点など審査員のコメントを聞くことができます。これは第4回公募の採択結果の公表以降から取り入れられた制度で、不採択となった事業者が活用しない手はありません。

事務局への問い合わせは、会社の代表者または担当者でないと受け付けられておらず、コンサルタントなどが代わりに確認することはできません。電話をかける前に、メモやパソコンを用意しておき、しっかりと記録できる用意をしておきましょう。

なお、確認には会社名のほか、申請時に付与された「R」から始まる受付番号が必要になります。

事業計画を修正する

事務局に不採択理由を確認したら、事業計画の修正を行いましょう。事務局から確認した審査員のコメントをもとに不足している内容を追記していきます。

その際、審査員のコメントを貴社の事業計画にフィットする形で噛み砕いて理解することが大切です。事務局から確認できる審査員のコメントはフォーマットに沿った指摘となっており、ある程度幅を持たせた内容になっているからです。そのため、審査員が貴社の事業計画に対して何が足りないと感じているのかをよく考えて修正をしていく必要があります。

加点項目に申請する

加点項目の要件を満たすことができないのかも検討しましょう。加点項目とは、公募要領に記載された、満たすことで審査の評価が高くなる項目です。主だった加点項目は次のとおりです。

  • 大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点
  • 最低賃金枠申請事業者に対する加点
  • 経済産業省が行うEBPMの取り組みへの協力に対する加点
  • パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
  • 事業再生を行う者に対する加点
  • 特定事業者であり、中小企業者等でない者に対する加点
  • サプライチェーン加点
  • 健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点
  • 大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点
  • ワーク・ライフ・バランス等の取り組みに対する加点

これらの項目のうち、再申請の締切までに満たせるものに申請しておくことで採択可能性を上げることができます。なお、反対に減点項目もありますので、そちらも公募要領で確認しておきましょう。

専門家へサポートを依頼する

外部の専門家へのサポートを依頼することも有効な手段です。主に金融機関、中小企業診断士などの士業、民間コンサルティング会社へ依頼することが多くなることでしょう。

これらの専門家は補助金申請の経験が豊富であり、採択されるコツも把握しています。また、外部の人間に見てもらうことで、内部の人間では気づかないような修正点・改善点の発見につながり、事業計画の大幅なブラッシュアップになるでしょう。

一定の費用がかかることはネックですが、効率化のための必要経費と割り切り、サポートを依頼してみてはいかがでしょうか?

事業再構築補助金の事業計画のポイント

事業再構築補助金の採否に最も影響を与える要因は事業計画です。ここでは、再申請で採択されるために押さえておくべきポイントを解説します。

  • 補助対象事業としての適格性を有するか
  • 審査項目が網羅されているか
  • 読みやすい計画書となっているか

補助対象事業としての適格性を有するか

まず、そもそもの事業計画自体が補助事業として適格性を欠いている可能性があります。その場合、小手先の修正を行っても採択される可能性は低いでしょう。

事業再構築補助金は、次のいずれかの「事業再構築指針」に沿った、思い切った事業の再構築を対象としています。

  • 新市場進出(新分野展開、業態転換)
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 事業再編
  • 国内回帰

そのため、製品や市場が既存事業とあまり差異のない取り組みの場合、対象外となってしまいます。事業計画を根本から変更するか、他の補助金への申請を検討するという判断も必要になるかもしれません。

審査項目が網羅されているか

事務局が公募要領で明示している審査項目がちゃんと網羅されているか見直しましょう。各事業類型に共通した審査項目として、次の3つが挙げられます。

  • 事業化点
  • 再構築点
  • 政策点

それぞれの概略は次のとおりです。

事業化点

  1. ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か
  2. 競合他社の状況を把握し、自社の優位性が確保できる計画となっているか
  3. 中長期での補助事業の課題を検証できているか
  4. 体制や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか

再構築点

  1. SWOT分析をした上で、事業再構築の必要性が認識されているか
  2. 事業再構築指針に沿った取り組みであるか
  3. 補助事業として費用対効果が高いか
  4. 地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か
  5. 感染症等の危機に強い事業になっているか

政策点

  1. 今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図る
  2. 経済社会にとって特に重要な技術を活用する
  3. ニッチな分野において、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有している
  4. 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼす

根拠を持ってこれらのことをきちんと説明できているか見直し、不足している箇所は追記していきましょう。また、事業類型ごとに設定された審査項目もあるため、必要な項目は押さえておく必要があります。

読みやすい計画書となっているか

事業計画の中身も重要ですが、それが読みやすく記載されていることも大切です。

事業再構築補助金の審査員は、貴社以外の会社の計画書にも目を通さなくてはならない上、貴社や貴社の業界について十分な知見を有していない可能性もあります。その上、計画書が読みにくければ、審査員の理解を得ることはできません。

計画書を読みやすくするためには、文章に論理性を持たせることが重要です。補助事業を取り組むに至った経緯や取得する資産の必要性について情報を過不足なく記載しましょう。

その際、文字だけで記載するのではなく、適時図表やフレームワーク等で整理することで読みやすい計画書とすることができるでしょう。

事業再構築補助金の再申請はトライズコンサルティングにお任せください

トライズコンサルティングには、業界に精通したトップコンサルが在籍し、事業再構築補助金の採択を目指す事業者からのご相談をお待ちしています。

当社の補助金申請サポートは、徹底したヒアリングから始まり、財務情報等の分析を経て、実現性の高い事業計画のご提案を行っています。

事業再構築補助金の実績は、採択率86.9%(2023年5月現在)と高水準を誇ります。遠方の方には「Zoom」等を用いたオンライン対応も行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

事業再構築補助金の不採択理由と再申請までの取り組みについて解説しました。

事業再構築補助金は、公募回を重ねるごとに採択率が上がってきているとはいえ、約半分は不採択となる難関の補助金です。また、申請者の中には既に複数回の不採択を受け、ブラッシュアップされた計画書で再申請に臨む事業者も多いでしょう。そうしたライバルに打ち勝つため、当記事が貴社の申請の参考になれば幸いです。

事業再構築補助金へ申請を予定している方は、ぜひ当社トライズコンサルティングまでご連絡ください。当社の持つ採択のノウハウを惜しみなく提供し、貴社の経営の発展に尽力することをお約束します。

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