【2021】ものづくり補助金の「新特別枠」とは?要件・採択率は?

ものづくり補助金の「新特別枠」

設備投資やシステム導入など、中小企業の生産性改善を最高1,000万円まで支援してくれる通称ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)。2020年度からコロナ対策として“新特別枠”が設定されました。補助率が通常より高かったり、採択されやすかったり、要件さえ合えば有利な点が多い応募枠です。

今回は、ものづくり補助金新特別枠について詳しく解説します。

ものづくり補助金の「新特別枠」の特徴とは?

2021年度は、低感染リスク型ビジネス枠として新特別枠が設定されています。特徴は次の3点です。

審査で優遇される

一番の特徴は、なんといっても審査で優遇されることです。公募要領に新特別枠は審査で優遇されることが明記されていますが、実際の採択率においても下記の通り新特別枠の方が高くなっています。

公募回 締切 採択発表 応募枠 応募件数 最終的な応募枠 採択件数 採択率
第5次 2月22日 3月31日 通常 2,739 ① 通常 1,101 40.2%
新特別枠 2,400 ② 新特別→通常 227 49.6%
③ 新特別 963
第6次 5月13日 6月29日 通常 2,390 ① 通常 1,132 47.4%
新特別枠 2,485 ② 新特別→通常 99 52.1%
③ 新特別 1,195

また、注目すべきは「最終的な応募枠」の②新特別→通常です。こちらは、新特別枠で申請したけれど、新特別枠で不採択となったが再度通常枠で審査、採択されたものの件数です。

2021年5月13日締切の公募回では、新特別枠で申請したものの最終的に通常枠で採択となったものが99件ありました。これは、新特別枠でダメでも、再度通常枠で救い上げられる、いわば復活当選みたいなものです。

一方、通常枠で申請すると、新特別枠で救い上げられることはありません。したがって、新特別枠の要件を満たしていれば、とりあえず新特別枠で応募しておく方が良いでしょう。

補助率が上がる

2つ目の特徴は、補助率がアップすることです。通常枠では必要経費の2分の1が補助されますが、新特別枠では3分の2にアップします。

ただし、従業員20名以下の小規模事業者では、通常枠でも補助率は3分の2です。したがって、小規模事業者に限っていえば、新特別枠も通常枠も補助率は変わりません。とはいえ、審査で優遇されることを考えれば、やはり新特別枠で応募すべきでしょう。

広告宣伝費も対象になる

3つ目の特徴が、広告宣伝費も対象になることです。 その名の通り 、ものづくり補助金はものづくりのための設備投資やシステム導入等を支援する補助金です。したがって、販売促進等のための広告宣伝費用は通常対象になりません。

しかし、新特別枠の低感染リスク型ビジネス枠に限って、広告宣伝費も対象になります。実際に画期的な新製品を作っても、広告を打たないと顧客が広がらない場合も多いので、広告宣伝費もみてもらえるのは嬉しいですね。

ものづくり補助金の「新特別枠」の概要

続いて、ものづくり補助金の新特別枠の概要について解説しましょう。「新特別枠」と表記されていることもあれば「低感染リスク型ビジネス枠」と表記されていることもあり若干混乱しやすいですが、どちらも同じものを指しています。

対象者

日本国内に本社または補助事業の実施場所がある中小企業、小規模事業者、特定非営利活動法人が対象です。社会福祉法人や医療法人等は対象になりませんが、個人開業医であれば対象になります。また、個人事業主も対象になります。

補助金額

一般型として新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)と通常枠が同時に募集されます。通常枠が補助率1/2(中小企業)に対し、新特別枠は企業規模問わず補助率が2/3なので、より多くの補助金を受け取ることができます。

ただし、上限額は通常枠、新特別枠ともに1,000万円で変わりません。

事業類型 応募枠 補助上限額 補助率
一般型 通常枠 100万円~1,000万円 中小企業者1/2、小規模事業者 2/3
新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠) 2/3

※単価50万円以上の設備投資が必要。

対象となる取り組みおよび採択事例

新特別枠の対象となる取り組みは以下のうちいずれかを満たす取り組みです。

  • 物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
  • 物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
  • ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資

イメージが湧きにくいかもしれませんので、直近に発表された第6次締切回(2021年6月29日採択発表)で実際に採択された事業計画を紹介しましょう。

締切回 採択種類 事業計画名
第6次新特別人工衛星・ドローンを活用した革新的な3次元測量及びi-con structionの推進
第6次新特別Web受注システム構築による受注業務効率向上と非対面型販売へのシフト
第6次新特別非接触型の入退館・精算システムと販売分析でおもてなし品質アップ
第6次新特別革新的グランピング宿泊予約システムによる非対面ビジネスの実現
第6次新特別「人工知能(AI)を用いた鉄道線路上の損傷自動検知システム」の開発
第6次新特別チョコサンドクッキー自動生産設備の導入
第6次新特別バリ取りロボットシステム導入によるプロセス改善と働き方改革の実現
第6次新特別自動制御紙折機導入での三密回避と生産性向上で新事業拡大を図る
第6次新特別ポストコロナ後のレトルト需要に向けた開発強化の取り組み
第6次新特別日本一のパエリアをご自宅にお届け!コロナに負けないデリバリー特化レストラン設置事業
第6次新特別ウィズコロナ・ポストコロナを見据えたテレワーク対応洋風畳の開発・リフォーム提案
第6次新特別徹底した感染症予防体制の構築と歯周外科処置の院内実施の実現
第6次新特別地域の飲食店が連携したシェアキッチン&EC販売+無人自動販売

物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発としては、ドローンやAI、Webシステム等を活用して非接触を図る取り組みが採択されています。また、対人接触を減じる生産プロセス・サービス提供方法では、ロボットや自動化設備の導入による生産工程の改善についての取り組みなどが採択されています。

ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルでは、コロナ禍に対応したレトルト食品製造やデリバリーの取り組み、テレワーク対応や無人販売の取り組みなどが採択されています。

何が新特別枠の対象となるかは判断が難しいところですが、元々の定義が漠然としているため、事業計画でどのように非接触やウィズコロナにつながるかをしっかり説明すれば問題ないようです。

要件

続いてものづくり補助金の要件です。ものづくり補助金を受けるためには、3~5年後に給与総額を年平均1.5%以上増加させることと、付加価値を年平均3%以上増加させることが必要です。付加価値とは、営業利益と人件費、減価償却費の合計額で、以下の増加基準を満たす3~5年計画の作成が必須です。

3~5年の事業計画期間において

  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
  • 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる

なお、給与総額の増加については、従業員に「表明」しなければなりません。表明とは、「賃上げ計画の表明書」を作成し、従業員に署名・捺印してもらうことで対応します。この「賃上げ計画の表明書」を、補助金申請時に他の申請書類と一緒に提出します。

給与総額の増加目標または事業内最低賃金目標が未達であれば、補助金の返還を求められる場合があることには注意してください。

対象経費

補助金の対象となる品目は、必要経費のうち次の10品目になります。製品開発に必要な機械やシステム導入費の他、開発に必要な助言を求める専門家経費などが対象になります。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝費・販売促進費
  • 感染防止対策費

また、通常枠では対象になりませんが、低感染リスク型ビジネス枠のみ広告宣伝費も対象になります。ただし、申請できるのは補助金総額の1/3までです。

なお、パソコンやタブレット、車両など汎用使用ができるものは対象になりません。

ものづくり補助金申請方法

続いてものづくり補助金の申請方法です。手続きやスケジュール、採択後の流れを見ていきましょう。

申請手続き

申請手続きは申請書類を作成し、電子申請で提出します。

申請書類作成

革新的な製品開発等についての事業計画書を作成します。事業計画書は

  • その1. 補助事業の具体的取組内容
  • その2. 将来の展望
  • その3. 会社全体の収支計画

から構成され、自社の強みや特長、補助事業で行う取り組みの優位性などを記載していきます。なお事業計画書は、その1、その2合わせて、A4サイズ10枚以内に収めなければならないため、コンパクトにまとめる必要があります。

電子申請

ものづくり補助金は、「Jグランツ」という補助金申請システムから申請手続きをします。

必要項目を入力し、作成した事業計画書や決算書などの書類をすべてPDFにして添付します。慣れていれば1~2時間で完了できますが、慣れていなければ入力作業等に半日かかったという話も聞きます。時間的な余裕をもって電子申請するようにしましょう。

なお、申請にはgBizIDプライムアカウントが必要で、アカウント取得には3週間以上かかります。gBizIDプライムアカウントをまだお持ちでない場合は、まずはアカウントを取得しましょう。

gBizIDプライムアカウントの取得方法等詳細はこちらのURLをご参照ください。

スケジュール

2021年9月現在では第8次締切回の募集中で、直近の締切は2021年11月11日(火)です。

公募回締切
第8次公募2021年11月11日(火)
第9次公募2022年2月頃

第10次公募以降はまだ発表されていませんが、当初予定では2022年度も実施されることになっています。

続いて、採択後の流れは次のとおりです。採択となっても、実際に補助金が振り込まれるのは補助事業が終了し、実績報告書を提出してからになります。そのため、振込が1年近く先になる場合もありますので、資金計画を十分に考慮するようにしましょう。

項目内容期間
採択決定、交付申請、交付決定通知採択されたら、見積書等必要書類を添えて、交付申請手続きをします。その後交付決定通知が到着します。約1ヶ月 間
補助事業の実施補助事業を事業計画書通りに実施します。完了したら30日以内に実績報告書を提出します。10ヶ月以内
補助金請求、支払い実績報告書の提出後補助金が振り込まれます。約1ヶ月
事業化状況・知的財産権等報告書の提出補助事業終了後も、5か年にわたって毎年、付加価値額向上及び賃金引上げ状況等を報告します。

まとめ

ものづくり補助金新特別枠について詳しく解説しました。

補助率が高かったり、広報宣伝費も対象になったりメリットも多い新特別枠。ただ、難点は採択率の低さといえるでしょう。通常枠よりは高いとはいえ、採択率は5割前後にとどまり、応募者の半数が不採択になるのが現状です。

少しでも採択の可能性を高めたい――そう思われたら、事業計画作成に長けた専門家の力を借りるのとも一つです。当トライズコンサルティングでも、ものづくり補助金の申請支援を多数手がけており、申請支援したものづくり補助金の採択率は100%(2019年度実績)です。

中小企業の皆さまに寄り添い、一緒に事業計画を作っていくことで採択を目指します。ご相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。