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【2022】ものづくり補助金の申請方法は?申請書作成のポイントと注意点

補助金の申請

令和3年(2022年)12月20日に経済産業省の令和3年度補正予算が成立しました。それに伴い、ものづくり補助金も令和元年度補正予算から継続して、2022年2月末現在10次公募が開始されています。

ものづくり補助金は、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という名称で、「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」と並び、中小事業者向けの補助金としてポピュラーな制度の一つです。略称のイメージから製造業しか申請できないと思われがちですが、小売業やサービス業でも申請の対象となっています。

今回は、ものづくり補助金の申請の流れや注意点、申請時のポイントについて解説します。興味はあるけれど、ハードルが高そうで申請に二の足を踏んでいたといった方の参考になれば幸いです。

ものづくり補助金の申請の流れ

ものづくり補助金も以前は紙で申請が行われていましたが、現在は他の補助金と同様にインターネットでの申請になっています。それに伴い便利になった面もありますが、紙申請の時にはなかった、新たに注意しなくてはならないこともあります。

一般的な申請の流れは、次のとおりです。

公募要領の確認

まずは、公募要領を読み込みましょう。

令和元年度補正予算から公募されてきたものづくり補助金は、「新型コロナウイルス感染症」による社会情勢の変化もあり、公募回ごとにさまざまな申請類型が創設されています。今後も時流に合わせた変更が見込まれ、どのような経費が対象となるのか、補助率はどのくらいなのかなど、自社の事業計画に合致するのかを確認します。

事業計画書への記載要件や必要な添付書類もしっかり確認し、必要があれば補助金を実施している事務局や後述する「認定経営革新等支援機関」へも相談しましょう。

「gBizIDプライム」の取得

前述したように、ものづくり補助金の申請はインターネットを利用した電子申請となっています。この電子申請を行うためには、事前に「gBizIDプライムアカウント」の取得が必須です。

取得は無料ですが、一度、申請書を出力して実印を押印、印鑑証明を添付して郵送という手続きが必要です。取得までには2〜3週間ほど要するため、余裕を持って準備をしておきましょう。

公表されている取得期間は大分幅を持たせており、実際は1週間から10日ほどで取得できますが、早めに準備しておいて損はないでしょう。また、すでに取得している方も、最近法人成りした場合など、会社の内容に変更がある場合は手続きをしておきましょう。

「認定経営革新等支援機関」の支援(任意)

「認定経営革新等支援機関」とは、国が認定した中小企業の経営を支援する団体のことです。制度によっては「認定経営革新等支援機関」の支援を受けないと申請ができない補助金もあります。

ものづくり補助金の申請に関しては、「認定経営革新等支援機関」の支援は任意となっていますが、支援を受けた方が、採択率が高いということがデータで出ています。特に、補助金に対する支援先への報酬の比率と採択率は正比例の関係にあります。

商工会・商工会議所などの公的な機関を活用したり、民間のコンサルティング会社が実施している無料相談を受けたり、良さそうな会社に必要経費と考えて支援を依頼することも効果的です。

電子申請システムから申請

事業計画書が作成できたら、いよいよ申請です。

応募締切の前日と当日に申請する事業者は全体の70%近く、日本中の事業者が申請作業を行うため、システムのサーバーがダウンしアクセスできないという状況になることもあります。たとえサーバーダウンが起こらなくても、システムの動作が遅くなることは間違いありません。

ストレス無く申請するためには、遅くとも応募締切の2日前には申請しておくことをおすすめします。

なお、申請には「jGrants」というシステムを使用します。前述した「gBizIDプライムアカウント」でログインし、ホームページに公表されている「電子申請マニュアル」の手順に沿って申請作業を行います。

ここで添付書類等の漏れがあると、書類不備で審査されることなく不採択となってしまいます。これまでの苦労を無駄にしないよう、よく確認しながら作業を行ってください。

ものづくり補助金の申請の要件

ものづくり補助金の申請には、3年から5年の期間の事業計画を作成する必要があります。その作成にあたり、次の3つの要件をクリアしておく必要があります。

  • 付加価値額増加
  • 給与支給総額・地域別最低賃金
  • 「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」・「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」

なお、10次公募で創設された「回復型賃上げ・雇用拡大枠」や「デジタル枠」、「グリーン枠」など、「通常枠」以外の申請類型には、これらの基本要件に加え、別途特別な要件がある場合もあるため注意が必要です。

付加価値額増加

事業期間内における事業者全体の「付加価値額」が年平均3%以上増加する計画を作成しなくてはなりません。なお、「付加価値額」は次の計算式で算出します。

  • 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

事業計画書の「その3:会社全体の事業計画」に基準年度から始まる事業終了年度までの収支計画を記載し、「付加価値額」の伸び率を計算します。計画期間が3年ならば、最終的な基準年度と比較した伸び率は9%以上、5年であれば15%以上となっている必要があります。

給与支給総額・地域別最低賃金

事業期間において、給与支給総額を年平均1.5%以上増加させる計画である必要もあります。加えて、事業に取り組む事業場内における最も低い賃金が地域別最低賃金と比較して30円以上上回っていなければなりません。

これを事業計画書の「その3:会社全体の事業計画」で示すとともに、賃金引上げ計画の誓約書を添付して申請します。

なお、事業計画終了時点でこれらが未達だった場合は、補助金の一部返還を求められます。しかし、付加価値額の増加が思ったような伸びでなかった場合や天災などやむ負えない事情があると認められる場合はその限りでありません。

「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」・「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」は、日本の製造業の国際競争力の強化に必要不可欠な技術の高度化のための研究開発やその成果の利用について支援を行う12分野を指定したものです。また、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」は、サービス業を営む中小事業者が経営課題を解決するために取り組むべき具体的な10手法を示しています。

ものづくり補助金を申請する際には、これら12分野または10手法のうちのいずれかとの関連性のある取組みである必要があり、事業計画書の中で関連性を説明しなければなりません。指針やガイドラインをよく読み、自社で取り組もうとしている事業がどれに該当するか確認しておきましょう。

審査におけるものづくり補助金の加点項目

ものづくり補助金の申請後は、補助金を実施している事務局により委託を受けた審査員による審査が行われ、採否が決定します。その審査において、申請に際しては必須とはなっていませんが、クリアすることで加点となる項目がいくつかあります。

いずれもクリアするために直接的に経費を要することはないため、可能な範囲で満たしておきましょう。なお、10次公募で創設された「デジタル枠」には、後述する以外の加点項目がありますので、申請を予定されている方は公募要領を確認するようにしてください。

経営革新計画

「経営革新計画」とは、「業績を上げたい」「現状の課題を解決したい」「新しい事業に挑戦したい」といった中小事業者の経営目標に対し、「道しるべ」となる計画のことです。次の5つの「新事業活動」に当てはまる取り組みを行うことにより、「経営の相当程度の向上」を目指します。

  • ①新商品の開発又は生産
  • ②新役務の開発又は提供
  • ③商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • ④役務の新たな提供の方式の導入
  • ⑤技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動

なお、「新事業活動」とは、個々の事業者にとって新たな事業活動であれば、すでに他社で採用されている技術・方式でも、業種・地域における導入状況を鑑み、承認の対象になります。

申請は各都道府県の担当部局等で受け付けており、承認されれば、ものづくり補助金など補助金の審査の加点となることに加え、融資の際の信用保証の特例や日本政策金融公庫の特別利率の適用などの優遇措置、海外展開に伴う資金調達の支援措置などの支援を受けることもできます。

事業継続力強化計画

「事業継続力強化計画」とは、中小事業者が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度です。「事業継続力強化計画」はいわゆる、BCP(Business Continuty Plan:事業継続計画)の簡易版であるといわれており、事業者にとって最も発生リスクの高い自然災害リスクを想定し、従業員や顧客の安全確保と事業復旧を目指すものです。

BCPとの大きな違いは、発生の可能性のあるあらゆる事象に備えるのではなく、発生する確率と発生した場合の自社への被害の大きさのバランスで最も影響のある自然災害リスクに備えた計画である点、緊急事態発生時の初動対応手順を考えることに重点を置き、スピード感を持って復旧を目指す点にあります。

それゆえ、BCPと比較してその内容はシンプルなものになり、計画書自体はA4用紙で4~5枚程度となっています。承認されれば、ものづくり補助金など補助金の審査の加点となることに加え、日本政策金融公庫による低利融資や計画に記載された対象設備の特別償却適用などの支援を受けることができます。

ものづくり補助金の申請のポイント

最後に、ものづくり補助金を申請する際に作成する事業計画書のポイントについて解説していきます。

公募要領には「審査項目」として、事業計画書に記載する具体的な内容が明記されています。そういった取り組みが盛り込まれているか、実現性はあるかなどで採否を決定されます。

内容の記載はもちろんですが、何がどこに書いてあるのか審査員にとってわかりやすく記載することも重要です。整理の方法がわからないという方は、フレームワークを活用したり、「認定経営革新等支援機関」等へ相談したりすることも検討しましょう。

現状と問題点の明確化

これまでの自社の取り組みの経緯やその内容をはじめ、今後発展していくために問題となっている点を洗い出します。

前述のように、ものづくり補助金はその申請後、審査を受けますが、審査員はご自身のこともご自身会社のこともまったく知らない状態から審査を始めます。そのため、ご自身のバックボーンや自社で取り扱っている商品・サービス、業績、強み・弱み、自社を取り巻く市場環境や競合他社などをしっかりと記述しましょう。記載する際は、箇条書きや「SWOT分析」などで整理すると良いでしょう。

また、そうした現状から抜け出し、「あるべき姿」に到達するための障害となっている要因を洗い出します。このうち、解決した場合の費用対効果が最も高い問題点を解消する取り組みを事業内容とすることがセオリーです。

解決策と課題の提示

自社の現状や問題点を明示したら、その解決のために不可欠な工程ごとの開発内容、材料や機械装置等を明確にし、具体的な手段と目標を記載してください。必要に応じて図表や画像等を用いてわかりやすく記述します。

特に、目標についてはどの水準まで達成する必要があるのかという点を明確にし、必ず数値で示してください。加えて、事業に取り組むにあたっての課題についても明記します。

新たな事業に取り組む場合、工場内でのオペレーションや情報伝達、新規顧客への販売促進など既存事業とは異なる取組みをする必要があります。そういった場合に必ず発生する工場内の物理的なスペースや人材教育、販路など事業化に向けて想定される課題を羅列し、それぞれについての解決策も記述します。

スケジュールと実施体制の確立

取り組む事業やそれに対する課題が明確になったら、事業期間内に投資する機械装置の型番等、取得時期や技術導入時期について詳細なスケジュールを記載します。

スケジュールの記載は、縦軸にタスクを配置し、横軸に時間軸を棒グラフで表す「ガントチャート」を用いるのがベストです。パッと見ただけで、直感的に事業の全体像をつかむことができるため、審査員にスケジュールを説明するのに最適です。

併せて、事業に取り組む社内の実施体制を記載します。事業全体を統括管理する者、営業・製造など直接業務を担当する者、事務や経理などバックオフィス業務を担当する者など、事業に必要な役割をツリー構造で示しましょう。

ニーズや市場規模の測定

事業の成果が寄与すると想定している具体的なターゲットやマーケットおよびその市場規模について可能な限り詳細に記載します。そういったデータから、提供する商品やサービスの量産化時の製品の価格や目標とする売上規模、その達成時期を検討し、新規事業の事業化見込みについて簡潔に記述します。

特に製造業の申請者の場合、投資する機械装置やその効用についてはしっかりと記載があるのに、この点が弱い事業者が散見されます。市場規模については、主に公表されている統計データ等を使用しますが、中小事業者が狙うニッチな市場については、そうしたデータがない場合が多いです。

そこでおすすめしたいフレームワークが「フェルミ推定」です。フェルミ推定とは、「日本にはマンホールはいくつあるか」のような、一見予想もつかないような問いに対して、論理的にアプローチし、概算して数値で答えを出すための手法です。ぜひ活用してみてください。

競争力優位性の確保

事業をどのように競合他社と差別化し、競争力強化を実現していくのか、その方法と仕組みについても記載する必要があります。新規事業を立ち上げてもすぐに他社に模倣されてしまうようでは、会社が持続的に発展していけず、支給した補助金も無駄になってしまう可能性が高いためです。

仕入から製造、販売までのサプライチェーン内のいずれかの業務や事業を実施する組織体制など、他社にはない自社の強みを見つけ出し、それを起点にした事業を展開することが重要です。

補助事業の効果

最後は、事業の効果についてです。定性的なものと定量的なもの、いずれも記載していきます。

まず、定性的なものとして入れるべきは、地域経済の成長を牽引するような効果が見込まれるかという点です。コロナ禍やウェブ環境が整備された現在では、居住や会社の立地に関して、以前より一層地方へ目が向けられています。

事業が地域特性を活かすことで高付加価値を創出し、地域の事業者への波及効果や雇用を生み出す可能性を示唆する必要があります。加えて、ニッチな分野において適切なマーケティングや独自性の高い商品・サービスの開発、厳格な品質管理などにより差別化を行うことで、国内のみでなくグローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているかという点も重要です。

続いて、定量的なものとしては、事業計画書の「その3:会社全体の事業計画」で示す「付加価値額」や「給与支給額」が挙げられます。この算出には根拠を明示して記載しなくてはなりません。

たとえば、「売上高」についても「客数×客単価」などのように因数分解を行い、精緻に分析することが必要です。

事業期間の終了後に実施される毎年度の事業化状況等報告において、事業化の段階とともに伸び率の達成状況の確認が行われます。そのため、仮に達成できなかった場合、どういった要因で達成できなかったのかを明確にし、PDCAを回せるような取り組みになっているかという点が審査されます。

まとめ

ものづくり補助金の申請手順から申請時の注意点、事業計画書作成のポイントについて解説しました。

確かに、申請には相当な時間と手間を要しますが、今回お伝えした内容を一つずつクリアしていけば、決して難しいものではありません。ぜひチャレンジしてみてください。

なお、当社トライズコンサルティングでは、補助金の申請を手掛けるプロが在籍しており、新たな事業に挑戦する事業者の支援を行っています。これまでに申請支援したものづくり補助金の採択率は97%(2019年、2020年度実績)を誇ります。

事業主の皆さまに寄り添い、一緒に事業計画を作っていくことで採択を目指します。相談は無料となっていますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

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