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【2022】ものづくり補助金を「歯科」が活用するには?申請のポイントと採択事例

歯科の補助金

コンビニより多いとも言われる歯科医院。競争も激しく、歯科医院の経営難による廃業は年間約1,600件(厚生労働省「医療施設(静態・動態)調査・病院報告」より)にものぼります。そのため、何も手を打たなければ、院の継続すら難しくなっています。

一方、歯科では矯正などの分野で保険外診療が多く実施されています。保険外診療であれば、各歯科での独自性を高めやすく、差別化につなげることができます。

ただし、そのためには最新の技術と設備が欠かせません。そこで、今回は歯科の設備投資を応援してくれる「ものづくり補助金」について詳しく解説します。

歯科にものづくり補助金がおすすめである理由

「ものづくり」というと製造業を想像されるかもしれませんが、ものづくり補助金は歯科医でも申請することができます。まずは、歯科医院がものづくり補助金を利用することがおすすめである理由について解説します。

個人開業医なら申請できる

ものづくり補助金の対象となるのは、個人事業主や中小企業等です。医療法人は対象外となっています。言い換えれば、医療法人となっていない個人開業医であれば申請できます。

総合病院などであれば、大部分が医療法人となっているため申請対象となりませんが、個人開業医の歯科なら申請することができます。実際に、歯科のものづくり補助金への応募、採択例はたくさんあります。

歯科はデジタル化や技術革新の余地が大きい

歯科には、歯型の制作など、医療でありながらものづくりに通じる部分があります。

歯型の制作の場合、従来は口腔内の写真をレントゲン撮影して、外注に出すという流れになっていました。しかし、今では口腔内の撮影システムと3Dプリンターを導入すれば、歯科医院での内製化も可能です。

内製化できれば、コストも納期も大幅にカットすることができ、競争力を高めることができます。このように、ものづくりの要素があるからこそ、デジタル化や技術革新の余地が大きいといえるでしょう。

ものづくり補助金の概要

続いて、ものづくり補助金の概要について紹介していきます。2022年2月16日(水)より第10次公募が始まっていますので、その内容を解説します。

対象者

先ほど触れたように、対象者は個人開業医です。医療法人は対象になりません。

補助金額

第10次公募より、「通常枠」に加えて新たに「デジタル枠」が新設されました。デジタル枠は従業員数にかかわらず補助率が高くなるため、デジタル化の取り組みであればデジタル枠での応募をおすすめします。

応募枠従業員人数補助金上限額補助率
通常枠 デジタル枠5人以下750万円通常枠:原則1/2※ デジタル枠:2/3
6人~20人1,000万円
21人以上1,250万円

※5名以下の小規模事業者であれば通常枠でも補助率が2/3となります。

対象となる事業および対象経費

対象となる事業および対象経費は次のとおりです。

対象となる事業

対象となる事業は次のとおりです。デジタル技術を含むかどうかで応募枠が決まりますが、歯科での取り組みであればほとんどのケースで何らかのデジタル技術を活用するものではないでしょうか?その場合は、補助率がアップすることもあり、デジタル枠での応募をおすすめします。

  • 通常枠:革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
  • デジタル枠:DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発またはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等

対象経費

補助金の対象となる経費は、次の9項目です。パソコンやタブレット、スマートフォンなどは汎用的に使用できるため対象になりません。

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

応募要件

応募要件には、ものづくり補助金全体に共通する要件と、デジタル枠固有の要件があります。

ものづくり補助金共通応募要件

次の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していること。

  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
  • 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費の合計額です。3~5年後に給与支給総額と事業場内最低賃金の要件を満たせなければ、補助金の返還が求められます。

デジタル枠応募要件

デジタル枠固有の応募要件は、次のDX推進指標の活用とセキュリティアクション宣言の2つになります。

<h5>DX推進指標</h5>

経済産業省が公開する「DX推進指標」を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出すること。

DX推進指標とは、ITシステム構築の取組状況など35の項目から構成されています。それぞれの項目について、レベル0(未着手)からレベル5(グローバル市場におけるデジタル企業)までのランク付けで、自己診断し専用サイトから提出します。

手間はかかりますが、自己診断するだけなのでさほど難しくはないでしょう。その他、DX推進指標詳細については、経済産業省の「デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました」を参照してください。

<h5>セキュリティアクション 宣言</h5>

セキュリティアクション宣言とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するセキュリティアクションの宣言を行うことです。宣言の内容は、次の2種類です。

  • 「★ 一つ星」:「情報セキュリティ5か条」に取組むことを宣言する
  • 「★★ 二つ星」:「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の実施と、情報セキュリティ基本方針を定め、外部に公開したことを宣言する

どちらも専用サイトで自己宣言を申し込むだけです。

情報セキュリティ5か条とは、「ウイルス対策ソフトを導入しよう!」など、至極もっともな内容なので、宣言を通じて自社の情報セキュリティを再確認する機会にもなります。その他セキュリティアクション詳細については、独立行政法人情報処理推進機構のセキュリティアクションサイトを参照してください。

申請手続き

申請手続きは、申請書類を作成し、電子申請で提出します。概要は次のとおりです。

申請書類作成

設備投資や収益計画などを盛り込んだ事業計画書を作成します。事業計画書は、A4サイズ10枚以内で作成します。

ものづくり補助金は、この事業計画書に基づいて採択審査が行われるので、自院の優位性や設備投資で得られる生産性向上等についてしっかり説明しましょう。

電子申請

申請の手続きは、「Jグランツ」という補助金申請システムで行います。必要項目を入力し、作成した事業計画書や決算書などの書類をすべてPDFにして添付します。

慣れていれば1~2時間で完了できますが、慣れていなければ入力作業には時間を要することもあります。中には、半日かかったという事例もありました。時間的な余裕を持って電子申請するようにしましょう。

なお、申請には「gBizIDプライムアカウント」が必要で、アカウント取得には3週間以上かかります。gBizIDプライムアカウントをまだお持ちでない場合は、まずはアカウントを取得しましょう。

gBizIDプライムアカウントの取得方法等詳細は、こちらのページを参照してください。

スケジュール

2022年2月16日(水)より公募が開始されており、締め切りは2022年5月11日(水)です。

以降、2022年度中に複数回の公募が予定されています。

公募開始2022年2月16日(水)~
申請受付2022年3月15日(火)~
公募締め切り2022年5月11日(水)

ものづくり補助金で申請する際のポイント

続いて、事業計画書を作成する際のポイントについて解説していきます。ものづくり補助金の採択審査の重要項目となる、「生産性の向上」「革新性」「売上の向上」をしっかり事業計画書に盛り込むようにしましょう。

生産性の向上

ものづくり補助金では、生産性の向上が求められます。たとえば、電子カルテツールを導入すれば保険証番号で患者の情報が一元管理でき、事務作業負担を大幅に減らすことができます。

ただし、事業計画書の記載において、単に「負担を減らす」だけでは不十分です。具体的に何時間の事務作業時間が減らせるのか、または何名のスタッフを減らせるのか、数値を入れて示せるようにしましょう。

最新鋭のシステムや設備を導入すれば、生産性が向上することは当たり前といえば当たり前です。過剰投資と受け取られないよう、投資額に見合った生産性向上となっていることをしっかり事業計画書の中で説明しましょう。

革新性

ものづくり補助金の採択審査では、革新性も重要なポイントです。今までになかった新しい製品・サービスの革新的な開発となっているかが問われます。

歯科矯正などの分野では、次々と新しい技術が開発されており、比較的革新性は説明しやすいかもしれません。特に、歯科医は地元密着で経営するケースが多いため、「地域発」「商圏内初」など、地元でこれまでになかった取り組みであることを強調すると良いでしょう。

売上の向上

最後が売上の向上です。医療業で売上アップを前面に出すことは、あまり望ましくないとされている世間的な風潮もありますが、生き残っていくために売上向上は欠かせません。

売上を増やすには、患者数を増やすか、患者1名当たりの単価を増やすかの二択です。どのように患者を増やすか、または単価をどのように増やしていくか、ストーリーをしっかり事業計画書に盛り込むようにしましょう。

ものづくり補助金での歯科の採択事例

最後に、歯科分野におけるものづくり補助金の採択事例を紹介します。

事例1:超極薄型セラミック補綴物の試作開発による革新的審美補綴治療サービスの提供

従来、歯を大きく削って補綴物を被せる治療が一般的であったが、近年は歯をあまり削らない審美補綴治療が注目されている。セレックシステムというドイツで生まれた歯科技工機器を補助事業で導入し、頑丈さと薄さを兼ね備えた補綴物の試作開発に取り組んだ。

セレックシステムでは、3D光学カメラで患者の歯形を撮影し、3D画面上で補綴物を設計。データをもとに、セラミックなどのブロックから補綴物を削り出す仕組みである。

試作開発の結果、厚さ0.6ミリ~0.7ミリの超薄型補綴物の開発に成功し、実用化を果たした。(平成26年度、茨城県)

事例2:最先端矯正治療CT スキャナシステムの導入による歯列矯正の精度向上と治療期間短縮の実現

アメリカで開発された最新鋭の3DCTスキャナシステムを補助事業により導入した。本システムは、高品質な画像に加えて画像処理能力に優れており、より精密な矯正歯科データなどが取得できるようになる。

導入の結果、顎の形や神経の位置を正確に把握できるようになり、より的確な診断ができるようになった。また、高精度ワイヤ製作も可能となり、治療期間の短縮にもつながった。(平成26年度 徳島県)

出典:ものづくり補助事業関連サイト「ものづくり補助金成果事例」より抜粋・要約

まとめ

歯科が申請できるものづくり補助金について、対象や補助金額、手続き方法、採択事例などの概要を解説しました。最高1,250万円まで補填されるなど、ものづくり補助金は設備投資の心強い味方となります。

ただ、難点もあります。それは、とにかく申請の手間がかかることです。前述の通り、事業計画書で作成する分量はA4用紙10ページです。

「忙しい診療の合間に、申請手続きの時間を取れるだろうか?」そのようにお考えになった方は、専門家のサポートを受けると良いでしょう。ものづくり補助金では、中小企業診断士や経営コンサルタント会社など、申請支援サービスを提供する業者が存在します。

当社トライズコンサルティングでも、ものづくり申請支援を多数手がけています。書類の作成から申請手続きのサポートまで、ものづくり補助金の申請に関わる手間や面倒を一手に引き受けます。

また、ご自身で申請するよりも高い採択率を実現します。これまでに申請支援したものづくり補助金の採択率は97%(2019年、2020年度実績)を誇ります。事業主の皆さまに寄り添い、一緒に事業計画を作っていくことで採択を目指します。 ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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