【2023】ものづくり補助金「グリーン枠」とは?対象者・補助金額・応募要件

ものづくり補助金「グリーン枠」

2022年2月16日(水)より、ものづくり補助金の第10次公募が始まりました。中小企業の設備投資を支援してくれるものづくり補助金ですが、第10次公募から、コロナ対策の低感染リスク型ビジネス枠型が廃止されました。

代わって、中小企業の脱炭素やDX推進等のため、「グリーン枠」「デジタル枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」が新設されました。これらのうち、今回は「グリーン枠」について解説していきます。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

2020年10月に、国は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。2050年に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという意欲的な目標達成のために、今後さまざまな施策が進められていきます。

ものづくり補助金グリーン枠もその一環となりますが、特に重点分野を定めたグリーン成長戦略について解説します。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略とは

2021年6月に、2050年カーボンニュートラルを実現するため、経済産業省を中心とする各省庁横断でグリーン成長戦略が策定されました。

グリーン成長戦略とは、経済成長と環境適合をうまく循環させるための産業政策です。民間企業のイノベーション創出に対する投資などをバックアップすることが国の役割とし、グリーンイノベーション基金(2兆円、今後10年間)の創設、投資促進税制などさまざまな施策が用意されています。

14の分野

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略では、自動車・蓄電池産業や半導体・情報通信産業など、特に重要とする14分野が設定されています。

出典:2050 年カーボンニュートラル に伴うグリーン成長戦略(経済産業省)

2022年(令和4年)のものづくり補助金グリーン枠の概要

では、ものづくり補助金グリーン枠の概要を解説していきましょう。

対象者

対象となるのは、日本国内に本社または補助事業の実施場所がある事業者です。これまでの中小企業、個人事業主等に加えて、次の特定事業者も対象となります。

【中小企業】

 資本金額従業員数
製造業等3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

【特定事業者】(新設)

 資本金額従業員数
製造業等10億円未満500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業

対象となる事業および対象経費

対象となる事業および対象経費は次のとおりです。

対象となる事業および対象経費

対象となる事業は、次のとおりです。

  • 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発
    • 例:省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発、非石油由来の部素材を用いた製品・サービスの開発、廃棄物削減に資する製品・サービスの開発 等
  • 炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善

例:生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資、水素・アンモニアを活用する設備導入による燃焼工程と生産プロセスの最適化、複数ラインの作業工程を集約・高効率化 等

特に上記14分野に限定されているわけではありませんが、何らかのグリーン化を進める取り組みをしようとすると、必然的に14のどれかに当てはまるでしょう。

 対象経費

補助金の対象となる経費は、次の9項目です。

  • 機械装置
  • システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

パソコンやタブレット、スマートフォンなどは汎用的に使用できるため対象になりません。

補助金額

応募枠と補助金上限額は次のとおりで、常勤の従業員人数によって上限額が異なります。

また、ものづくり補助金通常枠では、補助率が原則1/2ですが、グリーン枠では2/3まで補填してくれます。さらに、通常枠をはじめ他の応募枠では、上限額が750万円~1,250万円ですが、グリーン枠では上限が1,000万円~2,000万円と高くなっています。2050年カーボンニュートラルを実現するために、より積極的な投資が推奨されているといえます。

ものづくり補助金グリーン枠従業員数上限額補助率
5人以下1,000万円2/3
6人~20人1,500万円
21人以上2,000万円

 応募要件

応募要件には、ものづくり補助金全体に共通する要件と、グリーン枠固有の要件があります。

ものづくり補助金共通応募要件

次の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していること。

  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
  • 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費の合計額です。3~5年後に給与支給総額と事業場内最低賃金の要件を満たせなければ、補助金の返還が求められます。

グリーン枠応募要件

グリーン枠固有の応募要件は、次の2つです。

  • 3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること
  • これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取組の有無(ある場合はその具体的な取り組み内容)を示すこと。

炭素生産性とは、次のように付加価値額をエネルギー起源二酸化炭素排出量で割って算出します。

  • 炭素生産性=付加価値額/エネルギー起源二酸化炭素排出量

エネルギー起源二酸化炭素排出量とは、燃料の燃焼で発生・排出される二酸化炭素で、温暖化の原因となる二酸化炭素の大部分がこのエネルギー起源二酸化炭素だといわれています。

炭素生産性を向上させようとすると、母数となるエネルギー起源二酸化炭素を減らさなければいけません。そのためには、燃費効率の良い設備に刷新するか、製造工程を見直すなどが求められます。

このように、グリーン枠では通常の付加価値額の増加だけでなく、炭素生産性の向上や温室効果ガス排出削減の取り組みも求められるため、他の応募枠と比べてハードルが高いといえるでしょう。

ただ、その分優先的に採用される可能性もあります。公募が始まったばかりなのでまだ何ともいえませんが、国の重点政策目標に関連する以上、何らかの優遇がされるのではないかと推察されます。

スケジュール

2022年2月16日(水)より公募が開始されており、締め切りは2022年5月11日(水)です。

以降も、2022年度中に複数回の公募が予定されています。

公募開始2022年2月16日(水)~
申請受付2022年3月15日(火)~
公募締め切り2022年5月11日(水)

まとめ

ものづくり補助金「グリーン枠」について解説しました。ハードルは決して低くありませんが、カーボンニュートラルに向けてぜひチャレンジしてみてください。

なお、補助金の申請にあたっては専門家のサポートを受けることもできます。当社トライズコンサルティングでも、ものづくり申請支援を多数手がけています。

書類の作成から申請手続きのサポートまで、ものづくり補助金の申請に関わる手間や面倒を一手に引き受けます。また、ご自身で申請するよりも高い採択率を実現します。

これまでに申請支援したものづくり補助金の採択率は97%(2019年、2020年度実績)。事業主の皆さまに寄り添い、一緒に事業計画を作っていくことで採択を目指します。 ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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