【2022】ものづくり補助金を「美容室」が活用するには?対象経費・採択事例・申請時の注意点

美容院向けのものづくり補助金

令和3年12月1日から第9次の申請が開始されたものづくり補助金。中小企業や個人事業主が最大1,000万円もの補助金を受けられる魅力的な補助金制度ですが、「ものづくり」という名称から、「美容室は補助対象でないのでは……」「うちのサロンは自社で美容化粧品を作っているけど対象になるのかな……」と疑問に思われている美容室オーナーや美容師の方はたくさんいらっしゃいます。

そこで、今回は

  • 美容室はものづくり補助金の対象なのか
  • ものづくり補助金を申請する際の注意点

について詳しく解説していきます。補助金は返済不要なので、申請要件に合致するのであれば申請しておいて損はない制度です。この記事で受給要件や申請の際の注意点をよく確認して、ものづくり補助金を美容室経営に賢く利用しましょう。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は中小企業庁が主導する補助金事業で、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業」といいます。

ものづくり補助金の目的は、中小企業が行う革新なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援することです。ここでは、ものづくり補助金の補助金額や申請要件、申請方法など、概要について開設していきます。

対象者

ものづくり補助金の対象となるのは、中小企業・小規模事業者とされており、ここには個人事業主も含まれます。ただし、中小企業や個人事業主であれば誰でも申請できるわけではなく、業主に応じた資本金や従業員数が定められています。

業種資本金従業員数
製造業、建設業、運輸業 ソフトウェア業または情報処理サービス業 その他3億円以下300人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
卸売業1億円以下100人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
その他サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

一般的に「ものづくり補助金」と呼ばれることから、「対象者は何かしらモノを作る製造業者」というイメージを持たれていますが、実際には上記の表のように店舗(小売業)や旅館業などのサービス業の事業者も対象となります。ですから、サービス業である美容室も、当然ものづくり補助金の対象となります。

補助金額

続いて、ものづくり補助金の補助金額について解説します。

ものづくり補助金は「一般型」や「グローバルビジネス展開型」、「ビジネスモデル構築型」などに分類されており、類型によって支給される補助金額に違いがあります。美容室の場合は「一般型」での申請が多いと思いますが、一般型の中でさらに「通常枠」と「低感染リスク型ビジネス枠」に分けられています。 低感染リスク型ビジネス枠は、コロナ禍で影響を受けビジネスモデルの転換に前向きな中小企業等向け新しく設けられた枠で、補助率が1/2から2/3に引き上げられている点が特徴です。

概要補助上限補助率
一般型新製品・新サービス開発・生産プロセスの改善に 必要な設備投資及び試作開発を支援。(通常枠)1,000万円1/2 2/3(小規模)
新型コロナウイルスの感染拡大が継続している中で、社会経済の 変化に対応したビジネスモデルへの転換に向けた前向きな投資を 支援。(低感染リスク型ビジネス枠)1,000万円2月3日

申請要件

先ほど、ものづくり補助金の対象者として中小企業等の資本金の額や従業員数の規定をお伝えしましたが、それ以外にも申請要件が数点あるので解説しましょう。

すでに創業している

中小企業であっても個人事業主であっても、すでに創業していなければなりません。申請する際に中小企業であれば法人番号、個人事業主の場合は設立日等の記入が必要なのです。これから創業・開業予定という場合は申請できないため注意してください。

賃上げ引き上げの計画を従業員に表明している

ものづくり補助金を申請する際の重要な要件として、次の3つを満たす賃金引き上げ計画を策定し、従業員に表明する必要があります。

  • 付加価値額の年率平均3%以上の増加
  • 給与支給総額の年率1.5%以上の増加
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上へ向上

これら以外にも、事業期間が3~5年間であることや、事業場内最低賃金の確認のため賃金台帳の提出の義務等の要件があります。詳しくは公募要領にて確認してください。

資本金の額や従業員数について補足

資本金の額や従業員数については、どちらか一方の条件を満たせば対象となります。ですから、美容室の場合は資本金が5,000万円以下、または従業員数が100人以下であれば対象になるということです。

なお、従業員数の中には役員や個人事業主を含めることができず、常勤の従業員の人数がカウントされる点には注意が必要です。

申請方法

ものづくり補助金は「jGrants」と呼ばれる電子申請システム上で必要事項を入力し、必要な書類を添付して申請を行います。必要書類には下記のようなものがあります。

  • 事業計画書
  • 賃金引上げ計画の表明書
  • 決算書等(個人事業主の場合:確定申告書等)

また、次の書類を提出すると加点(ボーナスポイントを獲得できるようなもの)されるため、審査に有利に働きます。

  • 経営革新計画承認書等
  • 開業届又は履歴事項全部証明書
  • 事業継続力強化計画認定書又は連携事業継続力強化計画認定書
  • 従業員一覧(労働者名簿)
  • 特定適用事業所該当通知書

添付書類が不足すると加点されないことはもちろん、不採択につながる原因となります。申請する際には書類に漏れがないか、必ず確認しましょう。

美容室がものづくり補助金を活用する方法

ものづくり補助金は経営者の好きなように使って良いお金ではなく、定められた区分に沿った使い方をしなければ対象経費として認められません。

ここでは、どのような使い方がものづくり補助金の対象となるのか、またものづくり補助金を美容室経営にどのように活用するのか、実際の採択例を交えて解説します。

ものづくり補助金の対象経費

ものづくり補助金の対象経費は、次のように区分されています。

 対象経費対象外の経費
機械装置費・システム構築費機械装置や工具器具の購入費、製作費等制作や開発にかけた自社人件費等
技術導入費知的財産権等の導入経費補助事業と関係のない知的財産権等の導入経費等
専門家経費謝金、旅費、技術指導料等事業計画書作成料等
運搬費運搬料、郵送料等補助事業と関係のない運搬料、郵送料等
クラウドサービス利用費補助事業のためのアプリケーション改良費、月々の利用料等補助事業以外にも使用できるタブレットやスマホ等
原材料費試作品の開発に必要な原材料等補助対象期間中に使いきれなかった原材料等
外注費試作品の開発に必要な原材料等の再加工、設計等を外注する際の費用等外注先の機械装置購入費等
知的財産権等関連経費試作品等の事業化にあたり特許を取得するための弁理士費用等事業期間内に出願手続を完了していないもの等
広告宣伝・販売促進費 (低感染リスク型ビジネス枠のみ)開発する新製品・サービスについての広告費等補助対象期間外に開催される展示会費等

上記のように多くの対象経費には多くの区分がありますが、美容室に活用できる経費はどのようなものでしょうか?

ものづくり補助金の目的の一つとして、中小企業等の試作品開発の支援がありますので、たとえばサロンオリジナルのシャンプーを開発したいという場面で活用できます。また、低感染リスク型ビジネス枠では広告宣伝費や販売促進費も対象経費ですので、開発したシャンプーを大々的に宣伝したり、新たな販売経路を構築したりといった場合にも活用できます。

ものづくり補助金の美容室に関する採択事例

ここではものづくり補助金のこれまでの採択結果から、美容室に関する事例をピックアップして紹介します。事業計画策定の際の参考にしてください。

  • 訪問理美容サービスおける予約システムおよび営業管理システムの構築
  • 理美容業界のマーケティング・EC化を支援するプラットフォームの開発
  • 美容師厳選商品とサービスを非接触提供!薄毛ケア特化ECサイト開発
  • コロナ禍の美容室接客を非対面型に転換するIoT機器の導入
  • 美容店舗の顧客分析と商品提案にて新規EC事業構築と非対面事業拡大
  • 美容業界初の細粒な霧を噴霧するスプレーヤーの成形の初の国産化
  • 美容プロセス自働化!革新的な縮毛矯正技術の導入とコロナ対策
  • 最新設備を活用して美容院からトータルビューティ提供企業へ転換する取組
  • 美容室用染髪剤のwebカウンセリングを利用した非対面ビジネスモデル
  • 「For Menルーム」併設によるジェンダーレス美容サロンの整備

ものづくり補助金の注意点

ものづくり補助金を申請する際の注意点を紹介します。申請スケジュールや資金繰りなど申請の前に確認しておくべき点もあるので、無事に採択されるためにも次のポイントをチェックしてください。

事業計画の策定は手を抜かない

ものづくり補助金の申請に際して、最も重要なのは事業計画書です。様式は自由、A4サイズで、10ページ程度で作成するよう規定されています。

事業計画書には、これからどのような取り組みを行うのかを具体的に盛り込まなければなりません。ものづくり補助金をどのように使うのか、本当にその使途は事業に必要なのかを示す必要があるのです。

そのために、これから展開する事業が想定しているユーザーや市場規模、目標とする売上規模や付加価値額、給与支給総額等の算出根拠を記載し、説得力を持たせなくてはなりません。また、審査員にわかりやすく説明するためには、文字だけで説明するだけでなく、図や表を使う必要があります。

こうして聞くと事業計画書を作成するのは大変そうに感じるかもしれませんが、事業計画書の作成を疎かにすると採択率が下がります。ものづくり補助金の公式ホームページによると、事業計画書の作成時間が10時間以下だった場合の採択率は35%程度と極端に低くなっています。

ものづくり補助金の申請書の書き方については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

スケジュールは把握しておく

ものづくり補助金は1年を通して募集されており、約1ヶ月の審査期間を経て、3ヶ月ごとに採択発表が行われます。現在は第9次の公募が始まっており、次のようなスケジュールになっています。

  • 公募開始:令和3年11月11日
  • 応募締切:令和4年2月8日
  • 結果発表:令和4年3月末予定

事業計画書の作成に時間をかけた方が良いとお伝えしましたが、応募を検討する際には締切日から逆算して作成に取り掛かる必要があります。説得力のある事業計画書を作成するためにも、申請スケジュールは把握しておくようにしましょう。

GビズIDプライムアカウントを取得しておく

ものづくり補助金は、原則として補助金電子申請システム「jGrants」を活用した上での電子申請となります。jGrantsを利用するために必要になるのが、GビズIDと呼ばれる複数の行政サービスにアクセスできる認証システムです。

GビズIDには3種類のアカウントがあり、jGrantsを利用するには3種類のアカウントの内の「gBizIDプライム」が必要になります。gBizIDプライムの取得には2週間ほどの審査期間が設けられますので、ものづくり補助金の利用を検討するのであれば早めに申請するようにしてください。

資金繰りに気をつける

補助金制度は基本的に後払いシステムです。ものづくり補助金も後払いですので、補助事業期間中は事業者が補助事業に関する支出の全額を立て替えなくてはなりません。

たとえば、150万円の機械装置が必要な事業計画を立て、100万円の補助金を受けるケースで、差額の50万円だけ支払えばいいわけではなく、いったんは150万円の全額を事業者が支払わなければならないということです。

ですから、手元の資産はしっかりと把握しておく必要がありますし、経営を圧迫しないムリのない事業計画を立てる必要があります。また、機械装置の購入やシステムの導入は交付が決定した後に行わなければならず、交付前に行った取り組みは補助対象外となってしまうことには注意が必要です。

事業終了後の義務を果たす

ものづくり補助金は、補助事業を完遂させ、補助金を受け取ればそれで終わりではありません。受給後、会社全体の収益や補助事業の状況について5年間の報告義務があるのです。

また、補助金制度には収益(補助事業の収入から経費を引いた額)が発生している場合に、収益の一部、またはすべてを国庫に返納する「収益納付」というルールがあり、ものづくり補助金にも適用されています。

返納したくないからといって収益額をごまかした場合は、交付決定の取り消しや事業者名と不正内容の公表といった処置を取られますので、正直に報告するようにしましょう。

まとめ

ものづくり補助金を美容室でどう活用するか、また申請する際の注意点にいて解説しました。

新型コロナウイルスの休業要請の対象外ではあったものの、外出自粛に伴い客足が遠のき、経営が圧迫された美容室は多いと思います。ものづくり補助金は経営立て直しの一助となる補助金制度ですので、自社でどのように活用できるのか、今一度その可能性を探ってみてはいかがでしょうか?

事業計画書の作成が難しいと感じるのであれば、補助金申請の専門家に依頼する手もあります。専門家に依頼すると採択率が上がったり、受給できる補助金額が上がったりと多くのメリットがあるからです。

当社トライズコンサルティングは、採択後も補助金を受け取れるまでしっかりとサポートしており、ものづくり補助金では2019・2020年度採択率97%という高い採択率を誇ります。質の高い事業計画書の策定から猥雑な事務手続きまでサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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