【2023】建設機械導入にものづくり補助金を活用するポイントは?導入事例と採択のコツ

建設機械導入にものづくり補助金を活用

中小企業が機械を導入する際に利用する補助金といえば「ものづくり補助金」でしょう。製造業でしか利用できないと思われがちなものづくり補助金ですが、実は建設機械の導入にも利用することも可能です。

建設業界は労働人口の減少や競合との差別化のため、生産性及び品質の向上が喫緊の課題となっており、解決の手段として最新鋭の建設機械の導入が有効です。しかし、建設業界はIoTやDXの活用が他の業界以上に盛んであり、その技術も日進月歩、新しい建設機械は大変高額になっています。

そのため、そうした最新鋭の建設機械にはなかなか手が出せず、歯痒い思いをされている中小企業様もいらっしゃるでしょう。

今回は、そんな建設業を営む中小企業様の課題解決につながる建設機械を「ものづくり補助金」を活用して、負担少なく導入する方法を解説します。この記事を読んでいただくことで、建設業における「ものづくり補助金」の活用法を理解することができるでしょう。

ものづくり補助金とは

「ものづくり補助金」は、中小企業が革新的な商品やサービスを開発する際に必要となる投資に必要な資金の一部を支援する制度で、経済産業省が管轄する補助金です。補助金額1,000万円と中小企業向けとしては最大級の制度で、毎年多くの会社が申請しています。

補助対象者

「ものづくり補助金」の補助対象者は、日本国内に住所や補助事業の実施場所を有する者のうち、資本金か常勤の従業員数が次表の数字以下となる会社または個人です。

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

また、常勤の従業員数が次表の数字以下となる会社または個人のうち、資本金の額または出資の総額が10億円未満である特定事業者の一部も対象となります。

業種常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業500人
卸売業400人
サービス業または小売業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)300人
その他業種(上記以外)500人

これら以外でも、一部の組合や特定非営利活動法人、社会福祉法人も対象となる可能性があります。

申請要件

3〜5年の期間内に、次の3つの基本要件を満たす事業計画を策定することが申請の基本要件となっています。なお、計画で取り組む補助事業は、交付決定日から10〜12ヶ月ですべての手続きが完了するものである必要があります。

  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする
  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加

もしこれらの基本要件が未達の場合には、天災など事業者に責任のないような特別な理由がある場合を除いて、補助金の返還を求められます。また、「通常枠」以外の申請枠では、基本要件に加え、それぞれに設けられた追加の要件も満たす必要もあります。

申請枠

2023年2月現在、「ものづくり補助金」は、5つの申請枠で募集されており、それぞれの補助上限・補助率は次表のとおりとなっています。

申請枠補助上限補助率
通常枠750万円〜1,250万円1/2
2/3(小規模、再生事業者)
回復型賃上げ・雇用拡大枠750万円〜1,250万円2/3
デジタル枠750万円〜1,250万円2/3
グリーン枠エントリー:750万円〜1,250万円2/3
スタンダード
1,000万円〜2,000万円
アドバンス
2,000万円〜4,000万円
グローバル市場開拓枠3,000万円1/2
2/3(小規模事業者)

特に、大幅な賃上げに取り組む事業者については、従業員数に応じて100〜1,000万円補助上限を引き上げるなど支援が手厚くなっています。

補助対象経費

現在募集されている「ものづくり補助金」の補助対象となる経費は、次表の11区分と定められています。

機械装置・システム構築費1. 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査器具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費
2. 専ら補助事業のために使用される専門ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
3. 1.若しくは2.と一体で行う、改良・修繕または据付けに要する経費
技術導入費補助事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費
専門家経費補助事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
運搬費運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用に要する経費
原材料費試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
外注費新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
知的財産権等関連経費新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続き代行費用、外国特許出願のための翻訳料等の知的財産権等取得に関する経費
海外旅費海外事業の拡大・強化等を目的とした、補助事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費
通訳・翻訳費事業遂行に必要な通訳及び翻訳を依頼する場合に支払われる経費
広告宣伝・販売促進費補助事業で開発または提供する製品・サービスの海外展開に必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展等、ブランディング・プロモーションに係る経費

建設機械の導入にあたる経費は、主に「機械装置・システム構築費」となり、原則として消費税抜きで単価50万円以上の設備投資を行うことが必須要件となっています。また、建設機械の研修等を行う場合には、「技術導入費」や「専門家経費」で申請します。

最近では、クラウド上のサーバーと接続して使用するICTを搭載した建設機械も増えてきていることから、「クラウドサービス利用費」による経費計上も必要になるかもしれません。

ものづくり補助金の建設機械導入事例

ものづくり補助事業公式ホームページ」では、これから申請しようとする事業者にとっては大変有難いことに、過去の採択事例がデータベース化されています。ここでは、その中から建設機械を導入した事例を3つ紹介します。

3Dスキャナ・ドローンを導入したICT施工体制の構築

いち早くICT化に取り組んできたY社では、短納期化や高品質化により受注が増加していました。それに伴い、測量・設計工程の能力不足から顧客の依頼に応えられず、機械損失が発生していました。

そこで「ものづくり補助金」を活用し、3Dスキャナやドローンなどの建設機械を導入し、工程を大幅に短縮、人員増加なしで生産性を高めることに成功しました。

高性能舗装工事システム導入による施工技術の高精度化と競争力の強化

N社は、道路の舗装工事を中心に、高速道路や空港の滑走路など幅広く手掛けています。舗装工事に求められるものは、高い平坦性ですが、所有する建設機械の精度や施工速度の限界、人員不足という事態に直面していました。

この課題を解決するため、「ものづくり補助金」を活用し、アスファルトフィニッシャーを導入。ICTの活用により、高効率・高精度な施工を実現することができました。

i-con導入による施工管理の効率化と生産プロセスの改善

I社は「ものづくり補助金」を活用し、「i-Construction」に対応した3D建設機械を導入しました。

GPSの受信機を搭載し、衛星測位によって正確な位置情報を取得できる油圧ショベルのため、事前の丁張作業が不要になり、施工中に図面通りに作業が進んでいるか建機を停め、オペレーターが確認することなく作業が進められるようになりました。

また、ペイロード機能により、すくった土砂の重さをリアルタイムで正確に知ることが可能になり、トラックへの積載を効率良く行えるようになりました。

ものづくり補助金の受給までの流れ

続いて、「ものづくり補助金」を受給するまでの流れについて解説します。事前に大まかな流れを掴んでおくことで、申請作業がスムーズになるでしょう。

事業計画の策定

まずは、申請書類の準備を行います。

ものづくり補助金の申請に必要となる書類の多くは様式があり、決算書などすでに作成済みのものが多く、これらの作成は容易いでしょう。

問題は、事業計画の策定です。ものづくり補助金が採択されるか否かを決定づけるものですが、多くの事業者が事業計画書の作成を苦手としています。

ものづくり補助金では、計画書はA4サイズで10枚以内と定められており、少なくともその7〜8割以上は作成する必要があります。公募要領には、事業計画書作成の留意点が記載されていますので、それらを網羅した内容を作り込んでいきましょう。

電子申請システムから申請

事業計画を策定し、その他の添付書類を準備できたら申請作業に入ります。

しかし、一度逸る気持ちを抑え、申請に必要な書類が本当に揃っているか、改めて公募要領を見直しながらチェックしていきます。

ものづくり補助金をはじめ、多くの補助金に電子申請が取り入れられ、ネットが苦手という方は大変苦労されているようです。申請作業を始めてから書類の不足があって慌てないよう、しっかりと書類を揃えておきましょう。

補助事業の取組み

ものづくり補助金に採択されたら、できるだけ早く補助事業に取り組みましょう。補助金の受給を受けるためには、次の期間にすべての事業を完了する必要があります。

  • グローバル市場開拓枠:採択発表日から14ヶ月以内
  • それ以外の申請枠:採択発表日から12ヶ月以内

なお、補助事業の完了には、導入した建設機械の支払いも含まれています。資金繰りに窮しないよう、計画段階からキャッシュフロー計画を考えておきましょう。

また、当初計画していた補助事業の内容に変更がある場合は、事務局へ変更申請を提出しなくてはなりません。

実績報告の手続き

補助事業がすべて完了したら、速やかに実績報告を行いましょう。ものづくり補助金を使って実施した取り組みの成果を報告書にまとめて事務局に提出、承認されてはじめて補助金を受け取ることができます。

実績報告は、提出してすぐに承認されるということは少なく、何回か事務局とのやり取りを行い、徐々に修正して完了していくというスタイルが多くなっています。そのため、無事に補助金を受け取れるまで忍耐強く取り組む必要があります。

ものづくり補助金の申請における注意点

次に、ものづくり補助金を申請するにあたって注意しておかなければならないことにつついて解説します。ここでは特に、ものづくり補助金を申請した経験がない方に、事前に知っておいていただきたい3点をお伝えします。

すべて電子申請である

ものづくり補助金の申請には、「ものづくり補助事業公式ホームページ」から電子申請システムにアクセスして行わなければなりません。また、申請以外も、交付申請や変更申請、実績報告も電子申請になっています。そのため、紙の書類をスキャンして電子化する必要があります。

なお、電子申請には、「GビズID」が必要です。今後、事業のさまざまなシーンで使われるものであるため、早目に取得しておきましょう。「GビズID」のサイトで申請書を作成することで、無料で取得することが可能です。

採択率は高くない

近年のものづくり補助金の採択率は、約60%です。つまり、半数近い応募者はせっかく申請しても不採択となっているということになります。

さらに、採択者の中には、士業や民間のコンサルティング会社に相談している事業者もおり、自社のみで申請した事業者の採択率はさらに低くなっているでしょう。

補助金受給後も報告が必要である

ものづくり補助金は、実績報告が完了し、受給したら終わりの補助金ではありません。実は、受給後も3〜5年の事業期間において、事業化状況報告として毎年報告作業をすることが義務付けられています。

その中で、次の要件を満たしているかが確認され、未達の場合は補助金の返還求められます。

  • 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする

ものづくり補助金に採択されるポイント

最後に、貴社がものづくり補助金に採択されるために押さえておきたいポイントについて解説します。ここでは、事業計画に関係することとそれ以外について、合わせて4点お伝えします。

取り組みの革新性をアピールする

ものづくり補助金に採択されるには、建設機械を導入して行う取り組みが、いかに革新的であるかを計画書でアピールすることが重要です。

革新的といっても、国内や業界で初めてといったレベルの取り組みである必要はありません。貴社の商圏内で競合に打ち勝つために、まだ他社が取り組んでいないような内容でも、十分に革新的な取り組みになります。

建設機械の導入であれば、今はドローンとそれに連動する図面作成システムによる測量やIoT機能を搭載した重機の導入などIT・DXにつながるような取り組みが多くなっています。

数字や具体的根拠を示す

補助事業に取り組むにあたっての課題や効果、マーケット規模について、すべて数字や具体的根拠を示すことも大切です。

補助金は国等からの貴社に対する投資であり、その財源は税金です。一定以上の成果が見込める取り組みでないと支給することは許されず、それを事務局が確信するためには、数値や具体的根拠が欠かせません。

これには、貴社による社内外のデータの収集・分析が必要不可欠になります。現場ごとの収益性や作業員のフェーズごとの作業時間、外注・下請けへの依存度など補助事業に関連する社内データの分析を行い、事業計画に反映させます。社外のデータは、行政や調査機関の分析した一次データを活用することをおすすめします。

加点項目を満たす

加点項目とは、補助金を申請するのに必須ではないものの、満たすことで審査上の加点を受けることができる要件を指します。ものづくり補助金においても、次の4分類で加点項目が設定されています。

  1. 成長性加点:有効な期間の「経営革新計画」の承認を取得した事業者
  2. 政策加点:創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)、パートナーシップ構築宣言を行っている事業者など
  3. 災害等加点:有効な期間の「事業継続力強化計画」の認定を取得した事業者
  4. 賃上げ加点:事業計画期間における給与支給総額と事業場内最低賃金を一定以上とする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者など

なお、反対に減点項目もありますが、気をつけて回避できる要件でないため、あまり気にする必要はありません。

専門家にサポートを依頼する

ものづくり補助金の採択を受ける最も効果的な手段は、専門家へサポートを依頼することです。多くの士業や民間のコンサルティング会社が補助金の申請サポートをサービスとして提供しています。

こうした専門家は独自のノウハウを蓄積しているため、支援を受けることで採択可能性の高い事業計画の策定が可能になるでしょう。また、制度や手続きにも詳しく、スムーズな申請作業につながります。

注意点としては、悪質な業者も一部存在するため、相談に行く前に入念な調査をしなくてはならないという点が挙げられます。また、過去の採択実績も確認しておくことも重要です。最近ではホームページ等で実績を公開している業者も多いため、探してみてください。

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まとめ

建設機械の導入に使える補助金として「ものづくり補助金」の概要と採択事例を紹介しました。

今後間違いなく発生するであろう労働人口の減少やそれに伴う技術承継の課題を解決するため、最新鋭の建設機械の導入は避けては通れない道です。そんなとき、「ものづくり補助金」などの補助金を活用するノウハウがあれば、会社存続の危機に対して対応していくことが可能でしょう。

当社トライズコンサルティングでは、経営の発展に前向きな中小企業様をこれまで蓄積したノウハウを活用して、誠心誠意サポートします。ものづくり補助金の申請にお悩みの際には、お気軽にお問い合わせください。

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