【2024】事業再構築補助金の申請方法は?必要書類や手続きの流れをわかりやすく解説

事業再構築補助金の申請方法

2022年に創設された事業再構築補助金が、2023年も引き続き実施されることが決定しました。申請したいと考えてはいるものの、目まぐるしく変化する経済環境に合わせて、制度の内容も複雑化し、どのように手続きしたら良いかよくわからないという中小企業様もいらっしゃるでしょう。

今回は、中小企業でも最大5億円が受給できる「事業再構築補助金」の申請に必要な書類や手続きの流れについてわかりやすく解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、事業再構築補助金の申請をスムーズに行えるようになるでしょう。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナの経済社会に対応するため、中小企業・中堅企業等が経済産業省の示す「事業再構築方針」沿って取り組む、思い切った事業の転換を支援する制度です。2022年に創設され、毎回2万社を超える応募があったコロナ禍で最も注目を集めた支援施策です。

補助対象者

補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等です。中小企業者等とは、資本金または常勤の従業員数が次表の数字以下となる会社または個人事業者を指します。

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

ただし、次の1~5のいずれかに該当する場合は、「みなし大企業」となり対象外となります。なお、1~5の「大企業」の部分が「中堅企業」である場合には、「みなし中堅企業」として申請することが可能です。

  1. 発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
  2. 発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
  3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
  4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1~3に該当する中小企業者が所有している中小企業者
  5. 1~3に該当する中小企業者の役員または職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者

中堅企業等とは、次を満たす会社または個人事業者を指します。

  • 資本金の額または出資の総額が10億円未満の法人であること
  • 資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、従業員数(常勤)が2,000人以下であること

なお、応募申請時点において、確定している直近過去3年分の各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者は、中堅企業として申請することが可能です。

補助上限・補助率

2023年の事業再構築補助金は、6つの申請類型での募集が予定されています。申請類型それぞれの補助上限と補助率は次表のとおりです。

申請枠補助上限補助率
成長枠2,000万円
4,000万円
5,000万円
7,000万円
中小:1/2
中堅:1/3
グリーン成長枠エントリー 中小
・4,000万円
・6,000万円
・8,000万円
中堅:1億円
中小:1/2 中堅:1/3
スタンダード
中小:1億円
中堅:1.5億円
産業構造転換枠2,000万円
4,000万円
5,000万円
7,000万円
廃業を伴う場合2,000万円上乗せ
中小:2/3
中堅:1/2
サプライチェーン強靭化枠5億円中小:1/2
中堅:1/3
物価高騰対策・回復再生応援枠1,000万円
1,500万円
2,000万円
3,000万円
中小:2/3(一部3/4)
中堅:1/2(一部2/3)
最低賃金枠500万円
1,000万円
1,500万円
中小:3/4
中堅:2/3

2023年2月現在申請可能な事業再構築補助金の概要

2023年2月現在、既存予算の第9回公募が2023年1月16日(月)に開始され、2023年3月24日(金)応募締切で募集されています。2022年度(令和4年度)第二次補正予算にかかる公募は、3月下旬以降に実施される予定です。

事業再構築補助金申請に必要な準備

まずは、事業再構築補助金に申請する前に必要な準備について解説します。特に、気を付ける点として次の3点が挙げられます。

  • 申請要件の確認
  • 「GビズID」の取得
  • 「認定経営革新等支援機関」の選定

それぞれ詳細に解説していきましょう。

申請要件の確認

補助金は、その実施主体である国や自治体等によって、支援する目的や対象が異なっています。

貴社や貴社が取り組もうとしている事業が補助金の対象でない場合、どんなに効果的な計画であっても支援されることはありません。そのため、申請に取り掛かる前に、申請要件をよく確認しておくことが重要です。

事業再構築補助金のすべての申請枠に共通した必須要件は次のとおりです。

  • 事業計画を「認定経営革新等支援機関」や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上の増加または従業員一人当たりの付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上の増加

ただし、申請枠によっては、付加価値額増加の年率平均の数値が異なっていたり、追加の要件を満たさなくてはならなかったりすることもあるため、貴社の応募する申請枠の要件をくまなくチェックしておく必要があります。

なお、2022年度(令和4年度)第二次補正予算より、「コロナ以前に比べて売上高が10%以上減少したこと」の要件は撤廃されます。

「GビズID」の取得

事業再構築補助金の申請は、「jGrants」というシステムを利用した電子申請のみで受け付けられています。この電子申請を行うために必要になるのが「GビズID」です。

「GビズID」は、今後、事業者向けのさまざまな行政サービスでの活用が考えられているため、とりあえず取得しておいて損はありません。

「GビズID」の取得方法は、まずオフィシャルサイトにアクセスし、アカウント作成のページから「gBizIDプライム作成」をクリックします。そこから、メールアドレスや利用者情報の登録を行い、申請書を作成し、印刷・実印を押印、印鑑証明を添付して事務局へ郵送します。郵送後、1週間ほどでメールが届きますので、URLをクリックし、パスワードを設定すれば本登録完了です。

平常時では取得にそれほど時間がかかりませんが、補助金の応募締切近くになると事務局が混む可能性があります。また、以前取得した方でも、法人成りや代表者交代など変更が必要になる場合があるため注意しておきましょう。

認定経営革新等支援機関の選定

前述したとおり、事業再構築補助金の申請には、「認定経営革新等支援機関」と連携して事業に取り組むことが必須とされています。「認定経営革新等支援機関」とは、中小企業の相談先として高い専門性を持つことを国が認定した機関で、2020年10月現在で約37,000機関が登録されています。

「認定経営革新等支援機関」は、主に地銀や信金などの金融機関や商工会・商工会議所などの地域団体、税理士や行政書士、中小企業診断士などの士業、コンサルティング会社などの民間企業のようなさまざまな機関が登録されています。

どこも一長一短あり、どこと連携し、支援を受けるかによって採択される可能性も変わってくるため、「認定経営革新等支援機関」の選定は慎重に行いましょう。なお、「認定経営革新等支援機関」の検索には、中小企業庁の提供する「認定経営革新等支援機関検索システム」を利用するのが最も効率的でしょう。

事業再構築補助金申請手続きのスケジュール・流れ

続いて、事業再構築補助金の申請手続きを実際の流れに即して解説します。ここの内容をよく理解し、申請のおおまかなスケジュールを掴んでください。

申請書類を作成する

まず、申請書類には「既にあるものを準備する場合」と「一から作成していく場合」の2通りがあります。

たとえば、決算書や労働者名簿、「認定経営革新等支援機関」等に作成を依頼する確認書などは申請に際し、わざわざ貴社で作成しなくても用意できることでしょう。

問題となるのが、それ以外の貴社で作成する書類で、特にネックとなるのが事業計画書です。事業再構築補助金ではA4サイズの用紙で10〜15枚の事業計画書の作成が求められ、これを「認定経営革新等支援機関」と連携して作成します。あくまでの貴社自身の計画となるため、相談先に丸投げすることがないようにしましょう。

「jGrants」より申請する

事業計画や添付書類などが準備できたら、「jGrants」より申請作業を行います。前述した「GビズID」でログインし、マニュアルに沿って手続きを進めていきます。

このとき、自社が応募する申請枠に必要な添付書類を理解し、抜け漏れないように注意しましょう。事業再構築補助金では、書類不備で不採択となった事例が数多くあります。申請前の書類チェックは入念に行ってください。

また、締切直前は応募者が殺到するため、サーバーが混雑し、作業がなかなか進まないということもあり得ます。できるだけ早目に書類を揃え、申請を終わらせましょう。

「ネットでの申請は不安」という方もおられるでしょうが、「認定経営革新等支援機関」などのサポート機関はそういった面でもフォローがあるためご安心ください。

審査結果が公表される

事業再構築補助金は、過去の公募ではおおむね締切日から2ヶ月ほどで採択・不採択の結果が発表されてきました。採択となった事業者は、サイトに受付番号、商号または名称(法人番号含む)、事業計画名などが公表されます。

採択決定後、すぐに補助事業に取り組めるよう結果発表が近づいてきたら「認定経営革新等支援機関」に相談するようにしましょう。

補助金の交付申請を行う

採択通知後、補助金の交付内容を審査するため、交付申請を行います。交付申請の結果、補助対象として認められない経費が含まれていた場合、補助金額が減額される可能性があります。場合によっては、事業計画の変更も必要になる可能性があるため、採択後、速やかに取り掛かりましょう。

補助事業の取り組みを実施する

交付決定後は、速やかに補助事業に取り組みます。既存予算の事業再構築補助金では、「グリーン成長」で14ヶ月以内、それ以外の申請枠では12ヶ月以内で契約(発注)から実績報告書の提出をすべて完了する必要があります。

また、交付決定を受けた後、補助事業の経費の配分や内容自体を変更しようとする場合や補助事業そのものを中止、廃止もしくは他に承継させようとする場合には、事前に事務局の許可を得る必要があり、勝手な変更は許されません。

補助金の実績報告を行う

補助事業が完了した後は、その日から起算して30日を経過した日、または事業完了期限日のいずれか早い日までに実績報告書を提出しなければなりません。補助金は原則として後払いであり、実績報告が事務局に承認されない限り、支給されることはありません。

事業終了後のフォローアップを行う

事業再構築補助金は、補助金が入金されて終わりではありません。補助事業を完了した日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間(計6回)、補助事業に係る事業化等の状況を事務局に報告しなくてはなりません。

その他、事務局の実施する補助事業に関係する調査においても協力する必要もあり、報告が行われない場合には、補助金の交付取り消しや返還もあり得ます。

事業再構築補助金申請に必要な書類

最後に、事業再構築補助金に申請するために必要な書類について解説します。

制度開始直後は、申請者の10社に1社以上が添付書類の不足などによって審査されることなく不採択となってしまうということが起きていました。そういったことにならないよう、申請書類のチェックは入念に行いましょう。

事業計画書

事業計画書は補助金申請における最も重要な書類です。採択・不採択は、ほぼ事業計画書の中身が決めると考えて差し支えありません。

事業再構築補助金の場合、A4サイズの用紙で15枚以内、補助金額が1,500万円以下の場合は10枚以内で作成することが指示されています。フォーマットは自由ですが、公募要領に記載された審査項目をしっかりと押さえた内容でなければ採択されることは難しく、作成には「認定経営革新等支援機関」等のサポートが必須です。

認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

事業計画書の策定に「認定経営革新等支援機関」が関与していることを示す書類です。「認定経営革新等支援機関」に依頼して、発行してもらう必要があります。

確認書の発行には、時間を要する場合があるため、遅くとも応募期限の2週間前には依頼しておくことをおすすめします。特に、応募締切直前になると、他社の依頼も殺到するため、発行にさらに時間がかかってしまう可能性があります。

また、補助金額が3,000万円を超える場合は、「認定経営革新等支援機関」と併せて、金融機関の確認書の添付が必要となります。なお、金融機関が「認定経営革新等支援機関」を兼ねる場合は省略することが可能です。

経済産業省ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報

経済産業省の運営する「中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポplus」に「GビズID」でログインし、「電子サポート」で事業財務情報を入力します。

入力したら、ブラウザの印刷機能からPDF出力し、申請時に添付します。PDF作成時には、数字がきれいに収まっているか確認してから出力ください。

申請枠ごとの追加提出書類

事業再構築補助金では、申請類型ごとに追加で提出が必要な書類があります。次表に示すのは、既存予算における申請類型ごとの添付書類です。

申請類型添付書類ファイル名
大規模賃金引上枠賃金引上げ計画の表明書・賃上げ表明書(事業者名) 申請時点の直近月の事業場内最低賃金が明記され、補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3〜5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画を従業員等に表明していることがわかる書面
・賃金台帳の写し 直近の事業場内最低賃金で雇用している従業員全てが分かる賃金台帳(またはそれに相当する書類)
回復・再生応援枠2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、対2020年または2019年同月比で30%以上減少していること(または、2021年10月以降のいずれかの月の付加価値額が、対2020年または2019年同月比で45%以上減少していること)を示す書類公募要領の「別添1」を参照
回復・再生応援枠中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受けており、応募申請時において以下のいずれかに該当することを証明する書類
(1)再生計画等を「策定中」の者
(2)再生計画等を「策定済」かつ公募終了日から遡って3年以内に再生計画等が成立等した者
・中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等による確認書(事業者名)
最低賃金枠事業場内最低賃金を示す書類・最低賃金確認書(事業者名)
・賃金台帳の写し(事業者名) 最低賃金要件の対象となる3か月分、最低賃金+30円以内の従業員全てがわかる賃金台帳(またはそれに相当する書類)
グリーン成長枠研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書・研究開発・技術開発計画書(事業者名)
・人材育成計画書(事業者名) ※いずれか選択 2年以上の研究開発・技術開発または従業員の一定割合以上に対する人材育成を行うことについて明確に記載
グリーン成長枠 ※過去の公募回で採択されている事業者の場合  別事業要件および能力評価要件の説明書・別事業要件および能力評価要件の説明書(事業者名)
緊急対策枠足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019年〜2021年の同3ヶ月の売上高と比較して、10%以上減少している(または、2022年1月以降の連続する6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の合計付加価値額が、2019年〜2021年の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している)ことを示す書類公募要領の「別添1」を参照    
緊急対策枠原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていることを示す書類・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていることの宣誓書(事業者名)

なお、2022年度(令和4年度)第二次補正予算にかかる公募要領は、まだ公表されていません。

加点関係の追加提出書類

事業再構築補助金の申請で加点を受ける場合にも、追加書類が必要な項目があります。次表に示すのは、既存予算の加点項目の追加書類です。

加点項目ファイル名
2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年または2019年同月比で30%以 上減少していること(または、2021年10月以降のいずれかの月の付加価値額が、対2020年または2019年同月比で45%以上減少していること)を示す書類・売上高減少に係る証明書類(事業者名) (・付加価値額減少に係る証明書類(事業者名))
中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受けており、応 募申請時において以下のいずれかに該当することを証明する書類
(1)再生計画等を「策定中」の者
(2)再生計画等を「策定済」かつ公募終了日から遡って3年以内に再生計画等が 成立等した者
・中小企業等活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等による確認書(事業者名)
足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響※により、2022年1月以降のいずれかの月の売上高(または付加価値額)が、2019年〜2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少していることを示す書類
※原油・小麦等の価格高騰により仕入れに係る経費が増加した場合、ロシアの禁輸 制裁の影響でロシアへの輸出量が落ち込んだ場合等
・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けていることの宣誓書(事業者名)

「回復・再生応援枠」や「緊急対策枠」へ申請する場合の追加の書類提出は不要となっています。なお、2022年度(令和4年度)第二次補正予算にかかる公募要領は、2023年1月末現在公表されていません。

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まとめ

事業再構築補助金の申請の流れや必要な書類について解説しました。

複雑な手続きや準備が必要である反面、上手く活用することができれば、貴社の事業を一気に飛躍させる可能性がある制度です。ぜひ、良いパートナーを見つけ、取り組んでみてください。

当社トライズコンサルティングでは、事業再構築補助金の申請でお悩みの中小企業様からのご相談をお待ちしております。無料のご相談窓口もご用意しておりますので、お気軽にご連絡ください。

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