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【2022】小規模事業者持続化補助金は「建設業」でも使える?活用例・注意点・ポイント

建設業の小規模事業者持続化補助金

2018年の西日本を中心とした豪雨災害の復旧工事や2020年の東京オリンピックの建設需要により、建設業の景気はここ数年好調でした。しかし、新型コロナの感染拡大による景気の低迷や建設資材の価格高騰、働き方改革の推進など取り巻く環境は絶えず変化しています。

また、少子高齢化・建設業離れによる人材の不足や最低賃金引き上げによる人件費の利益圧迫など構造的な課題も抱えており、業界全体での対応が急務となっています。今回は、そのような建設業の課題解決の助けとなる「小規模事業者持続化補助金」を紹介します。

小規模事業者持続化補助金の申請要件

小規模事業者持続化補助金という名前は聞いたことはあるけれど、建設業でも使えるのかよくわからないという方も多いと思います。

結論をお伝えすると、建設業でも「小規模事業者持続化補助金」は使えます。税金を原資とした「補助金」ですので、対象者や対象となる経費の要件が細かく定められていますが、公序良俗等に反していなければ業種でNGということはありません。

補助対象者

申請の対象となるのは「小規模事業者」です。「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」 に業種ごとに常時使用する従業員の数によって次のとおり定義されています。

  • 宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業においては5名以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業においては20名以下
  • 製造業その他の業種で20名以下

建設業は「製造業その他の業種」に分類されるため、21人以上の従業員を常時使用していなければ対象になります。なお、2022年3月29日(火)から公募されている令和元年度・令和3年度補正予算での募集では、次の方は「常時使用する従業員数」に含めないものとされています。

  • (a).会社役員(従業員との兼務役員は「常時使用する従業員」に含まれます。)
  • (b).個人事業主本人および同居の親族従業員
  • (c).(申請時点で)育児休業中・介護休業中・傷病休業中または休職中の社員

     ※法令や社内就業規則等に基づいて休業・休職措置が適用されている者

  • (d).以下のいずれかの条件に該当する、パートタイム労働者等

     (d-1).日々雇い入れられる者、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者、または季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者(ただし、所定の期間を超えて引き続き雇用されている者は 「常時使用する従業員」に含まれます。)

     (d-2).所定労働時間が同一の事業所に雇用される「通常の従業員」の所定労働時間に比べて短い者

「通常の従業員」とは、社会通念の観点から、事業所において通常の従業員と判断される従業員を指し、その従業員より1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が4分の3以下である従業員をパートタイム労働者となります。

補助対象経費

対象事業者だからといって、支出したすべての経費が補助金の対象となるわけではありません。補助対象となるものは次に記載する経費であり、これ以外は対象外となります。

  1. 機械装置等費:補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
  2. 広報費:パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費
  3. ウェブサイト関連費:ウェブサイトやECサイト等の構築、更新、改修をするために要する経費
  4. 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む):新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費
  5. 旅費:補助事業計画(様式2)に基づく販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
  6. 開発費:新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザン、製造、改良、加工するために支払われる経費
  7. 資料購入費:補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費
  8. 雑役務費:補助事業計画(様式2)に基づいた販路開拓を行うために必要な業務・事務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費
  9. 借料:補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
  10. 設備処分費:販路開拓の取り組みを行うための作業スペースを拡大する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵 の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費
  11. 委託・外注費:上記1から10に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限ります。)

区分ごとに対象となる経費例と対象とならない経費例が公募要領に記載されていますのでご確認ください。なお、2022年度の公募では、「ウェブサイト関連費費」について次の制限があるため注意が必要です。

  • 補助金交付申請額の1/4が上限
  • ウェブサイト関連費のみによる申請不可

補助金の額は、対象経費に補助率を乗じた額の合計となります。ただし、申請枠ごとに設定された補助上限の金額を超えることはできません。

補助率・補助上限

令和元年度・令和3年度補正予算の募集では、今後、小規模事業者が複数年にわたって直面する働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入等に対応するため「通常枠」のほかに5つの「特別枠」を加えた6つの申請類型が準備されています。それぞれの補助率と補助上限額は次のとおりです。

申請枠補助率補助上限
通常枠2/350万円
賃金引上げ枠2/3 (赤字事業者については3/4)200万円
卒業枠2/3200万円
後継者支援枠2/3200万円
創業枠2/3200万円
インボイス枠2/3100万円

原則として補助率は2/3となっていますが、「賃金引上げ枠」については、赤字事業者の場合のみ3/4に引き上げられます。また、「特別枠」の補助上限は、「インボイス枠」が100万円、それ以外が200万円と例年同様の「通常枠」と比較して大幅に増額されています。

募集スケジュール

令和元年度・令和3年度補正予算の募集スケジュールは次のとおりです。

  • 第8回:2022年6月3日(金)
  • 第9回:2022年9月中旬
  • 第10回:2022年12月上旬
  • 第11回:2023年2年下旬

2022年5月末現在、初回の第8回の締切日のみが確定しており、以降はおおよそ3ヶ月ごとの募集となる予定です。

小規模事業者持続化補助金の申請から受給までの流れ

ここからは、実際の申請から補助金を受給するまでの流れについて解説します。実際に補助事業を進めるにあたっては、本業と同時進行しなくてはなりませんので、取り組みはかなりハードになります。全体の流れを把握しておくことで、補助事業をスムーズに進めることができます。

gBizIDプライムアカウントの取得

「gBizIDプライムアカウント」とは、複数の行政サービスにアクセスする共通の認証システムで、「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」などの申請や社会保険料の手続き、飲食店の営業許可申請などを行うことができます。無料ですが、取得までに時間を要しますので、補助金に申請することを決めたらすぐに手続きをしましょう。

経営計画・補助事業計画の作成

次に、補助金を使って何に取組むのか、売上や収益をどのように確保していくのかについて「経営計画」や「補助事業計画」に記載していきます。おおよそA4サイズの用紙6〜8ページほどの文量です。補助金の採否に最も影響がある部分であると同時に、補助金申請に慣れていない方の最大のネックでもあります。

事業支援計画書の作成依頼

「小規模事業者持続化補助金」の申請には、商工会議所または商工会が発行する「事業支援計画書」を添付する必要があります。申請書類一式を持参して、早目に作成依頼をしましょう。

jGrantsから申請

すべての書類が揃ったら、いよいよ申請です。申請には「jGrants」という申請システムを使い、ウェブ上で行います。取得した「gBizIDプライムアカウント」でログインし、手順書に沿って手続きを行っていきます。

採否の決定

申請した書類は審査され、採否が決定されます。直近の令和2年度第3次補正予算で実施された「低感染リスク型ビジネス枠」では、締切日から2ヶ月ほどで発表がありましたので、おおよそ、それくらいの期間を見込んでおけば良いでしょう。

補助事業の実施

採択決定後、計画に記載された補助事業に取り組みます。必要な設備を導入したり、宣伝広告を行ったり、売上を計上します。なお、採択決定前に実施され、支出された取り組みについては、計画に記載があったとしても補助対象外となることには注意が必要です。

実績報告の提出

補助事業に取り組んだ成果を報告書にまとめ、支出した経費の見積書や納品書等の書類を添付し、実績報告を行います。申請同様、「jGrants」等のシステムを通して補助金事務局とやり取りを行います。

補助金の受給

補助金事務局の実績報告確認が完了し、「確定通知書」が発行されれば、晴れて補助金が入金されます。「jGrants」から「精算払請求書」や振込先口座に必要事項を入力し、通帳のコピーを添付して請求します。

建設業における小規模事業者持続化補助金の活用例

「小規模事業者持続化補助金」は幅広い支出が対象となっており、さまざまな取り組みに対して補助金が支給されます。ここでは、建設業で考えられる活用例を紹介します。なお、ここに掲載する内容での採択を担保するものではありません。

ホームページや看板の設置、チラシの配布による情報発信

看板の設置やチラシの配布による宣伝広告は、「小規模事業者持続化補助金」の本道ともいうべき使途です。商品やサービスをPRして、受注獲得を目指す取り組みが対象になります。

なお、社名のみの看板など、商品・サービスの宣伝広告の掲載がない販促品は補助対象外となります。また、ウィズコロナ・アフターコロナを意識したオンライン商談のためのサイト構築という採択事例もありました。

商談スペースの改装や展示スペースの設置

顧客と商談するスペースを増加し、相談受付数を増加させることで、成約数も増加させるという採択事例があります。また、新築・リフォーム業者が事務所を改装し、施工例を展示するスペースとする取り組みも有効です。

顧客にとっては決して安い買い物ではないので、実際に目で見て、手で触れられる体験スペースにすることで、成約率の向上やアップセルによる単価の向上が期待できます。

ICT機器やドローンの導入による生産性向上

所謂「DX」が進んでいる業種の一つが建設業ともいわれており、GPSを搭載した重機やドローンでの測量、図面作成の自動化などその技術は日進月歩です。人手不足の解消や生産性の向上に向けて、こうしたICT機器やシステムの導入が小規模な建設業者の生き残りには必要になります。補助金を活用し、最新の設備を導入して、競合他社への競争優位を獲得しましょう。

建設業における小規模事業者持続化補助金の活用の注意点

ここまでの内容を読んで、申請してみたいという気持ちになられた方もいることでしょう。しかし、勇み足で進めてしまうと、本来の補助金の趣旨から外れた計画となってしまい、不採択となってしまいます。

続いては、「小規模事業者持続化補助金」を活用する際の建設業ならではの注意点について解説します。

売上の大半が公共事業

行政等が発注する公共事業の売上割合が大きい建設業者の場合、販路開拓による効果をどこまで見込めるかという点の説明が難しいかもしれません。どちらかというと、民間受注に向けた取り組みに対して支援されるという側面が強いと過去の採択事例から見て取れます。

公共事業中心の建設業者の場合、公共事業からの脱却や年度半ばなど閑散期となりがちな時期の民間受注の獲得などの取り組みなどが考えられます。

販路開拓が補助金の趣旨

「小規模事業者持続化補助金」の趣旨は、「小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取り組み」に対し、それに要する経費の一部を補助するというものです。

しかし、建設業が申請する場合、作業の生産性向上につながるような設備投資への支出が目的となりやすく、補助金の本来の趣旨とは異なった取り組みとなってしまうことが散見されます。設備投資は、「地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取り組み」の場合に認められています。

常時使用する従業員の人件費は対象外

臨時の雇い入れとみなされない、通常業務に従事させるための雇い入れに係る人件費は補助対象とはなりません。 人件費については、あくまでも補助事業期間内に計画に記載した取り組みを遂行するため雇い入れたアルバイト代などが対象となります。

また、実績報告の際に、作業日報や雇用契約書等の詳細な資料の提出が必要になります。

建設業における小規模事業者持続化補助金の活用のポイント

最後に、業種問わず補助金を活用する際のポイントを紹介します。特に、補助金申請が初めての方がつまずきやすい点を記載していますので、計画策定に取り掛かる前に一読ください。

早めに商工会議所・商工会へ相談する

前述したとおり、申請には商工会議所や商工会の発行する「事業支援計画書」の添付が必要になります。申請要件や作成した経営計画等の資料を職員が確認し、今後貴社をどのように支援していくのかを記載して作成されます。

そのため、資料を読み込む時間や書類作成の時間など、発行にある程度時間を要します。「事業支援計画書」の発行依頼の受付期限は次のとおりです。

  • 第8回:2022年5月27日(金)
  • 第9回:原則2022年9月上旬
  • 第10回:原則2022年12月上旬
  • 第11回:原則2023年2月中旬

申請期限が近くなると、他の事業者の発行依頼も増える恐れがあります。商工会議所や商工会では、申請要件のチェックや計画策定のアドバイスももらえますので、出来るだけ早目に相談してください。

必ず採択されるわけではない

「小規模事業者持続化補助金」は、申請した事業者すべてが採択されるわけではありません。申請された計画は審査員によって採点され、点数の高い順に採択となります。

採択率は年度によってバラつきはありますが、30%ほどのときもあれば、80%近いときもあります。なお、審査の基準は、募集要綱に記載されていますので、項目をしっかりと押さえて計画を作成することが採択までの一番の近道です。

補助金受給までの運転資金を確保する

補助金は、原則として後払いとなります。つまり、最大で50万円から200万円を貴社で一時立て替えておく必要があります。

補助金額だけで見るとそう多いとは感じませんが、キャッシュで200万円とは建設業の粗利益率がおおむね25%前後といわれていることに鑑みると、売上800万円の売上総利益に相当する金額です。補助金受給までのキャッシュフローを考え、必要に応じて金融機関へも相談しておきましょう。

まとめ

建設業での「小規模事業者持続化補助金」の活用について解説しました。

業種別の申請数では、建設業の採択割合は他の業種と比較して少なく、近隣の同業者でも利用したことのある事業者は多くないかもしれません。しかし、だからこそ、地域から頭ひとつ抜けるきっかけとなる可能性もあります。今回お伝えしたことを参考に、ぜひチャレンジしてみてください。

当社トライズコンサルティングでは、建設業の補助金獲得に知見のある専門家も在籍し、貴社の飛躍に必ずお役に立つことができます。相談は無料ですので、興味のある方は当社までお気軽にご連絡ください。

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