【2022】事業再構築補助金は「農業」でも活用できる?要件・採択事例・注意点

農業向けの事業再構築補助金

事業再構築補助金は、コロナ禍で収入が減少した事業者が事業を再構築する際に使える補助金です。

2021年12月現在、事業再構築補助金はすでに第3回公募まで終了しており、第2回公募までの分については採択結果も公表されています。その中には、農業を営む事業者についての事例も多数存在しており、農業経営者にとっても活用しやすい補助金であるといえるでしょう。

今回は、農業を営む事業者が事業再構築補助金を活用するポイントを解説するとともに、農業に関する採択事例も紹介します。

事業再構築補助金は農業でも使える?

事業再構築補助金は、農業を営む事業者であっても活用することができるのでしょうか?まずは、事業再構築補助金の基本を知っておきましょう。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新型コロナ禍で売り上げが減少した中小企業者などを支援するための補助金です。要件を満たして採択を受けることで、返済不要な補助金を国から受け取ることができます。

補助金の額は通常枠で最大8,000万円となっており、かなり大きな額の補助が受けられる可能性があります。

事業再構築補助金は農業でも採択の可能性がある

事業再構築補助金は、農業でも活用することが可能です。実際に、農業に関する採択事例も多く存在しています。

ただし、事業の再構築をするなど公募要件を満たすことに加え、採択されなければ補助金を受け取ることはできません。要件を満たせなければ、せっかく手間をかけて申請をしても採択されることはありませんので、まずは要件を満たすかどうかよく確認するようにしましょう。

自社が要件を満たすかどうか判断が難しい場合には、当社トライズコンサルティングまでお問い合わせください。

事業再構築補助金の申請の流れ

事業再構築補助金は、要件を満たして申請をしたからといって必ずしも受け取れるものではありません。また、採択されたからといってすぐにお金が振り込まれるわけではない点にも注意が必要です。

ここでは、事業再構築補助金で補助金を受け取るまでの流れを確認しましょう。

必要書類の準備をする

事業再構築補助金の申請には、事業計画書などの書類の提出が必要となります。これらの書類を自社のみで作成することは容易ではありませんので、中小企業診断士や行政書士などのサポートを受けつつ作成すると良いでしょう。

申請をする

必要な書類の準備ができたら、申請を行います。申請ができる期間は限られていますので、期限には特に注意してください。

なお、事業再構築補助金の申請は電子申請システムでのみとなっており、紙での提出は認められていません。申請をするには、原則としてGビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。

GビズIDとは、1つのIDやパスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスです。まだGビズIDを取得していない場合には、これを機に作成しておくと良いでしょう。

採択結果が通知される

公募期間の終了後、要件を満たした申請の中から審査がなされ、採択される事業が決定されます。採択さると、採択の通知がなされるほか、事業再構築補助金のホームページでも公表されます。

なお、この時点ではまだ補助金を受け取ることはできません。

補助事業を実施する

補助事業の採択がなされたら、申請した事業(必要な経費の支出)を実施します。この段階ではまだ補助金は受け取っていないため、自己資金や金融機関からの借り入れなど他の方法で資金を調達したうえで、事業を実施しなければなりません。

また、事業は所定の補助事業実施期間内に終える必要があります。

補助事業の実施報告をする

事業が無事に完了したら、実施内容を事業再構築補助金事務局へ報告します。対象経費ごとに、見積書や発注書、写真などの資料添付が必要です。

実際に支出をしていても資料が残っていなければ補助金を請求できない可能性がありますので、どのような資料が報告に必要となるのかあらかじめ確認したうえで、必ず保存するようにしましょう。

補助金の交付が決定され交付される

実施報告に問題がないと判断されれば、ようやく補助金を受け取ることが可能です。

一方で、実施の内容が当初の計画と異なっていたり、適切な報告をしなかったりすれば、採択を受けていても補助金が受け取れない場合もあります。

農業に事業再構築補助金を使うための要件

農業を営む事業者が事業再構築補助金を申請するためには、次の4つの要件をすべて満たさなければなりません。では、それぞれについて確認していきましょう。

新型コロナ禍で売り上げが減っていること

事業再構築補助金を受け取るためには、新型コロナ禍で売り上げが減少していなければなりません。そもそも、コロナ禍で売り上げが落ち込んだ事業者を支援するための補助金であるためです。

次の1と2の双方を満たすことで、コロナ禍で売り上げが減少したと判断されます。

  1. 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1月から3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
  2. 2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して5%以上減少していること

これらを満たすことができない場合であっても、次の要件を満たせば申請が可能です。

  1. 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヶ月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること
  2. 2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヶ月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること

新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編のいずれかに取り組むこと

事業再構築補助金を申請するには、その名称のとおり「事業再構築」に取り組まなければなりません。事業再構築は次の4つに分類できますので、それぞれ中身を見ていきましょう。

  • 新分野展開
  • 業態転換
  • 事業・業種転換
  • 事業再編

新分野展開とは

新分野展開とは、産業分類上の大分類である「主たる業種」または産業分類上の中分類、小分類にあたる「主たる事業」をいずれも変更することなく、新たな製品を製造したり新たな商品やサービスを提供したりすることにより、新たな市場に進出することをいいます。

業態転換とは

業態転換とは、製品や商品、サービスの製造方法または提供方法を相当程度変更することをいいます。

たとえば、事業者向けに商品を販売していた野菜農家が、オンラインショップを開設して一般消費者向けに商品販売を始めることなどがこれに該当します。

事業・業種転換とは

事業転換とは、新たな製品を製造したり新たな商品やサービスを提供したりすることにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいいます。また、業種転換とは、新たな製品を製造したり新たな商品やサービスを提供したりすることにより、主たる業種を変更することです。

事業再編とは

事業再編とは、合併や会社分割、事業譲渡などの会社法上の組織再編行為を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行うことをいいます。単に組織再編行為を行うのみでは要件を満たさないことには注意しましょう。

認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること

事業再構築補助金を受けるには、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とともに事業計画を策定しなければなりません。

認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。ある資格を持っているからといって必ずしも認定支援機関とされているわけではありませんが、税理士や税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などが登録していることが多いです。

中でも、補助金額が3,000万円を超える案件においては、金融機関が参加して事業計画を策定することが必要です。ただし、金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合には、金融機関のみで構いません。

策定する事業計画では、通常枠の場合、補助事業終了後3年から5年の期間で次のいずれかを達成する見込みであることが必要です。

  • 付加価値額の年率平均3.0%以上増加
  • 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加

中小企業者または中堅企業に該当すること

事業再構築補助金を受けるには、中小企業者または中堅企業等に該当しなければなりません。中小企業者の要件は業種によって異なります。

農業の場合には、次のいずれかの要件を満たす企業または個人が、中小企業者と認定されます。

  • 資本金が3億円以下であること
  • 常勤の従業員数が300人以下であること

なお、これらを満たす場合であっても、大企業の子会社など実質的に大企業とみなされる場合には、原則として補助金を受けることはできません。また、中小企業者に該当しない場合であっても、資本金の額等が10億円未満であるなど中堅企業に該当する場合などには、事業再構築補助金の対象となります。

事業再構築補助金の補助額や補助率はどのくらい?

事業再構築補助金の補助率は、通常枠の場合、次のとおりです。

  • 中小企業者等:3分の2(6,000 万円超は2分の1)
  • 中堅企業等:2分の1(4,000 万円超は3分の1)

通常枠の場合に受けられる補助金額は、従業員数によって次のとおりです。

従業員数補助金額(通常枠)
20人以下100万円~4,000万円
21人~50人100万円~6,000万円
51人以上100万円~8,000万円

農業経営者が事業再構築補助金を採択された具体的な事例

事業再構築補助金のホームページには、実際に採択された事例について概要が掲載されています。事業再構築の申請をお考えの方は、参考にすると良いでしょう。

ここでは、採択事例のうち農業に関する事例をピックアップして紹介します。

  • 農村内の遊休地に、リモートワークを行うことのできる、施設と住居を建設し、首都圏や大都市を拠点としているリモートワークが可能な会社員・フリーランス・個人事業主をターゲットとしてワーケーションを推進する事例
  • 馬鈴薯などの原料卸売り販売を行っている事業者が、製麺機などの加工設備を導入し、エンドユーザ―へ自社商品の直接販売を始める事例
  • 麦を自社で栽培している事業者が、自社製麦を使用して新たにパンの製造から販売までを実施する事例
  • 飲食店などへ卸していたイチゴ農家が新たにイチゴ狩りとイチゴ加工品の販売を開始する事例
  • 無農薬野菜卸売・直売を営む事業者が、新たにバーベキュー、キャンプ、農場貸与など無農薬野菜を軸としたアウトドアレジャー事業を展開する事例

他にも多くの事例が掲載されていますので、一読するだけでも参考になるかと思います。

農業経営者が事業再構築補助金を申請する際の注意点

農業経営者が事業再構築補助金を申請するにあたっては、次の点に注意しましょう。

必ずしも採択されるとは限らない

事業再構築補助金は、要件を満たして申請したからといって、必ずしも採択されるとは限りません。たとえば、第2回公募の採択結果は次のようになっています。

  • 申請件数:20,800件
  • 申請件数のうち要件を満たしていた件数:18,333件
  • 採択件数:9,336件

つまり、要件を満たした件数のうち、採択された件数は50.9%程度だということです。要件を満たしても約半数は採択がされていないことが現実ですので、あまりにも補助金に頼った事業計画を立ててしまうことのないよう注意しましょう。

採択後も報告などの手続きが必要となる

事業再構築補助金は、採択がされた時点ですべて完了ということではありません。

補助金を受け取るためには、採択後、事業の実施に関する報告などが必要となります。この報告手続きも煩雑であり、多くの証拠書類が必要です。

農地の取得費用は補助対象外

土地の購入費は、事業再構築補助金の補助対象外です。

農業を営む事業者が新たに土地を取得して事業再構築を行いたいと考える場合もあるかと思います。その場合であっても、土地の購入対価には補助金は支給されないことには注意してください。

農地の転用には別途農地法上の手続きが必要

農業を営む事業者が事業の再構築をするにあたっては、これまで農地として使っていた土地にレストランを建築したり、レジャー施設を建築したりしたいと考える場合もあるかと思います。

しかし、農地法の規制により、農地の自由な転用は認められていません。農地のある地域や転用しようとする施設などによっては、転用の申請をしても許可が下りないこともあるでしょう。

事業再構築補助金と農地法上の手続きは、まったく別ものです。事業再構築補助金が採択されたからといって農地転用の許可がおりるということではないことには注意が必要です。

補助金は後払い

事業再構築補助金は、事業実施後の後払いです。そのため、採択された事業を実施するためには、まず金融機関からの借り入れなど別の方法で資金を調達する必要があります。

その後、事業実施の報告をして補助金が交付された段階で、借入金を返済するという流れです。採択されたらすぐに補助金が受け取れるわけではないことを理解し、他の資金調達方法まであらかじめ検討しておく必要があります。

まとめ

新型コロナ禍で影響を受けた農業経営者は、少なくないでしょう。特に、飲食店向けに食材を提供していた事業者は、大きな打撃を受けたかもしれません。

事業再構築補助金は、農業を営む事業者様にとっても使いやすい補助金となっています。要件を満たせそうな場合には、ぜひ申請にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

しかし、事業再構築補助金を自社のみで申請することは容易ではありません。そのような際は、当社トライズコンサルティングを活用してみてください。

当社は、クライアント様に寄り添いながら限りなく高品質な事業計画書の策定を支援します。たとえば「ものづくり補助金」では、2019・2020年度採択率97%という高い補助金採択率を誇り、採択後も補助金を受け取れるまでしっかりとサポートしております。

また、代表の野竿は認定経営革新等支援機関として事業再構築補助金の申請サポートを実施しています。ぜひ当社をご利用いただき、新たな事業へ向けた確実な一歩を踏み出してはいかがでしょうか?

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