【2024】事業再構築補助金で変更申請は可能?手続きや注意点をわかりやすく解説

事業再構築補助金の変更申請

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・アフターコロナ下において、大きく変化した経済動向に対応するため、事業者が取り組む思い切った事業転換等を支援する補助金です。

事業類型によっては1億円以上の大きな支援が受けられる制度ですが、補助金額が大きい一方、申請から採択まで期間があるため、支出する経費を変更したいという場面もあるでしょう。また、自社や自社を取り巻く外部環境の変化により、急遽、予定していた補助事業を中止せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。

このような場合、当初予定していた計画を変更することはできるのでしょうか?今回は、事業再構築補助金の採択を受けた後にその内容を変更したいという事業者様に対して、変更申請について解説します。この記事を読むことで、変更申請の手続きや注意点を知ることができるでしょう。

事業再構築補助金の変更申請は可能

結論からお伝えすると、事業再構築補助金の採択後の変更申請は可能です。2023年(令和5年)6月9日(金)に改訂された「補助事業の手引き」によると、計画の変更に関して次のように記載があります。

“補助事業実施の必要上、やむを得ず補助事業の計画、購入する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)、補助事業実施場所、図面の変更、経費配分等に変更が生じる場合等(交付規定第12条に記載の変更内容の場合)は、あらかじめ「補助事業計画変更(等)承認申請書」<様式第3-1>を事務局に提出し、計画変更の承認を得なければなりません。”

また、計画の中止(廃止)についても次のとおり記載がされています。

“やむを得ない事情等により、補助事業を中止又は廃止する場合には、「補助事業中止(廃止)承認申請書」<様式第3-2>に必要事項を入力の上、Jグランツ上で申請して、補助事業の中止(廃止)の承認を得なければなりません。”

つまり、変更にせよ中止(廃止)にせよ、事務局に申請書を提出し、承認を受けさえすれば計画を変更することが可能ということです。なお、事後承認は認められていません。さらに、採択された事業者から他の事業者へ補助事業を承継することも可能とされています。

“補助事業実施の必要上、やむを得ず補助事業の実施を他の企業等に承継する場合には、承継する事業者が「補助事業承継承認申請書」<様式第3-3>に併せて「誓約書」<様式第3-3別紙>等を事務局に提出し、あらかじめ事業承継の承認を得なければなしません。”

補助事業を承継する場合も事後承認は認められません。加えて、審査に時間を要するため、早めの申請が求められています。やむを得ない理由により、破産・民事再生手続き等法的整理をする場合は、速やかに、コールセンターへご連絡ください。

事業再構築補助金の変更申請が必要な内容

具体的にどのような場合に、補助事業者は変更申請を求められるのでしょうか?独立行政法人中小企業基盤整備機構が公表する事業再構築補助金の交付規定には、次のように記載されています。

  1. 補助対象経費の区分ごとに配分された額を変更しようとするとき
  2. 交付申請時に補助事業により取得するとしていた主な資産(単価50万円(税抜)以上の建物、機械装置・システム等)を変更しようとするとき
  3. 補助事業の内容を変更しようとするとき
  4. 補助事業の全部若しくは一部を中止し、又は廃止しようとするとき
  5. 補助事業の実施場所を変更するとき
  6. 補助事業の全部又は一部を他に継承させようとするとき
  7. 破産手続き、民事再生法手続き等法的整理の手続きを行うとき(代理人による申請を含む。)

これらいずれかに該当する場合は、あらかじめ承認申請書を中小機構に提出し、その承認を受けなければならないとされています。

事業再構築補助金の変更申請の例外

事業再構築補助金の変更申請には、例外が存在します。ここでは、変更申請を必要としない2パターンを解説します。

各配分額の10%以内の流用増減

補助対象経費の区分ごとに配分された額を変更しようとする場合でも、流用額が各配分額の10%以内の増減であれば、変更申請は不要です。

たとえば、事業再構築補助金の申請時には、

  • 建物費:500万円
  • 機械装置・システム構築費:200万円

として事業計画を提出していたとします。しかし、諸般の事情により、建設を予定していた建物の一部分が不要であることが判明し、再度見積りをした結果、建物費は484万円となりました。また、導入を検討していた機械装置の原材料が高騰しており、機械装置・システム構築費は216万円となることが分かりました。

この場合、流用元である「建物費」と流用先である「機械装置・システム構築費」では、「機械装置・システム構築費」の方が金額が低いため、「機械装置・システム構築費」の増加分を計算して判断します。「機械装置・システム構築費」の増加は8%であり、10%以内となっているため、変更申請は不要と考えることができます。

なお、各配分額の10%以内の流用増減は変更申請は不要ですが、実績報告時にその履歴の提示が必要です。

軽微な変更

補助事業の内容を変更しようとする場合は、当然に変更申請が必要になりますが、その内容が軽微な変更の場合には不要とされています。交付規程には軽微な変更として、次の2点が記されています。

(ア)補助目的に変更をもたらすものではなく、かつ、補助事業者の自由な創意により、より能率的な補助目的達成に資するものと考えられる場合

(イ)補助目的及び事業能率に関係がない事業計画の細部の変更である場合

(ア)(イ)いずれの場合においても、補助事業の目的の変更を伴わない内容が対象とされています。

事務局からすれば、事業再構築補助金の事業計画に記載された経営目標の達成を支援するために採択を出しているのであり、それにつながるのであれば、細かい手段の変更は問わないということが読み取れます。

加えて、(ア)の場合、事業者の創意工夫によって達成までの道程を効率化するということなので、事務局としては特に言うことはないといったところでしょう。また、(イ)の場合、能率面が向上するものではないものの、いたずらに低下させるものではない変更が要件とされています。

10%以内の流用増減と異なり、数値で判定するものでないため、事業者で判断しかねるかもしれません。安易に考えず、事務局に相談してみるのが一番でしょう。

いずれにせよ、こういった変更が発生しないよう事業計画をしっかり練り込んで作り上げる必要があります。

事業再構築補助金の変更申請の手続き

事業再構築補助金の変更申請はどのように行う必要があるのでしょうか?ここでは、求められる手続きと書類について解説します。

計画変更承認の申請

変更申請が必要な変更に該当する場合は、指定された書類を準備し、事務局に提出する必要があります。自社の行おうとしている補助事業の変更がどのパターンに該当するのかを理解し、必要な書類を間違えないようにしましょう。なお、書類の提出には申請時と同様、「Jグランツ」によって行う必要があります。

提出が必要な書類

電子申請システムにアクセスして計画変更の申請に必要な書類を準備して、「Jグランツ」上で申請します。変更の理由ごとに提出が必要となる書類は次のとおりです。

購入する主な資産のうち機械装置等の変更及び経費配分等の場合

  1. 「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対照表)」<様式第3-1別紙1>
  2. 見積書及び相見積書(条件は、交付申請と同条件)

建物費にかかる変更及び取得する主な資産の変更

  1. 「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対照表)」<様式第3-1別紙1>
  2. 見積書及び相見積書(条件は、交付申請と同条件)
  3. 「補助対象経費により取得する建物に係る宣誓・同意書」<参考様式20-2>

補助事業の計画の変更の場合

  1. 「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対照表)」<様式第3-1別紙1>

補助事業実施体制の変更

  1. 「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対照表)」<様式第3-1別紙1>
  2. 連携先事業者の承認

補助事業実施場所の変更

  1. 「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対照表)」<様式第3-1別紙1>
  2. 「補助対象経費により取得する建物に係る宣誓・同意書」<参考様式20-2>

補助事業の実施を他の企業等に承継する場合

  1. 承継に関する当事者の契約書案の写し
  2. 承継者の経歴及び状況を示す事業概要所(補助事業者の概要書とパンフレット)
  3. 承継者の誓約書(別紙)
  4. 承継者の登記事項証明書
  5. 承継者の決算関係書類(直近2年分)
  6. 承継者の役員名簿(法人の場合)
  7. 承継者が現在実施している補助事業等に関する書類(事業名、実施期間、テーマ等)

これらの書類以外にも、別途書類を提出する必要がある場合があります。提出するタイミングは、補助事業を承継する場合には交付決定以降となり、それ以外は変更申請が必要となる事象が判明したとき、直ちにとされています。

事業再構築補助金の変更申請の注意点

事業再構築補助金において、条件付きではあるものの計画を変更することが可能であることをお伝えしました。ここでは、変更申請の注意点について解説します。

  • 変更が認められる保証はない
  • 変更できる期限がある
  • 事業の主旨が変わるものは認められない

変更が認められる保証はない

事業再構築補助金の補助事業の変更申請において、必ずしもすべての変更が承認されるわけではありません。手続きを行ったものの承認されず、最悪の場合せっかく手にした補助金の権利を失ってしまう可能性もあります。

できることなら変更することがないように計画策定の段階で綿密な計算を行っておく必要があるでしょう。あくまでも、予期せぬ事態が発生した場合の緊急的な措置と考えておき、最初から変更申請を当てにした甘い考えでの申請は危険です。

変更できる期限がある

事業再構築補助金の変更申請の第6回公募から第9回公募の締切が「補助事業の手引き」に次のように明記されています。第10回以降の締切も随時、ポータルサイトに掲載される予定です。

第6回公募

通常枠
回復・再生応援枠
最低賃金枠
大規模賃金引上枠
緊急対策枠
グリーン成長枠
計画変更(等)承認申請2023/9/292023/9/292023/11/29
中止承認申請
廃止承認申請
2023/11/142023/11/142024/1/14

第7回公募

通常枠
回復・再生応援枠
最低賃金枠
大規模賃金引上枠
緊急対策枠
グリーン成長枠
計画変更(等)承認申請2023/12/302023/12/302024/2/28
中止承認申請
廃止承認申請
2024/2/142024/2/142024/4/14

第8回公募

通常枠
回復・再生応援枠
最低賃金枠
大規模賃金引上枠
緊急対策枠
グリーン成長枠
 
計画変更(等)承認申請2024/4/252024/4/252024/6/20
中止承認申請
廃止承認申請
2024/6/52024/6/52024/8/5

第9回公募

通常枠 回復・再生応援枠最低賃金枠 大規模賃金引上枠 緊急対策枠グリーン成長枠
 
計画変更(等)承認申請2024/6/272024/6/272024/8/27
中止承認申請
廃止承認申請
2024/8/122024/8/122024/10/12

変更申請には大量の書類が必要になり、承認されるまでに時間も要します。補助事業完了の期限もあるため、採択が決定したらすぐに交付申請を行い、補助事業に取り組み、変更申請の必要が発生後速やかに手続きを行ってください。

事業の主旨が変わるものは認められない

事業再構築補助金の変更申請において、成果目標、事業の趣旨・目的等が変更される計画変更は認められていません。たとえば、特段の理由なく、建設する予定の建物の建設場所を変更し、商圏が変更になる場合などが該当します。

なぜなら、事業再構築補助金では、応募申請時の事業計画の審査を経て採択が決定されており、商圏が変わってしまえばそもそもの計画とはまったく異なった事業内容となり、審査の意味がなくなってしまうからです。経費の割り振りを変更する程度が認められるのであり、事業計画の本来の目的から逸脱する変更申請は認められません。

事業再構築補助金の変更申請はトライズコンサルティングにお任せください

当社トライズコンサルティングでは、事業再構築補助金採択後の変更申請のサポートにも対応しています。

代表の野竿は中小企業診断士として国の認定経営革新等支援機関にも登録されており、数多くの会社のコンサルタント経験を有しています。貴社の経営目標の達成に向けて事業計画の改善を提案し、より実効性の高い事業内容へのブラッシュアップをサポートいたします。

遠方の事業者様でも「Zoom」などの会議システムを用いた遠隔サポートで対応が可能です。まずはお電話またはメールでの無料相談から、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

事業再構築補助金の変更申請の手続きや注意点について解説しました。

事業計画の変更は可能ではあり、事務局もいくつかのパターンを想定して必要な要件や提出書類等を明示しています。変更は事前に事務局に認められる必要があり、自社の考えだけでの勝手な変更は認められていません。

また、手続きについても多くの書類を作成して提出したり、承認されるまでの待ち時間が存在するため、可能な限り早い段階で行ったりする必要があるでしょう。コア事業と並行して行うのは大変な労力であるため、手続きに慣れた専門家の登用を検討すると良いでしょう。

事業再構築補助金の採択後の補助事業実施にお悩みの事業者様は、ぜひ当社トライズコンサルティングまでご相談ください。制度を知り尽くしたトップコンサルが、貴社の経営の発展のためより良い事業運営をお手伝いいたします。

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