2024年度から、新たに「省力化投資補助金」が設けられました。これは、中小企業等が省力化(業務効率化)に寄与する製品を導入するにあたって、国が導入費用の一部を補填してくれる制度です。
ただし、省力化投資補助金は他の多くの補助金とは異なり、導入する省力化製品を中小企業が自由に選ぶものではありません。あらかじめ設けられた所定のカタログの中から、導入する製品を選ぶ仕組みとなっています。製品カタログの内容も充実してきているため、カタログに目を通すだけでも補助金活用のイメージが湧きやすくなるでしょう。
しかし、省力化投資補助金の申請をすべて自力で行えば多大な労力と時間を要し、本業に割くべきリソースを圧迫してしまいかねません。そのため、申請しようとする際は専門家による申請代行や申請サポートを活用するのがおすすめです。
では、省力化投資補助金の申請代行は、どの専門家に依頼すればよいのでしょうか?また、省力化投資補助金の申請は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?
今回は、2024年11月時点における省力化投資補助金の概要や要件を紹介するとともに、申請代行先の選び方や申請代行を活用するメリット・デメリットなどをくわしく解説します。
省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)が創設されます
「省力化投資補助金(中小企業省力化投資補助事業)」とは、2023年(令和5年)11月に公表された令和5年度補正予算により新たに創設が予定されている補助制度です。
中小企業の生産性向上などを後押しすることで、付加価値向上や賃上げにつなげることを目的としています。これまでにはなかった新しい補助金であるため、活用をご検討の際は今後公表される公募要領などをよく確認したうえで、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
省力化投資補助金は、中小企業の生産性向上などを後押しすることで、付加価値向上や賃上げにつなげることを目的としています。まったく新しい補助金制度であるため、活用をご検討の際は専門家のサポートを受けることをおすすめします。
省力化投資補助金の概要
省力化投資補助金は、どのような制度なのでしょうか?ここでは、省力化投資補助金の事業目的と事業概要などを解説します。
事業目的
省力化投資補助金の目的は、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることです。中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しし、この事業目的を達成するために、人手不足に悩む中小企業等に対して省力化投資を支援することとしています。
企業の「省力化」のみならず、「賃上げ」も目的とされていることがポイントです。「賃上げ」も目的の1つであることから、一定の賃上げ達成により補助上限額が上乗せされます。
事業概要
省力化投資補助金は、他の多くの補助金と異なり、自社で自由に投資対象の製品を選べるものではありません。IoTやロボットなどの人手不足解消に効果がある汎用製品が所定の「カタログ」に掲載されており、そのカタログの中から選択して導入する製品を選ぶ仕組みとされています。これにより、簡易で即効性がある省力化投資を促進することとされています。
補助対象となる製品
2024年4月30日、導入した場合に補助対象となる製品が掲載された「カタログ」が公表されました。このカタログは、2024年7月現在までに、複数回にわたって改訂されています。
省力化投資補助金の活用をご検討の際は、まずはこのカタログに目を通すとよいでしょう。カタログを確認することで、自社で導入したい製品が補助対象となっているか否かがわかるためです。
補助対象となる製品は、カテゴリごとに対象業種と対象業務プロセスが登録されています。2024年11月時点(最終更新:2024年11月5日)で登録されている機器カテゴリは、次のとおりです。
機器カテゴリ | 対象業種 | 対象業務プロセス |
---|---|---|
清掃ロボット | 飲食サービス業、宿泊業、製造業、卸売業、小売業、その他の事業サービス業、娯楽業 | 清掃業務 |
配膳ロボット | 飲食サービス業、宿泊業、製造業、卸売業 | 配膳業務、搬送業務 |
自動倉庫 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 保管・在庫管理、入出庫 |
検品・仕分システム | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫 |
無人搬送車(AGV・AMR) | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫 |
スチームコンベクションオーブン | 飲食サービス業、宿泊業、小売業 | 調理 |
券売機 | 飲食サービス業 | 注文受付 |
自動チェックイン機 | 宿泊業 | 受付案内、予約管理、請求・支払、顧客対応 |
自動精算機 | 飲食サービス業、小売業 | 請求・支払 |
タブレット型給油許可システム | 小売業 | 給油 |
オートラベラー | 倉庫業、製造業、卸売業、小売業 | 加工・生産、梱包・加工、 保管・在庫管理 |
飲料補充ロボット | 小売業 | 飲料補充業務 |
デジタル紙面色校正装置 | 印刷・同関連業 | 印刷 |
測量機 | 建設業、専門・技術サービス業 | 調査・測量、施工、検査 |
丁合機 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 加工・生産、梱包・加工、出荷、販売・納品 |
印刷用紙高積装置 | 印刷・同関連業 | 印刷 |
インキ自動計量装置 | 印刷・同関連業 | 印刷 |
段ボール製箱機 | 製造業 | 加工・生産 |
近赤外線センサ式プラスチック材質選別機 | 製造業、廃棄物処理業、卸売業 | 分別業務 |
デジタル加飾機 | 製造業 | 加工・生産 |
印刷紙面検査装置 | 製造業 | 検査 |
鋳物用自動バリ取り装置 | 製造業 | 加工・生産 |
自動調色システム | サービス業(他に分類されないもの)、小売業 | アフターサービス |
蛍光X線膜厚測定器 | 製造業 | 検査 |
自動裁断機 | 製造業 | 加工・生産 |
原材料自動計量混合搬送装置 | 製造業 | 加工・生産 |
トムソン加工自動カス取り 装置 | 製造業、印刷・同関連業 | 製造業:加工・生産 印刷・同関連業:印刷 |
印刷用紙反転機 | 印刷・同関連業 | 印刷 |
5軸制御マシニングセンタ | 製造業 | 加工・生産 |
自動車向け溶接機(スポット溶接機) | 自動車整備業 | 整備・修理 |
自動車向け溶接機(パルス制御溶接機) | 自動車整備業 | 整備・修理 |
産業用枚葉デジタル印刷機 | 印刷・同関連業 | 印刷 |
省力化投資補助金を受給するには、自社の業種と業務プロセスに合った機器を導入しなければなりません。
たとえば、製造業を営む企業が社員食堂での支払いのために自動精算機を導入しても、原則として補助対象外です。
同様に、卸売業を営む企業が段ボール製箱機を導入しても、補助対象とはなりません。
省力化投資補助金の受給を希望する際は、その機器が自社の業務で補助対象となるかどうか、あらかじめよくご確認ください。
また、製品カタログは機器カテゴリが追加されるのみならず、ときには登録済みの機器カテゴリに対象業種や対象業務プロセスが追加・修正されることもあります。
そのため、申請する前には必ず最新情報をご確認ください。
なお、当社トライズコンサルティングでは、自社の取り扱っている機器やシステムなどについて、省力化投資補助金のカタログへの登録を希望する事業者様のサポートも行っています。
カタログへの登録をご希望の事業者様は、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
カタログへの登録申請は、2024年11月現在、随時募集されています。
申請要件
省力化投資補助金を受給するための主な申請要件は、次のとおりです。
- 補助事業終了後3年間毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)3.0%以上向上させる事業計画を策定すること
- 導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち少なくとも1つ以上が、補助事業者の営む事業の業種と合致すること
- カタログに登録された価格以内の製品本体価格・導入経費を補助対象として事業計画に組み込むこと(補助額の範囲外で、自費により経費を追加することは認められる)
- 省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に供する事業ではないこと
- 労働生産性の向上に係る目標を合理的に達成することが可能な事業計画に沿って実施されること
- 効果報告期間が終了するまでの間、省力化製品の導入を契機として、自然退職や自己都合退職によらない従業員の解雇を積極的に行わないこと
- 補助額が500万円を超える場合は、所定の保険へ加入すること
- 既に所有する製品の置き換えを行うものではないこと
ほかにも、補助対象事業や申請者について細かな要件が設けられています。
自社の計画している設備投資が省力化投資補助金の対象となるか否か確認したい場合には、当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
省力化投資補助金の補助対象外となるケース
省力化投資補助金の補助対象外となるのは、どのようなケースなのでしょうか?ここでは、補助対象とはならない主なケースを3つ紹介します。
省力化製品を登録されている業種・業務プロセス以外の用途に供する場合
省力化投資補助金の製品は、その製品カタログごとに対象事業や対象となる業務プロセスが設定されています。
たとえば、「清掃ロボット」の製品カテゴリに登録された製品が補助対象となるのは「宿泊業」または「飲食サービス業」が、「施設管理」のために導入する場合に限られます。そのため、たとえば製造業を営む企業が工場内を清掃するために「清掃ロボット」のカテゴリに登録された製品を導入しても、省力化投資補助金の補助対象とはなりません。
省力化投資補助金を活用しようとする際は、導入しようとする製品がカテゴリごとに決められた業種や業務プロセスに当てはまっていることを確認しておきましょう。
資産運用的性格の強い事業である場合
資産運用的な性格が強い事業や実質的な労働を伴わない事業は、省力化投資補助金の補助対象外です。たとえば、次の事業は補助対象外とされています。
- 不動産賃貸(寮を含む)
- 駐車場経営
- 暗号資産のマイニング
補助対象として不適格とされる一定の事業である場合
次の事業は、補助対象外となります。
- 建築または購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
- 取り組む事業が1次産業(農業・林業・漁業)である事業
- 主として従業員の解雇を通じて労働生産性を向上させる事業
- 公序良俗に反する事業
- 法令に違反する及び違反する恐れがある事業並びに消費者保護の観点から不適切であると認められる事業
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に規定された一定の事業
- 暴力団または暴力団員と関係がある中小企業等による事業
- 申請時に虚偽の内容を含む事業
- その他制度趣旨や公募要領にそぐわない事業
省力化投資補助金の受給対象としたい事業が補助対象となるかどうかわからない場合には、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。
省力化投資補助金の補助上限額と補助率
省力化投資補助金の補助上限額は、従業員数に応じてそれぞれ次のとおりです。補助率は従業員数や賃上げ目標達成の有無にかかわらず、一律で2分の1とされています。
枠・申請類型 | 従業員数 | 補助上限額 (原則) | 補助上限額 (賃上げ要件達成時) |
---|---|---|---|
省力化投資補助枠(カタログ型) | 5名以下 | 200万円 | 300万円 |
6~20名 | 500万円 | 750万円 | |
21名以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
先ほど解説したように、省力化投資補助金は省力化の結果として賃上げにつなげることが目的とされています。そのため、一定の賃上げ要件を達成した事業者への補助上限額が増額される措置が取られています。
補助上限額の引き上げが受けられる賃上げとは、次の3つをすべて満たすものを指します。
- 事業場内最低賃金を45円以上増加させること
- 給与支給総額を 6%以上増加させること
- 申請時に、賃金引き上げ計画を従業員に表明すること
申請時には、これらを達成する見込みであることを示す事業計画をもって、採択・不採択が判断されます。ただし、その後正当な理由なく賃上げ目標を達成できなかった場合は、補助金が減額されます。
省力化投資補助金を活用するメリット
省力化投資補助金を活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、企業が省力化投資補助金を活用する主なメリットを3つ解説します。
返済不要なまとまった資金が得られる
省力化投資補助金に申請して採択されると、返済不要なまとまった事業資金を受け取ることができます。
そのため、省力化製品への思い切った投資がしやすくなり、事業の成長スピードを早めることができるでしょう。
この点が、省力化投資補助金を活用する最大のメリットです。
専門家からコンサルティングを受けるきっかけになる
省力化投資補助金を活用する際は、コンサルタントなどの専門家にサポートを依頼することが多いでしょう。
専門家にサポートを依頼した場合、専門家は単に事業者様が立てた計画を書面に落とし込むだけではなく、事業計画を練り込むコンサルティングを行うことが一般的です。
なぜなら、多くの申請の中で採択を勝ち取るためには、要件を満たし、かつ精度の高い事業計画を策定する必要があるためです。
専門家からコンサルティングを受けて作成した事業計画は採択への近道となるのみならず、今後の事業運営を行う中での羅針盤ともなるでしょう。
自社の事業と真剣に向き合うきっかけになる
1つ上でも解説したとおり、省力化投資補助金を申請する際は、事業計画の練り込みが必要となります。
全体の整合性が取れていない計画や必要な検討が漏れている計画などでは、採択が遠のいてしまうためです。
そのため、省力化投資補助金の申請にあたっては、自社の事業内容や事業計画などと向き合う必要が生じます。
これにより、自社の強みや弱み、目指すべき方向性などを検討するきっかけとなり、さらなる飛躍につながる効果が期待できます。
省力化投資補助金で申請代行が利用される理由
省力化投資補助金を申請する際は、専門家による申請代行や申請サポートを活用するのがおすすめです。ここでは、省力化投資補助金の申請で申請代行や申請サポートが利用される主な理由を3つ紹介します。
- 申請にかける時間と労力の捻出が大変だから
- 公募要領に沿った書類を自社で作成する自信がないから
- 申請内容についてコンサルティングやアドバイスを受けたいから
申請にかける時間と労力の捻出が大変だから
1つ目は、申請にかける時間と労力を自社で捻出することが大変であるからです。省力化投資補助金を申請するには、次のステップなどを踏まなければなりません。
- 公募要領を読み込んで補助制度の内容を理解する
- 自社が申請要件を満たしているか否かを確認する
- 公募スケジュールを確認する
- 申請内容を十分に検討して、練り込む
- 申請書類を作成する
- 期限内に電子申請する
忙しい事業者様が、これらをすべて自社で行うことは容易ではないでしょう。自社でかける時間と労力を削減したい場合は、申請代行や申請サポートの活用を検討します。
公募要領に沿った書類を自社で作成する自信がないから
2つ目は、公募要領に沿った書類を自社で作成する自信がないからです。
補助金制度はそれぞれ、公募要領で申請要件や作成すべき書類の要件などが定められています。せっかく時間や労力をかけても、必要な書類が不足していたり作成した書類が要件を満たさない内容であったりすれば、門前払いとなってしまいます。
そのため、申請時には公募要領を読み込んで理解したうえで、要件を満たす書類を慎重に作成しなければなりません。これを自社で行うことが難しい場合は、申請代行や申請サポートの活用を検討します。
申請内容についてコンサルティングやアドバイスを受けたいから
3つ目は、申請内容についてコンサルティングやアドバイスを受けたいからです。
省力化投資補助金は要件を満たして申請したからといって必ず受給できるものではなく、多数の申請の中から選ばれなければなりません。選ばれる(採択される)基準は運や「早い者勝ち」ではなく、その事業計画が補助対象として相応しいか否かです。
補助金は税金を交付するものである以上、単にばら撒くのではなく、できるだけ有効に使ってくれる(ひいては、将来の税収増加につながる)事業だけに支給するのは当然といえるでしょう。
そのため、申請する際は事業計画を練り込み、一定の成果を示さなければなりません。この事業計画の練り込みを自社だけで行うことが難しい場合は、専門家に依頼してコンサルティングやアドバイスを受けることとなります。
省力化投資補助金の申請代行を利用するメリット
省力化投資補助金の申請で、申請代行や申請サポートを活用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、申請代行を活用する主なメリットを4つ解説します。
- 本業に注力しやすくなる
- 公募要領に即した書類が作成できる
- 採択の可能性を高められる
- 期限内に申請しやすくなる
本業に注力しやすくなる
省力化投資補助金の申請にあたって専門家による申請代行や申請サポートを受けることで、自社でかける時間や労力を大きく削減することが可能となります。その結果、本業に注力しつつも補助金申請をすることが可能となります。
公募要領に即した書類が作成できる
専門家に申請代行や申請サポートを依頼することで、公募要領に即した書類が作成できます。専門家は公募要領を読み込み、申請要件を熟知しているためです。
採択の可能性を高められる
専門家に申請代行や申請サポートを依頼することで、補助金に採択される可能性を高めることが可能となります。専門家に依頼したからといって、そのこと自体が加点項目となるわけではありません。
しかし、信頼できる専門家からコンサルティングを受けて申請内容を練り込むことで事業計画の精度が高まり、結果的に採択の可能性を高める効果が期待できます。
期限内に申請しやすくなる
専門家に申請代行や申請サポートを依頼することで、締切に間に合わせやすくなります。自社だけで申請しようとした場合、本業が忙しくなり補助金申請を後回しにしてしまい、気付いた時には締切を過ぎていたなどの事態が生じやすくなるでしょう。
専門家からサポートを受けた場合は専門家側で期限管理をしてくれるため、申請期限に間に合わせやすくなります。
省力化投資補助金の申請代行を利用するデメリット
省力化投資補助金の申請にあたって申請代行を活用することには、デメリットもあります。ここでは、主なデメリットを2つ紹介します。
- 費用がかかる
- 依頼する専門家の選定に悩むことがある
費用がかかる
1つ目は、専門家報酬がかかることです。
専門家に省力化投資補助金の申請代行や申請サポートを依頼する場合は、専門家に報酬を支払わなければなりません。報酬を支払うタイミングは依頼先によって異なるものの、着手金と成功報酬の2段階としていることが多いといえます。
- 着手金:採択・不採択に関わらず、専門家への依頼時点で支払う報酬。定額制であることが多い
- 成功報酬:採択された時点で、追加で発生する報酬。採択額の〇%などの定め方をされることが多い
具体的な報酬体系や報酬額は専門家によって異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
依頼する専門家の選定に悩むことがある
2つ目は、誰に依頼すべきか、選定に悩みがちであることです。
過去に補助金申請を依頼した場合でない限り、補助金申請の専門家が身近にいるケースはさほど多くないでしょう。
また、補助金に関する知識や経験は、専門家によって大きく異なります。よい専門家に依頼すれば採択を勝ち取りやすくなる反面、知識や経験が乏しい相手に依頼してしまえば、採択が遠のいてしまうかもしれません。
依頼する専門家を選ぶポイントは、次でくわしく解説します。
省力化投資補助金の申請代行の選び方
省力化投資補助金の申請代行や申請サポート先の選定が、補助金申請の明暗を分けるといっても過言ではないでしょう。ここでは、申請代行先を選ぶ主な視点とポイントを解説します。
- 保有資格
- 専門性や実績
- 費用
- 相談や打ち合わせの利便性
保有資格
1つ目は、専門家の保有資格です。
省力化投資補助金の申請代行や申請サポートは、中小企業診断士や行政書士、税理士のほか、特に国家資格を有していない民間のコンサルタントなどが行っています。それぞれ、概要は次のとおりです。
- 中小企業診断士:経営コンサルタントの国家資格。コンサルティングや事業計画の策定支援などを得意としている。補助金申請を取り扱っていることが多い
- 行政書士:官公署に提出する書類や権利義務関係の書類作成を行う国家資格。業務範囲が非常に広く、補助金に強い事務所がある一方で一切取り扱っていない事務所も少なくない
- 税理士:税の専門家。補助金サポートの有無は事務所によって異なる。また、顧問先に限定して補助金申請サポートをすることも多い
- 民間コンサルタント:非常に優秀で補助金に特化した者がいる一方で、悪質な業者が混じっている可能性もあるため見極めが重要
それぞれ特徴が異なるため、概要を理解したうえで依頼先を検討するとよいでしょう。
専門性や実績
2つ目は、専門性や実績です。
補助金業務を担う主な資格者を先ほど紹介したものの、ある資格を有しているからといって補助金申請に強いとは限りません。そのため、保有資格だけで専門家を選ぶのではなく、個々の専門家の専門性や実績の確認が不可欠です。
省力化投資補助金は2024年度に新たにできた補助金であり第1回目の公募が開始されたばかりであることから、2024年6月時点で採択実績のある専門家は一人もいないはずです。しかし、補助金には共通する部分も多いため、ものづくり補助金や事業再構築補助金、IT導入補助金など、他の補助金のサポート実績が参考となるでしょう。
専門家の実績はどこかにまとめて公表されているわけではないものの、各専門家のホームページで実績が公表されていることも少なくありません。また、専門家に直接質問することで、教えてもらえることもあります。
一概にはいえないものの、補助金に関する過去の実績を聞いた際に口ごもったりごまかしたりする専門家は、依頼を避けた方がよいかもしれません。
費用
3つ目は、費用です。
報酬が高すぎる専門家への依頼はおすすめできません。専門家報酬が高すぎれば、本来の目的に使える補助金が減ってしまうためです。
一方で、報酬の安さだけで専門家を選ぶことは、避けるべきです。なぜなら、専門家であるからといって、事業計画書が瞬時に作成できるわけではないためです。
責任を持って補助金の申請代行や申請サポートをするためには個々の案件と時間をかけて向き合う必要があり、これには相応の報酬が必要となります。そうであるにも関わらず、他の専門家より非常に安い費用である場合は、依頼するか否か慎重に検討すべきでしょう。
たとえ安価であっても、自信のない専門家に依頼したことで結果的に採択が遠のいてしまうようでは、本末転倒です。
相談や打ち合わせの利便性
4つ目は、相談や打ち合わせの利便性です。
補助金の申請代行や申請サポートを依頼したからといってすべてを専門家に「丸投げ」できるわけではなく、複数回の打ち合わせが必要となることが一般的です。そのため、特に忙しい事業者様は、打ち合わせの利便性も確認しておくことをおすすめします。
たとえば、打ち合わせ時に毎回専門家の事務所まで出向く必要があるのか、自社に訪問してもらえるのか、Zoomなどのオンラインツールで可能なのかなどです。
省力化投資補助金を活用する流れ
省力化投資補助金の活用は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?ここでは、省力化補助金を活用する基本の流れについて解説します。
事前準備(事業計画の策定)
はじめに、事業計画の策定など事前準備を行います。事前準備は、補助金の受給を希望する中小企業と製品の販売事業者が共同して行うこととされています。
このステップを自社や販売事業者だけで行うことが困難な場合は、専門家にサポートを依頼するとよいでしょう。この段階では、主に次の3つを行います。
カタログからの選択
1つ目は、カタログからの選択です。
事業再構築補助金は、所定のカタログの中から投資する製品を選ばなければなりません。
最新のカタログから、投資する製品を選定しましょう。
人手不足の状態にあることの確認
2つ目は、人手不足の状態にあることの確認です。
省力化投資補助金の申請では、省力化を進める必要があることを示さなければなりません。具体的には、次のうちから該当するものを1つ選択することとなります。
- 限られた人手で業務を遂行するため、直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている
- 整理解雇に依らない離職・退職によって、従業員が前年度比で5%以上減少している(ただし、「常時使用する従業員」ではない者が主体の事業者については、従業員数を総労働時間で代替し、「直近1年間のうち、月の総労働時間が前年同月比で5%以上減少していること」でも可とする
- 採用活動を行い求人を掲載したものの、充足には至らなかった
- その他、省力化を推し進める必要に迫られている
なお、「4」は例外的な扱いです。「4」の場合は省力化投資の必要性がより厳格に審査されることとなる旨や、追加資料が求められたり審査結果の通知が大幅に遅れたりすることがある旨が、公募要領で明記されています。
省力化を進めるための計画作成
3つ目は、省力化を進めるための計画作成です。
計画では、カタログから選んだ製品を用いて労働生産性の向上目標を達成する見込みであることを示さなければなりません。事業計画の申請にあたっては、次の3点についての説明が必要です。
- 導入製品の使用方法について
- 製品の導入により期待される省力化の効果
- 省力化により既存業務から抽出できると期待される時間・人員の使途
また、所定の賃上げを行う場合は補助金を申請する企業が従業員に対して表明するとともに、事業計画の提出とともに申請する必要があります。
交付申請
事前準備をしたら、公募期間内に交付申請をします。交付申請は、補助金の受給を希望する中小企業と販売事業者が共同事業体となる旨の取り決めに同意したうえで、申請受付システムを通じて行います。
なお、このとき提出する決算や賃金に関する情報は、その時点で期末を迎えている直近1年間の事業年度の値と、直近月の値を用いることとされています。
採択通知・交付決定
中小機構による審査を経て、採択事業者が決定されます。多くの補助金では、採択を受けた後であらためて交付申請をして、交付決定を受けなければなりません。
一方、省力化投資補助金では、採択と同時に交付決定が行われることとされています。
採択通知や交付決定は、申請受付システムによって通知されます。
補助事業期間
交付決定から原則として12か月間が、補助事業期間となります。この間に補助事業を実施して、実績報告の提出をすることで補助事業期間が終了します。
なお、補助額が500万円以上となる場合は、事業計画期間終了までの間の火災保険加入が必須となり、実績報告時に保険や共済への加入を示す書類を提出しなければなりません。また、補助額が500万円未満の事業者についても、加入が強く推奨されています。
補助額の確定・補助金の支払い
実績報告を提出すると事務局で審査がなされ、補助額が確定されます。補助額の確定後は、補助事業者が事務局に対して支払請求を行うことで、補助金が支払われます。
効果報告期間
補助事業終了後も、定期的に効果報告を行わなければなりません。効果報告は、毎年度4月から6月までの間に行います。
効果報告期間は5年間(5回目の効果報告を行うまで)であり、必要な報告をしない場合は交付決定が取り消される可能性があります。自社だけで効果報告をすることが難しい場合は、専門家にサポートを依頼するとよいでしょう。
財産管理期間
補助事業によって取得する資産は、自由に処分することができません。補助事業期間や効果報告期間が終了した後も、法定耐用年数を経過するまでの間は、省力化製品の適切な管理が求められます。
2024年11月現在申請可能な最新の省力化投資補助金
2024年11月現在、省力化投資補助金の申請は随時受付中です。
2024年6月25日に開始された省力化投資補助金の第1回公募では、他の補助金などと同様に、1か月程度の期間で区切った公募期間が定められていました。
しかし、応募や交付申請の利便性向上を図り早期の省力化を実現するため、2024年8月9日以降は随時申請へと改められています。
そのため、公募期間を気にすることなく、事業者様にとって都合のよいタイミングでの申請が可能です。
ただし、随時申請とするのは「当面の間」とされており、締切については明記されていません。
補助金は恒久的な制度ではなく、「そのうち申請しよう」と考えていると、申請が打ち切られ申請ができなくなるおそれがあります。
せっかくの申請機会を逃さないよう、省力化投資補助金の受給をご希望の事業者様は申請代行先の専門家へ早期に相談したうえで、早めから申請準備に取り掛かることをおすすめします。
なお、カタログへの掲載を希望する事業者の申請も、随時受け付けられています。
当社トライズコンサルティングではカタログへの登録申請もサポートしているため、お困りの際はお気軽にご相談ください。
省力化投資補助金の申請はトライズコンサルティングにお任せください
省力化投資補助金への申請をご検討の際や、自社で取り扱いのある機器や製品のカタログへの掲載をご希望の際は、当社トライズコンサルティングへお任せください。最後に、トライズコンサルティングの概要と主な特長を解説します。
トライズコンサルティングとは
トライズコンサルティングは、中小企業診断士の野竿が代表を務めるコンサルティング会社です。「お客さまの目標実現のため、ワクワクするような成果を提供します」をコンセプトとしており、中小企業が抱えるお金の悩みにフォーカスしたサポートを行っています。
中でも、補助金の申請サポートには特に力を入れており、特に大型の補助金で高い採択率を誇っています。
トライズコンサルティングの特長
補助金の申請サポートを行う事業者は数多く存在しますが、当社トライズコンサルティングの主な特長は次の4点です。
- 補助金の最新情報を常にチェックしている
- 中小企業診断士が代表であり安心である
- 大型の補助金で特に高い採択率を誇っている
- 採択後の手続きも任せられる
補助金の最新情報を常にチェックしている
1つ目は、補助金の最新情報を常にチェックし、ホームページ上で公表していることです。
先ほども触れたように、補助金は政策に応じて内容が変わったり、創設や廃止されたりします。そのため、補助金について調べる際は、常にその情報が最新であるかどうか注意を払うことが重要です。
古い情報を参照してしまうと、すでに廃止された補助金に今も申請できると誤解してしまったり、現在の要件に照らせば申請できる補助金への申請を諦めてしまったりする事態となる可能性があります。
しかし、中には1年以上前の古い情報がそのまま掲載されているホームページが存在するなど、情報がアップデートされていないものも少なくありません。
トライズコンサルティングは補助金の最新情報に常に注意を払い、最新情報をもとにアドバスや申請サポートを行っていることから、自分で最新情報を探す必要性から解放されます。
中小企業診断士が代表であり安心である
2つ目は、中小企業診断士が代表であり、安心してご依頼いただけることです。
補助金の申請サポートを行う事業者は数多く存在し、中には特に資格を有していない企業などもあります。もちろん、資格の有無だけで補助金の申請サポートの力量を測ることはできず、国家資格を有しない優秀な補助金コンサルタントも少なくありません。
しかし、中には事前の説明とは異なる高額な報酬を請求したり、虚偽申請をそそのかしたりするような悪質な業者が混じっていることもあるようです。そのような業者に依頼してしまうことは、企業にとって大きなリスクとなるでしょう。
一方、当社トライズコンサルティングは中小企業診断士である国家資格者の野竿が代表を務めており、安心してご相談いただくことが可能です。
また、野竿は金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上として国から認定された「認定経営革新等支援機関」としても登録されており、確かな知識と経験をもとにサポート致します。
大型の補助金で特に高い採択率を誇っている
3つ目は、サポートした補助金において高い採択率を誇っていることです。
中でも大型の補助金についてのサポートを得意としており、採択実績はそれぞれ次のとおりです(2023年5月時点までの累計値)。
- ものづくり補助金:採択率93.0%、累計採択件数134件
- 事業再構築補助金:採択率86.9%、累計採択件数80件
これは、単に事業者様が検討した事業計画をそのまま書面に落とし込むのではなく、コンサルタントが事業者様とともに事業計画の練り込みをサポートしているためです。
自社のみで検討した事業計画は、検討が漏れている箇所や甘い箇所があること、全体の整合性がとれていないことなどが少なくありません。当社コンサルタントが事業計画の練り込みを全面的にサポートすることで補助金に採択される可能性が高まります。
また、補助金申請をきっかけにコンサルタントとともに練り込んだ事業計画は、今後実際に事業を運営していくにあたっての羅針盤ともなるでしょう。
採択後の手続きも任せられる
4つ目は、補助金に採択された後の手続きを任せることもできることです。
誤解している人も少なくありませんが、補助金は採択されたからといってすぐに補助金が受け取れるわけではありません。細かな手続きは補助金ごとに異なりますが、採択後はまず所定の様式で「交付申請」を行い、その後自己資金(または金融機関から一時的に受けた融資)を使って補助対象とした事業の実施(経費の支出など)をすべきことが一般的です。
さらに、その後は事業の実績報告も行わなければなりません。特に大型の補助金ではこの交付申請や実績報告にも手間がかかり、事務作業の膨大さからせっかく採択された補助金の受給を諦めるケースもあるほどです。
そこで、当社トライズコンサルティングでは事業者様のご要望に応じて、採択後の交付申請や実績報告についてまでサポートできる体制を構築しています。そのため、事業者様は、自社の本業に注力することが可能です。
また、大型の補助金では事業の実施に必要となる資金を確保するために融資を併用することも少なくありませんが、この融資についてもアドバイスを行っています。
省力化投資補助金に関するよくある質問
最後に、省力化投資補助金に関するよくある質問と、その回答を紹介します。
省力化投資補助金は返済が必要?
省力化投資補助金は、融資とは異なり、原則として返済は必要ありません。そのため、返済資金を気にすることなく事業へ投資することが可能です。
ただし、不正受給が判明した場合や補助金を使って取得した資産を許可なく転売した場合などには、例外的に返還が必要となります。また、補助事業によって一定の収益が得られた場合は、収益納付が必要です。
採択されたらすぐに補助金が受け取れる?
省力化投資補助金は、採択されたからといってすぐに受け取れるものではありません。先ほどの流れで解説したとおり、採択後はまず交付申請を行い、事業の実施(経費の支出)をしなければなりません。その結果を報告し、報告に問題がない場合にようやく補助金が交付されます。
事業の実施にあたり、一度は経費全額の自己負担が必要です。そのため、必要に応じて融資を組み合わせるなどの対策をするとよいでしょう。
補助金を受け取ったらすぐに対象製品を転売してよい?
1つ上で解説したとおり、省力化投資補助金は対象製品を購入し、実績報告をしたうえでの後払いです。つまり、仮に架空の事業計画を出して採択されても、その後実際に製品を導入しない限り、補助金を受け取れないということです。
そのため、中には「いったん対象製品を購入して、補助金を受け取ってから製品を転売すればよい」などと考える人もいるかもしれません。しかし、このようなことは不正行為であり、当然に禁止されています。
このようなことをすれば、補助金の返還が必要となるのみならず、刑事罰の対象となる可能性もあります。なお、やむを得ない事情から転売が必要となった場合は、あらかじめ事務局の承認を受けてください。ただし、この場合であっても一定額の返還は必要です。
まとめ
省力化投資補助金の申請代行のメリット・デメリットや申請代行先の選び方などを解説するとともに、2024年11月時点における省力化投資補助金の最新情報を紹介しました。
省力化投資補助金は、所定の「製品カタログ」に掲載された省力化に寄与する製品の中から企業が導入する製品を選び、その導入費用の一部が国から補填される補助金です。製品カテゴリも徐々に出揃ってきているため、まずは製品カタログに目を通し、自社で導入できる製品がないか検討するとよいでしょう。
ただし、補助対象となるのは自社やその導入目的がカテゴリごとの「対象業種」と「対象業務プロセス」に合致している場合のみです。導入する製品を検討する際は、対象業種や対象業務プロセスに当てはまっていることをご確認ください。
省力化投資補助金の申請手続きや導入製品の選定でお困りの際は、専門家の申請代行や申請サポートを受けるのがおすすめです。専門家に申請代行や申請サポートを受けることで自社でかける手間や時間を大きく削減できるほか、採択につながる申請書類を作成しやすくなります。
当社トライズコンサルティングでは補助金の申請代行や申請サポートに力を入れており、省力化投資補助金についても多くのサポート実績がございます。また、補助金を受給したい事業者様のサポートのみならず、自社製品についてカタログへの登録を希望する事業者様の申請代行も可能です。
省力化投資補助金についてお困りの際は、トライズコンサルティングまでまずはお気軽にご相談ください。省力化投資補助金の活用に関するご相談は、初回無料です。また、Zoomなどのオンラインツールを活用するため、近隣の事業者様はもちろんのこと、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。