業態転換を検討している場合には、事業再構築補助金が使えるかもしれません。
事業再構築補助金とは新型コロナ禍で誕生した非常に大型の補助金です。以前はコロナ禍で売上が一定程度減少したことが申請要件とされていましたが、2023年(令和5年)5月現在この要件は撤廃されており、より活用しやすくなっています。
そこでこの記事では、業態転換に活用できる事業再構築補助金の最新情報についてくわしく解説します。
業態転換(新市場進出)とは
補助金を活用するにあたっては、まず用語の定義を確認しておかなければなりません。事業再構築補助金における業態転換(新市場進出)の定義は次のとおりです。
業態転換とは何か
事業再構築補助金における新市場進出(新分野展開、業態転換)とは、中小企業等が日本標準産業分類に基づく主たる業種や主たる事業を変更することなく、新たな製品を製造するなどし、新たな市場に進出することを指します。たとえば、次のようなケースが業態転換に該当します。
- 都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいたが、テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入する場合
- 航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手する場合
業態転換の他に事業再構築補助金の対象となる取り組み
業態転換(新市場進出)のほか、次の取り組みも事業再構築補助金の補助対象となります。自社が行おうとしている取り組みが事業再構築補助金の補助対象となるかどうか知りたい場合には、当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
事業転換
事業転換とは、中小企業等が新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することです。たとえば、次の場合などが事業転換に該当します。
- 日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ足元業績が好調な焼肉店を新たに開業する場合
- プレス加工用金型を製造している下請事業者が業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて新たに産業用ロボット製造業を開始する場合
業種転換
業種転換とは、中小企業等が新たな製品を製造することにより、主たる業種を変更することです。たとえば、次の場合などが業種転換に該当します。
- レンタカー事業を営んでいる事業者が新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンションを経営し、レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを提供する場合
- コロナの影響も含めて今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設する場合
事業再編
事業再編とは、会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)などを補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとに新市場進出、事業転換または業種転換のいずれかを行うことを指します。単に会社変更上の組織再編行為を行うのみではこれに該当しないため、誤解のないよう注意してください。
国内回帰
国内回帰とは、中小企業等が海外で製造等する製品について、その製造方法が先進性を有する 国内生産拠点を整備することです。なお、海外の生産拠点を閉じることまで要件として求めてないとされています。
事業再構築補助金とは
業態転換をする際には、事業再構築補助金が活用できる可能性があります。
事業再構築補助金とは、新型コロナ禍で新たに誕生した非常に大型の補助金です。ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することにより、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。
業態転換に使える事業再構築補助金の概要
2023年(令和5年)5月時点における事業再構築補助金の概要は次のとおりです。
事業再構築補助金の申請枠と補助上限額
第10回公募における事業再構築補助金の申請枠と補助上限額、補助率の概要は、それぞれ次のとおりです。
補助金額(人数は、従業員数) | 補助率 | ||
---|---|---|---|
成長枠 | 【20人以下】100万円~2,000万円 【21~50人】100万円~4,000万円 【51~100人】100万円~5,000万円 【101人以上】100万円~7,000万円 | 中小企業者等:1/2 (大規模な賃上げを行う場合は2/3) 中堅企業等:1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2) | |
グリーン成長枠 | エントリー | 中小企業者等:次のとおり 【20人以下】100万円~4,000万円 【21~50人】100万円~6,000万円 【51人以上】100万円~8,000万円 中堅企業等:100万円~1億円 | |
スタンダード | 中小企業者等:100万円~1億円 中堅企業等:100万円~1.5億円 | ||
卒業促進枠 | 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる | 中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3 | |
大規模賃金引上促進枠 | 100万円~3,000万円 | ||
産業構造転換枠 | 【20人以下】100万円~2,000万円 【21~50人】100万円~4,000万円 【51~100人】100万円~5,000万円 【101人以上】100万円~7,000万円 ※廃業を伴う場合は廃業費を最大2,000万円上乗せ | 中小企業者等:2/3 中堅企業等:1/2 | |
最低賃金枠 | 【5人以下】100万円~500万円 【6~20人】100万円~1,000万円 【21人以上】100万円~1,500万円 | 中小企業者等:3/4 中堅企業等:2/3 | |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 【5人以下】100万円~1,000万円 【6~20人】100万円~1,500万円 【21~50人】100万円~2,000万円 【51人以上】100 万円~3,000万円 | 中小企業者等:原則2/3 中堅企業等:原則1/2 | |
サプライチェーン強靱化枠 | 1000万円~5億円 | 中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3 |
このうち「成長枠」は、第9回公募まで「通常枠」であった申請枠です。
通常枠では新型コロナ禍で売上が一定程度減少したことが要件とされていました。しかし、成長枠へと改訂されたことにより、この売上減少要件は撤廃されています。
そのため、これまで売上減少要件を満たせず事業再構築補助金の申請を諦めていた事業者にも、門戸が開かれたといえるでしょう。
事業再構築補助金の最新スケジュール
執筆している2023年(令和5年)5月現在は、事業再構築補助金の第10回公募期間中です。具体的なスケジュールは、次のとおりです。
- 公募開始:2023年(令和5年)3月30日(木)
- 申請受付:調整中
- 応募締切:2023年(令和5年)6月30日(金)18:00
事業再構築補助金は専門家へ依頼してもすぐに申請できるものではありません。専門家であっても申請書類を作り込むには相当の時間を要するほか、事業計画を練り込むための打ち合わせにも時間が必要です。
そのため、第10回公募への申請をご希望の際には、できるだけ早く専門家へコンタクトを取ることをおすすめします。期限ギリギリとなれば専門家のスケジュールが埋まってしまい、サポートの依頼を受けてもらえないかもしれません。
業態転換に使える事業再構築補助金申請の流れ
業態転換に活用できる事業再構築補助金を申請し、補助金を受け取るまでの基本的な流れは次のとおりです。特に補助金が交付されるタイミングについては誤解も少なくありません。申請前に、全体の流れを把握しておきましょう。
専門家にコンタクトを取る
事業再構築補助金の申請は、専門家へサポートを依頼することをおすすめします。そのため、はじめに専門家へコンタクトを取りましょう。
事業再構築補助金の採択を勝ち取るには、専門家選びも非常に重要です。事業再構築補助金の申請サポートは、中小企業診断士や行政書士、税理士、民間のコンサルタントなど、さまざまな専門家が手掛けています。保有資格などのほか、過去の実績なども踏まえて、経験や知識が豊富な専門家を選定しましょう。
補助対象とする事業計画を練り込む
専門家にサポートを依頼したら、専門家のコンサルティングを受けつつ事業計画の練り込みを行いましょう。
事業再構築補助金は非常に大型の補助金であり、多くの事業者が採択へ向けて事業計画の精度を高めています。そのため、収益性の見込めない事業計画や実現見込みの薄い事業計画では、採択が遠のいてしまいかねません。申請書類を作る前に、事業計画を十分に練り込むことが必要です。
申請書類を作成する
事業計画の練り込みが完了したら、いよいよ申請書類の作成に入ります。申請書類は事業再構築補助金の公募要領を隅々まで確認のうえ、申請要件や審査ポイントに沿って不備のないよう作成しましょう。
専門家へサポートを依頼している場合には、専門家が申請書類を作成してくれることが一般的です。
申請する
申請書類が揃ったら、応募締切までに申請します。なお、事業再構築補助金の申請はオンラインでのみ可能であり、郵送などでの申請はできません。また、申請には、GビズIDプライムアカウントが必要です。
アカウントの取得には時間を要しますので、事業再構築補助金の申請をご検討の際には、まずGビズIDプライムアカウントの取得だけでも済ませておくことをおすすめします。
採択・不採択が決定される
応募締切後に、採択か不採択かが決定されます。たとえ不採択であっても、すべての申請者に対して事務局から通知がされるので通知を見落とさないよう注意してください。
交付申請をする
採択がされた場合において、補助金の受給を希望する場合にはまず交付申請を行います。交付申請をすると補助金事務局から交付決定がなされますが、この交付決定よりも前に支出した経費は原則として補助対象とはなりません。
補助対象事業を実施する
交付決定後に、補助対象事業(補助対象経費の支出など)を行います。この時点ではまだ補助金は受け取れていないため、原則として自己資金か融資など他の方法で資金を確保することが必要です。
事業再構築補助金を活用する際には、補助金交付前の資金繰りについてもあらかじめ検討しておく必要があるでしょう。
事業の実施報告をする
補助対象事業を実施したら、所定の様式にて事業の実施報告を行います。
実施報告には補助対象経費の見積書や請求書などさまざまな書類が必要となります。必要書類をあらかじめ確認し、紛失したり発行してもらうのを忘れたりすることのないよう、十分に注意しておきましょう。
事業再構築補助金が交付される
実施報告に問題がないと判断されると、ようやく補助金が交付されます。事業の実施にあたって融資を受けていた場合には、金融機関との取り決めに従って早期に返済しておきましょう。
事業再構築補助金の申請は自分でできる?
事業再構築補助金の申請を自社で行うことはできるのでしょうか?順を追って解説していきます。
自分でもできるが採択を勝ち取ることは容易ではない
制度上は、事業再構築補助金を自社で申請することが可能です。実際に社内に補助金に対応する専門の部署がある企業などでは、自社で申請をしていることでしょう。
しかし、事業再構築補助金のゴールは申請ではなく、採択されて補助金を受け取ることであるはずです。この点を踏まえれば、自社で申請をして採択を勝ち取ることはおすすめできません。
なぜなら、事業再構築補助金は非常に大型の補助金であり、多くの企業が採択を目指してしのぎを削っているためです。練り込みの甘い事業計画や不備の多い申請書類では、採択が遠のいてしまうでしょう。
専門家に事業再構築補助金の申請サポートを受けるメリット
事業再構築補助金を申請する際には、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。専門家の申請サポートを受ける主なメリットは次のとおりです。
時間や手間が大きく削減できる
補助金の活用に慣れていない企業が事業再構築補助金を自社で申請しようとすると、多大な手間や時間を要してしまいます。まず公募要領を読み、門前払いとならない要件に沿った申請書類を作成するだけでもひと苦労でしょう。
補助金の申請に労力を要し本業に支障をきたしてしまえば、本末転倒となりかねません。一方、専門家へサポートを依頼すれば、自社でかける手間や時間を最小限に抑えることが可能となるでしょう。
採択の可能性が高められる
事業再構築補助金の申請サポートを専門家へ依頼することで、採択の可能性を高めることへとつながります。なぜなら、専門家は補助金の趣旨や審査ポイントを熟知して申請書類を作成するためです。
また、専門家から事業計画のコンサルティングを受けることで事業計画の精度が高まり、これによっても採択を勝ち取りやすくなるでしょう。
事業計画のコンサルティングが受けられる
専門家へ申請サポートを依頼することで、事業計画のコンサルティングが受けられます。これは補助金の採択という観点からも有用ですが、今後実際に事業を営んでいくうえでも大きなプラスとなるでしょう。
コンサルティングを受け、頭に汗をかいて練り込んだ事業計画は今後の経営の道しるべとなり、それ自体が企業の財産となります。
公募期限に間に合わなくなるリスクを減らせる
自社のみで補助金を申請しようとした際には、本業の忙しさに気を取られ、いつの間にか公募期限が過ぎていたとの事態にもなりかねません。一方、専門家へサポートを依頼した場合には期限を管理してくれるため、うっかり期限を超過するリスクを最小限に抑えることが可能となるでしょう。
融資についてのアドバイスが受けられる
先ほど解説したように、補助金は事業実施後の後払いです。また、補助金は経費の全額を補填してくれるものではなく、3分の1や2分の1など一部のみの補填です。そのため、事業再構築補助金など大型の補助金を活用する際には、金融機関からの融資を併用することが多いといえます。
実は補助金の申請サポートを行う専門家の中には、融資についてもくわしい人が少なくありません。申請サポートを専門家へ依頼することで、融資のアドバイスが受けられる可能性も高いでしょう。
業態転換に使える事業再構築補助金のご相談はトライズコンサルティングへ
業態転換に使える事業再構築補助金を活用したい際には、ぜひ当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。トライズコンサルティングの主な特長は次のとおりです。
代表は中小企業診断士で安心
トライズコンサルティングの代表である野竿は、経営コンサルタント唯一の国家資格である「中小企業診断士」を保有しています。また、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた「認定経営革新等支援機関」としても登録されています。
補助金の申請サポートは多様なバックグラウンドを持った企業や専門家が行っていますが、当社はこのような資格や認定に裏打ちされた確かな知識のもとで誠実なサポートを行っています。
高い採択率
当社における補助金の申請サポートは、高い採択率を誇っています。参考までに、事業再構築補助金と同じく大型の補助金である「ものづくり補助金」の2019年と2020年の当社がサポートした案件における採択率は97.0%でした。
これは、当社のコンサルタントが知識の研鑽を重ね各補助金の趣旨や公募要領を熟知したうえで、事業計画の練り込みなどのサポートを行った結果です。これまで当社でサポートをした案件の事例も蓄積されており、引き続き高い採択率を目指せるものと確信しています。
補助金の受給まで徹底サポート
先ほど解説したように、補助金の申請は採択がゴールではありません。補助金を実際に受け取るためには、採択後にもまだ、交付申請や実績報告などの手続きが必要です。事業再構築補助金など大型の補助金ではこれらの手続きも非常に煩雑であり、自社にみで行おうとすれば、本業に支障をきたしてしまいかねません。
そこでトライズコンサルティングでは、申請後の交付申請や実績報告についてまでトータルでサポートできる体制を整えています。受給までサポートが継続されることで、申請者であるお客様が本業に注力しやすくなります。
Zoomを活用した全国対応
トライズコンサルティングでは、補助金の申請サポートにZoomなどのオンラインツールを活用しています。そのため、全国どちらの地域からであっても、当社にご相談頂くことが可能です。
特に、事業転換に取り組むなかでは、社長様が全国を飛び回っている場合も少なくないでしょう。オンライン対応では社長様に移動の手間や時間を取らせないため、忙しい社長様から特に好評をいただいています。
まとめ
業態転換を行う場合には、事業再構築補助金が活用できる可能性があります。事業再構築補助金に採択されれば返済不要な多額の資金が得られる可能性があり、事業を軌道に乗せやすくなるでしょう。
しかし、事業再構築補助金に採択されるには、事業計画の練り込みが不可欠です。また、公募要領を読み込み、審査ポイントを踏まえて申請書類を作成しなければなりません。
これを自社のみで行うのは、容易ではないことでしょう。そのため、事業再構築補助金を申請する際には、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
トライズコンサルティングでは事業再構築補助金の申請サポートに力を入れており、これまでも数多くの案件で採択を勝ち取ってきました。事業再構築補助金の申請をご検討の際や事業再構築補助金の申請要件を満たすかどうか知りたい場合などには、ぜひトライズコンサルティングまでお気軽にお問い合わせください。