【2023】小規模事業者持続化補助金の申請はいつまで?募集スケジュールとボトルネック

小規模事業者持続化補助金の申請はいつまで?

2022年3月22日(火)に、小規模事業者持続化補助金の公募が開始されました。2022年度(令和4年度)の募集では、新型コロナウイルスや今後予定されている法律・制度改正等に対する中小企業への影響に鑑み、支援が拡充されることが事前にアナウンスされていたため、募集開始を待ち望んでいた方も多いと思います。

今回は、申請したいと思っているものの、本業との兼ね合いも不安な経営者の方に対して、小規模事業者持続化補助金の募集スケジュールや手続きのボトルネックとなる工程について解説していきます。計画的に補助金を受給できるよう、ぜひ参考にしてください。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、事業の持続的発展を達成するため、小規模事業者が取り組む販路開拓等に対して要した経費の一部が支給される国の制度です。国の政策と方向性が一致し、政策効果が゙期待できると判断された取り組みに対して、 国民の税金を原資に支給されます。

補助金の対象者

名称のとおり、小規模事業者持続化補助金の対象者は小規模事業者です。小規模事業者の定義は、業種によって異なり、次のとおり定められています。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下

企業の形態にも要件があり、申請が可能となっているのは次のとおりです。

  • 会社および会社に準ずる営利法人 (株式会社、合名会社、合資会社、合同会 社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人(弁護士・税理士等))
  • 個人事業主(商工業者であること)
  • 一定の要件を満たした特定非営利活動法人

また、法人の場合、資本金等が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されていないことや、直近過去3年の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことという要件もあります。

個人事業主の場合では、申請時までに開業届を税務署に提出している必要があります。

対象となる取り組み

対象となる取り組みは、次の1から3の要件をすべて満たす事業である必要があります。なお、複数事業者による共同申請の場合は、4の要件も満たす事業であることとされています。

  1. 策定した「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
  2. 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること。
  3. 以下に該当する事業を行うものではないこと。
    1. 同一内容の事業について、国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業
    2. 本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
    3. 事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなる
  4.  共同申請の場合には、連携する全ての小規模事業者等が関与する事業であること

6つの申請枠

2022年度に募集される小規模事業者持続化補助金には、次のとおり6つの申請枠が設けられています。

  1. 通常枠:過去に募集されてきた「一般型」と同様の内容。
  2. 賃金引上げ枠:最低賃金の引き上げが行われた中、それに加えてさらなる賃上げを行い、従業員に成長の果実を分配する意欲的な小規模事業者に対し政策支援をするため、補助事業実施期間に事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者に対し て、補助上限額を引き上げ 。さらに、賃金引上げ枠に申請する事業者のうち業績が赤字の事業者については、補助上限引き上げに追加して、補助率を引き上げると共に、政策加点による優先採択を実施。
  3. 卒業枠:さらなる事業規模拡大に意欲的な小規模事業者に対し政策支援をするため、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者に対して、補助上限額を200万円へ引き上げ。
  4. 後継者育成枠:将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ 甲子園」のファイナリストになった事業者を対象に政策支援をするため、以下の要件を満たす事業者に対して、補助上限額を引き上げ。
  5. 創業枠:創業した事業者を重点的に政策支援するため、産業競争力強化法に基づく「認定市 区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した 「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3箇年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者に対して、補助上限額を引き上げ。
  6. インボイス枠:免税事業者が適格請求書発行事業者への転換に伴う事業環境変化に対応すること に対し政策支援をするため、2021年9月30日から 2023年9月30日の属する課税期間で、一度でも免税事業者であったまたは免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者に登録した事業者に対して、補助上限額を引き上げ。

「賃金引上げ枠」「卒業枠」「インボイス枠」については、補助事業終了時点において要件を満たせていない場合、交付決定後であっても補助金の交付は行われません。

補助率・補助上限額

申請枠ごとの補助率と補助上限金額は次のとおりです。

申請枠補助率補助上限額
通常枠2/350万円
賃金引上げ枠2/3(赤字事業者については3/4)200万円
卒業枠2/3200万円
後継者支援枠2/3200万円
創業枠2/3200万円
インボイス枠2/3100万円

対象となる経費

補助金の対象となる経費は次のとおりです。補助金額は、対象経費に補助率を乗じた額の合計となります。

  1. 機械装置等費:補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
  2. 広報費:パンフレット・ポスター・チラシ等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費
  3. ウェブサイト関連費:ウェブサイトや EC サイト等の構築、更新、改修をするために要する経費
  4. 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談 会等を含む):新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費
  5. 旅費:補助事業計画(様式2)に基づく販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
  6. 開発費:新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
  7. 資料購入費:補助事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費
  8. 雑役務費:補助事業計画(様式2)に基づいた販路開拓を行うために必要な業務・事務を補助するために補助事業期間に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費
  9. 借料:補助事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
  10. 設備処分費:販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費
  11. 委託・外注費 :上記1から10に該当しない経費であって、補助事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)・外注するために支払われる経費(自ら実行することが困難な業務に限る。)

なお、今回より「ウェブサイト関連費」は、補助金交付申請額の1/4が上限となっています。

申請に必要な書類

単独申請の場合に必要となる書類は次のとおりです。

  1. 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1-1)
  2. 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2-1)
  3. 補助事業計画書②(様式3-1)
  4. 事業支援計画書(様式4)
  5. 補助金交付申請書(様式5)
  6. 宣誓・同意書(様式6)

希望する申請枠により追加的に必要となる書類は次のとおりです。

  • 賃金引き上げ枠:賃金引上げ枠の申請に係る誓約書(様式7)
  • 卒業枠:卒業枠の申請に係る誓約書(様式8)
  • インボイス枠:インボイス枠の申請に係る宣誓・同意書(様式9-法人用)、インボイス枠の申請に係る宣誓・同意書(様式9-個人事業主用)

これらに加え、共同申請や希望する加点により追加的に必要となる書類もあります。

小規模事業者持続化補助金の申請はいつまで?今後のスケジュール

2022年度に募集されている小規模事業者持続化補助金の受付締切日は次のとおりです。確定している第8回の締切日から約3ヶ月おきに設定され、合計4回の募集が予定されています。

  • 第8回:2022年6月3日(金)
  • 第9回:2022年9月中旬
  • 第10回:2022年12月上旬
  • 第11回:2023年2年下旬

申請に際しては、前述した「事業支援計画書(様式4)」の添付が必須となります。発行には時間を要する場合もありますので、計画書を作成した後、早目にお近くの商工会議所・商工会にご相談ください。

各公募回の受付締切は、次のとおりです。

  • 第8回:2022年5月27日(金)
  • 第9回:原則2022年9月上旬
  • 第10回:原則2022年12月上旬
  • 第11回:原則2023年2月中旬

なお、これらの予定は変更される場合があります。

小規模事業者持続化補助金の公募開始から受給までの流れ

続いて、小規模事業者持続化補助金の公募開始から受給までの流れについて解説します。なお、第8回の締切日の補助事業実施期間は交付決定日から2023年2月28日(火)まで、 補助事業実績報告書提出期限は2023年3月10日(金)までとなっています。他の公募回については、受付締切日の確定後に公表されます。

公募開始から申請

公募が開始されると、申請締切などとともに「公募要領」が公表されます。初回の公募はもちろんですが、複数回の公募がある場合は、前回募集時から変更されている場合がありますので、申請回ごとに確認をしておきましょう。

「公募要領」で要件を満たしていることを確認した後、計画書など必要な書類を準備して申請します。第8回公募では、募集から締切までが約2ヶ月と設定されているので、以降も同程度だと考えられます。

申請から交付決定

2021年度に募集された「低感染リスクビジネス枠」では、申請から交付決定までの期間が約2ヶ月でした。2022年度もおおよそ同程度だと考えられます。

前回は交付決定前の事前着工も認められていましたが、今回は認められていませんので、この期間に着手した取り組みについては補助対象外となります。交付決定の後、すぐに取り掛かれるよう準備しておきましょう。

申請が採択を受けると、採択者には「交付決定通知書」が届きます。申請時にすでに「補助金交付申請書」を提出しているため、決定後の再提出は不要です。事務局から補助対象経費の修正等の指摘があった場合は、それを修正した後に改めて交付決定となります。

交付決定から実績報告

交付が決定した後、速やかに計画に取り掛かります。既存事業と同時に行っていくのは大変な労力ですが、事業の実施期間・報告期限が決まっていますので、スケジュールや担当者を明確にし、計画書に沿って取り組みましょう。

事業に取り組みながらも、見積書や請求書など必要書類の整理や取組みの成果を測定も同時に行い、実績報告書を提出します。

実績報告から受給

実績報告をした後、書類の不備や追加提出など事務局とのやり取りを行い、審査が終了すれば補助金が支給されます。採択者向けの「補助事業の手引き」をよく確認しておくことで、ここでのやり取りを最小限にし、最短で給付を受けることができます。

小規模事業者持続化補助金のボトルネック工程

最後に、小規模事業者持続化補助金の申請から受給するに至るまでのボトルネックとなりがちな工程について解説していきます。紹介するものの中には、自社以外の企業・団体に処理や書類作成を依頼しなくてはならない工程もありますので、計画的に取り組んでください。

計画書の作成事務

最大とネックとなるものが「経営計画書兼補助事業計画書①(様式2-1)」と「補助事業計画書②(様式3-1)」の作成です。自社の置かれている事業環境や強みを分析し、今後のプランを理論的に導き出すことは容易でなく、慣れていない方にとっては困難であり、申請を諦めてしまう方も少なくありません。

「事業支援計画書」の発行

次は、「事業支援計画書(様式4)」の発行です。

前述したとおり、商工会議所や商工会が発行する書類ですが、発行してもらうためには、商工会議所・商工会から計画について助言を受ける必要があります。申請締切直前になると混雑が予想されるため、早目に相談に行きましょう。

「gBizIDプライムアカウント」の取得

申請には現在、「Jグランツ」というシステムが利用されており、利用するためには事前に「gBizIDプライムアカウント」を取得する必要があります。

申請にはスマートフォンまたは携帯電話、印鑑証明、登録印が必要で、登録サイトで申請書を作成し事務局へ郵送します。事務局での書類審査は、原則2週間以内となっており、審査終了後、事務局から届いたメールから登録を完了させます。

「gBizIDプライムアカウント」は、小規模事業者持続化補助金以外でも、ものづくり補助金やIT導入補助金などの申請、社会保険料の手続き、飲食店の営業許可申請などを行うことができます。取得は無料です。

実績報告の作成事務

実績報告のためには、補助事業に取り組んだことで得た成果や要した経費を記載した実績報告書を作成し、見積書や請求書など必要な書類を整理する必要があります。そのため、補助事業に取り組む際には、成果の測定方法もあらかじめ明確に定めておきましょう。

また、見積書から始まる取引先とのやり取りの書類についても、日付の前後や記載内容と申請内容の整合性を意識して整理しましょう。

実績報告後の入金処理

実績報告提出後も事務局とのやり取りが必要となる場合があります。実績報告も事務局に審査されるため、取組みの実績が不足していたり、添付書類の不備など指摘を受けるたびに修正や追加の資料提出を行ったりする必要があります。

事務局の審査を通過し、補助金が受給されて補助事業が完了となります。

まとめ

小規模事業者持続化補助金の募集スケジュールとボトルネック工程について解説しました。

申請から受給までの大まかなイメージを掴んでいただけたのではないかと思います。いずれにしても、早目早目で取り組んでいただくことをおすすめします。今回お伝えしたことを参考に、ぜひ申請にチャレンジしてみてください。

当社トライズコンサルティングでは、小規模事業者持続化補助金をはじめとする補助金申請のプロが多数在籍しており、計画書の作成から採択後のアフターフォローまで包括的にお手伝いさせていただくことが可能です。ご相談は無料となっていますので、ぜひ当社へお気軽にご連絡ください。

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