IT導入補助金などを含む2022年度補正予算案が公表されました。2022年度補正予算案では、IT導入補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金などについての方針や予算案が公表されています。
今回は、2022年度補正予算案で公表されたIT導入補助金に関して、2021年12月現在でわかっている情報をまとめてお伝えします。
IT導入補助金などの2022年度補正予算案が公表
補助金を受けたい企業にとって、補正予算案は非常に重要な情報となります。なぜなら、どのような補助金にどの程度の予算が付されるのかの政府の方針が、補正予算案にて明らかとなるからです。
令和3年12月に中小企業庁から新たに公表された「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業令和3年度補正予算案の概要」によれば、中小企業生産性革命推進事業に対する令和3年度補正予算案額は、2,001億円であるとのことです。
この中には、次の4つの補助金が含まれています。
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金):事業終了後4年以内に、補助事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上向上させることや、補助事業者全体の給与支給総額を年率平均1.5%以上向上させることなどを目指すものです。
- 小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金):事業終了後1年で、販路開拓
につながった事業者の割合を80%とすることを目指すものです。
- サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金):事業終了後4年以内に、補助事業者全体の労働生産性を年率平均3%以上向上させることを目指すものです。
- 事業承継・引継ぎ支援事業(事業承継・引継ぎ補助金):令和4年度末までに約1,500者の中小企業者等の円滑な事業承継・事業引継ぎを支援するものです。
2022年度補正予算案では、これらの4つの補助金に対して、合計2,001億円の補正予算が組まれているということです。
2022年(令和4年)のIT導入補助金の概要
IT導入補助金とは、中小企業等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化や売上アップをサポートする補助金です。
IT機器を導入であれば比較的広く対象となるため、IT機器の導入を検討する際にはぜひ活用を検討したい補助金といえます。
目的
従来、IT導入補助金には「通常枠(A・B類型)」と「低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)」の2つが設けられていました。2022年度補正予算案では、新たに「インボイス方式への対応枠」や「複数社連携型IT導入枠」が設けられる予定です。
これらの枠の目的は、それぞれ次のとおりです。
- 通常枠:自社の置かれた環境から強みや弱みを認識・分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化や売上アップといった経営力の向上や強化を図ること
- 低感染リスクビジネス枠:ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けて、労働生産性の向上とともに感染リスクに繋がる業務上での対人接触の機会を低減するような業務形態の非対面化に取り組む中⼩企業・小規模事業者等に対して、通常枠(A・B類型)よりも補助率を引き上げて優先的に支援するもの
- インボイス方式への対応枠:インボイス方式への対応を見据えた会計ソフトなどのITツール導入をこれまで以上に促進するため、補助率の引き上げなどを行うもの
- 複数社連携型IT導入枠:商業集積地やサプライチェーンなど密に連携した複数の中小・小規模事業者が、データの共有や活用などの取り組みをするために必要となるITツールや機器の導入を支援するもの
インボイス方式への対応枠や複数社連携型IT導入枠については、まだ詳しい情報が出ていませんので、今後の情報に注意しましょう。
対象者
IT導入補助金の対象者は、中小企業および小規模事業者です。常勤の従業員数がそれぞれ次の人数である企業であれば、小規模事業者に該当します。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業その他:20人以下
中小企業に該当するための要件は、業種ごとに資本金額や常勤の従業員数がさらに細かく定められています。
たとえば、小売業であれば資本金額5,000万円以下かつ常勤従業員50人以下、卸売業であれば資本金額1億円以下かつ常勤従業員100人以下、ソフトウェア業や情報処理サービス業であれば資本金額3億円以下かつ常勤従業員300人以下中小企業に該当するとされています。
比較的規模が大きな企業であっても、対象となる余地があるといえるでしょう。業種ごとの中小企業の定義について、詳しくはIT導入補助金のホームページをご確認ください。
対象経費
IT導入補助金の対象経費は次のとおりです。
- 通常枠:ソフトウェア費、導入関連費
- 低感染リスクビジネス枠:上記に加え、ハードウェアレンタル費など
ただし、IT補助金のホームページにて公開されているITツールのみが補助金の対象となります。なお、2022年度補正予算案によるIT導入補助金では、会計ソフトや受発注システム、決済ソフトなどのITツールやパソコン、タブレット、レジなども補助対象となる見込みです。
補助金額
IT導入補助金の補助金額と補助率は、2021年度では次のとおりでした。
- 通常枠A類型:30万円以上150万円未満、補助率2分の1以内
- 通常枠B類型:150万円以上450万円以下、補助率2分の1以内
- 低感染リスクビジネス枠C類型-1:30万円以上300万円未満、補助率3分の2以内
- 低感染リスクビジネス枠C類型-2:300万円以上450万円以下、補助率3分の2以内
- 低感染ビジネス枠D類型:30万円以上150万円以下、補助率3分の2以内
2022年度補正予算案では、現在、次の内容が公表されています。
- 会計ソフトや受発注システム、決済ソフトなどのITツールの導入:50万円までは補助率4分の3、50万円以上350万円までは補助率3分の2
- パソコン、タブレットなど:10万円まで、補助率2分の1
- レジなど:20万円まで、補助率2分の1
2022年度補正予算案によるIT導入補助金については今後より詳細な情報が公表される予定です。活用を検討している場合には、今後の情報に注意しておきましょう。
IT導入補助金の2022年度補正予算の概要
IT導入補助金についての2022年度補正予算案では、下記の点に重点が置かれる予定です。申請においては、従来の目的に加え、下記の目的を理解して補助金の目的に沿った内容で申請をすることで、補助金が採択されやすくなる可能性があります。
インボイス方式への対応
インボイス制度とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。消費税の免税事業者はインボイスを発行できないため、インボイス制度の導入を前に課税事業者へと転換する企業の増加が予想されます。
また、かねてより課税事業者であった企業にとっても、インボイスを発行するための機器やソフトウェアなどの導入が必要となる場合が多いでしょう。
こうした状況を踏まえ、IT導入補助金2022年度補正予算案では、インボイス方式への対応を見据えた会計ソフトなどのITツール導入をこれまで以上に促進するため、補助率の引き上げやクラウド利用料の2年分の補助、PCなどのハードの購入にかかる費用への補助を実施するとしています。
複数社連携型IT導入枠
2022年度補正予算案のもう1つの目玉は、複数社連携型IT導入枠の導入です。これは、商業集積地やサプライチェーンなど密に連携した複数の中小・小規模事業者が、データの共有や活用などの取り組みをするために必要となるITツールや機器の導入を支援するものです。
IT導入補助金の申請スケジュール
今回公表された補正予算案に係るIT導入補助金の公募スケジュールは、現時点ではまだ公表されていませんが、開始時期は令和4年以降となる見込みです。
具体的なスケジュールは随時公表される予定ですので、IT導入補助金の利用を検討している場合には、今後の情報に注意しておきましょう。
参考までに、2021年度の1次締切分、通常枠のスケジュールは下記のとおりでした。
- 交付申請期間:2021年4月7日~5月14日
- 交付決定日:6月15日
- 事業実施期間:交付決定日以降~2022年1月28日
ただし、IT導入補助金はその後も12月22日締切りの第5次締切分まで設けられており、ほぼ1年を通して申請ができていた状態です。2022年もこれと同様となるかは現時点では不明ですが、仮に2022年も2021年と同様のスケジュールであれば、それほど慌てて申請の準備をする必要はないでしょう。
ただし、公募要領の公表後1次締切に間に合わせられる企業が少なければ、その分だけ1次締切分の採択率が高くなる可能性はゼロではありません。こういったことを戦略として検討することも一つの手です。
まとめ
IT導入補助金は、ITの導入を検討している中小企業等にとって非常に使い勝手の良い補助金です。ITの導入を検討している企業は、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか?
とはいえ、IT導入補助金の申請には多くの書類が必要となり申請に手間が掛かるため、自社のみで行うことは容易ではありません。IT導入補助金の利用をご検討の際には、ぜひ当社トライズコンサルティングまでご相談ください。
トライズコンサルティングでは、IT導入補助金の情報提供から申請サポートまで、企業の補助金活用をトータルで支援しております。クライアント様に寄り添いながら限りなく高品質な事業計画書の策定を支援します。
たとえば「ものづくり補助金」では、2019・2020年度採択率97%という高い補助金採択率を誇り、採択後も補助金を受け取れるまでしっかりとサポートしております。ぜひ当社をご利用いただき、新たな事業へ向けた確実な一歩を踏み出してはいかがでしょうか?