補助金や助成金は国が実施していることが多い一方で、地方公共団体が独自の補助金・助成金制度を設けていることもあります。なかでも東京都では事業の助成に積極的であり、そのうちの1つが「創業助成金」です。
では、東京都の「創業助成金」とは、どのような制度なのでしょうか?また、創業助成金の申請にあたって専門家による申請サポートを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、東京都が実施している創業助成金について概要を紹介するとともに、申請にあたって申請サポートを活用するメリット、注意点などについてくわしく解説します。
東京都の創業助成金とは
東京都の創業助成金とは、「公益財団法人東京都中小企業振興公社」が実施している、都内で創業する者や創業間もない者を支援する助成金です。
助成金とは所定の取り組みに要する費用の一部を助成(補助)する制度であり、原則として返済は必要ありません。創業助成金をうまく活用することで思い切った事業投資が可能となり、創業時のスタートダッシュを成功させやすくなるでしょう。
創業助成金の概要
続いて、東京都の創業助成金の助成対象者や助成限度額などの概要を解説します。
助成対象者
創業助成金の助成対象者は、次のいずれかに該当する者のうち、一定の要件を満たす者です。
- 東京都内での創業を具体的に計画している個人
- 創業後5年未満の中小企業者等
より具体的な要件は、後ほど改めて解説します。
助成限度額・助成率
創業助成金の助成限度額は400万円、下限は100万円です。また、補助率は2/3以内とされています。
創業前後ではまだ事業が軌道に乗っていないことが多く、何かと資金が必要です。この時期に400万円もの返済不要な資金を受け取ることができれば、事業を軌道に乗せるまでのスピードを早めやすくなるでしょう。
助成対象経費
創業助成金の助成対象となる経費は、次のとおりです。
- 賃借料
- 広告費
- 器具備品購入費
- 産業財産権出願・導入費
- 専門家指導費
- 従業員人件費
- 委託費(市場調査・分析費)
採択率
創業助成金の過去の採択結果は、次のとおりです。
公募年度 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 (小数点3位以下四捨五入) |
---|---|---|---|
令和5年度 | 1,060 | 157 | 14.81% |
令和4年度 | 1,210 | 162 | 13.39% |
令和3年度 | 1,140 | 157 | 13.77% |
令和2年度 | 1,037 | 156 | 15.04% |
参照元:「創業助成事業」過去の採択情報について(TOKYO創業ステーション)
いずれも15%前後で推移しており、採択のハードルが非常に高いことがわかります。ただし、創業助成金では「ダメ元」で申請するケースも相当数あると考えられ、きちんと事業計画を練り込むことで採択の可能性を高めることが可能となるでしょう。
なお、創業助成金の採択結果は年度ごとにまとめて公表されており、2025年1月現在において令和6年度分の採択結果の全容は公表されていません。令和6年度はこれまでに2回の公募がなされ、そのうち第1回目の採択者数が108件であったことだけは公表されています。
創業助成金の申請要件
創業助成金に申請するには、所定の要件を満たさなければなりません。ここでは、主な要件を4つ解説します。
- 都内で創業予定の個人または都内での創業から5年未満の個人・法人であること
- 一定の創業支援事業を利用していること
- 申請を行う事業等が一定の要件を満たしていること
- その他一定の要件を満たすこと
都内で創業予定の個人または都内での創業から5年未満の個人・法人であること
要件の1つ目は、「都内で創業予定の個人」または「都内での創業から5年未満の個人・法人」であることであることです。具体的には、次のいずれかに該当することが求められます。
- 東京都内での創業を具体的に計画している個人
- 中小企業者に該当する法人・個人のうち、下記のいずれか1点を満たす者
- 法人登記を行ってから5年未満の法人の代表者:本店所在地が都内に登記されており、都内で実質的に事業を行っている 本店が実在していること
- 税務署へ開業の届出を行ってから5年未満の個人事業主:納税地と主たる事業所等が都内に実在しており、都内の主たる事業所等において実質的に事業が行われていること
- 特定非営利活動法人のうち、下記の2点を満たす者
- 法人登記を行ってから5年未満の特定非営利活動法人の代表者:主たる事務所が都内に登記されており、都内に実質的に事業を行っている主たる事務所 が実在していること
- 下記のいずれか1点を満たすこと
- 中小企業者の振興に資する事業を行うものであって、中小企業者と連携して事業を行う(事業の共同実施等)ものである
- 中小企業者の支援を行うために中小企業者が主体となって設立するもの(表決権を有する社の2分の1以上が中小企業者)である
ただし、次の者は助成対象となりません。
- 個人事業主・法人の登記上の代表者として、通算5年以上の経営経験がある者(海外での経営経験も含む)
- みなし大企業に該当する者
- 個人開業医
一定の創業支援事業を利用していること
要件の2つ目は、一定の創業支援事業を利用していることです。申請書受理時点において、次のいずれかを満たすことが求められます。
- 公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」といいます)が実施するTOKYO創業ステーション「プランコンサルティング」またはTOKYO創業ステーション TAMA「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内にその証明を受けた
- 公社が実施する「東京シニアビジネスグランプリ」において、前年度以前の過去3か年度の期間内にファイナリストまで進んだ
- 公社が実施する「事業可能性評価事業」において、当年度またはその前年度以前の過去3か年度の期間内に「事業の可能性あり」と評価され、継続的支援を受けている
- 公社が実施する「若手商人育成事業」における「商店街開業プログラム(商店街起業促進サポート事業)」を当年度、または前年度以前の過去3か年度の期間内に受講修了した
- 東京都・公社が設置した創業支援施設に入居している、または以前に入居していた
- 東京都インキュベーション施設運営計画認定事業の認定を受けた認定インキュベーション施設に、認定後(新設施設は運営開始後)6か月以上継続して入居し、申請を行う事業内容に関する個別具体的支援をインキュベーションマネージャーから入居期間中に継続して受けている、または以前に受けていた
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構・都内区市町村・地方銀行・信用金庫・信用組合・国公立大学・私立大学などが設置した都内所在の創業支援施設と1年間以上の賃貸借契約を締結して入居している、または過去3か年の期間内に入居していた
- 青山スタートアップアクセラレーションセンターにおいて、アクセラレーションプログラムを受講している、または以前に受講していた
- 東京都が実施する「TOKYO STARTUP GATEWAY」において、前年度以前の過去3か年度の期間内にセミファイナリストまで進んだ
- 東京都が実施する、「東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT Women)」において、国内プログラム(アクセラレーションプログラム)を受講している、または以前に受講していた
- 東京都が実施する「女性・若者・シニア創業サポート事業」、「女性・若者・シニア創業サポート事2.0」において、取扱金融機関からその事業に係る融資を受け、その証明を受けた
- 東京都中小企業制度融資(創業融資)を利用している
- 都内区市町村が実施する中小企業制度融資のうち、創業者を対象とした東京信用保証協会の保証付き制度融資を利用している
- 東京都が出資するベンチャー企業向けファンドからの出資等を受けている
- 政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)を利用している
- 産業競争力強化法に規定する認定特定創業支援等事業により支援を受け、過去3か年の期間内に都内区市町村長の証明を受けた
- 東京商工会議所・東京信用保証協会・東京都商工会連合会・中小企業大学校東京校BusiNestより認定特定創業支援等事業に準ずる支援を受け、過去3か年の期間内にその証明を受けた
- 東京都が実施する「高校生起業家養成プログラム(起業スタートダッシュ)」において、過去3か年度の期間内に「養成講座」を修了した
これらに1つでも該当しなければ、助成金の申請要件を満たしません。自社(自身)が要件を満たしているかわからない場合には、創業助成金について申請サポートなどを行っている専門家へご相談ください。
申請を行う事業等が一定の要件を満たしていること
要件の3つ目は、申請を行う事業等が一定の要件を満たしていることです。
満たすべき要件は、次のとおりです。
- (法人の場合)下記に該当すること
- 中小企業者である
- みなし大企業でない
- (個人の場合)下記に該当すること
- 中小企業者である
- 個人開業医でない(個人開業医による病院や診療所での医業としての申請ではない)
- (特定非営利活動法人の場合)下記のいずれかに該当すること
- 中小企業者の振興に資する事業を行うものであって、中小企業者と連携して事業を行うものである
- 中小企業者の支援を行うために、中小企業者が主体となって設立するものである
- 下記の状態で事業活動を実質的に継続して実施すること
- 法人(特定非営利活動法人を含む)の場合
- 登記が都内にある
- 実務上、都内で実質的に事業を行っている本店または主たる事務所が実在している
- 法人事業税、法人都民税を東京都に納税する
- 個人の場合
- 個人事業税の納税地が都内にある
- 実務上、都内で実質的に事業を行っている主たる事業所等が実在している
- 個人事業税、個人都民税を東京都に納税する
- 法人(特定非営利活動法人を含む)の場合
- 代表者以外の主体が実質的な経営に関する指揮、命令、監督等を継続して行っていない、または行う予定ではないこと
- 他の個人事業主または他の法人の実施事業の承継や譲渡ではない
- 成果や効果が、特定の法人・個人を対象としたものではない
- 助成事業者が必要な許認可を取得し、関係法令を遵守している
- 事業内容が、都内経済への波及、社会貢献、課題解決につながるものである
- 「従業員人件費のみ」・「委託費のみ」・「従業員人件費と委託費のみ」を助成対象経費として申請を行う計画ではない
- 助成金の交付がない場合でも、事業の実施が可能な資金計画である
- 助成対象期間の終了(中間払については6か月経過時点)から一定の期間を経過した後に、助成金が支払われる点を踏まえた資金計画である
- 実施体制や実行能力(経理その他事務含む)等を有し、助成対象期間内に事業の実施が可能である
- 民事再生法、または会社更生法による申立て等を受けて、助成事業の継続について不確実な状況が存在していない
特に、「11」や「12」、「13」などには注意が必要です。
申請にあたっては、これらを満たしていることを事業計画などで示すこととなります。
その他一定の要件を満たすこと
その他、次の要件なども満たす必要があります。
- 都や公社に対する賃料・使用料等の債務が申請時点以前に生じている場合、支払が滞っていないこと
- 申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村等が実施する助成事業等に関して、不正等の事故を起こしていないこと
- 東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者または「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条に規定する風俗関連業、ギャンブル業、賭博など、支援の対象として社会通念上適切でないと判断される業態を営むものではないこと
くわしくは公募要領を確認するか、専門家へご相談ください。
創業助成金の申請で申請代行を活用するメリット
創業助成金の申請で専門家による申請サポートを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを4つ解説します。
- 自社が申請要件を満たしているか否かを事前に確認できる
- 採択の可能性を高められる
- 手間と時間を削減できる
- 申請期限に間に合わせやすくなる
自社が申請要件を満たしているか否かを事前に確認できる
先ほど紹介したように、創業助成金に申請するにはさまざまな要件を満たさなければなりません。申請サポートなどの依頼を前提として専門家に相談することで、要件を満たしているか否かをあらかじめ確認することが可能となります。
採択の可能性を高められる
専門家に申請サポートを依頼することで、採択の可能性を高めることが可能となります。なぜなら、専門家からコンサルティングを受けることで、助成対象としたい事業計画のブラッシュアップが可能となるためです。
手間と時間を削減できる
創業助成金の申請には、手間や時間がかかります。しかし、創業前後ではやるべきことも多く、助成金の申請まで手が回らないことも多いでしょう。
専門家に申請サポートを依頼することで、自身がかけるべき時間と労力を最小限に抑えることが可能となります。
申請期限に間に合わせやすくなる
創業助成金はいつでも申請できるわけではなく、所定の期間内に申請しなければなりません。忙しい中、自身で申請に取り組んだ場合には、うっかり申請期限を過ぎてしまうこともあるでしょう。
専門家に申請サポートを依頼する場合、専門家が期限管理をしてくれるため、申請期限に間に合わせやすくなります。
創業補助金の申請代行を活用する際の注意点
創業助成金の申請サポートを依頼しようとする際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、主な注意点を4つ解説します。
- ノウハウや実績は専門家ごとに大きく異なる
- 計画の策定からの「丸投げ」はできない
- サポート内容を確認しておく
- 虚偽申請は絶対に行わない
ノウハウや実績は専門家ごとに大きく異なる
1つ目は、ノウハウや実績が専門家ごとに大きく異なることです。
採択を勝ち取るための助成金申請には、高度なノウハウやコンサルティング能力が必要です。そのため、どの専門家にサポートを受けるかによって、結果に差が生じることが少なくありません。
ノウハウや実績は専門家によって大きく異なるため、依頼前にその専門家の補助金・助成金のサポート実績を確認しておくことをおすすめします。
計画の策定からの「丸投げ」はできない
2つ目は、計画の策定段階からの「丸投げ」はできないことです。
専門家の役割は、事業者様が実現したい事業計画をブラッシュアップしたり、これを文章化したりすることです。「助成金が欲しいから、適当に事業計画を作ってほしい」などの依頼ができるわけではありません。なぜなら、助成金を使ってその後事業を実施していくのは、申請者様自身であるためです。
また、助成金は事業実施後の後払いであるため、たとえ採択を受けても事業を実施しなければ、助成金を受け取ることはできません。
サポート内容を確認しておく
3つ目は、創業助成金のサポート内容が専門家によって異なることです。
たとえば、当社のように事業計画を練り込むコンサルティングから行う場合もある一方で事業者様が検討した事業計画を単に書類に落とし込むだけである場合もあるでしょう。
依頼してしまってから想定と異なり後悔することのないよう、あらかじめサポート内容を確認したうえで、自身が望むサポートを受けられる専門家を選ぶことをおすすめします。
虚偽申請は絶対に行わない
4つ目は、虚偽申請を絶対に行わないことです。
創業助成金にはさまざまな要件が課されているため、要件を満たさない場合もあるでしょう。その場合、書類を偽造するなどの虚偽申請をすることは、絶対に避けてください。虚偽申請が判明すると、助成金の返還が必要となるのみならず、懲役刑などの刑事罰の対象となる可能性があります。
要件を満たさない場合には、創業助成金への申請は諦め、他の補助金・助成金などの活用を検討しましょう。
創業補助金の最新スケジュール
2025年1月現在、東京都の創業助成金にすぐに申請することはできません。なお、前回(令和6年度第2回)の公募期間は、2024年9月25日から2024年10月4日でした。
申請をご希望の事業者様は今後の情報を待ちつつ、当社トライズコンサルティングまでお早めにご相談ください。
創業補助金の申請代行はトライズコンサルティングにお任せください
創業補助金の申請サポートは、当社トライズコンサルティングにお任せください。最後に、トライズコンサルティングの主な特長を3つ紹介します。
- 代表は中小企業診断士である
- 補助金・助成金のサポート実績が豊富である
- オンライン相談が可能である
代表は中小企業診断士である
トライズコンサルティングの代表である野竿は、中小企業診断士です。中小企業診断士は、中小企業の経営診断や経営コンサルティングを専門とする国家資格です。
また、野竿は中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関である、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)としても登録されております。
そのため、確かな知識のもとでのコンサルティングや申請サポートが可能です。
補助金・助成金のサポート実績が豊富である
トライズコンサルティングは、補助金や助成金の申請サポートに力を入れており、携わった案件で豊富な採択実績を有しています。
これは、トップコンサルタントが事業者様とともに申請内容である事業計画のブラッシュアップ段階から厚くサポートしている成果であると自負しています。そのため、安心して申請サポートをお任せいただけます。
オンライン相談が可能である
トライズコンサルティングは、Zoomなどのツールを活用したオンラインでのご相談や打ち合わせに対応しています。場所を移動することなく打ち合わせを進められるため、忙しい事業者様などからご好評をいただいています。
まとめ
東京都の創業助成金の概要を紹介するとともに、創業助成金の申請で申請サポートを活用するメリットや注意点などを解説しました。
創業助成金とは、東京都内で創業する者や創業5年以内の者を支援する助成金です。要件を満たす際には、獲得にチャレンジするとよいでしょう。
ただし、創業助成金に申請するには、さまざまな要件を満たさなければなりません。また、採択率も非常に低くなっています。
そのため、創業助成金の申請では、専門家による申請サポートの活用をおすすめします。専門家にサポートを受けることで自身が要件を満たすか否かあらかじめ確認できるほか、コンサルティングを受けて事業計画を練り込むことで、採択の可能性を高めることにもつながります。
当社トライズコンサルティングでは補助金や助成金の申請サポート実績が豊富であり、サポートした案件について高い採択率を誇っています。東京都の創業助成金への申請をご完投の際は、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。初回のご相談は、無料でお受けしています。