【2023】設備投資におすすめ補助金3選!活用するメリット・デメリットと採択されるコツ

設備投資におすすめ補助金

いつまでたっても収束しないコロナ禍に加えて、原油や材料等の高騰まで起こり、中小企業にとってはまさに逆風続きです。

一方、見方を変えれば、新型コロナウイルスを機に社会が大きく変わっている今は、新しいビジネスのチャンスです。厳しい時期に守りに入らず、設備投資を行いあえて攻めに出るのも危機の脱出方法の一つです。

幸いそんな中小企業の設備投資を応援する補助金などの支援策は、かつてなかったくらいに手厚くなっています。特に、低炭素化など「グリーン化」が2022年の設備投資に関する補助金のトレンドだといえるでしょう。今回は、そんな中小企業の設備投資を支える補助金を紹介します。

設備投資に使える補助金

中小企業が申請しやすいおすすめの補助金として、次の3つを紹介します。それぞれ目的が異なるため、自社の実現したいことに最も近いものを選ぶようにしましょう。

ざっくり分類すると、

  • 新規事業の挑戦するのであれば「事業再構築補助金」
  • 既存事業の中で生産性改善や新製品開発等に取り組むのであればもの「づくり補助金」
  • ITツールの導入であれば「IT導入補助金」

となります。

 補助金目的補助対象費目補助金上限額
ものづくり補助金  生産性改善のための設備投資、ソフトウェア開発機械購入費用、システム構築費用など100万円~2,000万円
事業再構築補助金  ウィズコロナ・ポストコロナのための事業再構築建物費用、機械購入費用、システム構築費用など100万円~1.5億円
IT導入補助金ITツール導入による生産性改善システム購入費用など30万円から450万円

設備投資におすすめの補助金①:ものづくり補助金

設備投資の補助金として代表的なのがものづくり補助金です。「ものづくり」とありますが、製造業でなくても申請できます。詳細について解説していきましょう。

対象者

対象となるのは、日本国内に本社または補助事業の実施場所がある中小企業、個人事業主等です。

対象となる取り組み

ものづくり補助金には、4つの応募枠があります。最も一般的な通常枠と回復型賃上げ・雇用拡大枠の対象となる取り組みは、革新的な製品や生産方法の開発・改善です。

デジタル枠では、DXを進めるシステム構築等が対象となり、グリーン枠では低炭素化を進める設備投資等が対象となります。通常の機械等の導入であれば通常枠、システム関連の投資であればデジタル枠、さらに省エネなど低炭素化の要素があればグリーン枠を検討したら良いでしょう。

応募枠対象となる取り組み
通常枠革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等
回復型賃上げ・雇用拡大枠(前年度の事業年度の課税所得がゼロであることが必要)
デジタル枠DXに資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等
グリーン枠温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発や炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善等

応募要件

ものづくり補助金には、以下の応募要件があります。要件を満たせなければ、補助金の返還を求められる場合があるため注意しましょう。

【ものづくり補助金応募要件】

次の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していること。

  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること
  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
  • 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

 3~5年後に給与支給総額と事業場内最低賃金の要件を満たせなければ、補助金の返還が求められます。また、通常枠以外の応募枠では上記の他に追加の要件があります。

補助金額

応募枠と補助金上限額は次のとおりです。いずれの枠も常勤の従業員人数によって上限額が異なります。また、重要政策であるグリーン化を進めるグリーン枠の補助金額が他よりも高くなっています。

応募枠従業員人数補助金上限額補助率
通常枠5人以下750万円原則1/2※
回復型賃上げ・雇用拡大枠6人~20人1,000万円2/3
デジタル枠21人以上1,250万円
グリーン枠5人以下1,000万円2/3
6人~20人1,500万円
21人以上2,000万円

※小規模事業者、再生事業者は2/3

申請方法

では、申請手続きはどのように進めれば良いのでしょうか?ここでは、ものづくり補助金の申請手続きの流れについて解説していきましょう。

申請手続き

申請手続きは、申請書類を準備のうえ、Jグランツというシステムで電子申請します。公募は四半期に一回程度行われます。2022年8月現在では第12次公募が開始しており、締め切り日は2022年10月24日(月)となっています。

申請書類の準備

準備する主な書類は次のとおりです。

  1. 事業計画書
  2. 賃金引上げ計画の誓約書
  3. 決算書 又は確定申告書(二期分)
  4. 従業員数の確認資料(法人事業概況説明書)

多くの添付書類を揃えることも大変ですが、一番骨が折れるのが事業計画書の作成です。事業計画書は、A4サイズ10枚以内で、自社の強みや特徴、補助事業で行う取り組みの優位性などを記載していきます。

電子申請

申請書類が完成したら電子申請を行います。ものづくり補助金は、「Jグランツ」という補助金申請システムから申請手続きをします。申請にはgBizIDプライムアカウントが必要で、アカウント取得には1~2週間かかります。

gBizIDプライムアカウントをまだお持ちでない場合は、まずはアカウントを取得しましょう。gBizIDプライムアカウントの取得方法等詳細はこちらのサイトを参照してください。

設備投資におすすめの補助金②:事業再構築補助金

続いて、設備投資におすすめの補助金として事業再構築補助金について解説します。事業再構築補助金は、コロナで苦境に陥った事業者の事業再構築を支援するため、2021年よりスタートしました。

特徴は、なんといっても補助金額が最高1.5億円と他の補助金と比べて桁違いに大きいことです。ものづくり補助金では対象にならない建物費なども対象になり、工場増設や店舗新設などより大規模な設備投資を後押ししてくれます。

対象者

対象となるのはコロナ禍で売上が減少した事業者です。具体的な要件は次のとおりです。

  • 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

対象となる取り組み

対象となる取り組みは、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開など思い切った事業再構築です。既存事業の延長ではなく、今まで実施したことがない事業に挑戦し、事業を大胆に再構築することが求められます。

応募要件

事業再構築補助金の応募要件は次のとおりです。

 【事業再構築補助金応募要件】

  • 事業再構築指針に沿って事業計画を認定支援機関等と策定すること
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加させること

認定支援機関等とは、中小企業を支援できる機関として経済産業大臣が認定した機関で、当社トライズコンサルティングの代表・野竿も認定を受けています。

また、通常枠以外の応募枠では上記の他に追加の応募要件があります。

補助金額

事業再構築補助金の補助金額上限は従業員数や応募枠によって異なります。応募枠がたくさんあって、どれを選んだら良いかわかりにくいかもしれません。

ざっくりというと、次の3つに分けられます。

  • ①通常枠
  • ②比較的採択されやすい「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「緊急対策枠」
  • ③補助金額が高い分応募要件が厳しいなどハードルも高い「大規模賃金引上げ枠」「グリーン成長枠」

回復・再生応援枠・最低賃金枠と緊急対策枠は、審査で優遇されることが公募要領に明記されており、要件を満たすのであればこれらの枠を狙えば良いでしょう。ただ、補助金額が低いため大規模な投資には向きません。

企業の種類応募枠従業員数上限額補助率
中小企業または中堅企業※通常枠20人以下100万円~2000万円中小企業者等:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業等:1/2(4,000万円超は1/3)
21~50人100万円~4,000万円
51人以上~100人100万円~6,000万円
101人以上100万円~8,000万円
回復・再生応援枠・最低賃金枠5人以下100万円~500万円中小企業者等:3/4
中堅企業等:2/3
6~20人100万円~1,000万円
21人以上100万円~1,500万円
緊急対策枠5人以下100万円~1,000万円中小企業等:3/4(※1)
中堅企業等:2/3(※2)
(※1)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、 従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分は2/3)
(※2)従業員数5人以下の場合500万円を超える部分、従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分、従業員数21人以上の場合1,500万円を超える 部分は1/2)
6~20人100万円~2,000万円
21~50人100万円~3,000万円
51人以上100万円~4,000万円
大規模賃金引上げ枠101人以上8,000万円超~1億円中小企業者等:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業等:1/2(4,000万円超は1/3)
中小企業グリーン成長枠100万円~1億円1/2
中堅企業100万円~1.5億円1/3

申請方法

ものづくり補助金と同様に、公募は四半期に一回程度行われます。

2022年8月現在、第7次公募の最中です。公募締め切り日は2022年9月30日(金)で、2022年度中にあと1回程度の公募が予定されています。

申請方法は、次のとおり申請書類を準備のうえ、電子申請で申請します。

申請書類の準備

すべての応募枠に共通して必要な書類は次のとおりです。

ものづくり補助金よりさらに添付資料が多くなっていますが、最も骨が折れるのは事業計画書の作成です。自社の強みや弱み、事業再構築補必要性、補助事業の具体的な取組内容などを記載し、15枚以内にまとめます。

  1. 事業計画書(15枚以内。補助金額が1,500万円以下の場合は10枚以内)
  2. 認定経営革新等支援機関の確認書
  3. 金融機関の確認書(補助金額が3,000万円を超える場合)
  4. コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類
  5. 直近2年間の決算書
  6. ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
  7. 従業員数を示す書類(労働者名簿など)

電子申請

申請書類の準備ができたらJグランツに登録して電子申請します。書類などをすべてPDFにして登録。以降の採択決定や交付申請等の手続きもすべてJグランツで行います。

設備投資におすすめの補助金③:IT導入補助金

最後に、設備投資におすすめの補助金としてIT導入補助金について解説します。IT導入補助金は、その名のとおり設備投資でもITツールの導入に限定した補助金です。システムなどITツールの導入を検討している事業者におすすめです。

対象者

中小企業、小規模事業者、個人事業主などが対象です。ものづくり補助金や事業再構築補助金では対象とならない社会福祉法人や医療法人、学校法人なども応募でき、対象者の幅が広いことが特徴です。

対象となる取り組み

業務効率化やDXのためにITツールを導入する取り組みが対象です。

導入するITツールは、ITベンダーなどのIT導入支援事業者が事前に登録したツールの中から選びます。ソフトウェアやクラウドサービス利用料だけでなく、導入に必要なコンサルティング費用、教育費用、保守費用等も対象になります。

補助金額

IT導入補助金には3つの類型があり、補助金額は類型によって異なります。類型は、ソフトウェアの対象となる「顧客対応・販売支援」などの業務プロセスの数によって決まります。

2023年のインボイス制度導入を見据えて創設された「デジタル化基盤導入類型」では、会計・受発注・決済・ECのうちいずれかの業務プロセスを持つシステムを導入することが必要です。

項目A類型B類型デジタル化基盤導入類型
補助対象経費区分ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大1年分補助)・導入関連費等ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分補助)・導入関連費等
補助率1/2以内3/4以内2/3以内
上限額・下限額30万円~150万円未満150万円~450万円以下5万円~50万円以下50万円超~350万円

応募要件

IT導入補助金A類型、B類型の応募要件は次のとおりです。

  • 3年間、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること
  • 3年間、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準とすること

B類型では賃上げ目標の設定が必須となっており、目標を達成できなければ補助金の返還を求められる場合があるため注意が必要です。一方、デジタル化基盤導入類型には、上記のような賃上げ目標の設定はありません。

申請方法

IT導入補助金は毎月公募がありますので、準備の整った段階で申請すると良いでしょう。申請方法の流れは、次のとおり「IT導入支援事業者」と二人三脚で進めていきます。

IT導入支援事業者の選定

補助事業を実施するうえでのパートナーとなる「IT導入支援事業者」を選びます。IT導入支援事業者がITツールの提案・導入や事業計画の策定支援など、申請手続をサポートしてくれます。IT導入支援事業者は要件を満たした業者があらかじめ登録されていますので、その中から選ぶことになります。

ITツールの選択

IT導入支援事業者と相談しながら自社の課題に合ったITツールを選びましょう。

事業計画の作成

IT導入支援事業者と共同で補助事業の計画を作成します。A類型およびB類型の場合、「労働生産性」の1年後伸び率が3%以上、3年後伸び率が9%以上とすることが必須要件です。労働生産性とは、次のとおり従業員一人当たり1時間当たりの粗利を計算して算出します。

  • 労働生産性 =粗利益(売上-原価)/(従業員数×1人当たり勤務時間(年平均))

なお、デジタル化基盤導入類型では上記の生産性算出は求められません。

申請

申請は、Jグランツにて電子申請で行います。

設備投資に補助金を使うメリットとデメリット

最後に、設備投資に補助金を活用するメリットとデメリットをお伝えしましょう。

設備投資に補助金を使うメリット

まずは、設備投資に補助金を活用するメリットについて解説します。

調達資金は返済不要

メリットは、なんといってもお金がもらえること、これに尽きるでしょう。

補助金は返済不要の資金調達です。当然ながら利息もかかりません。申請手続きなどに手間はかかりますが、手間を上回る以上の価値があるといえるでしょう。

経営力が向上する

「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」では、申請書類として10枚~15枚の事業計画書を作成します。とてつもない労力を伴いますが、自社の強みや弱みをしっかり見つめなおし、自社の資源をどのように使っていくかを考える機会になり、経営力の向上につながります。

信用力が向上する

もし補助金が採択されたのであれば、公的機関がお金を出しても良いと認めた事業だといえます。そのため、補助金の獲得で公的機関のお墨付きが得られたとアピールすることができ、取引先や金融機関等からの信頼度が上がることが期待できます。

設備投資に補助金を使うデメリット

メリットがあれば当然デメリットもあります。むしろ、デメリットの方をしっかり認識したうえで申請するようにしましょう。

厳しい採択審査がある

いずれの補助金にも採択審査があり、申請したからといって必ずもらえるものではありません。しかも、採択率は3割~6割程度です。申請しても半数近くが不採択となるのが現実です。

補助金だけを当てにするのではなく、融資などその他の資金調達策も確保しておきましょう。

補助金は後払い

補助金は、原則として後払いです。採択されてすぐにもらえるのではなく、補助事業が完了してから支払われるため、1年近く先になることもあります。

後から補填されるとはいえ、当面は立替払いが必要のため資金繰りにはくれぐれも留意しましょう。

過剰投資に注意が必要

補助金が出るからと、必ずしも必要ではない設備まで購入するなど、過剰投資になってしまう事業者様も散見されます。

補助金でカバーされるのはあくまで経費の一部です。無駄な投資で自己負担がかさんでは元も子もありませんので、くれぐれも投資内容は見極めるようにしましょう。

膨大な手間がかかる

補助金の申請には、とかく手間がかかります。事業計画書を中心とする申請書作成に始まり、採択後も実績報告書の作成など煩雑な書類作成があります。

ものづくり補助金のアンケートでは、半数以上の回答が、申請書作成に50時間以上費やしたとありました。しかも、長い時間をかけて申請書を作成した事業者の方が、採択率が高い傾向にあります。

採択を狙うのなら、しっかり時間をかけ、入念な準備が必要と心得るべきでしょう。

まとめ

中小企業が設備投資で使える補助金について解説しました。

補助金には申請書に基づいた採択審査があり、簡単に受け取れるものではありません。特に、近年応募者が増えたこと等により、補助金の採択率は低下傾向にあります。

採択のカギとなるのが、事業計画書を中心とする申請書類の作成です。採択されるための難易度は上がっており、専門家の力を借りるのも一つです。

当社トライズコンサルティングでは、補助金の申請支援を多数手がけています。2019、2020年度の申請支援を手掛けた補助金の採択率は97%です。

中小企業の皆さまに寄り添い、一緒に事業計画を作っていくことで採択を目指します。ご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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