【2025】小規模事業者持続化補助金の「賃金引上げ特例」とは?補助上限額や申請要件を解説

小規模事業者持続化補助金の「賃金引上げ特例」とは?補助上限額や申請要件を解説

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が行う販路開拓などの取り組みを支援する補助制度です。メインの申請類型である「一般型通常枠」の補助上限額は50万円であるものの、特例の適用を受けることで補助上限額が引き上げられます。その特例の1つが、賃金引上げ特例です。

では、小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の適用を受けるには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか?また、賃金引上げ特例の適用を受けようとする際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?今回は、小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の概要や適用要件、適用を受ける流れ、注意点などについてくわしく解説します。

なお、当社トライズコンサルティングは小規模事業者持続化補助金の申請サポートを行っており、サポートした多くの案件で採択を勝ち取ってきた実績があります。トライズコンサルティングは、中小企業診断士である野竿が代表を務めるコンサルティング企業です。小規模事業者持続化補助金への申請や賃金引き上げ特例の適用をご検討の際は、当社までお気軽にご相談ください。

小規模事業者持続化補助金の「賃金引上げ枠(特例)」とは

補助金とは、所定の要件を満たして申請し、他の多数の申請者のなかから補助対象に相応しいとして選ばれる(採択される)ことで、返済不要なまとまった資金が得られる制度です。そのうちの1つに、小規模事業者持続化補助金があります。

冒頭でも触れたように、小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者と一定のNPO法人(以下、「小規模事業者等」といいます)が取り組む販路開拓や、これとともに行う生産性向上などの取り組みを支援する補助金です。補助金の中では難易度も低めであるうえ、チラシの印刷費や広告出稿費なども対象となり、使い勝手のよい補助金であるといえるでしょう。

小規模事業者等持続化補助金の一般型通常枠の補助上限額は50万円、補助率は2/3です。ただし、「賃金引上げ特例」の適用を受けることで、補助上限額が150万円上乗せされ、補助上限額が200万円となります。また、一定の赤字事業者が賃金引上げ特例の適用を受ける場合には、補助上限額の上乗せに加え、補助率も3/4へと引き上げられます。

なお、「賃金引上げ枠」ではなく「賃金引上げ特例」であるため、賃金引上げ特例だけに単独で申請することはできません。申請する類型は一般型通常枠であり、これに上乗せをする形で賃金引上げ特例の適用を受けることとなります。

小規模事業者持続化補助金の一般型通常枠の申請要件

先ほど解説したように、賃金引上げ特例の適用を受けるには、土台となる一般型通常枠への申請が前提となります。ここでは、一般型通常枠の申請要件を解説します。

自社や自社が検討している取り組みが小規模事業者持続化補助金の補助対象となるか否か知りたい場合には、当社トライズコンサルティングへお気軽にご相談ください。

補助対象者の要件

小規模事業者持続化補助金の補助対象となるには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 日本国内に所在すること
  2. 「小規模事業者」であること
  3. (法人の場合)資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されていないこと
  4. 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」または「各事業年度」の課税所得の年平均額が、15億円を超えていないこと
  5. 医療法人や学校法人、宗教法人、一般社団(財団)法人など補助対象外となる一定の形態に該当しないこと

なお、「小規模事業者」とは、業種ごとに、常時雇用する従業員の数が次のとおりである事業者を指します。また、法人はもちろん、個人事業も「小規模事業者」に該当し得ます。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他

補助対象となる取り組みの要件

小規模事業者持続化補助金の補助対象となるのは、次の要件をすべて満たす取り組みです。

  1. 策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取り組みであること。または、販路開拓等の取り組みとあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取り組みであること。
  2. 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること。
  3. 所定の補助事業実施期間内に補助事業が終了すること。

一方で、次の事業は補助対象とはなりません。

  • 国等が助成する他の制度(補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と同一または類似内容の事業(デイサービス・介護タクシー等の居宅介護サービス事業者で介護報酬が適用されるサービス、薬局・整骨院等の保険診療報酬が適用されるサービスなど)
  • 補助事業の終了後、おおむね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
  • 事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの(マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業など)
  • 農業を行う事業者が単に別の作物を作る・飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む事業が1次産業 (農業、林業、漁業)である事業

自社が想定している取り組みが補助対象となるか否か判断に迷う場合には、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。当社は小規模事業者持続化補助金の申請サポートについて豊富な実績を有しており、的確なアドバイスや申請支援が可能です。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の適用要件

賃金引上げ特例の適用を受けるには、一般型通常枠の要件を満たすことに加え、賃金引上げの要件も満たさなければなりません。ここでは、賃金引上げ特例の適用を受けるための要件を解説します。

なお、賃金引上げ特例の適用を希望した場合において、賃金引上げ特例の要件を満たさない場合には、補助金は交付されないとされています。賃金引上げ特例による上乗せ部分だけが適用除外になるのではなく、補助金の全体が交付対象外となることに注意が必要です。

申請する類型や特例適用の可否などを確認したい場合には、当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。当社は小規模事業者持続化補助金の申請サポートについて豊富な実績を有しており、安心してご相談いただけます。

賃金引上げ特例の適用を受ける原則的な要件

小規模事業者持続化補助金で賃金引上げ特例の適用を受ける要件は、補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の事業場内最低賃金の+50円以上であることです。

なお、事業場内最低賃金の算定対象者は申請時点において在籍している従業員であり、申請時点において従業員がいない場合にはこの特例の適用を受けることはできません。また、事業場内最低賃金の対象者が退職した場合には、補助事業の終了時点において、次点の従業員が申請時の事業場内最低賃金+50円であれば特例適用となります。

赤字事業者が賃金引上げ特例の適用を受けるために満たすべき追加要件

先ほど解説したように、赤字事業者が賃金引上げ特例の適用を受けた場合には補助率の引き上げも受けられます。この特例の適用を受けるには、賃金引上げ特例を受けるための要件を満たすことに加え、直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下であったことが必要です。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の適用を受ける流れ

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の適用を受けたい場合、どのような流れで進めればよいのでしょうか?ここでは、補助金受給までの一般的な流れを解説します。

  • 専門家に相談をする
  • 要件を確認し申請内容を検討する
  • 公募期間内に申請する
  • 採択・不採択が決まる
  • 補助対象事業を実施する
  • 実績報告をする
  • 補助金が交付される

専門家に相談をする

小規模事業者持続化補助金に自力で申請することは、不可能ではありません。しかし、無理に自力で申請しようとすれば多大な時間と労力を要し、本業に割くべきリソースを圧迫するおそれがあります。また、補助金の中では難易度が低めであるとはいえ、片手間で行った安直な申請で採択が得られるほど易しいものではありません。

そのため、まずは小規模事業者持続化補助金にくわしい専門家に相談し、サポートを受けることをおすすめします。小規模事業者持続化補助金の申請サポート実績が豊富な専門家をお探しの際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。

要件を確認し申請内容を検討する

専門家とともに申請要件や賃金引上げ特例の適用要件を確認し、申請内容を検討します。このステップでは、専門家からコンサルティングを受けて、申請に必要な事業計画をブラッシュアップします。これにより、事業計画の収益性や全体の整合性などが向上し、採択の可能性を高めることにつながります。

申請内容が固まったらこれを元に地域の商工会または商工会議所に相談し、「事業支援計画書」の発行を受けます。

公募期間内に申請する

商工会または商工会議所から「事業支援計画書」の発行を受けたら、公募期間内に申請します。小規模事業者持続化補助金はいつでも申請できるわけではなく、所定の公募期間内に申請しなければなりません。期限に遅れないよう、期限管理に注意しましょう。

採択・不採択が決まる

公募期間の満了後に、採択・不採択が通知されます。

採択されたらまずは補助対象としたい経費の見積もりをとり、その他の必要書類とともに事務局に提出しなければなりません。見積もりの妥当性などが確認されると、事務局から交付決定がなされます。

補助対象事業を実施する

交付決定を受けたら、補助対象事業を実施します。具体的には、補助対象としたい経費の発注(例:チラシの作成費を補助対象としたいのであれば、チラシ作成の委託先との契約締結)や、経費の支出などです。交付決定よりも前に支出した経費は補助対象とならないため、先走らないように注意しましょう。

なお、この段階では、まだ補助金は交付されていません。そのため、一時的には補助対象経費の全額を自己資金(または、融資など)で用意する必要があります。

実績報告をする

補助事業を実施したら、補助金事務局に対して実績報告を行います。実績報告には見積書や発注書などさまざまな書類が必要となるため、紛失などしないよう注意しましょう。採択がされた時点で実績報告に必要となる書類を確認しておくと、もらい忘れなどを防止できます。

補助金が交付される

実績報告に問題がないと判断されると、最終的な補助金額が確定します。これを受けて、補助金の請求手続きをすることで、補助金が交付されます。

なお、補助金の受給後も、補助事業終了後から1年後の状況について「事業効果報告書」を提出しなければなりません。手続きを忘れると補助金の返還を求められる可能性があるため、ご注意ください。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の適用を受けたい場合の注意点

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の適用を受けたい場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、主な注意点を3つ解説します。

  • 賃上げ要件は予定ではなく実績として達成する必要がある
  • 一定の従業員は算定対象に含まれない
  • 歩合+基本給の場合には基本給部分の引上げが必要となる

賃上げ要件は予定ではなく実績として達成する必要がある

賃金引上げ特例の適用を受けるために満たすべき賃上げ要件は、申請時の「予定」だけでクリアできるものではありません。実績報告時には次の書類などの提出が求められ、実際に賃上げ要件を満たしたか否かが確認されます。

  • 補助事業終了時点における直近1ヶ月分の、労働基準法に基づく賃金台帳の写し
  • 賃金引上げ後の雇用条件(1日の所定労働時間・年間休日)が記載された書類の写し(雇用契約書・労働条件通知書など)

要件を満たしたことが確認できない場合、採択を受けていたとしても、補助金の交付が受けられなくなります。また、先ほど解説したように、この場合には特例部分だけが適用されなくなるのではなく、補助金全体の交付が受けられません。そのため、賃金引上げ特例の適用申請は「ダメ元」で行うのではなく、達成見込みを検証したうえで申請すべきでしょう。

一定の従業員は算定対象に含まれない

賃金引上げ特例の判断基準である事業場内最低賃金の算定対象者に、次の者を含めることはできません。

  • 日々雇い入れられる者
  • 2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
  • 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者(ただし、所定の期間を超えて引き続き雇用されている者は除く)

前提条件を誤ってしまうと特例適用の可否の判断にも影響するおそれがあるため、正しく理解しておきましょう。お困りの際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。

歩合+基本給の場合には基本給部分の引上げが必要となる

「歩合+基本給」の給与形態である場合、歩合給部分を引き上げても特例の適用要件を満たすことはできません。この場合において特例の適用要件を満たすには、基本給部分を+50円とする必要があります。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の最新公募スケジュール

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例は、一般型通常枠とセットで申請をするものです。そのため、申請スケジュールも、一般型通常枠のスケジュールに連動します。

2025年7月現在、小規模事業者持続化補助金の一般型通常枠へすぐに申請することはできません。2025年6月13日に、第17回公募が締め切られたばかりです。

申請をご希望の事業者様は、当社トライズコンサルティングまでお早めにご相談ください。早めからご相談いただくことで公募が開始された際にいち早く情報の提供が可能となり、申請の機会を逃しづらくなります。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例の活用をご希望の際はトライズコンサルティングまでご相談ください

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例への申請は、当社トライズコンサルティングにお任せください。最後に、当社の主な特長を4つ紹介します。

  • 代表は認定支援機関として登録されている
  • 補助金の申請サポート実績が豊富にある
  • 採択後の手続きのサポートも可能である
  • 全国対応している

代表は認定支援機関として登録されている

トライズコンサルティングの代表である野竿は中小企業診断士であるほか、認定支援機関としても登録されています。

認定支援機関は、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関であり、国から知識や実績が担保されていることを意味します。そのため、安心してお任せいただけます。

補助金の申請サポート実績が豊富にある

当社トライズコンサルティングは補助金の申請サポート実績が豊富であり、小規模事業者持続化補助金についても多くの採択を勝ち取ってきました。これは、事業者様から伝えられた内容を単に書面化するのではなく、当社コンサルタントが1件1件の申請と真摯に向き合い、コンサルティングによって事業計画の練り込み段階からサポートしている結果であると自負しています。

採択後の手続きのサポートも可能である

先ほど「流れ」の中でも解説したように、小規模事業者持続化補助金を受け取るには、採択後もさまざまな手続きが発生します。忙しい事業者様にとって、この手続きを負担に感じることも多いでしょう。

当社トライズコンサルティングは、採択後の手続きのサポートも可能です。これにより、事業者様はより本業に注力しやすくなります。

全国対応している

当社トライズコンサルティングは、相談や打ち合わせにZoomなどのオンラインツールを活用し、全国対応を実現しています。また、忙しい事業者様が出張先などから打ち合わせを進めることも可能であり、効率的に申請準備が進められます。

まとめ

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ枠(特例)について、概要や特例適用要件、適用を受ける流れ、注意点などを解説しました。

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が取り組む販路開拓などに要する資金の一部について、国から補助が受けられる制度です。一般型通常枠の補助上限額は50万円であるものの、賃金引上げ特例の適用を受けることでこれが150万円上乗せされます。

賃金引上げ特例の適用を受けるには一般型通常枠の申請要件を満たしたうえで、賃金引上げに関する要件も満たさなければなりません。結果的に要件を満たせなければ採択されても補助金を受け取れなくなるため、要件を満たせそうか否か、事前に慎重に検証することをおすすめします。

当社トライズコンサルティングは小規模事業者持続化補助金の申請サポートについて豊富な実績を有しており、サポートした多くの案件で採択を勝ち取ってきました。また、チラシやホームページ制作、マーケティング支援、融資の申込み支援など総合的なサポートも可能です。

小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例について相談できる専門家をお探しの際は、当社トライズコンサルティングまでお問い合わせください。小規模事業者持続化補助金に関する初回のご相談は無料です。

また、Zoomなどのオンラインツールを活用するため、全国どこからでもご相談いただけます。

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