【2021】事業再構築補助金の申請方法は?申請の流れとポイント

事業再構築補助金の申請

コロナ禍に立ち向かい、アフターコロナ・ウイズコロナに向けた事業の再構築に挑戦する事業者を支援する「事業再構築補助金」。補助金上限額はなんと最高8千万円です。2021年7月末より、第3回目の公募が開始されました。

一向に収束しないコロナ禍に対応して、事業再構築補助金も公募のたびに内容の見直しが行われ、パワーアップしています。今回は、第3回の公募内容を中心に、事業再構築補助金の概要と申請方法について紹介します。

事業再構築補助金の概要

まずは、事業再構築補助金の概要を紹介しましょう。ここでの記載内容は、第3回公募要領に基づいています。事業再構築補助金は、公募のたびに内容に変更が加えられていますので、応募する際は、必ず最新の公募要領を参照するようにしてください。

対象者および要件

対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業等です。

1. コロナ禍で売上が減少していること

対象となるのはコロナ禍で売上が減少した事業者です。具体的な要件は以下の通りとなります。

  • 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して、10%以上減少していること
  • 2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して5%以上減少していること

なお、売上高に代えて、付加価値額を用いることも可能です。付加価値額は、

  • 営業利益+人件費+減価償却費

で算出します。付加価値額を用いる場合は、下記が要件になります。

  • 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヶ月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること
  • 2020年10月以降の連続する 6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヶ月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること

2. 事業再構築指針に沿った事業計画作成

経産省が示す事業再構築指針に沿って、認定支援機関等と 事業計画を策定することが必要です。

事業再構築指針とは、いわば事業再構築のガイドラインです。詳細は後ほど紹介します。

認定経営革新等支援機関とは、中小企業を支援できる機関として経済産業大臣が認定した機関で、当社トライズコンサルティング代表の野竿も認定を受けています。

6つの応募枠

事業再構築補助金には、通常枠をはじめ6つの応募枠があります。順に内容を紹介していきましょう。

応募枠および補助金額

まず、応募枠および補助金上限額は次の表の通りです。応募枠や従業員数に応じて、補助金上限額が決まっています。また、補助率は中小企業か中堅企業かによって異なります。中堅企業とは、中小企業ではないけれど、資本金10億円未満の企業が該当します(資本金等の定めのない場合は、従業員2,000名以下)。

応募枠には、通常枠の他に要件の異なるコースが5つあります。

  • 緊急事態宣言特別枠
  • 最低賃金枠
  • 大規模賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • グローバルV字回復枠

緊急事態宣言特別枠

緊急事態宣言に伴う時短営業や不要不急の外出自粛等で深刻な影響を受け、次の要件を満たした事業主は、補助率を引き上げた「緊急事態宣言特別枠」に応募できます。

  • 緊急事態宣言の影響で、令和3年1~8月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者
  • または、令和3年の国による緊急事態宣言の影響により、令和3年1月~8月のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で45%以上減少していること

※地域や業種は問いませんので、緊急事態宣言発動地域以外でも申請できます。

緊急事態宣言特別枠で不採択となっても、通常枠で再審査されます。したがって、緊急事態宣言特別枠の方が採択される可能性が高いといえるでしょう。

実際に、第1回公募では、通常枠の採択率が3割であったのに対し、緊急事態宣言特別枠の採択率は5割でした。通常枠より補助金上限額は低くなるものの、比較的採択されやすい応募枠です。要件を満たしている場合は、緊急事態宣言特別枠での応募を検討すると良いでしょう。

最低賃金枠

さらに、緊急事態宣言特別枠の応募要件に加えて、以下の「最低賃金要件」を満たせば、「最低賃金枠」で応募できます。

最低賃金要件

  • 2020年10月から2021年6月までの間で、3ヶ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること

最低賃金枠の補助率や上限額は緊急事態宣言特別枠と同じですが、最低賃金枠の方が緊急事態宣言特別枠よりもさらに加点され、採択審査で優遇されます。

大規模賃金引上げ枠

大規模賃金引上げ枠は、従業員101名以上の企業を対象に、事業場内で最も低い賃金を引上げ、かつ従業員数を増加することで補助金上限額が1億円になる応募枠です。大規模賃金引上げ枠は、通常の応募件に加えて以下の要件を満たす必要があります。

賃金引上要件

  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること

従業員増員要件

  • 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること

2021年10月以降に最低賃金が大きく引き上げられようとしている中、要件を満たすことは決してたやすくありませんが、1億円の補助金は魅力的ですね。従業員の雇用や処遇改善も見据えて、事業の再構築に着手するのも一案です。

卒業枠

卒業枠とは、事業再構築を通じて資本金または従業員を増やし、3年~5年の事業計画期間内に中小企業者等から中堅・大企業等へ成長すること等を要件に、補助金上限額が1億円に引き上げられるコースです。卒業枠で不採択となっても通常枠で再審査されるため、増資や事業再構築を通じて社員の大量採用等を計画している企業であれば挑戦してみるのも一つです。

グローバルV字回復枠

グローバルV字回復枠は中堅企業を対象としており、グローバル展開を果たし、補助事業終了後で付加価値額の年率平均5.0%以上増やすことが要件です。通常枠より高い付加価値額増加率を達成する代わりに、補助金額も8,000万円~1億円と大きくなっています。

ただ、多くの国々で入国制限がなされている現状では、グローバル展開しづらい環境にあります。そのためか、第1回公募でグローバルV字回復枠の応募件数は2件しかありませんでした。コロナの収束とともに今後注目を集めていく応募枠かもしれません。

対象経費

補助金の対象となる経費は以下の費目になります。機械等の設備購入費だけでなく、改装費や広告宣伝費等も対象となります。

  • 建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復)
  • 機械装置
  • システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)、クラウドサービス利用費、運搬費
  • 技術導入費(知的財産権導入に要する経費)、知的財産権等関連経費
  • 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、専門家経費
  • 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
  • 研修費(教育訓練費、講座受講等)
  • 海外旅費(卒業枠、グローバルV字回復枠のみ)

なお、改装費は対象になりますが、新たに店舗建物を購入するといった不動産取得費は対象になりません。また、車両やPC、タブレット、家具類も汎用使用ができるため対象外です。

事業再構築指針とは

続いて、事業再構築指針について解説しましょう。次の5つの分類のいずれかに合致する必要があります。分類を選択し、要件を満たすことを事業計画の中で説明していきます。

着目すべきは、3~5年後の売上についての要件です。

新分野展開と業態転換が、「3~5年後に新たな製品の売上が全体の10%以上となること」に対し、事業転換と業種転換は「3~5年後に新たな事業・業種の売上が、売上高構成比の中で最も高くなること」が求められます。つまり、既存事業ではなく新たに始めた新規事業の方が大きな売上になるということで、大胆な変革が必要になります。

なお、どの分類を選んでも採択率に変わりはないとされています。そのため、分類に自社の計画を合わせるのではなく、極力自社の計画にあった分類を選ぶようにしましょう。

新規性要件

続いて、それぞれの要件の定義について解説していきましょう。

5つの分類いずれにおいても「新しい新製品」を製造することが必要です(製品等の新規性)。また、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」では、新商品に加えて新市場に進出することが必要です。一方、「業態転換」では新市場への進出は問われていません。

製品等の新規性

新たな投資を必要とせず、単に商品ラインナップを増やすような場合や、単により性能の高い同種の機械設備を導入するだけでは「製品等の新規性」要件を満たしません。「製品等の新規性要件」は次の4つを満たす必要があります。

  • ①コロナ禍前に製造した実績がない
  • ②製造に用いる主要な設備を変更する
  • ③競合他社の多くが既に製造している製品でない
  • ④定量的に性能又は効能が異なる

市場等の新規性

続いては市場等の新規性です。まず必須とされるのが、既存製品と新製品の代替性が低く、共食いをしないことです。

例えば、アイスクリーム屋がかき氷を新たに販売すると、対象となるニーズ、顧客は類似性が高いため、共食いしてしまう可能性が高く要件に合致しません。

  • ①既存製品と新製品の代替性が低いこと(市場を共食いしない)
  • ②既存製品と新製品の顧客層が異なること(任意要件)

製造方法等の新規性

製造方法等の新規性は、「業態転換」に必要な要件です。ただし、製品等の新規性と内容がほとんど変わらず、製品等の新規性要件を満たすことができたら製造方法等の新規性も満たすことができます。

  • ①コロナ禍前に同じ方法で製造した実績がない
  • ②新たな製造方法に用いる主要な設備を変更する
  • ③定量的に性能又は効能が異なる

事業・業種の変更

「事業転換」は事業が変わること、「業種転換」は事業に加えて業種も変わることが求められます。業種とは、日本標準産業分類に基づく「事業(大分類)」を、事業とは「事業(中~細分類)」を指します。

例1:レストランが弁当屋に変更する場合は、大分類(宿泊業,飲食サービス業)は変わらず中分類が飲食店から持ち帰り・配達飲食サービス業に変わるため「事業転換」に該当します。

例2:レストランが店舗スペースを活かしてコインランドリーに変更する場合は、大分類(宿泊業,飲食サービス業)が生活関連サービス業、娯楽業に変わるため「業種転換」に該当します。

事業再構築補助金申請の流れ

事業再構築補助金の申請は、A4サイズ15枚程度の事業計画書を認定経営革新等支援機関と一緒に策定します(補助金額が1,500万円以下であれば、事業計画書の目安は10枚以内になります)。事業の実現化に向けた入念な準備と計画が求められますので、事業計画書はしっかり時間をかけて作成するようにしましょう。

申請手続き

申請手続きは、「Jグランツ」という補助金申請システムにて行います。申請にはgBizIDプライムアカウントが必要で、アカウント取得には3週間以上かかります。gBizIDプライムアカウントをまだお持ちでない場合は、まずはアカウントを取得しましょう。

gBizIDプライムアカウントの取得方法等詳細はこちらのURLを参照してください。

スケジュール

事業再構築補助金は、2021年3月より公募が開始しました。2021年8月現在、第3回目の公募中で、2021年9月21日(火)が締め切りです。

2021年10月以降の公募予定はまだ公表されていませんが、当初予定ではあと2回公募が実施されます。公募から補助金支払いまでの流れは次のとおりです。

項目内容期間
公募、申請Jグランツより電子申請
採択決定、交付申請、交付決定通知採択されたら、見積書等必要書類を添えて、交付申請手続きをします。その後交付決定通知が到着します。約1ヶ月間
補助事業の実施 補助事業を事業計画書通りに実施。完了したら30日以内に実績報告書を提出。12ヶ月以内(卒業枠、グローバル展開枠は14ヶ月以内)
補助金請求、支払い実績報告書の提出後補助金が振り込まれます。約1ヶ月
事業化状況・知的財産権等報告書の提出補助事業終了後も、5箇年にわたって毎年、付加価値額向上及び賃金引上げ状況等を報告します。

注意が必要なのは、補助金が受け取れるのは、補助事業が終了して実績報告を提出してからになることです。場合によっては、申請から1年近く先になることもあります。後から補填されるとはいえ、当面の立替払いが必要になってくるため、資金繰りには十分留意しましょう。

事業再構築補助金の審査

事業再構築補助金の採否は、申請書類に基づいた書類審査で決定されます。 原則として、審査員は申請書類以外の情報は参照しません。専門用語は使わず、表や写真などを盛り込んで、ビジュアルにも訴えかけるわかりやすい申請書作成を心がけましょう。

審査項目

申請書類に基づき、「事業化点」「再構築点」「政策点」の3つの観点で設定された次の審査項目によって審査されます。

事業化点

実施体制、市場ニーズ、競合に対する優位性、収益性、費用対効果など

再構築点

事業再構築指針に沿った取り組みであるか。事業再構築の必要性、自社の強みをふまえた取り組みであるかなど

政策点

地域経済への貢献、ニッチ分野での差別化、デジタル技術、低炭素技術等の活用など

加点項目

また、以下の要件を満たしていれば審査で加点を受けることができます。

  • 令和3年の国による緊急事態宣言の影響で、2021年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していること。(同期間のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同月に受給した協力金の額を上回ること。)
  • データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPM※の取り組みに対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。

※EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。

事業再構築補助金の採択率

第1回公募の採択結果は以下の通りでした。

緊急事態宣言特別枠は50%を超える採択率でしたが、通常枠は30%と非常に狭き門でした。第2回目以降の採択結果はまだ出ていませんが、引き続き厳しい結果になると予想されます。

まとめ

事業再構築補助金の概要と申請方法について解説しました。

応募しても半分以上は不採択となってしまうのが現実ですが、少しでも採択の可能性を高めたいと思うのであれば、専門家の助けを借りるのも一つです。中小企業診断士などの事業計画書作成に長けた専門家が、事業再構築補助金の申請を支援してくれます。

当社トライズコンサルティングでも、事業再構築補助金の申請サポートを実施しています。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。