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【2021】事業再構築補助金に採択された具体例は?共通する特徴とは

事業再構築補助金の具体例

事業再構築補助金を申請しようとお考えの方の多くは、「事業計画書はどのように書けば採択されるのだろう?」とお悩みのことでしょう。

事業再構築補助金事務局のホームページでは、第1回公募の事業再構築補助金の採択された事例が事業計画書付きで公開されました。これはチェックしない手はないでしょう。

今回は、事業構築補助金の目的や、これまでの採択結果も交えながら解説していきます。

事業再構築補助金の目的

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待し難い中、今後の新しい経済社会の変化に対応するために、各種類型の事業再構築、またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することにより、日本経済の構造転換を促すことを目的とするものです。

事業再構築補助金の総予算は1兆1,485億円の巨額にのぼり、この額は中小企業庁の通常の1年の予算額の10倍などともいわれています。このことからも、新たな取り組みにより、経済成長の在り方を変容させる「攻め」の方向へと中小企業等を強くバックアップするものといわれています。

事業再構築補助金の採択結果の概要

これまでの第1回公募および第2回公募の応募と採択結果はどんな結果だったでしょうか?そして、今後の申請に向けて参考となるものはあるでしょうか。

ここでは、応募件数と採択件数の数字のみに着目してみます。業種や地域、金額、支援機関など、さまざまな視点もありますが、分析する要素が多いため、かえってポイントがぼやける傾向があるからです。他方、応募総数と採択件数というシンプルな結果からも、十分に参考となる情報を得ることができます。

各回の公募の採択結果については、第1回公募では応募件数22,231件、申請件数19,239件、採択件数は8,016件でした。第2回公募では応募件数20,800件、申請件数18,333件、採択件数は9,336件でした。応募総数と申請件数に差があるのは、応募件数の中には書類不備等があるなど、申請要件を満たさない応募が含まれているためです。

第1回公募では、応募件数22,231件のうち13.4%にも当たる2,992件の申請要件を満たさない応募があったことになります。申請要件を満たした19,239件の申請の採択率は41.6%でした。

では、第2回公募ではどうなったでしょうか?申請要件不備の割合はわずかに減り(11.8%)、申請要件を満たした18,333件の申請の採択率は50.9%に上がりました。

この結果ならびに第1回および第2回の推移からは、2つの点が推察されると考えられます。

一つ目は、書類不備等がなく申請要件を満たした応募が2%弱ながら上がったことです。これは、申請事業者が公募要領その他の情報をより慎重に確認して申請した結果でしょう。

二つ目は、申請件数のうち採択件数の割合が約10%も上昇したことです。回数を経るなどして、補助事業を熟慮することはもちろん、申請事業者がよりしっかりとした事業計画書を作成するようになったことが伺えます。

したがって、今後より一層、制度に則した高品質な事業計画書の策定が求められることに間違いないでしょう。

事業再構築補助金で採択された具体例

では、厳正な審査を経て採択されるに至った事業再構築補助金の事業計画の具体例はどのようなものなでしょうか?

2021年7月19日、事業再構築補助金事務局は、第1回公募における採択事例事例「採択事例紹介」ページ(事業再構築補助金事務局)を公開しました。

ここでは、9社の事例が事業計画書とともに紹介されています。それぞれの事業計画書の特徴を見てみましょう。

宿泊業事業者(北海道、新分野展開)

事業計画書の特徴:

  • 現行事業における実績や社会的な取り組みに言及し、社の特色を表現している。
  • 「強み」では、地元資源を活用したイベント事業、地元自治体や政府との連携関係、東京に活動拠点を持つこと、口コミの高さ等、挙げられるものは可能な限り記載している。
  • ワーケーション利用を目的とするサブスクリプション型の法人契約への着目は、単発利用として売上減に直結しないとして注目に値する。
  • 半ば既成事実化の効果を持つオリンピック先行イベントとして、2019年〜20年にかけて「湯・リモート実証実験ツアー」が実施されたこと、そして2020年5月には全国規模の大企業等と協働で「十勝・帯広リゾベーション協議会」を結成、同年11月には、帯広市・第一生命との3者間でワーケーション推進連携協定を締結し、2021年春にはワーケーション滞在に特化する施設を開業する基本合意に至ったことが大々的に「ワーケーション分野で先行する当社の取組」の項目に記載されている。
  • ワーケーション関連事業の新分野性について、既存宿泊施設に基づく事業との比較表で説明されており分かりやすい。
  • 「別紙」としてワーケーション関連事業にまつわる多くのイメージ画像を掲載しており、事業内容を分かりやすくしている。

その他生活関連サービス業事業者(東京都、業態転換)

事業計画書の特徴:

  • 冒頭に目次を設け、読み手に全体像を示している。
  • 既存事業における確固たる実績にきちんと言及し、社の強みを表現している。
  • ネガティブ要素を並べがちな事業環境や事業特徴の部分で前向きな点にも触れ、その流れで自社で蓄積したノウハウ・機能を記載し、「強み」の箇所以前に強みを表現している。
  • 緊急事態宣言特別枠への申請要件も満たしていたが、抜本的な事業再構築に要する投資規模の観点から、通常枠での応募申請を選択した。
  • 3つの補助事業全てについて「差別化・競争力強化の方法と仕組み」を記載。
  • 新事業の顧客ニーズおよび市場分析、ならびに価格的・性能的な優位性・収益性に関する展望が具体的かつ明確に記載されている。
  • 新事業実行上の課題やリスク、その解決法が、全3分野にわたりそれぞれ5〜8ケースの想定がなされている。
  • 実施体制が事業ごとに綿密に組織されている。
  • 審査項目および加点項目と事業計画書上の記載内容の関係を明確にしている。

映像・音声・文字情報制作業事業者(兵庫県、業態転換)

事業計画書の特徴:

  • 「現在の事業の状況」を分析する段階で、自社が培い保有しているノウハウや人的資産等の「強み」を見出している。さらに、「事業分野別売上高」を分析する時点で、「機会」となり得る分野を見据えている。
  • 知る限りの競合の状況も踏まえSWOT分析を行い、「強み」と「機会」を組み合わせた積極戦略を明確に「事業再構築で目指す方向」と定め掲げている。
  • 住宅分譲会社に空撮画像を提供する以上の付加価値(蓄積および販売)を持つ「ドローンフォトバンク」ECサイトを提案し、それに加えて「ドローンフォトバンク」に集積された空撮写真を使用した各種メディアにおける制作事業の営業ツールとしての機能をも持たせたシナジーに富んだ優れた取り組みといえる。
  • 既存顧客および競合他社の状況を踏まえた上で、新規投資設備と既存設備を組み合わせた新展開も細かく行っており、優位性・収益性に具体的根拠を持たせている。

宿泊業事業者(愛知県、事業転換)

事業計画書の特徴:

  • 「瀬戸市を面白がる」を理念としており、かつて陶芸家が暮らしていたという築140年の古民家を改装してオープンしたという紹介に始まり、週末のカフェ営業、イベントスペースとしての場所貸し、陶芸体験、街歩き、トークイベントなどが開催されているという独自の魅力をアピールしている。
  • 「強み」では「市内事業者との関わり」として、2020年には陶芸体験の紹介を23回、約一時間の町案内を30回行ったこと、2020年9月には、地域の26事業者と協力して「せとひとめぐり」という町巡りを企画・実行し、サントリー地域文化賞特別賞を受賞したことも記載されている。
  • 住宅宿泊業(いわゆる「民泊」)であることにより1〜2週間の中期滞在ができない、年間営業日数180日という制限を解決するため旅館業の簡易宿所に事業転換するとともに、通常の中期滞在客の他に、これまで培った強みや独自性を活かした複数の特色あるプランを設計。「将来の展望」にて各プランが写真入りで紹介されている。

飲食料品卸売業事業者(栃木県、事業転換)

事業計画書の特徴:

  • 事業再構築要件に関する箇所で、通り一辺倒で形式的な記述ではなく、新事業への深い洞察に基づいて再構築後の姿まで含めて説明されており、要件を満たす強い説得力を持っている。
  • 写真は多数使用されているが、分析フレームワーク図表を用いず、例えば「強み」と「弱み」、「機会」と「脅威」のような、多くの場合は別個の要素として挙げるよりも、細やかな現状認識を背景として、むしろ併存する要素として極めて自然な文章でまとめられている。以降の計画も、主張したい事柄だけでなく、項目ごとに自然で納得感を持てる説明が貫かれている。

その他の事業サービス業事業者(神奈川県、新分野展開)

事業計画書の特徴:

  • 「補助事業の具体的取組内容」がとても手厚く記述されている。とりわけ、事業再構築の類型が「新分野展開」に該当する理由や、卒業枠の要件を満たす根拠、また政策点による加点の根拠が念入りに書かれており、審査官へ強く訴求する内容となっている。
  • 「将来の展望」においても、有力な標的顧客を抜かりなく挙げ、市場に関しては信頼性のある出典から具体的数値により説明している。加えて、優位性については既存設備の利用、収益性については先行参入による安定収益を説明しており、これらは既存事業とのシナジー効果、ならびに競合他社との差別化および優位性にもつながっている。

飲料・たばこ・飼料製造業事業者(奈良県、事業再編・新分野展開)

事業計画書の特徴:

  • 事業計画書全体がPowerPointで作成されており、PowerPointならではの視覚的な訴求力を持つ出来栄えになっている。
  • 申請のための事業計画書として見てもプレゼン資料の事業概要と同様に直感的で読みやすい。
  • クロスSWOT分析の表と、そこから導き出される積極戦略および差別化戦略の表現が、元々のフレームワーク自体がマトリクス式であるので、Wordファイルへの画像添付より視認性が高い。
  • 事業再構築方針への該当関連性、該当理由の説明の部分も、Word作成の場合も結局は表形式で説明する場合が多いので、PowerPointに向いている。
  • 文章でしっかり説明が必要な箇所も、パートを自由に配置して可読性が高い。
  • 分析図が分かりやすく、それに付随する説明文書への誘導が視覚的にスムーズ。
  • 新事業の取り組み内容、製品の優位性、将来の展望、収益計画等についても細かく戦略が練られており、理解しやすく記載されている。

宿泊業、飲食サービス業事業者(和歌山県、新分野展開)

事業計画書の特徴:

  • 事業計画書の冒頭3ページ近くを用い、事業再構築要件について現行事業の具体的実情を交えて説得力のある説明をしている。また、6ページ半ばまで、緊急事態宣言特別枠の条件を満たす根拠について自社内努力も交えながら説明。
  • 「弱み」として挙げられていた要素のほとんどが、「機会」で挙げられたフランチャイズ加盟で改善されるという良い形のSWOT分析が行われた。
  • 補助事業の成果と競合他社との差別化について、技術面、営業面、価格面、性能面、優位性及び収益性の各側面において肯定できるよう具体的に記述している。

学術研究、専門・技術サービス業事業者(東京都、業種転換)

事業計画書の特徴:

  • 冒頭に事業再構築要件への該当を説明する表を設け、詳細な説明箇所を示している。
  • SWOT分析において、各項目とも複数の視点・分野から実施されている。また、「自社の弱み」においては、各分析への対応策も併記されている。
  • 大規模M&A仲介事業を手掛けてきた企業が、事業再構築の手法に準じて、一見すると奇異にも思われる変革を伴う業種転換を事細かに計画していることが画期的。

具体例からわかる事業再構築補助金の採択事例の特徴

ここまで採択事例について解説しました。今後の公募申請も見据えて、これらの事例にはどのような共通点があるのか考察してみましょう

徹底した事業戦略

いずれの事業にも共通しているのは、再構築事業に関係する多くの要素が、まるで初めから整っていたかのように綿密に検討され、練り上げられているという点です。

どこかから補助金の噂を聞き付けて1人の社長がなんとなく思いついたような事業ではなく、相当な程度の分析や根回し、具体的説得力のある計画が必要なものです。

その点、今回挙げられた採択事業は、それぞれ業種や発想は異なるものの、事前準備戦略が徹底的に行われていたと考えられます。

事業計画書の品質

事業計画書は、視覚的に整っている必要があることは否定できません。たとえば、

  • 1ページに1つ以上画像や図表を配置する
  • 図表はシンプルにわかりやすくする
  • 市場動向等のグラフは出典を明示して積極的に用いる
  • 大見出し・中見出し・小見出しを使い分ける
  • 色の数を絞る
  • 英数字の全角半角や文字の級数を規則的に揃える

など、さまざまな技術で見た目を整えることは比較的容易に可能です。

もちろん、これは美しさを求めているわけではなく、審査官が読んで理解しやすくすることが目的です。したがって、その整然とした計画書の中に、審査項目を含め、公募要領において記載が求められている事項を間違いなく整然と記載すれば、おのずと採択率を高めることができると考えるのが自然でしょう。

まとめ

公開された事業再構築補助金の採択事例について具体例を紹介しました。自信がなくなったという方もいれば、何とかなるかもしれないという糸口を掴めたという方もいらっしゃることでしょう。

一般的には、高い確率で採択される事業計画書の作成は難しいものだと言えます。採択事例を見てみても、一人で高品質な事業計画書を策定することは困難であることがおわかりいただけるでしょう。そのような場合には、信頼できる専門家のサポートを受けながら申請手続に臨むのが合理的な方法です。

当社トライズコンサルティングは、クライアント様に寄り添いながら限りなく高品質な事業計画書の策定を支援します。たとえば「ものづくり補助金」では2019・2020年度採択率97%という高い補助金採択率を誇り、採択後も補助金を受け取れるまでしっかりとサポートします。

また、代表の野竿は認定経営革新等支援機関として事業再構築補助金の申請サポートを実施しています。ぜひ当社をご活用いただき、新たな事業へ向けた確実な一歩を踏み出してはいかがでしょうか?

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