2024年12月に公表された「令和6年度補正予算案」により、「中小企業新事業進出補助金」の創設が明らかとなりました。補助上限額も高く設定されており、従来の事業再構築補助金に代わる位置づけとなる見込みです。
では、中小企業新事業進出補助金はどのような補助金なのでしょうか?また、中小企業新事業進出補助金で専門家による申請サポートを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、中小企業新事業進出補助金の概要や補助上限額、補助金受給までの流れや申請サポートを活用するメリットなどについてくわしく解説します。
中小企業新事業進出補助金とは
中小企業新事業進出補助金とは、新規事業への挑戦を目指す中小企業の設備投資を促進する補助金です。既存の事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出にかかる設備投資などを支援するものであり、次の取り組みなどが補助対象となります。
- 機械加工業でのノウハウを活かして、新たに半導体製造装置部品の製造に挑戦する
- 医療機器製造の技術を活かして蒸留所を建設し、ウイスキー製造業に進出する
新規事業への挑戦を支援する補助金としては、これまで「事業再構築補助金」がありました。事業再構築補助金は新型コロナ禍で誕生した補助金であり、新事業に進出するために必要となる費用が補助対象です。
当初は新型コロナ禍で一定以上売上が減少したことが要件とされていたものの、この要件は新型コロナの収束とともに撤廃されています。この事業再構築補助金は、2024年度の公募をもって廃止されることになりました。
代わりに創設が決まったのが、中小企業新事業進出補助金です。新たな補助金であるものの、補助対象となる事業や申請の流れなどは、事業再構築補助金が参考となるでしょう。
中小企業新事業進出補助金の概要
中小企業新事業進出補助金の補助対象者や補助上限額は、どのように設定されているのでしょうか?詳細な公募要領はまだ公表されていませんが、ここでは2025年1月時点で判明している情報をもとに解説します。
申請をご希望の事業者様は今後の情報を待ちつつ、申請サポートを依頼したい専門家へ早めにご相談ください。
補助対象者
中小企業新事業進出補助金の補助対象者は、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等です。「中小企業新事業進出補助金」との名称からもわかるとおり、大企業などは対象となりません。
補助上限額・補助率
中小企業新事業進出補助金の補助上限額は、従業員規模によって異なります。補助上限額と補助率は次のとおりです。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 2,500万円(3,000万円) | 1/2 |
21~50人 | 4,000万円(5,000万円) | |
51~100人 | 5,500万円(7,000万円) | |
101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
補助の下限額は、いずれも750万円です。そのため、あまり少額の投資は補助対象とはなりません。
また、表中のカッコ内の金額は、大幅賃上げ特例適用事業者に該当する場合の補助上限額です。補助事業の終了時点で次の要件を達成した場合には、補助上限額がカッコ内の金額へと引き上げられます。
- 事業場内最低賃金+50円
- 給与支給総額+6%
基本要件
中小企業新事業進出補助金の基本要件は、中小企業等が企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行い、次をすべて満たす3年から5年の事業計画に取り組むことです。
- 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円
申請時に提出する事業計画内において、これらを満たすことを示すこととなります。
補助対象経費
中小企業新事業進出補助金の補助対象経費は、次のとおりです。
- 建物費
- 構築物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
補助金としては珍しく、建物費が補助対象となる点も事業再構築補助金と共通しています。
中小企業新事業進出補助金を活用する流れ
中小企業新事業進出補助金の活用は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?ここでは、基本的な流れを解説します。
- 申請サポ―トを依頼したい専門家にコンタクトをとる
- 申請書類を作成する
- 公募期間内に申請する
- 交付候補者が決定する
- 交付申請をして交付決定を受ける
- 補助対象事業を実施する
- 確定検査を受ける
- 補助金が交付される
- 事業化状況報告をする
申請サポ―トを依頼したい専門家にコンタクトをとる
はじめに、申請サポ―トを依頼したい専門家にコンタクトをとります。
中小企業新事業進出補助金を自力で申請する道もあるものの、自社だけで申請するには多大な時間と労力を要します。また、多くの事業者が採択を目指して申請内容を練り込む中、自力で採択を勝ち取ることは容易ではないでしょう。
そのため、自社に補助金申請を専門的に取り扱う部署があるなど特別な場合を除き、専門家による申請サポートを活用することをおすすめします。
申請書類を作成する
専門家に申請サポートを依頼したら、専門家とともに申請内容を練り込みます。これが、中小企業新事業進出補助金の申請におけるもっとも重要なステップといえるでしょう。
申請内容を練り込んだら、その内容を申請書類に落とし込みます。
公募期間内に申請する
申請書類が作成できたら、所定の期間内に申請します。期限を過ぎると申請ができなくなってしまうため、期限に遅れないようご注意ください。
なお、中小企業新事業進出補助金の申請はオンラインでのみ可能であり、郵送や窓口へ持ち込んでの申請はできません。
オンライン申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。GビズIDプライムアカウントとは1つのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスであり、多くの補助金申請などで活用されています。
アカウントの取得には申請から2週間程度を要するため、アカウントを有していない場合には早めに取得しておきましょう。
交付候補者が決定する
公募期間が満了したら、交付候補者(採択事業者)が決定します。採択結果はすべての申請者に通知されるため、通知を見落とさないよう注意しておきましょう。
交付申請をして交付決定を受ける
交付候補者に選出されても、すぐに補助金が受け取れるわけではありません。交付候補者に選ばれたら改めて交付申請をして、事務局から交付決定を受けなければなりません。交付決定より前に支出した経費は原則として補助対象にならないため、速やかに交付申請を行いましょう。
補助対象事業を実施する
交付決定を受けたら、補助対象事業の実施(経費の支出など)をします。中小企業新事業進出補助金は事業実施後の後払いであり、この時点ではまだ補助金は支給されていません。
そのため、必要に応じて金融機関からの融資も併用するとよいでしょう。なお、金融機関から受ける一時的な融資を「つなぎ融資」などと言います。
確定検査を受ける
補助対象事業を実施したら事務局に実績報告を行い、確定検査を受けます。実績報告にはさまざまな書類が必要となるため、不備のないように注意しましょう。
補助金が交付される
確定検査の結果を踏まえて最終的な補助金額が確定し、補助金が交付されます。つなぎ融資を受けていた場合には、早期に返済しておきましょう。
事業化状況報告をする
中小企業新事業進出補助金は、補助金の受給後も事業化状況報告や知的財産等報告が必要です。必要な報告を怠れば補助金の返還が必要となる可能性があるため、報告を失念しないようご注意ください。
中小企業新事業進出補助金で申請代行を活用するメリット
中小企業新事業進出補助金の申請では、専門家による申請サポートを活用するのがおすすめです。では、専門家に申請サポートを受けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを5つ解説します。
- 手間と時間を大きく削減できる
- 事業計画をブラッシュアップできる
- 採択の可能性を高められる
- 必要に応じてつなぎ融資のアドバイスも受けられる
- 申請期限に間に合わせやすくなる
手間と時間を大きく削減できる
中小企業新事業進出補助金を申請するには、申請書類の作成のみならず、公募要領の読み込みや要件の確認、申請内容の練り込みなども必要です。これらをすべて自力で行おうとすれば、多大な手間と時間を要します。
専門家にサポートを依頼した場合には、自社の手間と時間を最小限に抑えやすくなり、本業に注力しやすくなります。
事業計画をブラッシュアップできる
中小企業新事業進出補助金の申請サポートを専門家に依頼する場合、単に書類を作成するだけではありません。採択の可能性を高めるため、事業計画を練り込むコンサルティングがなされることが一般的です。その結果、事業計画をブラッシュアップすることが可能となります。
ブラッシュアップされた事業計画は採択の可能性を高めることに寄与するのみならず、その後事業を成長させるための羅針盤ともなるでしょう。
採択の可能性を高められる
専門家に申請サポートを依頼することで、申請内容の練り込みが可能となります。また、補助金の制度趣旨を踏まえた不備のない申請書類作成がしやすくなるでしょう。これらにより、採択の可能性を高めることにつながります。
必要に応じてつなぎ融資のアドバイスも受けられる
先ほども解説したとおり、中小企業新事業進出補助金は事業実施後の後払いであることから、つなぎ融資が必要となることが少なくありません。専門家に申請サポートを依頼した場合には、つなぎ融資についてもアドバイスを受けられるでしょう。
申請期限に間に合わせやすくなる
中小企業新事業進出補助金の申請は、一定の公募期間内に行わなければなりません。しかし、自力で申請した場合には本業が忙しくなった際に補助金の申請にまで手が回らなくなり、うっかりしている間に公募期間が過ぎてしまう可能性があるでしょう。
一方で、専門家に依頼した場合には専門家が期限管理をしてくれるため、申請期限に間に合わせやすくなります。
中小企業新事業進出補助金で申請代行を活用する際の注意点
中小企業新事業進出補助金について申請サポートを活用するにあたっては、注意すべき点も存在します。ここでは、主な注意点を3つ解説します。
- 計画の策定段階からの「丸投げ」はできない
- サポート金額やサポート内容は専門家によって異なる
- 悪質な業者が紛れている可能性がある
計画の策定段階からの「丸投げ」はできない
中小企業新事業進出補助金の申請サポートを専門家に依頼したからといって、計画の策定段階から「丸投げ」することはできません。「補助金が欲しいから、通りそうな計画を適当に作って」という依頼はできないということです。なぜなら、策定をした計画を今後リスクを負って実施していくのは専門家ではなく、事業者であるためです。
また、中小企業新事業進出補助金は事業実施後の後払いであることから、「補助金だけ受け取って、実際には計画を実行しない」などということはできません。
専門家は事業計画のブラッシュアップや練り込みなどのコンサルティングは行う一方で、ゼロから計画を「適当に作ってくれる」わけではないため、誤解のないようご注意ください。
サポート金額やサポート内容は専門家によって異なる
補助金の申請サポートを行う専門家は多く存在するものの、そのサポート内容は専門家によってまちまちです。当社のように申請内容のブラッシュアップ段階からサポートする専門家がいる一方で、事業者様が検討した事業計画を単に書面に落とし込むだけである場合もあるようです。また、報酬額や報酬の算定方法なども、専門家によって異なります。
そのため、「専門家ならどこでも同じ」と考えるのではなく、サポート内容や報酬体系などをよく比較したうえで専門家を選定すべきでしょう。申請サポート先を選ぶ視点は、後ほど解説します。
悪質な業者が紛れている可能性がある
補助金の申請サポートを行う専門家の中には、稀に悪質な業者が混じっていることがあります。悪質な業者に依頼してしまえば、当初の説明とは異なる高額な報酬を追加で請求されるなどして、トラブルに発展するかもしれません。また、粗悪な申請書類を作成され、採択が遠のくおそれもあります。
そのような事態を避けるため、申請サポートを依頼する専門家は慎重に選定することをおすすめします。また、サポート内容や報酬などは後のトラブルを避けるため、書面など記録の残る方法で提示を受けるとよいでしょう。
中小企業新事業進出補助金の申請先を選ぶ視点
中小企業新事業進出補助金の申請サポートを依頼する専門家は、どのような視点で選定すればよいのでしょうか?ここでは、専門家を選ぶ主な視点を解説します。
- 保有資格
- 補助金のサポート実績
- 料金
- サポート内容
- コンタクトの取りやすさ
保有資格
1つ目は、保有資格です。
補助金の申請サポートは、中小企業診断士や行政書士、税理士などさまざまな資格者が担っています。なかでも、中小企業診断士は経営コンサルティングや事業計画の策定を専門とする国家資格であり、事業計画策定が必須となる中小企業新事業進出補助金の申請サポートを依頼するには適任といえるでしょう。
補助金のサポート実績
中小企業診断士や行政書士などの資格を有していても、すべての資格者が補助金に強いとは限りません。なかには、補助金の申請サポートを一切行っていない事務所もあります。
そのため、申請サポートの依頼先は保有資格だけではなく、補助金のサポート実績なども含めて検討するとよいでしょう。
料金
サポート料金も、専門家を選ぶ重要な視点の一つでしょう。
原則として、相場とかけ離れた法外な報酬を提示する専門家への依頼は避けた方が無難です。専門家報酬が高ければ、せっかく受給した補助金を十分に事業へ投じることが難しくなるためです。
一方で、料金の安さだけで専門家を選ぶこともおすすめできません。なぜなら、コンサルティングを行い一定以上の品質の申請書類を作成するには専門家側も相当のリソースを割く必要があり、大量に依頼を受けたからといってディスカウントできる性質のものではないためです。
サポート内容
サポート内容も、専門家を選定する重要な要素です。単に書類に落とし込むだけであるのか、事業計画のブラッシュアップ段階からサポートを受けられるのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
コンタクトの取りやすさ
専門家とのコンタクトの取りやすさも、申請サポート先を選ぶ重要な要素の一つです。打ち合わせは対面だけであるのか、Zoomなどのオンラインツールを使った打ち合わせも可能であるかなど相談の利便性を確認しておくとよいでしょう。
中小企業新事業進出補助金はいつから?最新スケジュール
2025年1月時点において、中小企業新事業進出補助金の具体的なスケジュールは公開されていません。公募開始時期については、「調整中」とされています。
年度の変わり目である3月や4月頃にはより詳細な情報が出るものと思われるため、申請をご希望の事業者様は今後の情報にご注意ください。
中小企業新事業進出補助金の申請代行はトライズコンサルティングにお任せください
中小企業新事業進出補助金の申請サポートは、当社トライズコンサルティングへお任せください。最後に、トライズコンサルティングの主な特長を紹介します。
- 補助金の申請サポートに力を入れている
- 代表は中小企業診断士である
- 補助金の申請サポートは全国対応である
- 採択後の手続きも一貫したサポートが可能である
補助金の申請サポートに力を入れている
トライズコンサルティングは補助金の申請サポートに力を入れており、特に大型の補助金で多くの採択を勝ち取ってきた実績があります。ノウハウが蓄積しているため、安心してお任せいただけます。
代表は中小企業診断士である
トライズコンサルティングの代表である野竿は中小企業診断士であり、経営計画の策定やブラッシュアップを得意としております。
また、野竿は中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関である「認定支援機関」としても登録されています。そのため、確かな知識と実績に裏打ちされた的確なサポートが可能です。
補助金の申請サポートは全国対応である
トライズコンサルティングはZoomなどのオンラインツールを活用し、全国対応を可能としています。また、出張先など場所を選ばずに打ち合わせができることから、忙しい事業者様からご好評をいただいています。
採択後の手続きも一貫したサポートが可能である
中小企業新事業進出補助金は採択後も交付申請や実績報告などが必要であり、これにも相当の労力がかかります。しかし、多くの専門家は申請までのサポートしか行わず、交付申請や実績報告までのサポートは行っていないようです。
トライズコンサルティングではご要望に応じて交付申請や実績報告などまでの一貫したサポートを行っているため、事業者様はより本業により注力しやすくなります。
まとめ
中小企業新事業進出補助金の概要や活用の流れ、専門家に申請サポートを依頼するメリットなどを解説しました。
中小企業新事業進出補助金は、2025年度から新たに展開される予定の補助金です。従来の事業再構築補助金に代わるものであり、補助上限も高額に設定されています。採択への競争率も高いことが想定されるため、申請をする際は専門家による申請サポートを活用するとよいでしょう。
トライズコンサルティングは補助金の申請サポートに多数の実績を有しておりおり、大型の補助金で多くの採択を勝ち取ってきました。中小企業新事業進出補助金への申請をご希望の事業者様は今後の情報に注意しつつ、トライズコンサルティングまでお早めにご相談ください。