【2024】資金繰り表とは?作り方・作成のメリット・活用方法をわかりやすく解説

資金繰り表とは

健全な企業経営をするために、資金繰り表の作成は欠かせません。

月末になってから「それなりに売上はあったのに、なぜか手元にお金が残らない」と悩んだ経験のある経営者様は、少なくないのではないでしょうか?また、思い切った事業投資をしようにも、将来の資金繰りに不安があり踏み切れないこともあるでしょう。

では、資金繰り表は、どのような目的で作成するものなのでしょうか?また、資金繰り表を作成するメリットは、どのような点にあるのでしょうか?

今回は、企業が資金繰り表を作成するメリットや資金繰り表の概要、資金繰り表を作成する方法などについて、中小企業診断士がくわしく解説します。

資金繰り表とは

資金繰り表とは、一定期間における、企業の「お金の動き」をまとめた表です。

企業が思い切った設備投資をしようにも、将来お金が足りるかどうかがわからなければ、二の足を踏んでしまうでしょう。また、将来の一定時期に資金が不足する可能性が高いことに事前に気付くことができれば、あらかじめ融資を申し込んだり支払いを遅らせてもらうよう交渉したりするなどの対策を検討できます。

このように、資金繰り表を作成して将来の「お金の動き」を把握できれば、先手を打った経営がしやすくなります。

なお、企業の財務状況や業績をはかる資料として、代表的なものに次の2つがあります。

  • 貸借対照表(B/L):期末時点での財務状況(資産や負債の状況)を示す表
  • 損益計算書(P/S):一定期間における会社の利益を示す表

このうち、損益計算書があれば利益状況が分かるうえ、貸借対照表があれば期末時点での資産状況もわかります。そのため、これらの表さえあれば、あえて資金繰り表を作る意味がないと考えるかもしれません。

しかし、貸借対照表でわかるのは、あくまでも「期末」時点での残高です。これだけを見ても、期中におけるお金の動きは分かりません。

また、損益計算書は利益や損失を示すものであり、これは必ずしもお金の動きとは一致しません。そして、いずれも過去のデータを示すものであり、将来の計画ではない点にも注意が必要です。

このような点から、将来のお金の動きを把握するには貸借対照表や損益計算書だけでは不十分であり、資金繰り表の作成が必須といえます。

資金繰り表を作成する主な目的

企業は、どのような目的で資金繰り表を作成するのでしょうか?ここでは、資金繰り表を作成する主な目的やきっかけを2つ紹介します。

  • 企業のお金を「見える化」するため
  • 融資申込みの際に提示するため

企業のお金を「見える化」するため

資金繰り表の本来の目的は、企業におけるお金の動きを「見える化」することです。

従業員が少なく、かつお金の動きがシンプルな企業であれば、「数か月後の預金残高」はある程度正確に把握できるかもしれません。しかし、取引が増えてお金の出入りが多くなると、社長の頭の中だけで正確な資金繰りの予測をすることが困難になってきます。さらに、資金繰りは会社にとっての命綱です。

いくら優れた社長であっても、これを社長の勘や記憶力だけを頼りに把握することは、綱渡りといえるでしょう。そのため、企業が成長し取引が増えてきた時点からは、資金繰り表を作成すべきです。

資金繰り表を作成することで企業のお金の動きが「見える化」され、資金不足に備えて未然に手を打ちやすくなります。また、将来の事業投資の計画も立てやすくなり、攻めの経営がしやすくなるでしょう。

融資申込みの際に提示するため

融資を申し込む際に金融機関から求められたことがきっかけで、資金繰り表を作成するケースも少なくありません。

金融機関が融資の審査をする際は、融資先の企業が資金を返済できる見込みの有無を一つの判断材料とします。そこで、企業に資金繰り表の提示を求めることが一般的です。金融機関から資金繰り表を求められたら、これをきっかけに、今後も資金繰り表を定期的に作成する習慣をつけることをおすすめします。

なお、資金繰り表は本来自社の経営のために作成するものではあるものの、金融機関から求められる前に定期的に提出することで、金融機関との関係強化につながる副次的な効果も期待できます。

損益とお金の動きがズレる主な原因となる項目

会社の損益とお金の動きは、必ずしも一致するものではありません。このことから、「売上は多かったはずなのに、思ったほど手元にお金が残らない」などの状況が発生します。

では、企業の損益とお金の動きは、どのような点でズレるのでしょうか?ここでは、損益とお金の動きがズレる主なポイントを3つ紹介します。

  • 借入金
  • 減価償却
  • 売掛金・買掛金

借入金

1つ目は、借入金です。

お金を借りると、会社のお金は増えます。一方で、借り入れは利益ではなく、損益には影響しません。

また、借入金を返済すると、会社のお金は減少します。一方で、借入金の返済で出ていったお金のうち、損金として計上できるのは利息部分だけです。元本部分は、損益には影響しません。

減価償却

2つ目は、減価償却です。

金額が大きく複数年にわたって使用できる償却資産(建物や機械、車など)を購入した場合、購入対価を一度に経費化するのではなく、数年から数十年にわたって経費化していきます。これを「減価償却」といいます。

そのため、購入した資産の対価を支払う時期と経費化される時期は、必ずしも一致するものではありません。

売掛金・買掛金

3つ目は、売掛金や買掛金です。

掛けで販売した場合、原則として、その時点で利益に計上されます。しかし、実際にお金が増えるのは、売掛金が入金された時点です。

同じように、掛けで購入した場合、原則としてその時点で損金に計上します。一方で、実際にお金が出ていくのは、掛けを支払った時点です。

一般的に、売掛金の入金サイクルは短ければ短いほど、買掛金の支払いサイクルは長ければ長いほど、資金繰りに余裕が生まれやすくなります。

資金繰り表を作成する主なメリット

実際のところ、資金繰り表の作成は、融資を受ける必要に迫られて「仕方なく」行う場合もあるでしょう。しかし、企業が資金繰り表を作成するメリットは、少なくありません。ここでは、資金繰り表を作成する主なメリットを解説します。

  • 計画的な事業投資がしやすくなる
  • 資金不足の原因を特定しやすくなる
  • 黒字倒産を避けやすくなる

計画的な事業投資がしやすくなる

1つ目のメリットは、計画的な事業投資がしやすくなることです。

思い切った事業投資をしようにも、将来の資金状況が分からなければ大きな投資を決断することは難しいでしょう。将来の資金状況がわからないなかで臨時的な大きな出費をすることは、リスクが高いためです。

資金繰り表を作成して将来の資金状況を「見える化」することで、事業投資の計画が立てやすくなります。適切な時期に思い切った投資をすることで、事業の成長スピードを早めることが可能となるでしょう。

資金不足の原因を特定しやすくなる

2つ目のメリットは、資金不足の原因を特定しやすくなることです。

資金繰り表を作成せず経営者の記憶と勘に頼っていると、資金不足の原因を把握しづらくなる可能性があります。原因が特定できなければ資金繰りの改善が難しいほか、資金調達などの対策が後手に回りやすくなるでしょう。

資金繰り表を作成して定期的にモニタリングすることで、自社が資金不足になる原因や傾向を特定しやすくなります。原因や傾向がわかれば対策を検討しやすくなるほか、資金が不足する前に資金調達をするなどの手を打ちやすくなるでしょう。

黒字倒産を避けやすくなる

3つ目のメリットは、黒字倒産を避けやすくなることです。黒字倒産とは、利益が出ているにも関わらず企業が倒産することです。

企業は、赤字が続いたからといって潰れるわけではありません。赤字が続いていても、お金さえ回っていれば企業は存続できます。

一方で、「黒字倒産」という言葉があるとおり、たとえ黒字であってもお金が足りなくなれば、企業は倒産してしまいます。たとえば、来月末に500万円分の売掛金が入ってくることが分かっていても、支払い期限である今月末に300万円の買掛金が支払えなければ、倒産してしまうのです。

黒字倒産は、資金繰り表を作成するなどして将来の資金不足を早く把握できればできるほど、防ぎやすくなります。資金繰り表の作成によって資金が不足しそうなことがあらかじめ分かっていれば、そこへ向けて融資を申し込んだり、支払い期限を延ばしてもらったりするなどの対策を講じやすくなるためです。

資金繰り表の作成方法

資金繰り表は、どのような手順で作成すれば良いのでしょうか?ここでは、主な作成方法を3つ紹介します。

  • Excelに入力して作成する
  • 専用ソフトを活用して作成する
  • 専門家に依頼して作成する

Excelに入力して作成する

資金繰り表を自社で作成する場合、Excelに入力して作成することが多いでしょう。Excelにあらかじめ計算式を入れておき、必要な項目を入力することで、資金繰り表を作成できるようにします。

資金繰り表のExcelフォーマットは日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできるほか、自社の状況に合わせて独自のものを作成することも可能です。

専用ソフトを活用して作成する

資金繰り表は、専用ソフトを使って作成することもできます。

専用ソフトの購入には、費用が掛かります。ただし、より複雑な資金繰り表にも対応していることが多いうえ、Excelよりも入力が容易であることが多いでしょう。

専門家に依頼して作成する

資金繰り表の作成は、コンサルタントなどの専門家へ依頼することもできます。専門家へ作成を依頼する場合は、単に入力だけをしてもらうのではなく、改善ポイントなどのアドバイスを受けられることが多いでしょう。

自社の資金繰りに不安がある場合は、この方法をとることをおすすめします。

資金繰り表の作成をコンサルタントに依頼する主なメリット

資金繰り表の作成を自社で行わず、コンサルタントに依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを4つ解説します。

  • 自社の状態が正しく把握しやすくなる
  • 自社の問題点や改善点についてアドバイスを受けられる
  • 手間と時間を削減できる
  • 資金調達方法についても相談できる

自社の状態が正しく把握しやすくなる

1つ目は、自社の状態を正しく把握しやすくなることです。

お金に関する専門知識を持った人が社内にいないにもかかわらず自社で資金繰り表を作成した場合には、その出力結果が正しいとは限りません。重要な入力を漏らしたり誤ったりした結果、経営判断を誤る事態は避けたいことでしょう。特に、突発的な事情や特殊な事情が生じた場合は入力を誤りやすくなるため、注意が必要です。

コンサルタントに依頼することで実情に即した資金繰り表が作成でき、自社の状態を正しく把握しやすくなります。

自社の問題点や改善点についてアドバイスを受けられる

2つ目は、自社の資金繰りの問題点や改善点についてアドバイスを受けられることです。

自社で資金繰り表を作成した場合、資金繰りが芳しくないことまでは分かっても、具体的にどこに問題があるのか把握したり具体的な改善策を講じたりすることまでは至らないことが少なくありません。また、短期的かつ対症療法的な改善にとどまり、抜本的な改善には至らないこともあります。

これでは、せっかく資金繰り表を作成したメリットが半減してしまうことでしょう。

コンサルタントに資金繰り表の作成を依頼した場合、自社における具体的な問題点や改善点についてアドバイスを受けられることが一般的です。これにより、具体的な改善策を講じやすくなる効果が期待できます。

手間と時間を削減できる

3つ目は、自社で要する手間や時間を削減できることです。

自社で定期的に資金繰り表を作成しようとすれば、それなりの手間と時間が必要です。特に、経営陣が自ら資金繰り表の作成に携わる場合は、貴重な時間を入力業務に費やすことになるおそれがあります。

コンサルタントに依頼することで自社でかける手間や時間を最小限に抑えることが可能となり、経営者様はより経営判断や本業に注力しやすくなります。

資金調達方法についても相談できる

4つ目は、資金調達方法についても相談できることです。

資金繰り表を作成してモニタリングした結果、資金繰りの悪化や改善の必要性に気付くこともあります。しかし、具体的な資金調達をどのように進めて良いかわからないことも多いでしょう。

資金繰り表の作成を行うコンサルタントは、融資や補助金についての知識を持っていることも少なくありません。専門家のサポートを受けて資金調達を成功させることができれば、資金繰りの改善が可能となります。

資金繰り表や財務分析レポートの作成はトライズコンサルティングにお任せください

資金繰りにお悩みの企業様や、経営改善をしたい企業様は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。

トライズコンサルティングとは、中小企業診断士である野竿が代表を務めるコンサルティング企業です。「お客さまの目標実現のため、ワクワクするような成果を提供します」をコンセプトに、中小企業の資金繰り表の作成や財務分析レポートの作成、経営コンサルティングなどを行っています。

最後に、資金繰り表の作成や財務分析レポートの作成などをトライズコンサルティングにお任せいただく主なメリットを4つ紹介します。

  • 代表は中小企業診断士であり認定経営機関である
  • 伴走型のパートナーである
  • 中小企業の資金繰り支援に強みを持っている
  • 補助金や融資についても相談できる

代表は中小企業診断士であり認定経営機関である

当社の代表である野竿は中小企業診断士であるうえ、「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」としても登録されています。

認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。そのため、確かな知識のもとで、コンサルティングや資金繰り改善のサポートを行っています。

伴走型のパートナーである

「コンサルタント」に対して、漠然と苦手意識を持っている経営者様も少なくありません。「上から目線で意見を押し付ける」や、「よくわからない難しいことを言われて、結局のところ何をどう経営に活かして良いかわからない」などのイメージがあるようです。

そこでトライズコンサルティングでは、お客様の「上」ではなく、お客様の「横」で経営をサポートする、伴走型のパートナーであることを心がけています。コーチングの手法を取り入れ、お客様の目標実現に向けて伴走いたします。

中小企業の資金繰り支援に強みを持っている

トライズコンサルティングは、特に中小企業の資金繰り支援に強みを持っています。

お金に関する悩みを持っている経営者様は少なくありません。当社では、特に中小企業のお金の悩みに焦点をあて、分析から改善策の提案までトータルでのサポートが可能です。その第一歩として提供しているのが、財務分析レポートの作成です。

健康診断を受けることで、疾病を見つけたり疾病の傾向を把握しやすくなったりします。問題点が見つかれば、食生活の改善などの対策がたてやすくなるでしょう。

これと同様に、財務分析レポートを作成することで、自社のお金の問題点がどこにあるのか把握しやすくなり、自社に合った改善策を検討することが可能となります。

補助金や融資についても相談できる

トライズコンサルティングでは、補助金の申請サポートや融資の申込みサポートなどにも強みを有しています。なお、補助金とは申請して採択を受けることで、国などから返済不要な事業資金を受け取れる制度です。

資金繰りの改善策として、補助金や融資の活用は有力な選択肢となります。企業様のさらなる飛躍のために必要である場合には、補助金の獲得や融資の申込みなどまで、トータルでのサポートが可能です。

まとめ

資金繰り表の必要性や資金繰り表の作成をコンサルタントに依頼するメリットなどを解説しました。

資金繰り表とは、企業の「お金」に着目して作成する表です。資金繰り表を作成することで自社のお金の流れが「見える化」され、経営判断がしやすくなる効果が期待できます。また、将来の資金不足に早期に気付きやすくなることから、先手に回った対策が打ちやすくなるでしょう。

自社に資金繰り表がない場合には、ぜひ一度作成してみてください。

資金繰り表は独自の様式を自社で作成することもできますが、一から作成することは容易ではありません。そのため、まずはテンプレートを使って入力してみることをおすすめします。

当社トライズコンサルティングでは、より多くの企業様に資金繰り表作成の重要性を知っていただくため、資金繰り表のテンプレートを無料で配布しております。資金繰り表のテンプレートが御入用の際は、お気軽にダウンロードしてご利用ください。

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