創業融資とは、創業前後の事業者を対象とした融資制度です。創業期はまだ売上などの実績が十分になく信用も育っていないため、民間の金融機関から融資を受けることは容易ではありません。そこで、創業期の事業者であっても融資が受けられるよう、政策的に創業融資制度が設けられています。
創業融資制度の代表格は、日本政策金融公庫が展開する「新規開業・スタートアップ支援資金」です。ほかに、創業する地によっては、地方自治体が独自の創業融資制度を設けている場合もあります。
創業融資の申込みは書類審査だけではなく、面談が必要となることが原則です。では、創業融資ではなぜ審査にあたって面談がなされるのでしょうか?また、創業融資の面談では、どのような質問がされるのでしょうか?今回は、日本政策金融公庫の創業融資を前提に、面談の目的やよく質問される事項、面談を成功させるポイントなどについてくわしく解説します。
なお、当社トライズコンサルティングは創業融資の申込み支援を行っており、面談の対策まで手厚いサポートを実現しています。トライズコンサルティングは、中小企業診断士であり認定支援機関としても登録されている野竿が代表を務めるコンサルティング企業です。創業融資の申込みをご検討の際や面談に不安がある際などには、当社までお気軽にご相談ください。
目次
Toggle創業融資で面談がなされる目的
創業融資の申込みに際しては創業計画などを提出するにも関わらず、なぜこれに加えて面談までが必要とされるのでしょうか?はじめに、創業融資の面談の主な目的を2つ解説します。
- 創業者の熱意や人柄を確認すること
- 創業計画書の内容への理解度を確認すること
創業者の熱意や人柄を確認すること
1つ目は、創業者の熱意や人柄を確認することです。
創業期には、まだ十分な業績はありません。また、融資を契約どおりに返済した実績も、まだないことがほとんどでしょう。つまり、通常の融資審査で重視されるこれらの項目は、創業融資の審査には使えないということです。
そこで重視されるポイントの1つが、創業者の熱意や人柄です。創業者が事業に熱意を持っているか、そして信頼できる人柄であるかを確認するために、面談がなされます。これらは、書面だけでは十分に確認できないためです。
創業計画書の内容への理解度を確認すること
2つ目は、創業計画書の内容への理解度を確認することです。
創業計画を申し込む事業者の大半は、事業を軌道に乗せたいとの真摯な想いであるはずです。しかし、なかには融資を受けること自体が目的である人もいます。
書面審査だけで審査がなされるとなれば、そのような人がコンサルタントなどに書類の作成を「丸投げ」して、融資を受ける事態が生じるかもしれません。また、創業者自身が創業計画の内容を十分に理解できていなければ、「創業計画は単なる机上の空論であり、これが実行される可能性は低い」と捉えられても仕方がないでしょう。
そのような事態を避けるため、創業融資では面談がなされます。面談では、創業者が創業計画の内容を十分に理解できているか否かが確認されるため、事前の対策が必要です。
創業融資の面談に関して把握しておくべき基本事項
創業融資の面談については、誤解も少なくありません。ここでは、創業融資の面談について理解しておくべき事項を4つ解説します。
- 面談は省略されない
- 面談は平日の日中に行われる
- 代理での面談は認められない
- 面談当日に審査結果がわかるわけではない
当社トライズコンサルティングは創業融資について豊富なサポート実績を有しています。注意点なども把握したうえで創業融資の面談に臨みたいとお考えの際は、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
面談は省略されない
創業融資の面談は、省略できません。たとえ以前に日本政策金融公庫から融資を受けた実績があっても、別の融資を申し込む際には改めて面談が必要となります。
面談は平日の日中に行われる
創業融資の面談は、平日の日中に行われます。ただし、面談の日程は日本政策金融公庫が一方的に指定するのではなく、融資申込み後に双方の都合をすり合わせて日程調整をすることが一般的です。
なかなか日程が合わない場合には面談が遅れ、その分だけ審査も遅くなるため、可能な限り公庫側の都合に合わせると良いでしょう。
代理での面談は認められない
創業融資の面談は、代表者自らが行う必要があります。専門家や従業員、家族などであっても代理で受けることは認められません。創業融資は事業の根幹にかかわることであるとの意識を持ち、多忙であっても時間を捻出しましょう。
面談当日に審査結果がわかるわけではない
創業融資の審査結果は、面談後に郵送または電話にて伝えられます。面談の当日に審査結果が分かるわけではないため、誤解のないようご注意ください。
創業融資の面談までの流れ
創業融資の申込みから面談までは、どのような流れとなるのでしょうか?ここでは、創業融資の一般的な流れについて解説します。
- 創業融資を申し込む
- 面談の日程調整をする
- 面談の必要書類を用意する
- 当日の服装を検討する
- 担当者との面談に臨む
創業融資を申し込む
まずは、書類を揃えて創業融資を申し込みます。創業融資の申込みにあたっては、次の書類などが必要です。
- 創業計画書
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- (法人の場合)履歴事項全部証明書または登記簿謄本
- (許可・届出などが必要な事業である場合)許可証など
必要書類は、専門家のサポートを受けて用意するとよいでしょう。創業計画書の作成などでお困りの際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。
面談の日程調整をする
次に、面談の日程調整がなされます。先ほど解説したように、面談は平日の日中になされます。融資審査の遅れを避けるため、可能な限り公庫側の日程に合わせることをおすすめします。
なお、面談は日本政策金融公庫の支店などでなされる場合もあれば、実地調査も兼ねて店舗や事業所の予定地が指定されることもあります。実際に現地を見ることで、創業計画の進行度合いや計画の実現性などが判断しやすくなるためです。
面談の必要書類を用意する
面談に臨む前に、面談の必要書類を用意します。面談で必要となる書類は、次のものなどです。
- 自己資金が入金された通帳
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- (ある場合)製品のカタログ、メニュー、会社案内など
- (テナントを借りる場合)賃貸借契約書
- (許可・届出などが必要な事業である場合)許可証など
- (他に借入れがある場合)返済予定表
具体的には公庫側から指定されるため、担当者の指示に従って用意しましょう。
当日の服装を検討する
必要書類の準備と並行して、当日の服装を検討します。ビジネススーツがもっとも無難であり誠意が伝わりやすいため、迷う場合にはスーツを着用すると良いでしょう。
また、普段スーツを着用しない職種である場合は、必ずしもスーツである必要はなく、清潔感のある服装であれば問題ありません。とはいえ、派手な服装や相手に威圧感を与える服装などは「社会常識がない」と判断されるおそれがあるため、場に即した無難な服装を心がけましょう。
担当者との面談に臨む
あらかじめ取り決めた日時に、担当者との面談に臨みます。先ほど解説したように、面談は代表者自らが臨まなければなりません。
なお、事前に担当者の承諾を得れば、専門家やいわゆる「右腕」となる人が同席できる場合もあります。
ただし、審査に通るという意味では、耳が不自由であるなど特別な事情がある場合を除き、代表者が1人で対応した方が良いでしょう。その都度他者に確認をしたり他者の顔色を窺いながら回答したりするようでは、代表者が事業を理解できていないと捉えられ、融資が遠のくおそれがあるためです。
創業融資の面談でよく聞かれる内容と回答のポイント
創業融資の面談では、どのような内容が聞かれるのでしょうか?ここでは、創業融資の面談でよく聞かれる内容を紹介するとともに、回答のポイントを解説します。
- 創業の動機
- 経営者の略歴
- 取扱商品・サービス
- 従業員
- 取引先・取引関係
- 借入れの状況
- 希望融資額と資金使途
- 事業の展望
当社トライズコンサルティングは創業融資のサポートにあたって、個別具体的な事情に応じた面談のシミュレーションなども行っています。創業融資の面談に不安がある場合には、当社トライズコンサルティングの創業融資サポートをご活用ください。
創業の動機
創業の動機は、創業融資の面談で質問されやすい項目の1つです。
数ある業種のうちからその業種での創業を決めたのには、何らかの理由があるはずです。その理由を、創業計画書に記載した内容と矛盾しないように回答しましょう。
経営者の略歴
創業者の略歴について、質問される場合があります。この場合には単に職歴などを羅列するのではなく、今回創業をする事業と関連させて伝えるとよいでしょう。
たとえば、今回創業しようとするのが飲食店である場合には、過去に飲食店に勤めた経験やそこで培った経験などに重点を置いて話します。
取扱商品・サービス
取り扱う商品やサービスも、面談で聞かれやすい項目です。ここでは、自社の強みや他社との差別化となる点に重点を置いて回答します。必要に応じて、メニュー表やパンフレットなど関連する資料も見てもらうとよいでしょう。
従業員
創業融資の面談では、従業員の雇用予定についても確認されます。雇用を予定している従業員の人数や雇用した従業員に任せようとしている業務の内容、正社員・パートの内訳などを答えられるようにしておいてください。
創業当初は配偶者などの家族に事業を手伝ってもらうことも少なくありません。家族が手伝ってくれるのであれば、その旨を伝えましょう。
なお、従業員を雇う場合には給与の支払いが必要となるほか、勤務形態などによっては社会保険料などの負担も必要となります。そのため、これらを加味しても利益が見込めることを丁寧に説明すべきでしょう。
取引先・取引関係
創業融資の面談では、取引先や取引関係についても質問されます。仕入元と販売先は可能な限り具体的に検討し、回答できるようにしておきましょう。たとえば、「新鮮な魚をウリにした飲食店を経営する」計画であるにもかかわらず仕入先が決まっていないとなれば、計画が根底から崩れるおそれがあるためです。
あわせて、支払いサイクルについても質問される可能性があるため、これも確認しておいてください。売掛金の入金時期と買掛金の支払い時期は、資金繰りが安定するか否かの重要な判断基準となるためです。
なお、小売店や一般的な飲食店など一般消費者を対象とする業態であれば、販売先の個人名までを特定する必要はありません。この場合には「近隣に勤務する会社員」や「判明〇km以内に居住するファミリー層」など、ターゲットとする顧客層を明確にしておきましょう。
借入れの状況
創業融資の面談では、現在の借り入れ状況などが質問されます。住宅ローンや車のローンのほか、カードローンなども含まれるためあらかじめ確認しておきましょう。
ここでは、返済が滞っていないことのほか、不審な借り入れの有無や金利の高い借入れの有無などが確認されます。一般的に、いわゆる「リボ払い」の残高が多い場合やカードローンの利用がある場合、審査にあたってマイナスとなりやすいため、可能な限り事前に返済を済ませておくと安心です。また、公共料金などの未納がある場合にも、あらかじめ解消しておきましょう。
希望融資額と資金使途
創業融資の面談では、希望額とその使途が確認されます。なぜその額の借り入れが必要であるのか、必要資金や不足額(自己資金との差額)について丁寧に説明しましょう。
一般的に、必要額に対する自己資金の割合が多いほど創業融資の審査に通りやすくなります。自己資金が十分であることは自身でリスクをとる覚悟があることを示すとともに、創業へ向けて入念に準備をしてきたことを示すことにもなるためです。
面談では自己資金の元手(自己資金をどのように用意したか)についても問われるため、正直に回答してください。
事業の展望
創業融資の面談では、事業の将来展望も問われます。当面予想される月間売上高や利益額のほか、軌道に乗った後の売上高と利益額などを説明できるようにしておきましょう。この際に従業員を増やす予定であれば、これも考慮した利益額を説明します。
創業融資の面談を成功させるポイント・注意点
創業融資の面談を成功させるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?ここでは、主なポイントと注意点を4つ解説します。
- 遅刻や無断キャンセル、忘れものをしない
- 自身の創業計画を十分に理解しておく
- 正直に回答する
- 聞かれていないことを長々と話すことは避ける
遅刻や無断キャンセル、忘れものをしない
1つ目は、遅刻やキャンセル、忘れものなどをしないことです。
先ほど解説したように、創業融資の面談では代表者の人柄が見られています。遅刻や無断キャンセルなどをしてしまうと、ルーズで不誠実な印象を与えてしまい、審査に通らない可能性が高くなります。
面談の日時や持ち物は複数回にわたって確認したうえで、万が一公共交通機関が遅延したり渋滞に巻き込まれたりしても遅刻しないよう、早めの到着を心がけましょう。
自身の創業計画を十分に理解しておく
2つ目は、自身の創業計画を十分に理解しておくことです。
面談での回答は、創業計画と一貫したものである必要があります。創業計画書の内容と回答とに矛盾が生じないよう、面談の前には創業計画書を再度見直し、確認しておきましょう。
特に、数字に苦手意識がある場合、創業計画書の数値を暗記しようとするかもしれません。しかし、記載した数字を暗記するのではなく、その数字を算出した根拠やロジックを理解しておくことをおすすめします。ロジックがわかっていなければ応用が利かず、自身の創業計画が理解できていないと判断されるおそれがあるためです。
正直に回答する
3つ目は、正直に回答することです。
創業融資の面談で、嘘をつくことは避けましょう。嘘をついていることが発覚すれば一気に信用を失い、融資を受けられなくなるおそれがあります。
たとえば、自己資金が実際には親族から借りたものであるにもかかわらず「自分で貯めた」と嘘をついた場合、過去の収入や資金を貯めた経緯などの説明との矛盾が生じ、嘘がバレる可能性があるでしょう。
聞かれていないことを長々と話すことは避ける
4つ目は、聞かれていないことを長々と話すことは避けることです。
審査官は限られた時間の中で、審査に必要な情報を収集しようと努めています。そうであるにも関わらず、聞かれてもいない内容を長々と話してしまうと、必要な事項のヒアリングができず、審査にとってマイナスとなるおそれがあります。
また、余計なことまでを話すことで別の話や創業計画との矛盾が生じやすくなり、これを追及されるおそれも生じるでしょう。
面談対策を含めた創業融資支援はトライズコンサルティングにお任せください
創業融資の支援は、当社トライズコンサルティングにお任せください。最後に、当社の概要と主なサポート内容を紹介します。
トライズコンサルティングとは
トライズコンサルティングは、中小企業診断士である野竿が代表を務めるコンサルティング会社です。創業融資の支援のほか、補助金の申請サポートなどについて豊富な実績を有しています。
代表の野竿は中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関である「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」としても登録されており、確かな知識に裏打ちされた創業融資支援を実現しています。
創業融資支援の主な内容
一口に「創業融資支援」といっても、サポートをする専門家によって内容が多少異なる場合があります。当社の創業融資支援の主な内容は次のとおりです。
- 申し込む創業融資選定のアドバイス
- 創業計画を練り込むコンサルティング
- 面談対策のシミュレーション
申し込む創業融資選定のアドバイス
創業融資には、この記事で重点的に解説した日本政策金融公庫の制度のほか、自治体の制度融資などもあります。当社にご相談いただいた場合には、ご相談者様の状況やご希望などに応じて最適な創業融資制度をアドバイスします。
創業計画を練り込むコンサルティング
当社では、実績豊富なコンサルタントが創業計画を練り込むコンサルティングを行います。これにより、検討の甘い点や検討が漏れている点、矛盾点などが見つかり追加の検討が可能となり、創業計画のブラッシュアップが実現できます。
創業計画のブラッシュアップは創業融資に成功する可能性を高めることにつながるのみならず、その後実際に営んでいく事業の収益性や安定性を高めることにもつながります。
面談対策のシミュレーション
先ほど解説したように、創業融資では必ず面談がなされます。初めて融資を申し込む場合、面談に不安を感じる方も少なくないでしょう。
そこで、当社トライズコンサルティングでは、面談のシミュレーションなどのサポートも行っています。事前に対策をすることで安心して面談に臨みやすくなり、創業融資を成功させやすくなります。
まとめ
創業融資の面談の概要や注意点、面談で聞かれる主な事項などについて解説しました。
日本政策金融公庫の創業融資を申し込むと、審査の前に必ず面談がなされます。この面談を専門家などが代理することはできず、事業を創業する代表者自らが臨まなければなりません。この面談では、創業者の熱意や人柄、創業計画への理解を確認することなどが目的であるためです。
創業融資の面談では、ルーズな印象を与えないよう、遅刻などをしないようご注意ください。また、事前に自社の創業計画を見直し、矛盾した回答をしないよう注意しましょう。
当社トライズコンサルティングは創業融資の申込みサポートを行っており、面談対策のシミュレーションも行っています。また、創業融資のほかに創業期に必要となるチラシやホームページの制作、マーケティングの支援、補助金申請など総合的な支援が可能です。
創業融資のサポートを受ける専門家をお探しの際は、実績豊富な当社トライズコンサルティングまでご相談ください。創業融資に関する初回のご相談は無料です。また、Zoomなどのオンラインツールを活用するため、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。