小規模事業者持続化補助金の申請書類の書き方について、特に申請書類の中心となる「経営計画書」と「補助事業計画書」に関して深く解説していきます。これから小規模事業者持続化補助金の書類を作成するという方は、ぜひ参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金とは
まずは、小規模事業者持続化補助金とはどのような補助金制度なのかについて解説していきます。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取り組みに要する経費の一部を国が支援する公的補助金です。販路開拓や生産性向上につながらない経費は補助対象外となります。
また、補助金額は最大50万円となっています。創業時期等の一定の条件を満たした事業者は、最大で100万円となります。補助率は補助対象経費の3分の2以内です。幅広い経費が補助の対象となっているため、多くの小規模事業者が対象となります。
小規模事業者持続化補助金の申請における提出書類
続いて、補助金申請に必要な申請書類について確認しておきましょう。小規模事業者持続化補助金の申請には、次の5つの申請書が必要となります。
- 小規模事業者持続化補助金に係る申請書
- 経営計画書
- 補助事業計画書
- 事業支援計画書
- 小規模事業者持続化補助金交付申請書
中でも、審査に大きな影響を与えるといわれる「経営計画書」と「補助事業計画書」の書き方について解説していきます。
経営計画書の書き方
まずは、経営計画書の書き方について解説していきます。
はじめに
経営計画書を記載する目的は、現在の経営状況をまとめ、課題を深掘りしていくことです。
経営計画書で明らかになった課題に対する具体的な改善策を、補助事業計画書に記載していくという流れになります。そのため、現状の数字をなぞるような表面的な説明だけでは不十分です。補助事業との一貫性を持たせた、具体的で納得感のある現状説明が必要です。この点に注意して、全体としての構成を意識しましょう。
経営計画書は、次の4つの項目に分かれています。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
以上のように、1.〜3.で経営状況の分析を行い、それらをもとに4.の目標や今後のプランを記載します。そして、そのプランを達成させるための具体的な方法を、補助事業計画書に記載することとなります。
企業概要
本項目は、企業のプロフィールとなる箇所です。自社のことをまったく知らない審査員でも、この項目を読めばどのような会社であるかわかるようにする必要があります。
そのため、「具体性」と「わかりやすさ」を同時に満たすような記載を意識してください。
また、経営状況を伝えるため、どのような製品やサービスを提供しているのか、売り上げが多い・利益を上げている商品やサービスを具体的に記載しましょう。
記載内容は、次の項目を参考にしてみてください。
- 設立年月日
- 事業内容
- 経営理念
- 主要取引先
- 従業員数
- 経営状況
- 財務状況
事業ごとの売上構成比や利益率等を記載すると具体性が増し、信憑性が高まります。また、扱う商材が多い場合などは、表などを使用して見やすさを高める工夫もすると良いでしょう。
顧客ニーズと市場動向
本項目では、顧客ニーズや市場動向を分析し、周辺環境に対する現状の説明を行います。自社データを活用したり、外部データを利用したりすると良いでしょう。
外部のデータを使用する場合は、信頼できるデータなのか引用元を明確にしてください。国の機関等が公表しているデータやグラフ等を使用すると良いでしょう。
具体的な記載内容は、次の項目を参考にしてみてください。
- 客層:性別、年齢層、家族構成、経済力 など
- 顧客ニーズ:商品やサービス、志向 など
- 周辺環境:競合の有無、集客施設の有無 など
本項目から、消費者や取引先等のお客様が求めている商品はどのようなものかが明確になります。可能であれば、過去の状況から将来の見通しまでを含めて、業界の流れがわかるように記載していきましょう。
自社や自社の提供するサービスの強み
本項目では、他社にはない自社の強み(他社との差別化要素)に関する説明を行います。顧客が自社の商品やサービスを選ぶ理由となる部分です。
具体的な記載内容には、たとえば次のような項目があります。
- 品質
- 立地
- 技術
- 価格
- 納期
- 人脈
これらの項目について、「競合と比較してどうなのか」「顧客からの評価はどうなのか」を意識して記載しましょう。
経営方針·目標と今後のプラン
ここまでは現状に関する説明がメインでしたが、本項目では現状を踏まえた上で今後の方針を記載していきます。その際、次の点を意識すると説得力の高い方針になります。
- 分析結果をもとにして実現可能性が高いものにすること
- 具体的な数値を盛り込んでいること
- 達成時期など期間が明確であること
これらを満たす方針を作成するためには、現状の課題をしっかりと分析する必要があります。申請書全体の一貫性を意識して記載しましょう。
補助事業計画書の書き方
続いて、補助事業計画書の書き方について解説していきます。
はじめに
補助事業計画書を記載する目的は、経営計画書で分析した課題に対する具体的な打ち手を提示することです。補助金を活用して行う補助事業の内容、それによって得られる効果などを具体的に記載していきましょう。
補助事業計画書は、次の4つの項目に分かれています。
- 補助事業で行う事業名
- 販路開拓などの取り組み内容
- 業務効率化(生産性向上)の取り組み内容
- 補助事業の効果
「販路開拓などの取り組み内容」や「補助事業の効果」でどれほど具体的で納得感がある記載ができるかが最大のポイントとなります。経営計画書の内容をもとに、実現可能性の高さを意識しましょう。
補助事業で行う事業名
本項目では、「補助事業の名称」を記載していきます。30文字以内という文字数制限があるため、補助事業の大枠を示しながら、できる限り簡潔に記載しましょう。
販路開拓等の取組内容
本項目では、補助事業を進めるにあたり、具体的にどのような取り組みを行うのかについて記載していきます。何をどのように行うの、過去の取り組みや他社の取り組みと何が違うのかなどについて、具体的に記載していきます。
補助事業計画書の中でも、厚みを持たせるべき項目です。自社ならではの色を出してアピールできると良いでしょう。具体的な記載内容は、以下を参考にしてみてください。
- 商品・サービスの概要
- ターゲットとなる顧客層
- 売上や利益の目標
業務効率化(生産性向上)の取組内容
本項目の記載は任意となっています。業務効率化(生産性向上)に対する取り組みを行う場合のみ記載を行います。
特に取り組みがない場合には空欄でも良く、記載がないからといって減点対象になる項目ではありません。一方で、業務効率化に対する具体的な取り組みを行う場合には、申請書としての説得力が向上するため、記載するようにしてください。
補助事業の効果
本項目では、補助事業の実施により見込める効果について記載していきます。補助金を支給する価値がある効果なのかが見られます。現状と比較した上で、明確な効果を記載しましょう。売上高がいくら上昇するといった数値や、効果が継続する期間等の具体的な数値を記入することにより説得力が増します。
まとめ
小規模事業者持続化補助金の審査では、「経営計画書」と「補助事業計画書」の内容が重要です。書類全体の構成を意識して、説得力のある申請書を作成しましょう。
ただ、本業がある中で申請期間内にこの分量の書類を作成することは非常に大変です。そのような際は、補助金の申請サポートを専門家に任せることも一つの手です。 当社トライズコンサルティングも、小規模事業者持続化補助金をはじめとした各種補助金の申請サポートを行っています。補助金の申請でお悩みの方や検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。