企業の資金繰り支援はどこへ依頼すべき?専門家に依頼するメリットと受けられる支援

資金繰り支援

資金繰りとは、企業の現金の出入りをチェックし、事業資金が不足しないよう調整することです。

では、資金繰り支援を専門家に依頼した場合、専門家は何をしてくれるのでしょうか?今回は、資金繰り支援における専門家の役割や、専門家へ資金繰り支援を依頼するメリットなどについて詳しく解説します。

資金繰り支援において専門家がしてくれること

専門家による資金繰り支援では、次のサポートが受けられることが一般的です。ただし、資金繰り支援が法律などで厳密に定義されているわけではありません。

そのため、資金繰り支援を専門家へ依頼した場合に専門家が何を行ってくれるのかは、その専門家によって異なります。依頼の前に、その専門家が何をどこまでサポートしてくれるのか、個別でよく確認しておきましょう。

資金繰り計画表などの作成支援

資金繰りとは、その企業の現金の出入りをチェックして、事業資金が不足しないよう確認したり調整したりすることです。将来における資金繰り状況を予測し、調整するために作成をする表のことを、「資金繰り計画表」といいます。

資金繰り計画表は、いわば企業の資金繰りの健康状態を確認するためのものです。健康を改善したいと考えた場合には、まず健康診断を行ってから具体的な改善策を講じることが効率的でしょう。

これと同様に、企業の資金繰りを改善するためにはまず資金繰り計画表の作成を通じて資金繰りの健康状態を確認することが効果的です。そのため、専門家に資金繰りの支援を依頼した場合には、まずはこの資金繰り計画表の作成からスタートすることが多いといえます。

資金繰り計画表には、何か決まった形式があるわけではありません。しかし、中小企業庁のホームページに様式の例が載っていますので、イメージが掴みにくい場合にはこちらをご参照ください。専門家ごとに、資金繰り計画表の独自の様式を作成している場合も多くあります。

企業の資金繰りの問題点の把握支援

専門家に資金繰り支援を依頼した場合には、具体的な改善策を講じる前にその企業における資金繰り改善点の把握を支援します。改善点の把握は、作成をした資金繰り計画表やヒアリングした情報などをもとに行うことが一般的です。

資金繰りは、企業経営の根幹といっても過言ではありません。そのため、資金繰り支援と経営コンサルティングの線引きはあいまいであり、改善ポイントは経営全般に及ぶ場合もあるでしょう。

資金繰り改善の提案と実行支援

企業の資金繰りの問題が把握できたら、その企業に必要な資金繰り改善策の具体的な提案を行います。

資金繰り改善の多くは、一朝一夕でできるものではありません。そのため、その後の実行支援や改善状況の定期的なモニタリングまで行ってくれることが一般的です。

融資のサポートやリスケの支援

企業の資金繰りの問題が追加の融資やリスケによって改善できる場合には、融資のサポートやリスケの支援を行います。具体的には、追加融資やリスケを金融機関と交渉するにあたって必要となる資料を作成したり、金融機関へ一緒に出向いたりします。

なお、リスケとは「リスケジュール」の略であり、月々の返済額の減額など借入金の返済スケジュールを変更してもらうことです。

専門家に資金繰り支援を受けるメリット

企業が専門家に資金繰り支援を依頼するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?主なメリットは次のとおりです。

借り入れやリスケに応じてもらいやすくなる

1つめのメリットは、専門家の支援を受けることで追加融資やリスケに応じてもらえる可能性が高まる点です。資金繰りの専門家は、融資の専門家でもあることが少なくありません。

そのため、融資やリスケにあたって金融機関が重視するポイントを押さえていることが一般的です。金融機関が知りたい情報をまとめた資料を作成してもらったり、交渉の場に同席してもらったりすることで、金融機関との交渉をスムーズに進めることができるでしょう。

適切な資金繰り改善策のアドバイスが受けられる

資金繰りの支援を受けることで、自社にとって適切な資金繰り改善策のアドバイスや実行支援を受けることが可能となります。資金繰りは、企業経営にとって非常に重要です。

しかし、自社のみで抜本的な資金繰り改善を行うことは容易ではありません。資金繰り改善には、経営とキャッシュフローに関する専門的な知識が必要であるためです。

また、たとえ資金繰り改善の理屈は分かったとしても、実行に移すにあたって社内の摩擦が生じる場合もあり、結果的にうやむやとなってしまう場合が少なくないでしょう。

安心して経営ができるようになる

そもそも、資金繰り計画表など作ったことがないという企業は少なくありません。しかし、企業の規模が大きくなってきたり事業内容が複雑化していったりするにつれて、資金繰り計画表のない経営では非常に不安定となっていきます。

たとえ利益は出ていても、経営者のカンに頼って経営をしていては、重要な局面で仕入れ代金が支払えずに倒産をしてしまうリスクさえあるでしょう。専門家による資金繰り支援を受けて自社の資金繰りを把握することで、安定した経営につながります。

さらなる企業成長に向けた見通しが立てやすくなる

自社の資金繰りが適切に把握できていなければ、将来へ向けた投資をする際にも不安が残ってしまいます。思い切った投資をしたものの、将来的にその代金を支払っていけるかどうか確認する術がないためです。

もちろん、無理な投資をすることで資金繰りがショートしてしまう事態は避けなければなりません。その一方で、企業を成長させるためには適切な投資が必要です。

専門家による支援を受けて資金繰りの状況が正しく把握できれば、必要な投資を行うことができ、さらなる企業成長へ向けた見通しが立てやすくなるでしょう。

資金繰り支援でアドバイスされる資金繰り改善策の例

資金繰りを改善するために行うべき対策は、その企業の状況によって異なります。そのため、専門家へ資金繰り改善支援を依頼した場合には、その企業に合わせたアドバイスをしてくれることでしょう。

ここでは、代表的な資金繰り改善策を4つ紹介します。

追加借り入れや借り入れのリスケ

追加での借り入れや融資のリスケを行うことは、資金繰り改善へとつながります。企業のお金が増えるためです。

また、リスケを行うことで、企業から月々に出ていくお金が少なくて済むこととなります。ただし、借り入れた以上はその後返済が必要となりますので、返済資金の確保まで計画をしたうえで行うようにしましょう。

在庫や固定資産の現金化

在庫や固定資産は本来、企業にお金を生んでもらうために保有するものです。しかし、在庫や固定資産は、保有しているだけでは企業の資金繰りを悪化させます。

なぜなら、倉庫に眠っている在庫やほとんど使用していない固定資産は、お金が使えない状態のままでブロックされてしまっているような状態であるためです。それどころか、管理や保存のためにお金が出て行ってしまう原因となっていることさえあるでしょう。

そのため、積みあがった在庫や利用頻度の低い固定資産は多少赤字になったとしても、売却をしてしまった方が資金繰りにとってプラスとなります。

入出金サイクルの改善

入出金サイクルの改善とは、売掛債権などの入金をできるだけ早め、買掛債権や経費の支払いなどの出金をできるだけ遅らせることをいいます。なぜ入出金サイクルを改善するべきかといえば、たとえ2月末日で売上が確定していたとしても、仮にその売掛債権の回収時期が4月末日であったとすれば、4月末日までの2か月間はそのお金を使うことができないためです。

その間はせっかくのお金が眠ったままの状態となっており、他の支払いや企業成長のための投資に使うことはできません。一方、購入自体は2月末日であったとしても、買掛債権の支払い時期が4月末日であるのであれば、その間はお金を自由に使うことができます。

そのため、入金時期の遅い販売先には売掛債権の入金時期を早めてもらうよう交渉し、仕入れ先には代金の支払い時期を遅らせてもらうよう交渉すると良いでしょう。また、経費の支払いを現金ではなくクレジットカード払いとすることで、支払い時期を1ヶ月程度遅らせることが可能となります。

役員貸付金などの回収

役員貸付金とは、企業がその代表者などへ貸し付けている貸付金です。比較的規模の小さな企業では、役員貸付金が発生しているケースが珍しくありません。

しかし、役員貸付金は、本来企業がさらなる成長のためなどに使えるはずのお金を役員が使ってしまっている状態です。何か特別な事情があるのでなければ、決して健全な状態とはいえません。

金融機関からお金を借りる際の評価でも、経営者が自分の財布と企業の財布とを区別できていないとの印象を与え、マイナスとなる場合が多いでしょう。そのため、役員貸付金があるのであれば、早急に解消すべきです。

企業が役員へ貸していたお金の返済を受けることで企業のお金が増えるため、資金繰りは改善します。

資金繰りと損益の計算が一致しないところ

資金繰りの計画は立てていないものの、損益の予測は立てているという企業もあることでしょう。その場合には、損益の計画とは別で資金繰りの計画を立てる必要性を感じにくいかもしれません。

しかし、損益の計画から資金繰りを把握することは困難です。なぜなら、損益と、資金繰りで把握したい入出金の状況とは、必ずしも一致しないためです。

損益と入出金でズレが生じる主な原因としては、次のものが挙げられます。

借入金

新たな借り入れをした際には、企業のお金が増えます。しかし、損益には一切影響しません。単に、現預金の増加と引き換えに借入金勘定が増えるのみです。

また、借入金の返済時には、企業からお金が出ていきます。しかし、出ていったお金のうち損益に影響するのは、利息部分のみです。返済をした元本部分は借入金勘定が減るのみであり、損益には影響しません。

売り上げと入金のタイミング

業務が完了するなどして請求書を発行した時点で、損益計算上の売り上げは計上されます。しかし、その売り上げが掛けであった場合などには、その時点で企業のお金が増えるわけではありません。

企業のお金が増えるのは、その後売掛債権が無事に入金された時点です。

設備投資と経費化のタイミング

車や機械器具などの資産を購入した場合、原則としてその購入時点で企業からお金が出ていきます。しかし、その時点で全額が経費として計上されるわけではありません。

減価償却によって、数年または数十年単位で少しずつ経費化されることとなります。

貸倒引当金などの引当金

引当金とは、企業の将来の大きな損失に備えて、あらかじめ一定額の損失を計上しておくものです。代表的なものに、貸し倒れによる損失に備える貸倒引当金が存在します。

引当金の計上は経費となりますが、実際に引当金計上の段階で企業からお金が出ていくわけではありません。

資金繰り支援の相談はどこにすれば良い?

資金繰りについて支援を受けたいと考えた場合、企業はどこに相談すれば良いのでしょうか?相談先の主な候補は次のとおりです。

金融機関

メインバンクなどの金融機関は、資金繰り支援の相談先の一つとなります。ただし、金融機関が行う資金繰り支援は、原則として追加の融資やリスケに応じることであることが一般的です。

そのため、金融機関へ資金繰り支援の相談をする場合には、追加融資やリスケを申し込みたい場合に限定されるでしょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、民間の金融機関の役割を補完する目的で存在する、政府系の金融機関です。日本政策金融公庫にはさまざまな融資制度があり、民間の金融機関からの借り入れが難しい場合であっても、借り入れが可能な場合が少なくありません。

中でも、セーフティネット貸付制度では、次のような企業への貸付をすることにより、資金繰りの支援を行っています。

  • 社会的、経済的環境の変化により売り上げや利益が減少するなど、業況が悪化している
  • 金融機関との取引状況の変化により、資金繰りに困難を来たしている
  • 国際的な金融不安や経済環境の変化を背景に取引金融機関から借入残高の減少等の取扱いを受けている
  • 関連企業の倒産に伴い経営に困難を来している

日本政策金融公庫で受けられる資金繰り支援も融資によるものですが、資金繰りに窮している場合には日本政策金融公庫へ相談してみると良いでしょう。

自治体の相談窓口

自治体によっては、自治体が独自の資金繰り支援を行っています。

ただし、こちらも融資による支援が一般的です。また、専門家へ電話や窓口で無料相談ができる窓口を設けている場合もあります。

支援制度の内容は自治体によって異なりますので、事業を行っている地域の自治体へ確認してみると良いでしょう。

税理士

税理士は、お金に関する身近な相談相手です。顧問税理士が定期的に訪問してくれる企業では、相談事が生じた場合にはまず税理士へ相談する場合が少なくないでしょう。

しかし、税理士は税務の専門家であり、資金繰りなど財務の専門家ではありません。もちろん、税理士の中には財務の知識に長けた人も存在しますが、すべての税理士が資金繰りに詳しいわけではないということです。

そのため、資金繰り支援を税理士へ相談する際には、その税理士の専門性を確認した方が良いでしょう。

中小企業診断士など専門のコンサルタント

資金繰り支援の相談先としてもっとも適切なのは、専門のコンサルタントです。中でも、中小企業診断士はコンサルタント唯一の国家資格であり、企業の成長に伴走する役割を担っています。

専門のコンサルタントへ資金繰り支援を相談することで、企業活動をトータルで分析したうえで、企業が取るべき資金繰り改善策の提案を受けることが可能です。

また、金融機関へリスケや融資を申し込みたい場合であっても、いきなり金融機関などの窓口へ行く前に、専門のコンサルタントへ相談すると良いでしょう。コンサルタントへ相談することで融資のサポートが受けられる他、日本政策金融公庫の制度など適切な融資制度についてのアドバイスが受けられるためです。

まとめ

資金繰りについて支援を受けたい場合には、ぜひ専門のコンサルタントへ相談しましょう。

専門家へ相談することにより企業の資金繰りが「見える化」できる他、具体的な改善策の提案や改善実行の支援を受けることが可能です。

当社トライズコンサルティングでは、これまで多くの補助金の申請サポートを行う中で、企業経営者の資金繰りに関する困りごとを数多く解決し、ノウハウを蓄積してきました。資金繰りの支援を受ける専門家をお探しの場合には、ぜひトライズコンサルティングまでご相談ください。

なお、トライズコンサルティングでは、より多くの企業様に資金繰り表作成の重要性を知っていただくため、資金繰り表のテンプレートを無料で配布しております。資金繰り表のテンプレートが御入用の際は、お気軽にダウンロードしてご利用ください。

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