補助金や助成金は国が行うものも多い一方で、自治体が独自に実施しているものもあります。東京都内で事業を実施する中小企業者などは、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象とならないか確認するとよいでしょう。
では、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とは、どのような助成金なのでしょうか。また、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の申請サポートを専門家に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、東京都中小企業振興公社が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の概要や助成内容、助成対象事業を紹介するとともに、申請にあたって申請サポートを活用する主なメリットなどを解説します。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とは、公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成事業です。
都内で事業を営む中小企業者が 「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる機械設備等を導入するにあたり、その経費の一部を助成するものです。
都内で事業を営む中小企業者は、この補助金が活用できないか確認しておくとよいでしょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の概要
続いて、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の概要を解説します。なお、ここで解説するのは2024年11月15日に申請が締め切られた第8回の公募内容であり、今後の公募では内容が変更される可能性があります。申請をご希望の事業者様は今後の情報に注意しつつ、申請サポートを行っている専門家にお早めにご相談ください。
申請資格
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の主な資格は次の3点です。
- 中小企業者であること
- 大企業が実質的に経営に参画していないこと
- 都内で実質的に事業を行っていること
それぞれ、概要を解説します。
中小企業者であること
「中小企業者」とは、それぞれ次に該当する事業者を指します。
業種 | 資本金と常用従業員数 | |
製造業・建設業・運輸業・その他の業種(ソフトウェア業、情報りょりサービス業) | ゴム製品製造業の一部 | 3億円以下または900人以下 |
その他 | 3億円以下または300人以下 | |
卸売業 | 1億円以下または100人以下 | |
サービス業 | 旅館業 | 5,000万円以下または200人以下 |
その他 | 5,000万円以下または100人以下 | |
小売業 | 5,000万円以下または50人以下 |
中小企業者に該当する資本金や従業員数の規模は業種ごとに異なるため、判断を誤らないようご注意ください。
大企業が実質的に経営に参画していないこと
「大企業が実質的に経営に参画している」とは、次のいずれかに該当する場合を指します。
- 大企業が単独で、発行済株式総数または出資総額の2分の1以上を所有または出資している場合
- 大企業が複数で、発行済株式総数または出資総額の3分の2以上を所有または出資している場合
- 役員総数の2分の1以上を、大企業の役員または社員が兼務している場合
- 大企業が実質的に経営を支配・参画していると考えられる場合
これらに1つでも該当する場合には、申請要件を満たしません。
都内で実質的に事業を行っていること
「都内で実質的に事業を行っていること」とは、次の点などから判断されます。
- 基準日現在で、都内に登記簿上の本店または支店があること(個人の場合は、都内に開業届出があること)
- 基準日現在で、都内で2年以上事業を行っていること
助成率・助成限度額
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成率と助成限度額は、それぞれ次のとおりです。なお、補助下限額は一律100万円とされています。
事業区分 | 助成限度額 | 助成率 | |
競争力強化 | 中小企業者 | 1億円 | 1/2(一定要件を満たした場合は、2/3または3/4) |
小規模企業者 | 3,000万円(一定要件を満たした場合は1億円) | 2/3(一定要件を満たした場合は3/4) | |
DX推進 | 1億円 | ||
イノベーション | |||
後継者チャレンジ |
補助金額や補助率が引き上げられる主な要件には、「賃上げ要件」と「ゼロエミ要件」があります。賃上げ要件とは、一定以上の賃上げを実施することです。
また、ゼロエミ要件とは、「ゼロエミッション概要書」の記載項目について妥当性が確認され、省エネ効果等が認められることを指します。各助成対象事業の概要は、後ほど改めて解説します。
助成対象経費
助成対象となる経費は、次のものの導入、搬入・据付などに要する経費です。
- 機械装置
- 器具備品
- ソフトウェア
ただし、1基50万円(税抜)以上のものに限ることとされています。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の助成対象事業
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の助成対象となる事業(取り組み)について、それぞれ概要を解説します。
- 競争力強化
- DX推進
- イノベーション
- 後継者チャレンジ
競争力強化
「競争力強化」とは、競争力強化と生産性向上のために、新たに必要となる機械設備等を導入する事業です。たとえば、次の取り組みなどがこれに該当します。
- 量産体制の構築
- 安定供給体制の確立
- 多品種少量生産への対応
- 生産工程の改善
- 製品、技術の品質向上、信頼性確
- 特殊素材、難加工、複雑形状への対応
- コストダウン
- 一貫加工への対応
- 短納期への対応
- 不良率削減
- 感染症対策関連商品の増産要請対応
DX推進
「DX推進」とは、IoTやAI、ロボットなどのデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指した事業展開に必要となる機械設備を導入する事業です。次の取り組みなどが、これに該当します。
- 機械制御の自動化・省力化 生産設備の稼働状況把握
- 異常、故障監視 物流の効率化
- 受発注の効率化 生産ラインの最適化
なお、申請にあたっては次の3つの中から該当する区分を選択することとされています。
- IoT・AI活用
- ロボット
- その他
イノベーション
「イノベーション」とは、イノベーション分野に関する製品について、新事業活動を行うために必要となる機械設備を新たに導入する事業です。新規事業活動とは、次のいずれかに該当する取り組みです。
- 新製品の生産
- 新役務の提供
- 製品の新たな生産、または販売方式の導入
- 役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動
なお、イノベーションといっても、世にまだない事業ということまでは求められません。その中小企業者にとって新しい事業活動であれば、既に他社において採用されている技術や方式を活用する場合であっても、原則として対象になるとされています。
後継者チャレンジ
「後継者チャレンジ」とは、事業承継を契機として、後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる機械設備を新たに導入する事業です。後継者が中心となって進める次の取り組みなどが対象となります。
- 事業転換に向けた新製品の生産
- 新たな経営戦略に基づく製品・技術・サービスの高付加価値化
- 新たな生産方式の導入による品質保証体制の確立
- 新事業分野への参入
なお、承継方法は次のいずれかに該当することが必要です。
- 同一法人における代表者交代による事業の承継
- 個人事業における廃業、開業を伴う事業譲渡による承継
- 個人事業における廃業を伴う、個人事業主から新設法人への事業譲渡による承継
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業を活用する流れ
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の活用は、どのような流れで進めればよいのでしょうか。ここでは、活用の一般的な流れを紹介します。
- 専門家に相談する
- 「ネットクラブ会員登録」をする
- 申請予約をする
- 申請書類を提出する
- 一次審査
- 二次審査
- 助成対象者が決定する
- 助成対象事業を実施する
- 検査を受け、助成額が確定する
- 助成金が交付される
専門家に相談する
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」への申請にあたっては、専門家による代行を受けることをおすすめします。そのため、はじめにこの助成金に対応している専門家に相談するとよいでしょう。実績豊富な信頼できる専門家を見つけたら、専門家とサポート契約を締結します。
「ネットクラブ会員登録」をする
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の申請はオンラインで行う必要があり、オンライン申請のためには「ネットクラブ会員登録」が必要です。そのため、登録をしていない場合には、東京都中小企業振興公社のホームページから会員登録を済ませておきましょう。
申請予約をする
この助成金は、本申請の前に申請予約が必要です。本申請に先立って、申請予約を行いましょう。
申請書類を提出する
提出期限内に、申請書類を提出します。期限に遅れると申請ができなくなるため、ご注意ください。申請は、「Jグランツ」のシステムを使ってオンラインで行います。
一次審査
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の審査は、二段階となっています。一次審査の結果は、「Jグランツ」で通知されます。
二次審査
二次審査では、面接が行われます。専門家のサポートのもとあらかじめ面接の対策をしておくことで、落ち着いて面接に臨みやすくなります。
助成対象者が決定する
審査の結果を経て、助成対象者が決まります。この結果も、「Jグランツ」で通知されます。
助成対象事業を実施する
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は事業実施後の後払いであり、助成対象に決まってもすぐに助成金が受け取れるわけではありません。受給に先立って、助成対象事業を実施する必要があります。
なお、自己資金では事業実施に必要な資金を用意しきれない場合もあるでしょう。その場合には、金融機関から一時的な融資(「つなぎ融資」といいます)を受けることを検討します。
検査を受け、助成額が確定する
事業の実施後は、事務局に対して実施の報告を行います。実施報告には一定の書類が必要になるため、必要書類の発行を失念したり紛失したりすることのないようご注意ください。
助成金が交付される
検査の結果、問題がないと判断されたら、ようやく助成金が交付されます。つなぎ融資を受けていた場合には、金融機関との契約に従い速やかに返済しておきましょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業で専門家に申請代行を依頼するメリット
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を申請する際は、専門家による申請サポートを活用することをおすすめします。ここでは、申請サポートを活用する主なメリットを解説します。
- 手間と時間を大きく削減できる
- 不備のない申請が可能となる
- 申請内容を練り込むことで採択の可能性を高められる</h3
- 申請期限に間に合わせやすくなる
手間と時間を大きく削減できる
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を申請するには、制度概要や申請要件、手続き方法などを調べたうえで申請書類を作成するなど、多大な時間と労力を要します。忙しい事業者様が自力でこれを行おうとすると、本業に割くべきリソースを圧迫してしまうかもしれません。
専門家に申請サポートを依頼することで、時間や手間を最小限に抑えられ、本業に注力しやすくなります。
不備のない申請が可能となる
助成金対象者として選ばれるには、不備のない的確な書類を作成しなければなりません。専門家に申請サポートを依頼することで、不備のない書類が作成しやすくなります。
申請内容を練り込むことで採択の可能性を高められる</h3
専門家に申請サポートを依頼した場合、通常は、単に書類を作成してくれるだけではありません。助成対象者として選ばれるには申請内容が助成金の趣旨に合致していることに加え、申請内容が十分に練り込まれ全体の整合性がとれている必要があります。
そのため、専門家はコンサルティングを行い、申請内容の練り込み段階からサポートすることが多いでしょう。専門家からコンサルティングを受けて申請内容を練り込むことで、助成対象者として選ばれる可能性を高めることにつながります。
申請期限に間に合わせやすくなる
自力で助成金に申請しようとする場合、本業が忙しくなった際に助成金申請を後回しにしてしまい、期限に間に合わなくなるおそれが生じます。
専門家に申請サポートを依頼した場合には専門家が期限管理をしてくれるため、申請期限に間に合わせやすくなります。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の最新スケジュール
執筆している2025年1月時点において、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の次回の公募スケジュールは公表されていません。なお、前回の公募(第8回公募)のスケジュールは次のとおりでした。
- 申請予約:2024年10月23日~2024年11月6日
- 申請受付:2024年11月1日~2024年11月15日(Jグランツの不具合のため、11月18日まで延長)
- 審査:2024年11月中旬~2025年2月中旬
- 助成対象者決定:2025年3月中旬(予定)
申請から助成対象者の決定には4ヶ月程度を要するため、助成金の申請には長期的な視点で取り組む必要があります。申請をご希望の事業者様は今後の情報を待ちつつ、申請サポートを依頼したい専門家に早めからコンタクトをとっておくことをおすすめします。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請代行はトライズコンサルティングにお任せください
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の申請サポートはトライズコンサルティングにお任せください。最後に、トライズコンサルティングの主な特長を4つ紹介します。
- 代表は中小企業診断士である
- オンラインでの相談・打ち合わせに対応している
- サポートした案件で高い採択率を誇っている
- 中小企業支援に力を入れている
代表は中小企業診断士である
トライズコンサルティングの代表である野竿は、中小企業診断士です。中小企業診断士とは経営診断や経営コンサルティングを専門とする国家資格であり、補助金や助成金の申請に不可欠である事業計画の策定や練り込みに特に強みを有しています。
また、野竿は認定経営革新等支援機関(認定支援機関)としても登録されています。認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。そのため、確かな知識と経験をもとに助成金申請のサポートを行っています。
オンラインでの相談・打ち合わせに対応している
トライズコンサルティングはZoomなどのオンラインツールを活用し、オンラインでの相談や打ち合わせに対応しています。打ち合わせのために場所を移動する必要がないほか、出張先などからの打ち合わせも可能であるため、忙しい事業者様にご好評をいただいています。
サポートした案件で高い採択率を誇っている
トライズコンサルティングでは補助金や助成金の申請サポートに力を入れており、サポートした案件で高い採択率を誇っています。特に大型の補助金を得意としており、国の補助金である「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」などでも多くの採択を勝ち取ってきた実績があります。ノウハウが蓄積していることから、安心してご相談・ご依頼いただけます。
中小企業支援に力を入れている
トライズコンサルティングでは中小企業支援に力を入れており、補助金や助成金の申請サポートのほか、融資の申し込みサポートやお金の「見える化」支援などのコンサルティングを手掛けています。そのため、補助金や助成金に関することのみならず、経営に関する他の困りごとについてもご相談いただけます。
まとめ
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の概要や助成対象となる要件、申請の流れのほか、専門家による申請サポートを活用するメリットなどを解説しました。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とは、東京都内で事業を営む中小企業者が 「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる機械設備等を導入するにあたり、導入に要する経費の一部を助成する制度です。
助成限度額は最大で1億円にのぼり、助成を受けて思い切った設備投資ができれば、事業を大きく飛躍させることが可能となるでしょう。
とはいえ、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の申請には多大な手間と時間を要するうえ、自力で採択を勝ち取ることは容易ではありません。そのため、申請にあたっては専門家による申請サポートを活用することをおすすめします。
専門家にサポートを受けることで自社で要する時間や手間を抑えられるほか、コンサルティングを受けて申請内容を練り込むことで採択の可能性を高めることも可能となります。
当社トライズコンサルティングは補助金や助成金の申請サポートに力を入れており、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」への対応も可能です。申請をご希望の事業者様は今後の情報に注意しつつ、トライズコンサルティングまでお早めにご相談ください。補助金や助成金の活用に関する初回のご相談は無料です。