創業融資に申し込む段階では、まだ事業者の信用は育っていません。そのため、創業者の過去の経験などを踏まえ、事業の成功可能性や実現性の高さなどから融資の審査がなされることが一般的です。
では、創業融資はその分野の経験が未経験でも受けられるのでしょうか?また、未経験分野での開業である場合、創業融資の申し込みにあたってどのような点をアピールすればよいのでしょうか?今回は、未経験の業界での創業で創業融資を受ける方法やポイント、主な創業融資の種類などについてくわしく解説します。
なお、当社トライズコンサルティングは創業融資のサポートを手掛けており、未経験分野での創業融資申し込みについても豊富な実績を有しています。トライズコンサルティングは、中小企業診断士の野竿が代表を務めるコンサルティング企業です。未経験分野での創業融資申し込みでお困りの際は、当社までお気軽にご相談ください。
創業融資とは
創業融資とは、創業前後の時期に活用できる融資制度です。
一般的な融資では、過去の業績や返済実績などから融資の可否を判断します。しかし、創業前後の時期にはまだ十分な実績はなく、信用が育っていないことでしょう。このような時点で通常の融資を受けることは、容易ではありません。また、融資に通ったとしても、経営者の個人保証や土地・建物への担保設定が必要となることがほとんどです。
そこで設けられているのが、創業融資の制度です。創業融資制度は、信用力が育っていない創業前後の企業でも審査に通りやすいよう、政策的に設けられています。創業期であっても審査に通りやすいうえ金利などが優遇されることもあるため、活用できる時期には積極的に活用するとよいでしょう。
主な創業融資の種類
創業融資には、どのような制度があるのでしょうか。ここでは、主な創業融資制度を3つ紹介します。
- 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」
- 地方自治体の制度融資
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
1つ目は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。
日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、民間の金融機関の役割を補完する目的で設置されています。そのため、民間の金融機関からは融資を受けづらい者を対象とした融資制度が多く設けられています。
「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める者や事業開始後おおむね7年以内の者が活用できる融資制度です。原則として無担保・無保証人で、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資が受けられます。
金利は原則として基準金利であるものの、「女性の方、35歳未満または55歳以上の方」や「創業塾や創業セミナーなどを受けて新たに事業を始める方」など一定の条件に該当する場合には金利の優遇も受けられます。
参照元:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」
2つ目は、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」です。
これは、次のいずれかのうち、原則として新たに事業を始める者や事業開始後おおむね7年以内の者を対象とする融資制度です。
- 女性
- 35歳未満か55歳以上の者
これには「国民生活事業」と「中小企業事業」の2つがあり、融資限度額はそれぞれ次のとおりです。
- 国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
- 中小企業事業:直接貸付は7億2千万円、代理貸付は1億2千万円
参照元:女性、若者/シニア起業家支援資金(日本政策金融公庫)
地方自治体の制度融資
都道府県などの地方公共団体が、独自の融資制度を設けている場合があります。
たとえば、東京都では「東京都中小企業制度融資『創業』」が設けられています。この制度の対象者は、次のすべてに該当する者です。
- 都内に事業所(個人事業者は事業所または住所)があること
- 東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者であること
- 次のいずれかに該当すること
- 現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
- 創業した日から5年未満である中小企業者等
- 分社化しようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社
これらの要件を満たす場合、最大3,500万円の融資について信用保証協会に支払う保証料の補助などが受けられます。また、一定の場合には金利の優遇措置の対象となります。
創業融資は未経験でも受けられる?
未経験の業界での創業であるからといって、創業融資が受けられないわけではありません。
ただし、たとえばこれまで建設業での経験しかない人がいきなり飲食分野で開業するなどまったく未経験の分野での開業の場合、実現性や収益性に疑問が生じやすくなります。このような場合において、事業成功についての根拠や説得力が乏しいと、創業融資を受けられない可能性が高いでしょう。「博打」のような事業に融資ができないと考えるのは、資金の拠出者として当然であるためです。
そのため、未経験の分野で創業しようとする際は、創業融資の申し込みにあたってより入念な準備が必要となります。
業界未経験の場合に創業融資を成功させるためのアピールポイント
未経験の分野での創業で創業融資を成功させるには、融資の申し込みにあたってどのような点をアピールすればよいのでしょうか?ここでは、アピールすべき主な項目について解説します。
- 関連する分野での経験が活かせること
- 自己資金が十分であること
- 経験を補う人脈があること
- 理念や熱意があること
- 計画が十分に練られていること
これらは「どれか一つだけをアピールする」のではなく、可能な限りすべてを申込書類に盛り込むとよいでしょう。
なお、ここでは代表的な項目を紹介するものの、実際にリスクを負ってその分野で開業する場合、何らかの勝算があることでしょう。事業者様の頭の中にあるその「勝算」を言語化して融資の審査官と共有することで、融資審査に通りやすくなるということです。
当社トライズコンサルティングは創業融資の申し込みサポートを行っており、未経験分野での創業についても多くの融資獲得実績があります。未経験の業界での創業にあたって創業融資の申し込みでお困りの際は、当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
関連する分野での経験が活かせること
1つ目は、関連する分野での経験が活かせることです。その分野そのものでの実績がなかったとしても、関連する分野での実績がある場合は、これをアピールするとよいでしょう。
たとえば、これまで厨房設備を販売する企業で勤務していた場合、飲食業での創業にあたって過去に納入を行ってきたことで飲食業界の実態を理解できている場合は、この点がアピールポイントとなります。
また、農業分野で養った野菜・果物の「目利き力」を活かして飲食業を創業する場合や、経理担当者としての実績を活かして他分野の経営に活かす場合など、アピール方法は無限大です。
とはいえ、この点について自身では共通項に気付けないことも少なくないでしょう。専門家のサポートを受けることで、自身では言語化できていなかった経験との共通項を見つけやすくなります。
自己資金が十分であること
2つ目は、自己資金が十分であることです。創業融資ではまだ信用が育っていないため、自己資金の潤沢さが1つの重要な審査ポイントとなります。
審査官の立場で考えてみると、まったく未経験の分野での創業にあたって自己資金が乏しい場合、融資をするハードルは高いでしょう。勝算が乏しいことを事業者が自覚したまま無担保・無保証の融資を受け、「どうせ失敗をしても失うものは少ない」と考えている可能性もあるためです。
一方で、ある程度潤沢な自己資金がある場合、事業者自身も適切なリスクを取っているといえます。つまり、自己資金が一定程度あることは、事業者の覚悟を示すことにつながるということです。
日本政策金融公庫から融資を受けるにあたって必要な自己資金の額は最低でも1割であり、2割から3割が目安とされているものの、未経験分野の創業の場合には可能な限り自己資金を多めに用意するとよいでしょう。
経験を補う人脈があること
3つ目は、経験を補う人脈があることです。
たとえば、飲食店で創業する場合、自身にはまったく飲食業での経験がなかったとしても実績豊富なシェフとすでに雇用契約を締結しているのであれば、調理の面での不安要素はクリアできます。また、「前職で繋がりのある人が魚の卸売りをしており、その人から食材を仕入れられる」「家族が飲食業を営んでおり、ノウハウを教えてもらっている」などのつながりも、アピールポイントとなるでしょう。同様に、「飲食業は未経験であるものの、FC(フランチャイズ)なので本部のサポート体制がある」などもこれに該当します。
ある程度の規模で事業を営もうとする場合、事業者自身がすべてのノウハウを有していることは稀であり、従業員や取引先などとの繋がりの中で不足部分を補っていくことでしょう。創業融資の申し込みに際しては、この点を説明しアピールすることとなります。
理念や熱意があること
4つ目は、理念や熱意があることです。
未経験の分野で創業した事業を軌道に乗せるには、事業者の理念や熱意も重要です。創業融資ではまだ信用が育っていないため、過去の事業実績を提示してアピールすることはできません。これを補う要素となるのが、事業者の理念や熱意です。
創業融資の申し込みにあたって必要となる「創業計画書」では理念などを記載する欄があるため、ここで理念や熱意をアピールします。また、言葉だけではなく、たとえば飲食店で出したいメニューやそれぞれのコンセプトを記した表を作成したり、理念を実現するための具体的な計画を提示したりすることで、事業者の熱意がより伝わりやすくなります。
さらに、申請書類の各項目を空欄のままとしないことも、熱意を伝える方法として有効でしょう。
計画が十分に練られていること
5つ目は、計画が十分に練られていることです。創業融資の申し込みでは、創業計画書を提出します。
これは単に事業者の「理想」を示すのではなく、想定されるリスクなども踏まえつつ、手堅い内容で作成すべきです。さまざまな視点から計画を十分に練ることで、ギャンブルのような創業ではなく、収益性や将来性を見据えた創業であることが伝わりやすくなります。
その結果、未経験分野であっても創業融資を成功させやすくなるでしょう。
未経験分野で創業融資を成功させるその他のポイント
続いて、未経験分野での創業融資を成功させるために知っておくべきその他のポイントを3つ解説します。
- 計画に具体性を持たせる
- 必要な許認可を取得する
- 実績豊富な専門家にサポートを受ける
計画に具体性を持たせる
創業融資の申込時に提出する計画では、単に事業の収益性をアピールするだけではなく、現実的な計画であることも併せて示します。記載する数値についても単なる企業の空論や理想ではなく、競合他社の状況や市場の成長性などを踏まえ、説得力のある内容とすべきです。
また、たとえば年間収益についてもざっくりと「〇〇円」と示すのではなく、「単価〇円の商品Aが〇個程度、単価〇円の商品Bが〇個程度」などと積み上げたり「客単価〇円程度、平日の想定来店客数〇人、休日の想定顧客数〇人」としたりするなど、具体的な個数や客数などを踏まえて算定しましょう。
計画を入念に練り込むことで、計画の実現性が高いと判断されやすくなるほか、熱意のアピールにもつながります。その結果、未経験分野であっても創業融資を獲得しやすくなります。
必要な許認可を取得する
事業によっては、その事業を営むために許可や認可、届出などが必要となります。
たとえば、飲食店の場合は「飲食業許可」を、中古車販売店の場合は「古物商許可」を取得しなければなりません。創業融資を申し込む前にその事業で必要となる許認可を確認し、可能な限り取得を済ませておきましょう。
また、たとえば飲食業許可を取得するには厨房内の工事を終えている必要があるものの、融資を受けなければ内装工事に着手できず、まだ許可申請ができない場合もあると思います。
このように、融資を受けなければ許可申請に着手できない事情がある場合には、申込時にその点について説明しておきましょう。その際には、図面をもとに保健所との事前協議が済んでいるなど許可取得に向けて動いている段階にあるのであれば、その点も併せて説明すると理解を得やすくなります。
実績豊富な専門家にサポートを受ける
未経験分野での創業における創業融資は通常よりもハードルが高く、注意点も少なくありません。そのため、融資の申し込みに際しては、創業融資の実績が豊富なコンサルタントのサポートを受けるのがおすすめです。
専門家のサポートを受けることで、実際のケースにおける具体的な事業計画やアピールポイントについて助言を受けることが可能となります。また、専門家からコンサルティングを受けて創業計画を練り込むことで、より収益性や実現性が高く説得力のある計画の策定が可能となり、融資を成功させやすくなります。
未経験分野での創業に際して創業融資の申し込みをご検討の際は、当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。トライズコンサルティングは創業融資サポートについて豊富な実績を有しており、活用する創業融資制度の選定から事業計画の練り込み支援、面談対策のシミュレーションまで総合的なサポートが可能です。
未経験の業界で創業融資に申し込む際はトライズコンサルティングにお任せください
未経験の業界で創業融資に申し込もうとする際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。最後に、当社の主な特長を6つ紹介します。
- 未経験業界での創業融資獲得に成功した実績が豊富である
- 代表は中小企業診断士であり認定支援機関でもある
- 面談のアドバイスも行っている
- リスクの低い料金体系である
- 補助金の申請サポートも可能である
- オンラインでの相談・打ち合わせに対応している
未経験業界での創業融資獲得に成功した実績が豊富である
トライズコンサルティングは創業融資のサポート実績が豊富であり、未経験業界での融資獲得についても多くの実績を有しています。未経験分野での創業融資獲得に関するノウハウが蓄積しているため、安心してお任せいただけます。
代表は中小企業診断士であり認定支援機関でもある
トライズコンサルティング代表の野竿は中小企業診断士であり、認定支援機関としても登録されています。
中小企業診断士は中小企業の経営診断や経営コンサルティングを専門とする国家資格であり、創業融資に不可欠な創業計画書の策定支援などに特に強みを有しています。また、認定支援機関は正式名称を「認定経営革新等支援機関」といい、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。
そのため、確かな知識と実績のもとで的確なサポートを実現しています。
面談のアドバイスも行っている
創業融資に申し込みにあたっては事業者様の面談が必要であり、これを専門家が代理することは認められません。しかし、トライズコンサルティングでは面談に向けたシミュレーションを行うなど、事業者様が面談に安心して臨めるようサポートしています。
リスクの低い料金体系である
トライズコンサルティングの創業融資サポート報酬は、着手金5万円(税別)と融資獲得金額の5%の成功報酬です。当社がサポートの依頼を受けたにもかかわらず融資が受けられない可能性は非常に低いものの、万が一融資審査に通らなかった場合には着手金だけのお支払いで済むことから、事業者様のリスクを最小限に低減できます。
補助金の申請サポートも可能である
トライズコンサルティングは創業融資のサポートのほか、補助金の申請サポートも得意としています。補助金とは、申請をして多数の申請の中から選ばれる(採択される)ことで、国や地方公共団体などから返済不要な事業資金を受け取れる制度です。融資とは異なり、返済は必要ありません。
創業期には資金需要が大きく、融資と補助金を併用したいと考えることも多いでしょう。当社は申請できそうな補助金の案内も行うため、資金獲得の選択肢を広げやすくなります。
オンラインでの相談・打ち合わせに対応している
当社トライズコンサルティングはZoomなどを活用し、オンラインでの相談や打ち合わせを実現しています。そのため、出張先などからでも打ち合わせを進められるほか、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。
まとめ
代表的な創業融資制度を紹介するとともに、未経験分野で創業する場合における創業融資の可否や審査に通るためのアピールポイントなどを解説しました。
未経験分野での創業であるからといって、創業融資を受けられないわけではありません。しかし、未経験の業界で創業する場合には、実績のある分野での創業の場合以上に、計画に実現性や収益性があることをアピールする必要があるでしょう。たとえば、関連する分野での経験が活かせることや必要な人脈があること、計画が具体的であることなどがこれに該当します。
とはいえ、これらを自力で、的確にアピールすることは容易ではないでしょう。アピールすべきポイントを漏らしてしまったことで融資審査に落ちる事態となれば、後悔してもしきれません。
そこで、未経験分野での創業にあたって創業融資に申し込もうとする際は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。専門家のサポートを受けて創業計画を練り込むことでより説得力のある具体的な計画を策定しやすくなり、融資成功の可能性を高めやすくなるでしょう。
当社トライズコンサルティングは創業融資サポートについて豊富な実績を有しており、未経験分野での創業についても多くの採択を勝ち取ってきました。未経験分野での創業にあたって創業融資を活用したい際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。
創業融資に関する初回のご相談は、無料です。また、Zoomなどのオンラインツールを活用するため、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。