金融機関から提出を要求されるなどして、「経営改善計画書」の策定が必要となることがあります。また、企業が自主的に経営改善を目指す際に、経営改善計画書を策定する場合もあるでしょう。
経営改善計画書とは、どのようなものを指すのでしょうか?また、経営改善計画書のテンプレートは、どのように入手すればよいのでしょうか?
今回は、経営改善計画書の概要やテンプレートの入手方法、作成のサポートを専門家に依頼するメリットなどについてくわしく解説します。
経営改善計画書とは
経営改善計画書とは、会社の将来(5年間程度)の予想損益計算書です。予想貸借対照表を含むこともあります。経営改善計画書には、次の事項などを記載することが一般的です。
- 具体的な経営改善方法
- 今後、売上をどの程度伸ばすのか
- 売上高総利益率(粗利益率)をどの程度にするか
- 人件費などの経費をどうするか
- 借入金をどのように返済するか
なお、経営改善計画書を作成する場合、その作成にかかった専門家費用について国から補助を受けられる制度も存在します。
専門家にサポートを依頼する際は、補助金の活用も併せて検討するとよいでしょう。
経営改善計画書には2種類がある
経営改善計画書には、主に次の2種類があります。
- 短期的な経営改善計画書
- 中長期的な経営改善計画書
ここでは、それぞれの概要について解説します。
短期的な経営改善計画書
短期的な経営改善計画書とは、3年から5年程度の中期経営計画にもとづいて作成する経営改善計画書です。金融機関に融資を申し込む際や借り入れのリスケ(リスケジュール)を申し入れる際には、この短期的な経営改善計画書を求められることが多いでしょう。
中長期的な経営改善計画書
中長期的な経営改善計画書とは、5年から10年後など中長期に渡った改善計画を示す計画書です。会社が自主的に経営の改善を試みたり、さらなる利益増加や生産性向上、規模の拡大などをはかったりする目的で作成することが一般的です。
経営改善計画書の作成が必要となる主な場面
経営改善計画書の作成が必要となるのは、どのような場面なのでしょうか?ここでは、経営改善計画書の主な作成場面を3つ紹介します。
- 自社の経営状態を改善したい場合
- 金融機関に融資を申し込む場合
- 融資を受けている金融機関から求められた場合
自社の経営状態を改善したい場合
1つ目は、自社の経営状態を改善したい場合です。
経営改善計画書を作成する過程では、自社の現状把握や経営課題の抽出、数値計画の策定を行います。経営改善計画書を作成にあたって自社の現状と真剣に向き合うことで、経営状態の改善に繋がる効果が期待できます。
また、作成した経営改善計画書を従業員に開示して方向性を示すことで、全社が一体して経営改善に取り組みやすくなるでしょう。
金融機関に融資を申し込む場合
2つ目は、金融機関に対して新たに融資を申し込む場合です。
経営状態がよくない場合には、金融機関から融資を受けることは容易ではありません。そこで、経営改善計画を作成して今後は経営状態が改善する旨を金融機関に説明することで、融資審査が通る可能性を高めることが可能となります。
とはいえ、経営改善計画書さえ提出すれば融資に通るわけではありません。融資を見越した経営改善計画書を作りたい場合や、融資申込みのサポートを受けたい場合には、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。
融資を受けている金融機関から求められた場合
3つ目は、融資を受けている金融機関から作成を求められた場合です。
財務状態が悪化して予定どおりに融資を返済できない場合は、金融機関にリスケを申し込むこととなります。このリスケの条件として、経営改善計画書の提出が必要となることが一般的です。
この場合は、融資の返済が可能であることを示す経営改善計画を策定しなければなりません。
経営改善計画書を作成するメリット
企業が経営改善計画書を策定することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを3つ解説します。
- 将来の見通しが立てやすくなる
- 従業員と会社の未来を共有しやすくなる
- 経営の軌道修正がしやすくなる
- 金融機関に自社の取り組みを説明しやすくなる
将来の見通しが立てやすくなる
経営改善計画書を作ることで自社の将来の状況などが数値で明確となり、将来の見通しが立てやすくなります。
経営改善計画を作るためには、将来の具体的な行動計画(出店計画や雇用計画など)を定めなければなりません。経営改善計画は単なる「数字遊び」ではなく、将来の具体的な計画から数字を予測し、作成するものであるためです。
そのため、経営改善計画書を作成する過程では自ずと将来の行動計画や達成目標が明確となり、自社の将来の状態を見通しやすくなります。
従業員と会社の未来を共有しやすくなる
経営改善計画書を従業員に開示して経営陣から説明することで、従業員との間で会社の未来を共有しやすくなります。
会社の業績が振るわない場合、従業員は会社の将来に不安を感じ、モチベーションが低下する可能性が高くなります。従業員は、実際に会社の業務を行う重要な役割を担います。従業員のモチベーションが低下すると業績の改善が難しくなるほか、退職者が増加するおそれもあるでしょう。
そこで、経営改善計画書を作成し従業員と共有することで、従業員が会社の未来に希望を感じやすくなります。その結果従業員のモチベーションが向上し、一丸となって改善に取り組みやすくなる効果が期待できます。
経営の軌道修正がしやすくなる
経営改善計画書を作成する過程で、経営の軌道修正がしやすくなります。
業績が悪化している場合、経営者の頭の中には大まかな改善計画があることも少なくありません。しかし、頭の中で考えただけの計画では、検討不足や全体の矛盾点などに気付くことは困難でしょう。
経営改善計画書として実際にアウトプットしてみることで、計画の不備や問題点に気付きやすくなり、経営の軌道修正がしやすくなります。
金融機関に自社の取り組みを説明しやすくなる
経営者の頭の中にだけ改善計画があったとしても、これを漏れなく、かつ正確に金融機関の担当者などに伝えることは容易ではないでしょう。また、金融機関は、担当者の一存で融資をするかどうかやリスケに応じるかどうかが決まるわけではありません。
融資審査などでは複数人による稟議が必要となることが一般的であり、これを効果的に進めるためには書面で経営改善計画書を提出すべきです。
経営改善計画書を作成して融資やリスケを申し込む際に金融機関に提出することで、金融機関に自社の取り組みを説明しやすくなります。
経営改善計画書のテンプレート入手方法
経営改善計画書のテンプレートは、当記事の一番下のリンクよりダウンロード頂けます。
経営改善計画書には、決まった様式があるわけではありません。しかし、必要事項を漏れなく記載するためには、テンプレートが参考となるでしょう。
経営改善計画書の書き方・作成手順
経営改善計画書は、どのような手順で作成すればよいのでしょうか?ここでは、一般的な作成手順を紹介します。
- 経営改善計画書策定の手引を読み込む
- 現状把握をする
- 経営課題の抽出する
- 経営目標を設定する
- 数値計画を策定する
経営改善計画書策定の手引を読み込む
日本政策金融公庫は、ホームページ上で「経営改善計画書策定の手引」を公開しています。
この手引きでは、経営改善計画書の基本的な考え方や作成方法などが記載されています。そのため、自社で経営改善計画書を作成する際は、はじめにこの手引を読み込むと良いでしょう。
この手引きを読み込むことで経営改善計画書の概要が分かるほか、自社だけで作成できるか専門家のサポートを受けるべきかなどの判断がしやすくなります。専門家によるサポートが必要な際は、トライズコンサルティングまでご相談ください。
現状把握をする
経営改善計画書を作成する際、いきなり未来のことから考え始めることは適切ではありません。まずは自社の現状を、客観的かつ正しく把握するステップが必要となります。自社の現状を把握しなければ、具体的な改善策を検討することが難しいためです。
ここで把握すべき主な事項は、次のものなどです。
- 売上高、粗利益率、売上高経常利益率、経費の推移
- 借入金の内容(借入先、金額、口数、返済額、利率、担保の有無など)
- 資産の内容と状況(不良在庫や不良債権等の有無)
- 各種税金、社会保険料などの納付状況
- 社長などの個人名義の借入金の有無
- 担保提供していない資産の有無
- 経営者が事業に対して新たに提供可能な個人資産の有無
とはいえ、自社の現状を分析することは、容易なことではありません。お困りの際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。トライズコンサルティングでは、財務診断など自社の現状把握するためのサポートを行っています。
経営課題の抽出する
現状を把握したうえで、これをもとに経営課題を抽出します。
経営課題は、外部環境によるものと内部環境によるものとに大別されます。外部環境は、社内の努力だけで改善できるものではありません。
一方、内部環境によるものは、経営者の意思や社内の努力などで解決することができます。そのため、課題を分析して「外部環境」と「内部環境」とに分けることで、自社で取り組むべき課題が明確となります。
主な経営課題としては、次のものなどが挙げられます。これらはあくまでも例であり、実際に経営改善計画書を作成する際は、把握した自社の現状をもとに課題の抽出を行ってください。
- 売上高が減少している
- 取引先の減少(外部環境)
- 自社製品の競争力低下(外部環境)
- 販売員の不足(内部環境)
- 資金繰りが厳しくなっている
- 借入金の増加(内部環境)
- 人員の余剰(内部環境)
- 無駄な経費の発生(内部環境)
経営目標を設定する
経営課題を抽出したら、これをもとに、各経営課題を改善するための方策(経営目標)を検討します。この目標は抽象的なものとせず、できるだけ具体的に定めてください。
たとえば、販売員を増やすのであれば単に「販売員を増やす」などと定めるのではなく、「今後半年以内に2名増員する」など、具体的な時期と数値を明確に定める必要があります。
数値計画を策定する
設定した経営目標を数値化し、経営改善計画書に記入します。このようなステップを踏んで作成することで、経営改善計画が強固で説得力があり、かつ実現性の高いものとなります。
経営改善計画書の作成を専門家に依頼するメリット
経営改善計画書の作成は、コンサルタントなどの専門家のサポートを受けて行うことも可能です。ここでは、経営改善計画書の作成サポートを専門家に依頼する主なメリットを4つ解説します。
- 手間と時間を削減できる
- 自社の状態を客観的に把握しやすくなる
- 経営コンサルティングを受けられる
- 目的の実現へ向けた支援が受けられる
なお、専門家に依頼することができるのはあくまでも「サポート」であり、作成の「丸投げ」ではありません。自社で何も考えることなく、改善策の検討や数字合わせからすべてをコンサルタントに丸投げできるものではないため、誤解のないようご注意ください。
手間と時間を削減できる
1つ目は、自社でかける手間や時間を軽減できることです。
先ほど解説したように、経営改善の方向性や改善のための具体策は、自社が主体となって検討しなければなりません。しかし、コンサルタントに依頼した場合、現状把握や計画内容の文章化、数字の検討など、さまざまなサポートを受けることができます。
これにより、自社でかける手間や時間を大きく削減することが可能となります。
自社の状態を客観的に把握しやすくなる
2つ目は、自社の状態を客観的かつ正しく把握しやすくなることです。
自社の状態を分析するには、財務に関する基本的な知識が必要です。また、財務面以外でも、社内の人物が自社の置かれた状態を客観的に正しく把握することは容易ではありません。自社で検討すればどうしても主観が入ることから、評価にブレが生じやすいためです。
財務や中小企業経営に関する知識を有した第三者であるコンサルタントのサポートを受けることで、自社の状態を正しく把握しやすくなります。
自社に現状を把握する中では、ときに耳の痛い事実に直面することもあるかもしれません。それでも、経営を改善するためには自社の弱みなど目を背けたくなる現状を直視して対策を講じることが、経営改善への近道です。
経営コンサルティングを受けられる
3つ目は、専門家から経営コンサルティングを受けられることです。
経営改善計画書の作成をコンサルタントに依頼した場合は、経営改善へ向けたコンサルティングを受けられることが多いでしょう。経営改善策を検討しようにも、自社で検討した改善策に自信が持てない場合もあると思います。
専門家からコンサルティングを受けることで、具体的な改善策や方向性の提示を受けたり、策定した計画の検証を受けたりすることが可能となります。これにより、効果的かつ実現性の高い改善計画を策定しやすくなるでしょう。
目的の実現へ向けた支援が受けられる
4つ目は、目的の実現へ向けた支援を受けられることです。
経営改善の実現には、資金調達の問題が付随することが少なくありません。資金調達の方法としては、融資やリスケ、補助金の活用などが挙げられます。
経営改善計画書の策定サポートを行うコンサルタントは、融資や補助金にも強みを有していることが多いでしょう。そこで、必要に応じて融資の申込み支援や補助金の申請サポートなどを受けることが可能です。
ただし、依頼先の専門家によって、業務範囲が異なる可能性があります。そのため、経営改善計画書の作成サポートを依頼する専門家に融資や補助金申請などについてもサポートを受けることを希望する場合は、これらにも対応しているかあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
経営改善計画書の作成はトライズコンサルティングにお任せください
経営改善計画書の作成や自社の現状把握でお困りの際は、当社トライズコンサルティングまでご相談ください。最後に、トライズコンサルティングの概要と主な特長をまとめて解説します。
具体的なサポートメニューは企業様の状況に合わせてご提案しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
トライズコンサルティングとは
トライズコンサルティングとは、中小企業診断士である野竿が代表を務めるコンサルティング企業です。「お客さまの目標実現のため、ワクワクするような成果を提供します」をコンセプトに、中小企業の経営サポートに特に強みを有しています。
トライズコンサルティングの特長
トライズコンサルティングの主な特長を4つ紹介します。
- 確かな知識と経験のもとでコンサルティングを行っている
- 伴走型の支援を行っている
- 全国対応である
- 補助金や融資についても相談できる
確かな知識と経験のもとでコンサルティングを行っている
トライズコンサルティングではコンサルタントの勘や経験だけに頼るのではなく、確かな知識と経験をもとに企業様のコンサルティングを行っています。このことは、代表である野竿が中小企業診断士であることに加え、認定支援機関に登録されていることからも裏打ちされています。
認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関です。
伴走型の支援を行っている
中小企業経営者様のなかには、コンサルタントに対して「上から目線で意見を押し付ける」「難しいことばかり言って理解できない」など、マイナスイメージを持っている人も少なくないようです。
そこでトライズコンサルティングは、「上」ではなく、経営者様が目指すべき未来を実現するために経営者様の「横」でともに走る「伴走型の支援」を基本としています。
全国対応である
トライズコンサルティングはZoomなどのオンラインツールを駆使して、全国対応を可能としています。そのため、全国どこからでもサポートをご依頼いただくことが可能です。
また、出張中などであっても場所を問わずに打ち合わせを進められることから、多忙な経営者様などから特にご好評いただいています。
補助金や融資についても相談できる
トライズコンサルティングでは、補助金の申請サポートや融資の申込み支援にも強みを持っています。そのため、経営改善計画を実現するために補助金や融資を受ける必要が生じた際は、これらについても具体的なサポートをすることが可能です。
また、先ほど解説したとおり、経営改善計画書の作成費用を対象とする補助金も存在します。トライズコンサルティングにサポートをご依頼頂いた場合には活用できる補助金についてもご案内し、申請まで支援致します。
まとめ
経営改善計画書の概要やテンプレートの入手方法、基本的な作成手順などについて解説しました。
経営改善計画書とは、経営の改善策や具体的な数値計画などを記した書面です。経営改善をしたい際やさらなる高みを目指したい際に企業が自主的に作成することがある一方で、新規の融資や融資のリスケを申し込む際に金融機関から提示を求められることも少なくありません。
本文でも解説したとおり、経営改善計画書には決まった様式があるわけではありません。とはいえ、様式がなければ何を記載してよいかわからず、記載内容の検討だけでも一苦労でしょう。
そこで、当社トライズコンサルティングでは経営改善計画書のテンプレートを無料で配布しています。経営改善計画書の作成をご検討中の事業者様は、以下よりテンプレートをダウンロードしてご利用ください。