創業期は資金需要が高い反面、十分な収益が得づらいことも少なくありません。また、民間の金融機関から融資を受けるハードルは高いでしょう。
そこで検討したいのが創業融資です。創業融資は民間の金融機関から融資を受けづらい創業期であっても審査に通りやすいように設計された融資制度であり、日本政策金融公庫や地方公共団体が手掛けています。
では、創業融資の活用にはリスクはあるのでしょうか?また、通常の融資と比較して、創業融資にはどのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、主な創業融資制度を紹介するとともに、創業融資を活用するリスクやメリット、創業融資のリスクを抑えるポイントなどについてくわしく解説します。
なお、当社トライズコンサルティングは創業融資について豊富なサポート実績を有しています。トライズコンサルティングは、中小企業診断士であり認定支援機関としても登録されている野竿が代表を務めるコンサルティング会社です。創業融資の活用をご検討の際や創業融資のリスクを正しく把握したうえで申し込みたい際などには、当社までお気軽にご相談ください。
創業融資とは
創業融資とは、創業期であっても融資を受けやすいように設けられている制度です。
創業期に、民間の金融機関から融資を受けることは容易ではありません。創業期にはまだ営業実績や融資の返済実績などが乏しく、信用が育っていないためです。融資を受けられる場合であっても、担保や保証人などを求められることが多いでしょう。
そのような場面に備え、創業融資制度が設けられています。創業融資では創業期にある事業者であっても審査に通りやすいほか、無担保・無保証人が原則です。創業期の資金需要を満たすため、創業融資の活用を検討するとよいでしょう。
2025年の創業融資の主な種類
代表的な創業融資制度には、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、2025年時点に存在する主な創業融資制度を紹介します。
- 日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」
- 地方自治体の制度融資
日本政策公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
日本政策公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める者や事業開始後おおむね7年以内の者を対象に、設備資金や運転資金を融資する制度です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)であり、一定の場合には金利の優遇が受けられます。
参照元:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫)
なお、日本政策金融公庫とは、民間金融機関の役割を補填する目的で設けられている政府系の金融機関です。預金はできない一方で、創業期など民間金融機関からの融資を受けづらい者への融資制度を多く設けています。
日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」
日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、「女性」と「35歳未満か55歳以上の者」のうち、新たに事業を始める者または事業開始後おおむね7年以内の者を対象に、設備資金や運転資金を融資する制度です。
この制度には「国民生活事業」と「中小企業事業」が存在し、融資限度額はそれぞれ次のとおりです。
制度 | 融資上限額 |
国民生活事業 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
中小企業事業 | 直接貸付:7億2千万円 代理貸付:1億2千万円 |
参照元:女性、若者/シニア起業家支援資金(日本政策金融公庫)
地方自治体の制度融資
都道府県などが独自の融資制度を設けている場合もあります。
たとえば、東京都には「東京都中小企業制度融資『創業』」制度があります。これは、民間の金融機関から一定の者が融資を受けるにあたって、信用保証協会に支払う保証料の一部を都が補填する制度です。
制度の対象者は都内に事業所(個人事業者は事業所または住所)があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者のうち、次のいずれかに該当する者です。
- 現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
- 創業した日から5年未満である中小企業者等
- 分社化しようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社
創業する際は、創業地の地方自治体に独自の融資制度がないか確認しておくとよいでしょう。
創業融資を受ける主なリスク
創業融資制度には、どのようなリスクがあるのでしょうか?ここでは、日本政策金融機関の創業融資制度を前提として、主なリスクについて解説します。
- 審査に通る必要がある
- 通常の融資と同じく返済は必要となる
- 審査期間が長めである
- 活用する創業融資制度によっては繰り上げ返済ができない
- 融資を受ける支店や担当者が選べない
- 他の金融機関からの借り換えができない
審査に通る必要がある
創業融資制度は創業期であっても審査に通りやすいとはいえ、融資審査がないわけではありません。審査の結果、希望額の融資が受けられないことも十分にあり得ます。
そのため、満額の融資が受けられなければ破綻するような事業計画は立てない方がよいでしょう。また、融資審査に通るレベルにまで事業計画を練り込むため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
当社トライズコンサルティングは創業融資のサポート実績が豊富であり、多くの案件で採択を勝ち取ってきました。創業融資の申し込みにあたってサポートを受ける専門家をお探しの際は、トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
通常の融資と同じく返済は必要となる
創業融資制度も「融資」である以上、当然ながら返済は必要です。そのため、無理のない返済計画を立てたうえで申し込むべきでしょう。
ただし、創業融資は原則として無担保・無保証人です。そのため、万が一事業に失敗し会社が倒産した場合には、それ以上返済を続ける必要はありません。
なお、創業期の資金調達方法としては、融資のほかに補助金も検討できます。補助金とは、申請をして補助対象に相応しいとして選ばれる(採択される)ことで、国や地方公共団体などから返済不要なまとまった資金が得られる制度です。融資と異なり原則として返済不要であるため、創業融資と併せて補助金の活用も検討するとよいでしょう。
補助金と融資の併用をご検討の際も、当社トライズコンサルティングがお役に立てます。トライズコンサルティングは創業融資のサポートのみならず、補助金の申請サポートを得意としており、豊富な採択実績を誇っています。
審査期間が長めである
創業融資は、審査期間が長くなる傾向にあります。申し込んだ内容や状況などによって異なるものの、申し込みから融資実行までにかかる期間は2週間から1ヶ月程度が目安となるでしょう。そのため、期間にある程度余裕をもって申し込むことをおすすめします。
活用する創業融資制度によっては繰り上げ返済ができない
日本政策金融公庫の創業融資は、原則として繰り上げ返済ができません。繰り上げ返済とは、本来の返済期間に先立って任意に返済をすることです。
経営をしていく中で、決算書の数値を改善する目的などで、繰り上げ返済をしたい場合もあるでしょう。そのような局面で繰り上げ返済ができないことは、一つのリスクといえます。
融資を受ける支店や担当者が選べない
一般的な金融機関の場合、融資を申し込む支店はある程度自由に選択できます。また、担当者との相性がよくないと感じた場合、上席に申し入れることで担当者を変えてもらえる場合もあるでしょう。
一方で、日本政策金融公庫の場合には担当する支店は申込時における納税地から機械的に決まり、原則として事業者側が自由に選ぶことはできません。また、担当者の変更も困難です。支店や担当者によって審査の考え方が多少異なる場合もあり、相性の悪い支店や担当者にあたってしまった場合にはこの点がリスクとなるでしょう。
なお、認定支援機関のサポートを受けて創業融資の申し込みをする場合には例外的に認定支援機関が支店を選ぶことが可能となり、このリスクが解消できます。認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関です。
当社トライズコンサルティングの代表である野竿は認定支援機関としても登録を受けているため、創業融資の支援を当社にお任せいただくことで、認定支援機関に依頼した場合のメリットを享受できます。
他の金融機関からの借り換えができない
日本政策金融公庫は、原則として他の金融機関からの借り換えを認めていません。いったん他の金融機関から借り入れた資金は、日本政策金融公庫に借り換えることはできないことを理解しておきましょう。
借り換えであることを隠して融資を受けた場合には融資の一括返済が求められる可能性があるほか、それ以後に日本政策金融公庫からの融資が受けられなくなるおそれもあります。
創業融資の主なメリット
創業融資には多少のリスクはあるものの、メリットが少なくありません。ここでは、創業融資の主なメリットを4つ解説します。
- 無担保・無保証人である
- 創業期でも審査に通りやすい
- 返済期間が長期である
- 金利が低めである
無担保・無保証人である
1つ目は、原則として無担保・無保証人であることです。
担保が必要である場合、万が一事業に失敗して返済が困難となった場合は、担保を付けた物件(土地・建物)が強制的に売却されてしまいます。また、保証人が必要である場合には、たとえ会社が倒産に至っても保証人が借入金の返済を続けなければなりません。
創業融資は無担保・無保証人が原則であるため、万が一事業に失敗して倒産に至った場合には、それ以上返済を続ける必要がなくなります。そのため、再起を図りやすいといえるでしょう。
創業期でも審査に通りやすい
2つ目は、創業期であっても審査に通りやすいことです。
創業期はまだ信用が十分に育っていないうえ、事業の実績もほとんどありません。このような状態で民間の金融機関から融資を受けるハードルは非常に高いでしょう。
一方で、創業融資の場合、創業期でも審査に通りやすいといえます。そもそも、創業融資はまだ信用の育っていない事業者が融資を受けるハードルを引き下げる目的で設けられているためです。
返済期間が長期である
3つ目は、返済期間が長期であることです。
創業融資の返済期間は長めに設定されているうえ、一定の据置期間(元本の返済が不要であり、利息のみを支払う期間)も設けられています。たとえば、「新規開業・スタートアップ支援資金」の返済期間は、次のとおりです。
- 設備資金:20年以内(うち、据置期間は5年以内)
- 運転資金:10年以内(うち、据置期間は5年以内)
事業がまだ軌道に乗っていない創業期には、早期の返済が難しい場合もあるでしょう。返済期間が長めであることでより効率的な事業への投資が可能となり、軌道に乗せるまでの期間を早めやすくなります。
金利が低めである
4つ目は、創業融資は金利が低めに設定されていることです。
具体的な金利は融資を申し込む時期や状況によって異なるものの、日本政策金融公庫の創業融資の金利は民間金融機関よりも低めに設定されています。また、「新規開業・スタートアップ支援資金」では次のいずれかに該当する場合、基準利率よりも低い特別金利が適用されます。
- 女性
- 35歳未満または55歳以上の者
- 外国人起業活動促進事業における特定外国人起業家で、新たに事業を始める者
- 創業塾や創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受けて新たに事業を始める者
- 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用しているまたは適用する予定の者で、自ら事業計画書の策定を行い、認定経営革新等支援機関による指導・助言を受けている者
- 地域おこし協力隊の任期2年目以降の者、または任期終了後1年以内の方で同隊として活動した地域で新たに事業を始める者
- Uターン等により地方で新たに事業を始める者
- 日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く)等・中小企業基盤整備機構・産業革新投資機構が出資する投資事業有限責任組合等から出資を受けている者(見込まれる方を含む)
- 新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める者
- 「新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用した起業支援金」と「移住支援金」の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める者
- 技術・ノウハウ等に新規性がみられる者
創業融資のリスクをできるだけ抑えるポイント
創業融資は民間の金融機関からの融資と比較してリスクが低めであるとはいえ、審査に通らないなどのリスクはゼロではありません。では、創業融資のリスクをできるだけ抑えるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?ここでは、主な対策を3つ解説します。
- 自己資金を用意する
- 専門家のサポ-トを受ける
- 法人の場合は設立段階から専門家に相談する
自己資金を用意する
創業融資のリスクを引き下げる方法の1つ目は、十分な自己資金を用意することです。
創業融資の審査に通過するには、少なくとも必要資金の1割は自己資金を用意するべきとされています。ただし、1割程度では審査に通らない懸念が残るため、可能であれば2割から3割程度の自己資金を用意しておくとよいでしょう。
自己資金が多ければ、それだけ事業者自身が事業に熱意を持っていることのアピールとなります。自己資金が多いということは、万が一事業に失敗した際に事業主が失う資金も多いことを意味するためです。また、創業に向けて入念に準備をしてきたことの表れともなります。
専門家のサポ-トを受ける
創業融資のリスクを引き下げる方法の2つ目は、創業融資にくわしい専門家のサポートを受けることです。
創業融資を成功させるには、事業に十分な収益性が見込めることや計画の実現性が高いことなどを、申込書類や面接などでアピールする必要があります。しかし、融資の申し込みに慣れていない場合、何をどのようにアピールすべきかわからないことも多いでしょう。事業者の頭の中には事業の勝算があったとしてもこれを審査官に十分に伝えられなければ、希望額の融資が受けられなくなるおそれがあります。
そこでおすすめなのが、専門家にサポートを受けることです。専門家からコンサルティングを受けることで、事業計画の精度を高められます。また、アピールポイントを踏まえた的確な申込書類の作成が可能となり、希望額の融資を受けられる可能性を高めやすくなります。
法人の場合は設立段階から専門家に相談する
創業融資のリスクを引き下げる方法の3つ目は、法人の設立段階から専門家に相談をすることです。
法人の設立に際しては、その法人の資本金額や事業目的を決め、これを登記することとなります。この登記事項に問題があると変更登記が必要となったり、融資審査に通らなかったりするおそれが生じます。
たとえば、2006年の会社法改正により、資本金が1円の株式会社も設立できることとなりました。しかし、設立自体はできたとしても資本金が1円など乏しい場合には、融資を受けるハードルは高いでしょう。また、法人の設立時にはその法人が営む事業内容(目的)を定めますが、この目的の記載が不十分であれば変更登記が必要となる可能性が生じます。
このようなリスクを避けるため、法人を設立する場合には、設立段階から専門家のサポートを受けることをおすすめします。
創業融資の申し込みはトライズコンサルティングにお任せください
創業融資の申し込みをご検討の際は、トライズコンサルティングまでご相談ください。最後に、トライズコンサルティングの主な特長を4つ紹介します。
- 代表は中小企業診断士であり認定支援機関である
- 創業融資のサポート実績が豊富にある
- 補助金の申請サポートも得意としている
- オンラインでの相談に対応している
代表は中小企業診断士であり認定支援機関である
中小企業診断士とは、中小企業の経営コンサルティングや事業計画の策定を専門とする国家資格です。また、認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識・実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた機関を指します。
トライズコンサルティングの代表である野竿は中小企業診断士であり、認定支援機関としても登録されているため、創業融資の申し込みについて的確なサポートを実現しています。
創業融資のサポート実績が豊富にある
トライズコンサルティングは、創業融資のサポートについて豊富な実績を有しています。そのため、はじめて融資に申し込む事業者様であっても、安心してお任せいただけます。
補助金の申請サポートも得意としている
トライズコンサルティングは創業融資のほか、補助金の申請サポートも得意としています。資金需要の高い創業期には、融資と補助金を併用したい場合も多いでしょう。
当社に創業融資のサポートをお任せいただいた場合、必要に応じて活用できる補助金の提案や補助金の申請サポートも行います。
オンラインでの相談に対応している
トライズコンサルティングは、Zoomなどを活用したオンラインでの相談・打ち合わせにも対応しています。そのため、近隣の事業者様のみならず、全国どこからでもご相談・ご依頼いただけます。また、出張先など場所を問わずに打ち合わせを進められることから、特に忙しい事業者様からも好評です。
まとめ
創業融資の概要や代表的な創業融資制度を紹介するとともに、創業融資のリスクやメリット、リスクを低減する方法などを解説しました。
創業融資は、創業期であっても融資を受けやすいよう政策的に設けられている制度です。代表的な創業融資制度としては、日本政策公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」などが挙げられます。
創業融資のリスクとしては、繰り上げ返済ができないことや原則として支店が選べないことなどが挙げられます。しかし、一般的な融資制度と比較してリスクは低く、無担保・無保証人が原則であることや返済期間が長いことなど、メリットが少なくありません。創業期であっても審査に通りやすいことから、創業期には積極的に活用するとよいでしょう。
創業融資の審査に落ちるリスクや希望額の融資が受けられないリスクなどを低減するため、申し込みに際しては専門家のサポートを受けるのがおすすめです。専門家のサポートを受けることで創業計画の十分な練り込みが可能となるほか、的確な創業計画書などの作成が可能となります。
当社トライズコンサルティングは創業融資のサポートについて豊富な実績を有しており、多くの案件で融資を成功させてきました。創業融資に落ちるリスクを減らしたい事業者様は、当社トライズコンサルティングまでお気軽にご相談ください。創業融資に関する初回のご相談は無料です。